作業療法士と看護師の違いって?2つの国家資格を徹底比較!

-目次-

  • 作業療法士と看護師の違い
  • 作業療法士の資格・仕事について
  • 看護師の資格・仕事について

作業療法士と看護師の違い

医療の専門家であり、チーム医療として共に協力する関係である作業療法士と看護師。似ている2つの国家資格について違いをまとめてみます。

作業療法士と看護師の目的の違い

看護師は患者さんのケアが仕事内容のほとんどを占めますが、作業療法士はリハビリをして「回復」させることが仕事内容です。

作業療法士と看護師の職場の違い

看護師は、総合病院から個人経営のクリニックまで全ての医療機関が職場になります。また、介護施設や保健施設、保育園、一般企業など医療分野以外にもたくさんの就職先があります。

作業療法士の主な職場はリハビリテーション科がある医療機関や老人保健施設、デイケア(通所リハビリテーション)などの介護施設です。リハビリテーション科は総合病院やリハビリテーション病院には必ずあり、整形外科を中心としたクリニックなどにもたくさんあります。近年は在宅高齢者のお宅を訪問する「訪問リハビリ」や、近隣の高齢者を施設に招いてリハビリを提供する「通所リハビリ(デイケア)」などが増えており、作業療法士の需要は増加しています。

作業療法士と看護師の勤務形態の違い

働く上で気になる違いでいえば、勤務形態でしょう。入院設備がある医療機関において看護師は365日24時間配置が基本となるため、看護師はシフト勤務といわれる勤務形態になります。勤務時間や休日は一定ではないため、看護師の生活はどうしても不規則になりますが、その分理学療法士より給与は高い傾向があります。

作業療法士の場合は日勤が基本であり、8時から9時に出勤し、17時から18時に仕事が終わるというのが一般的です。一部医療機関では遅番や早番がありますが、夜勤はありません。規則正しい生活を希望する人等、働きやすさを重視する方には作業療法士の方が向いていると言えるでしょう。

 

以上ように、2つの国家資格は様々な違いがあります。これから福祉医療系の国家資格取得を目指す方は、自分の将来像をイメージしながら考えてみてください。

 

作業療法士の資格・仕事について

作業療法士は、回復と心のリハビリテーションにおけるスペシャリストです。理学療法士・言語聴覚士と共にリハビリ3資格とも呼ばれます。人の生活におけるあらゆる活動を本人が望む生活ができるようにしていく治療やサポートを行います。

作業療法士の仕事は、人の生活におけるすべての「作業」に関わります。障がいのある方に対し、食事や着替えなどの基本的な生活の訓練や、仕事や学校など社会参加のための訓練、また、精神・心理面へのアプローチも行います。対象分野は身体、精神、発達、老年期と幅広いことが特長ですが、就職は1分野の専門家として、他の分野で学んだことも活かしながら活躍することが一般的です。

 

 

また、作業療法士は今の生活を豊かにするためにサポートするだけでなく、今後の人生についても患者さんと共に考えていきます。障がいがある場合に、どういったことに興味や価値を持って生きていくのかを見つける手伝いをします。

作業療法士になるためには、養成校で学び国家資格を取得する必要があります。実習や特別な機材などが必要になるため、独学では国家資格の受験資格を得ることができません。まず養成校に入学・卒業し、国家試験を受験・合格した場合に初めて作業療法士として認められます。

養成校へは、高校を卒業してからすぐに入学する方もいますし、最近は社会人からのキャリアチェンジで専門学校などの養成校に入学する方も多くなっています。作業療法士は、病院・診療所などの医療機関をはじめ、介護老人保健施設、保健所などの行政機関でも活躍しています。

 

看護師の資格・仕事について

看護師は、医師の診察補助をし、病気や障害を持つ人への日常的・医療的なケアと、病気の予防や健康増進を目的とした患者への教育指導などを行います。具体的には、血圧・脈・体温などを測りバイタルチェックを行なって医師に報告したり、点滴・注射・採血などの業務をおこないます。また、食事や入浴、排泄など入院中の患者の身の回りのお世話なども行っており、主に病院で看護師の持つ仕事の比重は大きいです。

看護師は患者と接する時間がもっとも長い職業と言われています。看護師が行なうケアの質は患者の回復に大きく影響します。自分が身につけた知識や技術、丁寧なケアが患者の回復に直接結びつき、人の役にたっていることを実感できる職業です。

 

 

看護師も国家資格を持たなければ働くことができません。養成校の特徴としては実習が多く、学生生活が厳しくなりがちだということです。看護師は、夜勤が多い仕事としても知られていますが、看護師として就職すると365日24時間稼働している病院で働き、不規則な勤務時間で働かなければならないケースがほとんどですので、学生のうちに夜勤に慣れておくということも必要だといえるでしょう。

また、病院で勤務するイメージのある看護師ですが、高齢化が進む日本では訪問看護師の需要が高まっています。政府も後押しをしており、自宅に戻る患者の多い病院に対する評価を高くする・在宅医療に取り組む診療所に診療報酬を手厚く配分する、などといった施策を行っています。

訪問看護の仕事は「在宅医療」に対しての知識や技術を身につける必要があります。患者さんが退院したらおしまい、ではなく、自宅でより快適に暮らしていけるよう手助けをする視点を持たなければなりません。これからの看護師には、訪問看護に対する知見も求められています。

 

理学療法士として起業して経営者になれる?幅広い分野で活躍できる理学療法士の魅力

理学療法士の資格では起業することはできませんが、現在では多くの理学療法士が起業しそれぞれに活躍しています。理学療法士が起業するためのポイントをまとめました。

 

理学療法士は起業できるの?

理学療法士として起業するにはまず、大前提として「理学療法士には開業権がない」ことを頭に入れておきましょう。理学療法士は「医師の指示のもとに」リハビリテーションを行う仕事なので、リハビリの内容で開業することはできません。 ですが、「起業ができないか」というと、全くそんなことはありません。 「理学療法」としてサービスを提供することはできませんが、民間療法全般である整体やリラクゼーション、エステといった内容では開業することはできます。また、健康に関わる会社だったりスポーツや美容に関わる会社を作ることもできます。 接骨院・あん摩マッサージ指圧院・鍼灸院といった、国家資格である柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・鍼灸師が開業を許されている事業については、理学療法士が開業することはできません。ここだけしっかりと抑えておきましょう。もちろん、理学療法士と平行してこれらの国家資格をダブルで取得した場合は開業することができます。 また、介護の分野での起業も可能です。高齢化の進展に伴って、デイサービスや訪問看護ステーションへのニーズが高まっています。 デイサービスや訪問看護ステーションでは、理学療法士が関わる場面も多くあるため「こういうアプローチができればもっといい」「もっと本格的なリハビリを行いたい」と思い、起業へ踏み切る方もいます。現状維持だけでなく「治す」ことまで視野に入れ、より角度の高いリハビリを行うことができます。 介護保険サービスであれば、要介護認定を受けている利用者は介護保険が利用できるため、安くサービスを受けてもらうことができ集客しやすい分野とも言えるでしょう。

 

理学療法士が起業して成功するには

理学療法の仕事は「今後10年で成長する職業トップ10ランキング」で4位にランクインしており、今後ますます需要が伸びていくと考えられています。業界として上向きではありますが、だからといって必ず起業が成功するわけではありません。

理学療法士としての知識や技術以上に、経営者としてのノウハウも積み上げておく必要があるでしょう。 そのために必要なのは以下の5つです。 ①実現可能な理学療法を活かしたビジネスモデル まず、起業を目指すきっかけとなった「こういうビジネスをしたい!」というアイディアを、実現可能にすることです。 ぼんやりとした理想だけでなく、実際にマネタイズしていけるのかどうかや、ニーズがあるのかを調査したりなど、具体性を高めることが重要です。必要最小限の規模でサンプルテストを行なってみるのもよいでしょう。似たようなビジネスをしている競合会社があれば徹底的に調査し、自分のやりたいビジネスとの差別化を図る必要があります。 ②優秀な理学療法士スタッフの確保 フリーランスとしての起業でない限り、人材の確保は必要不可欠です。ビジネスモデルにもよりますが、理学療法士として優秀なスタッフを確保したいですよね。理学療法士を目指す過程で出会った人や、働く上で培ってきた人脈が活かせると良いでしょう。 また、理学療法士だけでなく経営面や財務面、法務面、そして商品開発や営業など、それぞれの分野を得意とする人材が必要です。①のビジネスモデルを理解してくれる人材に出会い、起業を具体的にしていきましょう。 ③事業計画の査定 順調に経営を進めていくために、綿密な事業計画の策定が必要です。どの程度の収入と支出、利益があり、会社を維持するためにはどのくらいの経費がかかるか、事業計画を策定することで明確にイメージできます。 少なくとも、月ごとの事業計画(月次計画)と年度全体の事業計画(年次計画)は必須となります。さらに、起業の対象とするビジネス分野にもよりますが、起業より3年後から5年後といった中期的な事業計画を立てることも大切です。 ④資金の調達 どのようなビジネスモデルであれ、起業する上で資金の調達は欠かせません。理学療法士の起業で多くを占める「整体院」の場合は、設立費用は約700万円と言われています。「訪問看護ステーション」であれば約800万円ほどと言われています。 物件が必要かどうか・人件費や設備費をどのくらい割くか…などによってもちろん前後します。起業にいくら必要で、運転資金として最初にどのくらいは持っていた方がいいのかをしっかりと算出しておきましょう。 ⑤ターゲット顧客へのアプローチ方法 起業するだけで次々と集客できた!というケースは稀です。起業前からある程度ターゲット顧客を定めておき、アプローチ方法を決めておきましょう。 アプローチ方法は、ビジネスモデルがBtoCかBtoBなのかによって大きく変わります。BtoCについては、整体院や訪問介護ステーションのように一般の方々を対象としている場合です。BtoBについては、会社向けにセミナーをしたり医療機器の仲介に入ったりなどターゲット顧客が会社である場合です。 BtoCであればSNSの活用を視野に入れたり、BtoBであれば企業と企業をマッチングさせる会に出たり直接営業をかけたりなど、やり方が変わってきます。

今後広がる理学療法士の活躍の場

複雑になる高齢者事業や、スポーツ・健康・美容分野への広がりを受けて、理学療法士の活躍の場は広がっています。社会の新しい需要を見つけ出し、会社という形にしていくことは非常にやりがいのある仕事でしょう。年収や働き方についても自分次第で変えられるため、起業を魅力に思う理学療法士は年々増えてきています。
起業だけでなく、スポーツ・研究・先進医療・地域・挑戦…などなど、新しい理学療法士の活躍の場を見てみませんか?日リハの特設サイトでは、様々な分野で活躍する理学療法士の形をご紹介しています!

がんの緩和ケアに関わる作業療法士の仕事とは

-目次-

  • がんの緩和ケアとチームについて
  • 作業療法士の仕事・役割について
  • 精神面を支えるリハビリテーション

がんの緩和ケアとチームについて

がん患者さんは、がん自体の症状のほかに、痛み、倦怠感などのさまざまな身体的な症状や、落ち込み、悲しみなどの精神的な苦痛を経験します。「緩和ケア」は、がんと診断されたときから行う、身体的・精神的な苦痛をやわらげるためのケアです。

緩和ケアは、病院によって違いはありますが、がん診療に携わる医師、看護師などがチームとなって、がん患者さんとその家族を支援します。

まず、医師です。主治医だけでなく、緩和ケア専門医がつくこともあります。

そして、看護師。こちらも、担当看護師だけでなく、緩和ケアに関する専門的知識や技術を持った緩和ケア認定看護師がいると心強いですね。

薬剤師と管理栄養士が関わることもあります。薬剤師は痛みなどの症状をコントロールするための薬について提案や説明をします。管理栄養士は食事についてのアドバイスを行います。

ソーシャルワーカーや心理職の人が関わり、経済面や福祉制度のサポートを行ったり心理学的立場から患者さんとそのご家族を支えることもあります。

 

そして最後に、理学療法士と作業療法士の存在があります。がんの治療や症状によって、今までのように体が動かなくなってしまったときに、残された身体機能を最大限に活用して生活をしていくため、リハビリテーションを行っていきます。

 

これらのチームが一丸となって、がん患者さんに対して緩和ケアを行っていきます。今回は作業療法士にスポットを当てて、仕事内容について見ていきましょう。

 

作業療法士の仕事・役割について

がん患者さんへのリハビリでは、患者さんと介護する家族のQOL(quality of life)が向上することを目的としています。

ですが、ひとくちにQOLと言っても、進行がんの患者にとっては「回復して社会生活が送れるようになること」を指すとは限りません。「穏やかに残された日々を過ごすこと」「最後までできるだけ人に迷惑をかけずに生きること」などが目的の人もいます。

患者さん一人ひとりの目的を明らかにし、具体的な選択肢や道筋を与えるのが作業療法士の重要な仕事です。

 

例えば「一時帰宅がしたい」という患者さんの希望が、医療的に見れば体に負担がかかることであることも少なくないため、医師からはなかなかゴーサインが出ないことも多い。そんな時、医学的な知見を持ち、人の生活を作業として分析できる作業療法士は「このようにすれば、体の負荷を最小限にして患者の希望をかなえることができる」という方法を、具体的に提案することができます。

そのためにリハビリテーションのプログラムを組み立て、実施していくことによって、患者さんの希望を叶えることに繋げていきます。

 

 

また、がん医療において、患者さんの苦痛をより理解するためには、トータルペイン(全人的苦痛)の概念を理解することが重要なポイントです。

患者さんの抱える問題は身体的苦痛のみではありません。不安や抑うつなどの精神的なトラブル、家族や職業に関する社会的不安、生きる意味や死との直面などの悩みがあり、これらが複雑に絡み合っていることを意識する必要があります。これも作業療法士の重要な役割の一つです。

 

精神面を支えるリハビリテーション

緩和ケアを行う時期は、積極的な治療が受けられなくなった時期とも言えます。そのため、精神的にふさぎこんでしまう患者さんも多くいます。

患者さんは少し動いただけでも疲れるので動かなくなり、日常生活のさらなる制限をもたらす悪循環におちいり、やがては寝たきり(廃用症候群)になってしまいます。そして食欲不振や倦怠感がさらに増してしまう結果になります。

 

これらを改善するために、精神面を支えるリハビリテーションが必要になってきます。マッサージやリラクセーション、イメージ療法、アロマセラピーなど「非薬物療法」とよばれる療法を取り入れることもあります。また、在宅療法で患者さんの精神回復を優先する場合もあります。

そして、がんのリハビリは患者さんだけでなく、ご家族に対しても提供されるものです。適切な介護の方法を教え、患者さんが動きやすいように手すりをつけるなど生活環境を整備することは、介護者が自宅で看病する際の負担軽減に確実につながります。

 

このように、がんのリハビリテ―ションにおける作業療法士の役割は大きく、身体面・精神面の両方で患者さんを支える重要な仕事です。