作業療法士は文系でもなれる!文系が向いているリハビリテーション専門職とその理由

作業療法士という職業は、高齢化社会の進展に伴い、ますます注目を浴びています。しかし、多くの人が「医療系の資格は理系じゃないと難しい?」「文系出身でも作業療法士になれる?」と疑問や不安を抱いていることでしょう。

この記事では、文系出身者が作業療法士に向いている理由や文系ならではの強み、文系の人が作業療法士を目指すためのコツについて紹介します。

文系出身者が作業療法士に向いている理由

リハビリテーションの専門職である「作業療法士」は、医療系の国家資格です。「理系の人じゃないとなれないのでは?」と思われがちですが、実は文系・理系両方の側面を持った仕事なんです。

まず、文系の人が得意とする、対話能力や文章力、表現力、心理的な洞察力は、作業療法を行う上でなくてはならない技能です。

問診で患者さんの意図を読み取ることや、カルテで患者さんの状態を他職種の人に伝えることなどは、文系の方が得意と言えるでしょう。ご家族のサポートや心理的なケアを含めると、作業療法は「人との関わり」が重要な仕事です。

同じリハビリ専門職である理学療法士も同じく文系的な部分がありますが、生活全般に関わる作業療法士の方がその傾向が強いですね。

特に文系的な能力の必要性を感じるのは、実習や就職してからの現場活動が多いでしょう。逆に理系の側面は、体の仕組みや薬についてなど、学校で教えてもらうことが多いです。

理系科目は授業で伸ばすことができますが、文系的な能力はそれまでの経験に則して伸びていくため、もともと文系であった人の方が就職してからが強いでしょう。

文系が作業療法士を目指すために必要なこと

高校の文理選択で文系を選んでいる人は、理系分野であるリハビリ職を目指すことに不安を感じると思います。

「学校に入ってから勉強についていけるだろうか?」「本当に国家試験に合格できるのか?」といった悩みを持った入学希望の方も多いです。

ですが、心配ありません。作業療法士の学校では、文系理系を問わず全員が一から学ぶためのカリキュラムが作られているので安心してください。

高校までの生物や化学で、人体の機能や構造、解剖学の内容まで踏み込んで勉強はしないですよね。そのため、理系の人が有利というわけでもないのです。

また、高校時代に文系を選択していた人の話を聞くと、「高1の時に数学でつまずいてしまったから」「読み物が好きだったから」などの理由であることが多いです。

「数学が苦手なら文系」「本が好きだったら文系」といった科目の得意不得意だけで文理選択を決定することはおすすめできません。

高校の勉強は基礎的なことがほとんどのため、進学してから応用を学んだ結果、理系科目の面白さや新しい才能に気付くことも多くあります。

そして、実習で実感することになりますが、文理の勉強だけでなく、体力や忍耐力も必要になる仕事です。大切なのは、「理系科目が得意かどうか」ではなく、予習復習を日々積み重ねて勉強していくこと。そして「作業療法士になる!」という強い気持ちです。

作業療法士の国家試験について

作業療法士になるためには、国家資格が必要です。資格取得のためには、まず指定された大学や専門学校で作業療法に関する専門知識と技術を学びます。

文系出身の方でも、しっかりとしたカリキュラムに従い、必要な知識を習得することで、作業療法士としての道が開けます。

作業療法士の国家試験は、毎年一度行われます。この国家試験に合格するためには、解剖学や生理学、病理学などの基礎的な医学知識から、リハビリテーションに関する専門的な知識まで幅広く学ぶ必要があります。そして実践的な知識を身につけるために、臨床実習も重要な要素となります。

資格試験は、筆記試験と実技試験で構成されています。筆記試験では、医学の基礎知識やリハビリテーションに関する理論が問われます。実技試験では、実際の患者を想定したリハビリ計画の立案や、その実施方法が評価されます。

文系出身でも作業療法士を目指せる理由

文系出身の方でも、作業療法士を目指せる理由は多岐にわたります。まず、作業療法士は人間の全体的な生活をサポートする職業であり、コミュニケーション能力や共感力が非常に重要です。

これらのスキルは文系の背景を持つ人にとって強みとなります。

実際に文系出身の作業療法士として成功している方も多くいます。

例えば、文学部出身でありながら、作業療法士として病院で活躍しているAさんは、患者とのコミュニケーション能力に優れており、そのスキルを活かして多くの患者のリハビリをサポートしています。Aさんは、文系で培った分析力や文章力を活用し、リハビリ計画の立案や報告書の作成においても高い評価を得ています。

このように、文系出身者が作業療法士として活躍するためには、自分の強みを活かすことが重要です。

例えば、患者さまとの対話を通じて信頼関係を築く力や、問題解決能力を活かして、個別のリハビリ計画を効果的に進めることが求められます。また、リハビリにおける心理的サポートも重要な役割で、文系の背景を持つ人が得意とする分野です。

文系の人は総合型選抜がおすすめ

「文系だけど作業療法士を目指したい!」という方は、志望する学校の入試方法をチェックしてみましょう。志望する学校の種類によっては、試験で文系科目を選択できる場合もあります。

一方で、共通試験を利用する大学であれば、理科系や数学系科目を必須選択しなければならないかもしれません。

専門学校の場合も、一般入試の場合は理数系の試験が課されている場合が多いです。

理系の科目に苦手意識があるのであれば、そうした科目を避けて得意な分野の入学試験を受験入学したいという方は、総合型選抜や推薦入試を選びましょう。総合型選抜であれば、人物面が評価されるので面談や小論文が得意な方におすすめです。

総合型選抜については、日本リハビリテーション専門学校の特設ページにより詳しく書いてありますので、一度チェックしてみてください。

まとめ

今回は、文系出身者が作業療法士を目指す場合に有利な理由などについて紹介しまいした。

作業療法士を目指せる理由は、コミュニケーション能力や共感力など、文系の強みを活かせる点にあります。これらのスキルは、患者さまとの信頼関係を築く上で非常に重要であり、リハビリテーションの効果を高めることができます。

作業療法士は、患者の回復を直接支援することで大きなやりがいを感じることができる職業です。また、専門性を高めることでキャリアアップの道も開かれており、将来的には管理職や教育者としての道もあります。

高齢化社会の進展に伴い、作業療法士の需要はますます高まっているため、安定した職業としての魅力も大いにあります。文系だからと言う理由だけで選択肢から外してしまうのではなく、職業についてしっかりと調べた上で、ご自身の進路を決めていってください。

 

MTDLP(生活行為向上マネジメント)と作業療法

みなさんは、MTDLP(生活行為向上マネジメント)という言葉を知っていますか?この記事では、作業療法と関わりの深いMTDLP(生活行為向上マネジメント)ついて解説し、MTDLP推進協力校・推進協力強化校について紹介します。

 

MTDLP(生活行為向上マネジメント)とは

MTDLPはManagement Tool for Daily Life Performanceの略称で、日本語では生活行為向上マネジメントと呼んでいます。

みなさんは骨折等のけがをしたことがありますか?大きなけがや病気になると今まで当たり前のようにできていたことができなくなってしまうことが多いです。

そんなリハビリを理学療法士や作業療法士が行っていくのですが、みなさんにも趣味や生きがいのように、自分から「やりたい」と思うようなことがありますよね。

この生活行為向上マネジメントは、作業療法士が患者さまの「やりたい」と思うこと(生活行為)を目標に、人・作業・環境の分析を行い、生活行為の改善や目標達成のための支援(介入)を行うか。そして実行するための支援計画を立案していきます。

重要なポイントは患者さまができるようになりたいこと、やってみたいことを一緒に達成していくために、作業療法士がマネジメントしていくことです。

実際の取り組み例は日本作業療法士協会にも載っていますので是非読んでみてください。

作業療法士と関わる、対象者との時期別MTDLP事例

MTDLP生活行為向上マネジメントを行うと?

実際にMTDLP生活行為向上マネジメントを実践することによる効果についても報告されています。

地域在住の要介護高齢者に対する「生活行為向上マネジメント」を用いた作業療法の効果

日本作業療法士協会が作成している生活行為向上マネジメントのパンフレットにも効果検証が掲載されています。

生活行為向上マネジメントのパンフレット

今後作業療法士を目指す方は、MTDLPについて学ぶことは必須といえるでしょう。

MTDLP推進協力校/MTDLP推進協力強化校とは?

2025年には、日本の高齢化が30%を超えると推測される中で、地域包括ケアシステム作りが急務となっており、そんな中でこのMTDLPが開発されました。

このMTDLP教育を普及・啓発・推進するため、MTDLP教育に取り組んでいる養成校のうち、日本作業療法士協会により認定されると「MTDLP推進協力校」「MTDLP推進協力強化校」となります。

全国にある養成校193校のうち、推進協力校はわずか18校。推進協力強化校は10校です。

日本リハビリテーション専門学校作業療法学科は2023年度に昼間部・夜間部ともにMTDLP推進協力校に認定されました。首都圏の作業療法学科夜間部で認定されているのは日リハだけです!(2023年12月)

MTDLP推進協力校・推進協力強化校一覧

人は作業することで元気になれる

人の持てる能力を引き出すことができるのが作業療法士です。MTDLP生活行為向上マネジメントを学ぶことにより患者さまのQOLを向上させることができるようになります。

そんな作業療法士になるための授業・カリキュラム・先生・仲間が日リハには揃っています。ぜひ学校説明会・オープンキャンパス等に足を運んでみてはいかがでしょうか?

作業療法士は精神障害領域のリハビリテーションではどんなことをしているの?

作業療法は、精神障害領域のリハビリテーションにおいて、重要な役割を果たしています。作業療法を通じて、患者さまは、日常生活を送る上で必要な能力を回復・向上させ、社会復帰を目指していきます。

・身体機能の改善
・認知機能の改善
・コミュニケーション能力の改善
・社会生活能力の改善
・就労能力の改善
・生活の質の向上

作業療法士は、患者さまの個々のニーズに合わせて、活動の内容や難易度を調整します。また、患者さまの家族や介護者への支援も行います。

それではひとつずつ、少し具体的に見てみましょう。

身体機能の改善とは

作業療法における身体機能の改善とは、患者さまの身体の動きや筋力を向上させるためのリハビリです。具体的には、以下のような活動を行います。

・ストレッチ
・筋力トレーニング
・バランス訓練
・歩行訓練
・自助具の使用訓練

 

 

身体機能の改善は、患者さまが日常生活を送る上で必要な能力を回復・向上させるために重要です。身体機能が向上すると、患者さまは、食事や排泄、移動、着替えなどの日常生活動作を自立して行うことができるようになります。また、身体機能が向上すると、患者さまは、社会活動への参加や就労などの可能性も広がります。

認知機能の改善とは

作業療法における認知機能の改善とは、患者さまの記憶力、注意力、理解力、計算力、実行力などを向上させるためのリハビリです。具体的には、以下のような活動を行います。

・記憶訓練
・注意力訓練
・理解力訓練
・計算力訓練
・実行力訓練

 

 

認知機能の改善は、患者さまが日常生活を送る上で必要な能力を回復・向上させるために重要です。認知機能が向上すると、患者さまは、時間管理、計画立て、問題解決、意思決定などの能力を向上させることができます。また、認知機能が向上すると、患者さまは、社会活動への参加や就労などの可能性も広がります。

認知機能の改善を目的とした作業療法は、認知症や脳卒中などの患者さまに効果的です。また、認知機能の低下を予防するためにも、作業療法は有効です。

コミュニケーション能力の改善とは

作業療法士は、コミュニケーション能力の改善のために、以下のようなリハビリを行います。

・話す練習
・聞く練習
・読む練習
・書く練習
・表情やジェスチャーを使う練習
・会話の組み立て練習
・グループワーク練習

コミュニケーション能力の改善は、患者さまが日常生活を送る上で必要な能力です。コミュニケーション能力が向上すると、患者さまは、自分の気持ちを表現したり、相手の気持ちを理解したりすることができるようになります。また、コミュニケーション能力が向上すると、患者さまは、社会活動への参加や就労などの可能性も広がります。

コミュニケーション能力の改善を目的とした作業療法は、発達障害や精神障害などの患者さまに効果的です。また、コミュニケーション能力の低下を予防するためにも、作業療法は有効です。

社会生活能力の改善とは

作業療法士は、社会生活能力の改善のために、以下のようなリハビリを行います。

・家事や育児などの日常生活動作の練習
・買い物や通勤などの社会活動への参加の練習
・趣味やボランティア活動などの活動への参加の練習
・グループワークや交際活動などのコミュニケーション能力の向上のための練習

 

 

社会生活能力の改善は、患者さまが日常生活を送る上で必要な能力です。社会生活能力が向上すると、患者さまは、自立して生活したり、社会とつながりを持つことができるようになります。また、社会生活能力が向上すると、患者さまのQOL(生活の質)が向上します。

社会生活能力の改善を目的とした作業療法は、発達障害や精神障害などの患者さまに効果的です。また、社会生活能力の低下を予防するためにも、作業療法は有効です。

就労能力の改善とは

作業療法士は、就労能力の改善のために、以下のようなリハビリを行います。

・仕事に必要なスキルの向上
・職場適応能力の向上
・就職活動の支援

 

 

就労能力の改善は、患者さまが社会復帰を目指す上で重要なことです。就労能力が向上すると、患者さまは、経済的自立を図ったり、社会とつながりを持つことができるようになります。また、就労能力が向上すると、患者さまのQOL(生活の質)が向上します。

就労能力の改善を目的とした作業療法は、発達障害や精神障害などの患者さまに効果的です。また、就労能力の低下を予防するためにも、作業療法は有効です。

具体的なリハビリ内容は、患者さまの障害や希望によって異なりますが、以下のような例があります。

・仕事に必要なスキルの向上
・パソコン操作
・コミュニケーションスキル
・時間管理スキル
・問題解決スキル
・職場適応能力の向上
・職場のルールやマナーを学ぶ
・職場の人間関係を築く
・職場のストレスに対処する
・就職活動の支援
・履歴書の作成
・面接練習
・求人情報の収集
・職業訓練の受講

作業療法士は、患者さまの就労能力の改善を支援するために、様々な方法でサポートします。患者さまは、作業療法士の支援を受けることで、就労への一歩を踏み出すことができます。

生活の質(QOL)の向上

作業療法士は、生活の質の向上のために、以下のようなリハビリを行います。

・身体機能の改善
・認知機能の改善
・コミュニケーション能力の改善
・社会生活能力の改善
・就労能力の改善
・精神的健康の改善

 

 

生活の質の向上は、患者さまが日常生活を送る上で重要なことです。生活の質が向上すると、患者さまは、より充実した生活を送ることができるようになります。また、生活の質が向上すると、患者さまのQOL(生活の質)が向上します。

生活の質の向上を目的とした作業療法は、幅広い疾患や障害の患者さまに効果的です。また、生活の質の低下を予防するためにも、作業療法は有効です。

作業療法士は、患者さまの生活の質の向上を支援するために、様々な方法でサポートします。これまでにあげてきましたとおり、「身体機能の改善」「認知機能の改善」「コミュニケーション能力の改善」「社会生活能力の改善」「就労能力の改善」などを通して、患者さまの生活の質(QOL)の向上を図っていきます。

患者さまは、作業療法士の支援を受けることで、より充実した生活を送ることができるようになります。

【まとめ】

精神科領域で作業療法士が行うリハビリテーションは本当に幅広い様々な事を行います。その為、なかなかイメージがつかない部分もあると思いますので、本校では精神科病院への現場見学にもご案内することができます。ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

 

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