理学療法士国家試験の合格率や難易度、受験資格・内容を解説

理学療法士国家試験の合格率や難易度、受験資格・内容を解説

監修:日本リハビリテーション専門学校 鍋城武志(理学療法士)

 

理学療法士になるために必須となる国家試験の全体像を解説します。
本記事では、試験の難易度を示す合格率の推移から、具体的な受験資格、出題内容まで、受験生が知りたい情報を網羅的にまとめました。

理学療法士を目指す上で、どのくらいのレベルが求められるのか、試験の概要を正確に理解するための内容となっています。

 

 

理学療法士国家試験とは?まずは概要をチェック

理学療法士国家試験は、「理学療法士及び作業療法士法」に基づき、理学療法士として業務を行うために必要な知識を評価する国の検定試験です。
正式名称は「理学療法士国家試験」であり、この試験に合格し、免許登録をすることで初めて理学療法士として働くことが可能になります。

年に一度実施され、試験の日程や受験資格、出題範囲などの詳細は厚生労働省から発表されます。

 

 

試験日程と申し込み方法

 

理学療法士国家試験は、例年2月に実施されます。直近の第59回試験は2024年2月18日に行われました。第60回試験は2025年2月に、第61回試験は2026年2月23日(月)に実施される予定です。

試験会場は北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、香川県、福岡県、沖縄県に設置されるのが通例です。受験の申し込み期間は、第61回試験の場合、2025年12月15日(月)から2026年1月5日(月)とされています。受験願書などの必要書類を受付期間内に提出する必要があります。
試験当日は時間に余裕を持って会場に到着し、トイレの場所などを事前に確認しておくと落ち着いて試験に臨めます。(当校では最寄り駅に毎年8:30に集合して遅刻を防止、教員が激励の挨拶をして送り出します)

 

受験資格を得るための3つのルート

 

理学療法士国家試験の受験資格を得るためには、主に3つのルートがあります。

1. **文部科学大臣または都道府県知事が指定した養成校を卒業するルート**: 高校卒業後、文部科学大臣または都道府県知事が指定する理学療法士養成施設で4年制または3年制の専門課程を修了し、卒業する(または卒業見込みである)ことが最も一般的なルートです。

2. **海外で理学療法に関する教育を修了し、厚生労働大臣の認定を受けるルート**: 海外の理学療法に関する学校や施設を卒業し、日本の理学療法士と同等以上の知識および技能を有すると厚生労働大臣から認定を受ける方法です。

3. **特定の経過措置によるルート**: 昭和40年8月28日時点で、文部大臣または厚生大臣指定の学校または施設において、理学療法士となるのに必要な知識および技能の修得を終えているか、または修業中であり、この法律の施行後にその修得を終えた者も受験資格を得ることができます。

 

 

出題範囲と問題形式の詳細

 

試験はマークシート方式の筆記試験のみで、実技試験や口述試験はありません。
問題は午前と午後に分かれ、一般問題と実地問題から構成されます。
総問題数は200問で、配点は一般問題が1問1点、実地問題が1問3点、合計280点満点です。

出題範囲は、解剖学、生理学、運動学といった基礎医学分野から、臨床医学、臨床心理学、リハビリテーション医学、人間発達学、理学療法といった専門分野まで多岐にわたります。
筋肉や骨の構造、てこや嚥下の原理など、基礎的な知識が臨床場面でどのように応用されるかが問われます。
発達に応じた体操など、幅広い教科の知識が求められ、一部の基礎医学問題は作業療法士と共通です。

 

気になる理学療法士国家試験の難易度は?合格率の推移から解説

理学療法士国家試験の難易度は、合格率の高さから比較的易しいと誤解されがちですが、専門的な知識が問われるため、決して簡単な試験ではありません。
合格率の数字だけでは、その難しさを正確に測ることは困難です。

偏差値で示されるものではなく、養成校での学習の質が合否に直結します。到達度試験なので280点満点中6割の168点以上得点した場合は全員合格します。ここでは、最新のデータや過去の合格率の推移、出題傾向から試験の本当の難易度を解説します。

 

最新の理学療法士国家試験の合格率

2024年3月に発表された第59回理学療法士国家試験(令和6年実施)の結果では、受験者数12,629人に対し、合格者数11,282人で、合格率は89.3%でした。このうち、新卒者の合格率は95.3%と非常に高い水準です。

第58回試験(2023年実施)の合格率は87.4%であり、近年は80%台後半で安定した合格率を維持しています。この数字は、養成校での教育課程を真面目に修了すれば、多くの人が合格できるレベルであることを示しています。しかし、これは十分な試験対策を行った結果であり、油断はできません。

 

過去6年間の合格率の動向

過去6年間の合格率を見ると、第55回(2020年)が86.4%、第56回(2021年)が79.0%、第57回(2022年)が79.6%、第58回(2023年・令和5年)が87.4%、そして最新の第59回(2024年)が87.1%という動向です。
2021年と2022年には合格率が80%を下回り
ましたが、その後は回復傾向にあります。

過去には第49回試験のように合格率が大きく変動することもあり、試験の難易度には波があることがわかります。この推移から、常に安定して高い合格率が保証されているわけではなく、年度ごとの傾向を把握し、着実な準備が求められることが読み取れます。

 

合格率だけでは判断できない?養成校での学習が重要

理学療法士国家試験の高い合格率は、受験資格を得るまでの養成校における3〜4年間の教育課程の成果です。
学生は解剖学や生理学といった基礎から、専門的な理学療法の知識・技術までを体系的に学び、臨床実習を通じて実践力を養います。

このカリキュラム自体が国家試験に向けた土台作りとなっており、日々の授業や実習への取り組みが合否に大きく影響します。
そのため、合格率の数字だけを見て試験の難易度を判断するのではなく、養成校での学習の積み重ねこそが最も重要であると認識する必要があります。
合格は、長期間にわたる地道な努力の結果と言えます。

 

 

合格を掴むための国家試験対策と具体的な勉強法

理学療法士国家試験の合格には、戦略的な対策と効率的な勉強法が不可欠です。
試験の概要や難易度を把握した上で、具体的な学習計画を立てることが重要になります。

このセクションでは、厚生労働省が公開する過去問の活用法から、専門分野と共通分野それぞれに適した勉強のアプローチ、さらにはスキマ時間を有効に使うためのツール選びまで、合格を確実にするための実践的な方法を解説します。

 

厚生労働省の過去問を活用した実践的な対策法

最も効果的な試験対策は、厚生労働省のウェブサイトで公開されている過去問を繰り返し解くことです。
過去問に取り組むことで、出題形式、問題の難易度、そして時間配分に慣れることができます。

特に、実際の臨床場面を想定した実地問題は、知識の応用力が問われるため、重点的な対策が欠かせません。
ただ問題を解いて答え合わせをするだけでなく、なぜその選択肢が正解で、他の選択肢がなぜ誤りなのかを一つひとつ徹底的に分析することが重要です。
このプロセスを通じて、断片的な知識が体系化され、真の実力が身につきます。

 

専門分野・共通分野別のおすすめ勉強法

効率的に学習を進めるには、分野ごとの特性に合わせた勉強法が求められます。
解剖学や生理学、運動学といった共通分野は、すべての専門分野の土台となるため、早い段階から図やイラストを活用して視覚的に理解を深め、完璧に固めておくことが重要です。

一方、運動療法や理学療法評価学などの専門分野は、臨床実習で経験した症例と関連付けて学習すると、知識が定着しやすくなります。
疾患の病態と具体的なアプローチをセットで覚えることで、応用力が養われます。
まずは得点源にしやすい共通分野を固め、そこから専門分野へと学習範囲を広げていく計画的なアプローチが有効です。

 

 

スキマ時間を有効活用できるアプリや参考書の選び方

 

通学中や休憩時間などのスキマ時間を活用することは、国家試験対策において非常に重要です。
一問一答形式のスマートフォンアプリや、要点がまとめられた学習サイトは、知識の反復学習や暗記に適しています。

参考書を選ぶ際は、自分の学習レベルに合っており、図や表が多くて視覚的に理解しやすいものを選ぶと良いでしょう。
また、予備校が作成した予想問題や、合格者の学習記録をまとめたnoteなども参考になります。当校ん本リハビリテーション専門学校では国試対策特別チームで良質な参考書を選択し、2026年からは新たに国試対策学習リコメンドシステム「KEISHIN.net」を導入いたします。
特に試験直前期には、新しい知識を詰め込むよりも、これらのツールを使って既習範囲の最終確認を行い、知識の精度を高めることが効果的です。

 

 

試験合格後の流れ|免許申請から理学療法士になるまで

国家試験の合格は理学療法士としてのキャリアの始まりに過ぎません。
合格後には、正式に理学療法士として働くための手続きが待っています。

このセクションでは、合格発表の確認方法から、免許を申請する際の具体的な手順、そして就職先に提出が必要な書類の準備まで、試験合格後から理学療法士としての一歩を踏み出すまでの流れを時系列で分かりやすく解説します。

 

合格発表の日程と確認方法

合格発表は、例年試験日から約1ヶ月後の3月下旬に行われます。
正式な発表日になると、厚生労働省のウェブサイトに合格者の受験地と受験番号が掲載されるため、オンラインで確認するのが一般的です。

合格者に対して個別に合格証書などの通知が郵送されるわけではないので注意が必要です。
ただし、成績および合否については、後日、受験者全員に書面で通知されます。
発表当日はサイトへのアクセスが集中して繋がりにくくなる可能性があるため、少し時間を置いてから確認することをおすすめします。

 

理学療法士免許の申請に必要な書類と手続き

国家試験合格後、理学療法士として業務を行うには免許申請の手続きが必須です。
この手続きには、いくつかの必要書類を揃えなければなりません。
具体的には、免許申請書、戸籍抄本または住民票の写し(発行後6ヶ月以内)、そして医師が発行した健康診断書が必要です。

また、登録免許税として9,000円分の収入印紙を購入し、申請書に貼付します。
養成校の卒業証明書の提出も求められる場合があります。
これらの提出書類一式を、住所地の保健所(一部地域では県庁)へ持参し、免許申請を行います。

 

 

就職先に提出する書類の準備

免許申請の手続きと並行して、内定している就職先への書類提出も進めましょう。
多くの医療機関や施設では、入職にあたり卒業証明書や成績証明書の提出が求められます。
また、理学療法士免許を取得した証明として、免許証のコピーの提出も必要です。

免許証は申請から手元に届くまで2〜3ヶ月かかる場合があります。それまでに勤務が始まる場合は、免許申請時に発行される「登録済証明書」を提出することで対応できます。登録済証明書は、オンライン申請を利用すると比較的早く取得できる場合があります(例えば、千葉市では申請時に希望すれば1〜2ヶ月ほどで郵送されるとされています)。
入職手続きを円滑に進めるため、履歴書の更新を含め、必要な書類を早めに準備し、提出期限を確認しておくことが大切です。

 

 

理学療法士国家試験に関するよくある質問

 

理学療法士国家試験を受験するにあたり、多くの人が共通の疑問や不安を抱えています。
例えば、社会人として働きながら合格を目指すことは可能なのか、万が一試験に不合格だった場合どうなるのか、また新卒と既卒では合格率にどの程度の差があるのかといった点です。

ここでは、そうしたよくある質問に対して、具体的かつ簡潔に回答していきます。

 

 

働きながら理学療法士国家試験の合格を目指せますか?

 

可能です。ただし、仕事と両立しながら学習時間を確保することが最大の課題となります。

通勤時間や休日などのスキマ時間を効率的に活用し、綿密な学習計画を立てることが不可欠です。独学での合格が難しい場合は、社会人向けの夜間部を設置している養成校や、サポートが充実した通信講座の利用も有効な選択肢となります。

 

 

もし国家試験に落ちたらどうなりますか?

 

国家試験に不合格となった場合、その年は理学療法士として働くことができず、翌年以降の試験に再挑戦することになります。

就職の内定を得ていた場合、内定取り消しとなる医療機関がある一方で、介護職として契約職員での雇用継続や、リハビリ助手としての採用を提案するケースも一部には存在します。諦めずに挑戦を続けることが大切です。

 

 

新卒と既卒で合格率に違いはありますか?

 

はい、合格率には顕著な差が見られます。
例年、新卒者の合格率が90%を超える高い水準であるのに対し、既卒者の合格率はそれを大幅に下回る傾向にあります。

これは、学習に専念できる環境を維持することの難しさや、モチベーションの維持が課題となるためです。
そのため、可能な限り現役での一発合格を目指すことが重要になります。

 

 

まとめ

 

本記事では、理学療法士国家試験の概要について、合格率や難易度、受験資格、出題内容などの観点から解説しました。
合格率は比較的高く推移していますが、それは養成校での3〜4年間にわたる体系的な学習と実習の積み重ねが前提となっています。

試験に合格するためには、まず試験の全体像を正確に把握し、厚生労働省が公開する過去問を中心に、計画的な対策を進めることが不可欠です。
また、試験合格後には免許申請という重要な手続きが控えています。
このまとめを参考に、試験に関する正しい情報を得て、理学療法士になるための着実な一歩を踏み出してください。

監修:日本リハビリテーション専門学校 鍋城武志(理学療法士)

 

理学療法士と整体の違いは?症状別にどっちへ行くべきか解説

理学療法士と整体の違いは?症状別にどっちへ行くべきか解説

監修:日本リハビリテーション専門学校 鍋城武志(理学療法士)

 

身体に不調を感じた際、「病院の理学療法士」と「街中の整体師」のどちらに相談すべきか迷うことがあるかもしれません。
理学療法士と整体師は、どちらも身体の専門家というイメージがありますが、その役割や資格には明確な違いがあります。
この記事では、資格、目的、料金体系などの観点から両者の違いを解説し、症状や目的に応じてどちらを選ぶべきかの判断基準を提案します。

一目でわかる!理学療法士と整体師の5つの違い比較

理学療法士と整体師の主な違いは、「資格」「目的」「場所」「保険適用」「対象者」の5つの観点から整理できます。
理学療法士は国家資格を持ち、医師の指示のもと病院などの医療機関で病気や怪我の治療・リハビリを目的とします。
そのため、医療保険が適用されます。

一方、整体師は民間資格または無資格であり、整体院などで慢性的な不調の緩和やリラクゼーションを目的とした施術を行います。
こちらは医療行為ではないため、費用は全額自己負担となるのが基本です。
このように、両者は似ているようで、その背景や役割は大きく異なります。

【国家資格 vs 民間資格】保有資格の決定的な違い

理学療法士と整体師を分ける最も根本的な違いは、保有している資格にあります。
理学療法士は、国が定めた養成課程を修了し、国家試験に合格した者のみが名乗れる国家資格です。

これに対し、整体師には国家資格が存在せず、民間団体が認定する資格を取得するか、あるいは無資格で施術を行っている場合もあります。
この資格の違いが、施術内容や信頼性に大きく影響します。

理学療法士は国が認めたリハビリテーションの専門家

理学療法士は「理学療法士及び作業療法士法」に基づく国家資格であり、医学的な知識と技術を持つリハビリテーションの専門職です。
大学や専門学校などの養成校で3年以上学び、解剖学、生理学、運動学といった専門知識を習得した上で国家試験に合格する必要があります。

主な役割は、病気や怪我、加齢などによって身体機能が低下した人々に対し、運動療法や物理療法を用いて、起き上がる、座る、歩くといった基本的な動作能力の回復を支援することです。
医師の指示のもとでリハビリを行うため、医療従事者の一員として位置づけられています。

整体師は民間資格であり知識や技術に幅がある

整体師には理学療法士のような国家資格はなく、誰でも名乗ることが可能です。
ただし、多くの整体師は民間団体が運営するスクールなどで手技を学び、独自の認定資格を取得して活動しています。

しかし、これらの資格は法的な裏付けがあるわけではなく、教育内容や基準も団体によって様々です。
そのため、施術者の知識レベルや技術力には大きな幅があるのが実情です。
信頼できる整体師を見つけるためには、どのような教育を受け、どれくらいの経験を積んでいるかなどを事前に確認することが求められます。

 

 

【治療 vs コンディショニング】施術目的と内容の違い

理学療法士と整体師では、目的と提供する内容が異なります。
理学療法士の目的は、医師の診断に基づいた医学的リハビリテーションであり、身体機能の回復という「治療」の一環を担います。

一方で整体師は、病気や怪我の治療ではなく、身体の歪みを整えたり、筋肉の緊張を緩和したりすることによる不調の改善やコンディショニングを主な目的としています。
この目的の違いが、具体的なアプローチの差となって現れます。

理学療法士の目的は医師の指示のもと行うリハビリテーション

理学療法士が行うリハビリテーションは、医師による診断と指示に基づいて計画されます。
その目的は、病気、事故による怪我、障害などによって損なわれた運動機能の回復や維持、悪化の予防です。

例えば、骨折後の関節可動域訓練、脳卒中後の歩行訓練、スポーツ選手の競技復帰に向けたリハビリなどが挙げられます。
運動療法を用いて筋力や柔軟性を改善したり、温熱や電気などの物理療法で痛みを軽減したりと、医学的根拠に基づいたアプローチで対象者の社会復帰を支援します。

整体師の目的は身体の不調緩和やリラクゼーション

整体師が行う施術の主な目的は、日常生活で生じる身体の不調を和らげることです。
骨盤の歪みや姿勢の乱れを整えたり、硬くなった筋肉をほぐしたりすることで、肩こり、腰痛、頭痛といった慢性的な症状の改善を目指します。

また、病気の治療ではなく、心身のリフレッシュや疲労回復を目的としたリラクゼーションとして利用されることも少なくありません。
手技を用いて身体のバランスを調整し、人間が本来持つ自然治癒力を高める手助けをすることが、整体の役割と言えます。

【病院・クリニック vs 整体院】施術を受けられる場所の違い

理学療法士と整体師では、主に活動する場所が異なります。
理学療法士は国家資格を持つ医療専門職であるため、そのほとんどが病院やクリニック、介護老人保健施設といった医療機関や介護保険関連施設に勤務しています。
医師の指示のもとリハビリテーションを提供するため、医療体制が整った環境が主な職場です。

一方、整体師は医療従事者ではないため、病院で働くことはありません。
主な活躍の場は、街中にある整体院やリラクゼーションサロン、カイロプラクティック院などになります。

【保険適用 vs 全額自費】料金体系と費用の違い

理学療法士によるリハビリテーションと整体の施術では、料金体系に大きな違いがあります。
病院やクリニックで受ける理学療法士のリハビリテーションは、医師の指示のもと行われる医療行為の一環とみなされるため、原則として健康保険や介護保険などの公的医療保険が適用されます。
そのため、利用者は費用の1〜3割を自己負担するだけで済みます。

対照的に、整体院での施術は医療行為ではないため、公的医療保険は適用されません。
料金は全額自己負担となり、費用は各整体院が独自に設定しています。

あなたの悩みはどっち?症状・目的別のおすすめを紹介

身体の不調を感じたとき、理学療法士と整体師のどちらを選ぶべきかは、その症状の原因や目的によって異なります。
骨折や手術後のように原因がはっきりしている医学的な問題は理学療法士、原因が特定しにくい慢性的な不調や身体のメンテナンスは整体師、というように大別できます。

ここでは、具体的な症状や目的別に、どちらの専門家を訪ねるのがより適しているかを解説します。

理学療法士のリハビリテーションがおすすめな人

理学療法士によるリハビリテーションは、医師の診断が伴う以下のようなケースで推奨されます。

まず、骨折、捻挫、脱臼、靭帯損傷といった怪我や、人工関節置換術などの手術後のリハビリテーションが必要な場合です。また、脳卒中やパーキンソン病など神経系の疾患による後遺症で身体機能に障害がある人、スポーツによる怪我からの競技復帰を目指す人も対象となります。腰椎椎間板ヘルニアや変形性膝関節症など、整形外科で診断名がついた症状の改善も理学療法の専門分野です。原因が明確な痛みや動作の困難さを抱えている場合は、まず医療機関を受診し、理学療法士のサポートを受けるのが適切です。

整体の利用がおすすめな人

整体の利用は、病気や怪我には至らないものの、日常生活で感じる慢性的な不調を抱えている人におすすめです。
具体的には、長時間のデスクワークによる慢性的な肩こりや腰痛、姿勢の悪さが気になる場合などが挙げられます。
また、原因ははっきりしないけれど何となく身体がだるい、疲れが取れないといった不定愁訴の緩和にも役立つことがあります。

病気の治療ではなく、日々の身体のメンテナンスやコンディション調整、心身のリフレッシュを目的とする場合に適しています。
ただし、急な激しい痛みやしびれがある場合は、まず医療機関を受診することが重要です。

安心感を求めるなら「理学療法士が在籍する整体院」という選択肢もある?

理学療法士による整体の3つのメリット

理学療法士が提供する整体には、主に3つのメリットがあります。
第一に、解剖学や運動学といった医学的知識に基づいた評価と理学療法が受けられる点です。
身体の構造を熟知しているため、痛みの根本原因を的確に見つけ出し、効果的なアプローチが期待できます。

第二に、安全性の高さです。
医療機関での経験から、マッサージやストレッチを行ってはいけない危険な状態(レッドフラッグ)を見極める能力に長けており、リスク管理を徹底した上で理学療法を行います。
第三に、身体の評価能力の高さです。
姿勢や動作を詳細に分析し、不調の根本的な原因を特定した上で、一人ひとりに合わせたセルフケアやトレーニングの指導まで行ってくれることが多いです。

失敗しない!理学療法士がいる整体院の選び方

理学療法士が在籍する整体院を選ぶ際は、いくつかの点を確認することが失敗を防ぐ鍵となります。
まず、ウェブサイトなどで施術を担当する理学療法士の経歴を確認しましょう。
特に、病院やクリニックでの勤務経験が豊富であるかは、臨床能力を判断する上での重要な指標です。

次に、初回のカウンセリングや身体の評価に十分な時間をかけてくれるかどうかも大切です。
流れ作業ではなく、利用者の悩みや身体の状態を丁寧に把握しようとする姿勢があるかを見極めます。
さらに、内容や料金体系が明確に提示されていることも信頼できる院の条件です。
口コミや評判も参考にしつつ、最終的には自身の身体の悩みに親身に対応してくれるかどうかで判断するのが良いでしょう。

【キャリア編】理学療法士と整体師の仕事内容や給料の違い

職業としての理学療法士と整体師は、仕事内容だけでなく収入やキャリアパスも大きく異なります。
理学療法士の平均年収は比較的に安定しており、病院や介護施設からの求人が多いため、就職や転職はしやすい傾向にあります。

一方、整体師の収入は働き方や技術力によって大きく変動します。
成功すれば高い年収を得ることも可能ですが、競争も激しく、安定した求人が常にあるわけではありません。
理学療法士がスキルアップや収入増を目指して、整体の技術を学び、開業権をもつ国家資格を取得した後、副業や独立開業を視野に入れるケースも見られます。

理学療法士と混同しやすい他の国家資格との違い

理学療法士は、身体のリハビリテーションに関わる専門職ですが、同様に身体にアプローチする国家資格は他にも存在します。
特に「柔道整復師」「あん摩マッサージ指圧師」「作業療法士」は、理学療法士と役割や働く場所が似ているため混同されがちです。

しかし、それぞれの専門分野や法律で認められている業務範囲は明確に異なります。
これらの資格との違いを理解することは、自分に合ったサービスを選択する上で役立ちます。

柔道整復師との違い

柔道整復師は、主に骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷といった急性の外傷(ケガ)に対して、手術をしない「非観血的療法」によって治療を行う専門家です。
整復、固定などの処置が主な業務であり、「ほねつぎ」や「接骨師」としても知られています。
主な職場は整骨院や接骨院で、理学療法士と異なり医師の指示なしに一部の施術を行えるほか、独立開業権が認められている点が大きな違いです。

理学療法士が病気や手術後を含む幅広いリハビリを担うのに対し、柔道整復師はケガの応急処置やその後の回復に特化しています。

あん摩マッサージ指圧師との違い

あん摩マッサージ指圧師は、「あん摩」「マッサージ」「指圧」という3つの手技を用いて、身体の変調を整える専門家です。
主な目的は、血行を改善し、筋肉の緊張(コリ)を和らげることです。

理学療法士が運動機能の回復を目指すのに対し、あん摩マッサージ指圧師はリラクゼーションや不定愁訴の改善に重点を置いています。
主な職場は治療院やリラクゼーションサロン、病院、介護施設など多岐にわたります。
理学療法士と異なり、医師の指示がなくても施術を行うことができ、独立して治療院を開業することも可能です。

作業療法士との違い

作業療法士は、理学療法士と最も近い領域で働くリハビリテーション専門職です。
両者の大きな違いは、アプローチする能力の側面にあります。

理学療法士が「歩く」「立つ」などの基本的な動作能力(運動機能)の回復を支援するのに対し、作業療法士は食事、着替え、入浴といった日常生活の応用的な動作や、仕事、趣味活動など、その人らしい生活を送るための能力の回復を支援します。
また、身体的な障害だけでなく、精神的な障害を持つ人も対象とする点が作業療法士の大きな特徴です。
リハビリテーションの現場では、理学療法士が食事、着替え等などのADL、IADLに関わることもありますし、作業療法士が歩くなどの基本動作に関わることもあります。働く場所(病院?急性期?回復期?クリニック?老健?)によって変化します。

 

 

理学療法士と整体に関するよくある質問

ここでは、理学療法士と整体について、よくある疑問点をQ&A形式で解説します。
理学療法士の独立開業に関する法的側面や、「理学療法士監修」という表現の受け止め方、健康保険の適用条件など、具体的な疑問について説明します。

これらの情報を知ることで、自分に合ったサービスを適切に選択できるようになります。

理学療法士は整体師のように開業できますか?

理学療法士が「理学療法」を看板に掲げて治療院を開業することは法律で認められていません。

ただし、整体師として整体院を開業することは可能です。

その場合、提供するサービスはあくまでも整体であり、保険適用外の全額自費サービスとなります。

整体院で「理学療法士監修」と書かれているのは信頼できますか?

「監修」は、理学療法士が治療内容の考案などに関わっていることを示しますが、直接施術を行うわけではないため注意が必要です。

信頼性の一つの指標にはなりますが、実際に施術する担当者の資格や経験を確認することがより重要になります。

健康保険を使って理学療法士の手技を受けるにはどうすればいいですか?

健康保険を利用するには、まず病院やクリニックを受診し、医師の診察を受ける必要があります。
その結果、治療の一環としてリハビリテーションが必要だと医師が判断した場合に、「処方」という形で理学療法士による処置が開始されます。

まとめ

理学療法士と整体師の最も大きな違いは、国家資格の有無にあります。
理学療法士は国家資格を持つ医療専門職であり、医師の指示のもと医療機関で保険適用のリハビリテーションを行います。

一方、整体師は民間資格または無資格で、整体院などで保険適用外のコンディショニングを提供します。
この違いから、目的、場所、料金体系が大きく異なります。
骨折や手術後など医学的対応が必要な場合は理学療法士、慢性的な肩こりや身体のメンテナンスが目的であれば整体師が適しています。
また、医学的知識に基づいた安全な施術を自費で受けたい場合は、理学療法士が在籍する整体院も有効な選択肢となります。
自身の症状や目的に合わせて適切に使い分けることが重要です。

 

 

監修:日本リハビリテーション専門学校 鍋城武志(理学療法士)

理学療法士とはどんな仕事?作業療法士との違いや魅力・やりがいを解説

 

理学療法士とはどんな仕事?作業療法士との違いや魅力・やりがいを解説

監修:日本リハビリテーション専門学校 吉葉則和(理学療法士)

 

理学療法士は、ケガや病気で身体に障害を持つ人々のリハビリテーションを支援する専門職です。
この職業に興味はあるものの、具体的にどんな職業なのか、作業療法士と何が違うのか、はっきりと分からない人もいるかもしれません。

この記事では、理学療法士の基本的な役割から具体的な仕事内容、活躍の場、そして仕事の魅力や資格取得までの道のりについて、わかりやすく解説します。

 

 

 

「理学療法士」とは?基本情報をわかりやすく解説

理学療法士は、身体機能の回復をサポートするリハビリテーションの専門家ですが、同じリハビリ専門職である作業療法士や、整体を行う柔道整復師など、混同されやすい職業も存在します。

ここでは、理学療法士がどのような役割を担う専門家なのかを明確にし、それぞれの職業との違いを具体的に解説することで、その独自性と専門性への理解を深めます。

 

理学療法士は「立つ・歩く」など基本動作を支える専門家

理学療法士とは、病気、ケガ、加齢などによって身体機能が低下した人々に対し、運動能力の回復を支援する国家資格を持つ専門家です。
「理学療法」とは、運動療法や物理療法といった手法を用いて、座る、立つ、歩くなどの基本的な動作能力の改善を目指す治療法を指します。

理学療法士は、身体の構造や機能に関する深い知識を基に、一人ひとりの状態に合わせてリハビリ計画を立て、自立した日常生活を送れるようにサポートします。
どのような仕事かというと、身体の動きの専門家として、人々が自分らしい生活を取り戻すための手助けをする、非常に重要な役割を担っています。

 

作業療法士との明確な違いはリハビリの目的

理学療法士と作業療法士は、どちらもリハビリテーションの専門職ですが、その目的とアプローチに明確な違いがあります。
理学療法士が「立つ」「歩く」といった基本的な動作能力の回復を目指すのに対し、作業療法士は食事、入浴、着替えといった日常生活の応用的な動作や、仕事、趣味活動など、その人らしい生活を送るための「作業」能力の回復を支援します。

例えば、脳卒中で右半身が麻痺した患者さんに対して、理学療法士は歩行訓練を行い、作業療法士は利き手交換の訓練や調理の練習を行うなど、それぞれの専門性を活かして連携しながらサポートします。

 

混同されやすい柔道整復師との役割の違い

理学療法士と柔道整復師は、身体の不調に関わる点で共通していますが、その役割と法的根拠が異なります。
理学療法士の仕事内容は、医師の指示のもとで病気やケガ後のリハビリテーションを行い、身体機能の回復や日常生活への復帰を目的とします。

一方、柔道整復師は、骨折、脱臼、打撲、捻挫といった急性のケガに対して、応急処置や非観血的療法(手術をしない治療)を行う専門家です。
柔道整復師は医師の指示がなくても施術が可能で、整骨院や接骨院を開業できます。
理学療法士が医療機関でのリハビリを主とするのに対し、柔道整復師はケガの初期対応を専門とする点が大きな違いです。

 

 

理学療法士の具体的な仕事内容

理学療法士の仕事は、単に運動を教えるだけではありません。
患者さん一人ひとりの状態を科学的根拠に基づいて評価し、最適なリハビリ計画を立案することから始まります。

運動療法や物理療法といった専門的な治療を通じて機能回復を図り、社会復帰までをサポートする多岐にわたる業務には、大きなやりがいと魅力が詰まっています。
ここでは、理学療法士が日常的に行う具体的な仕事内容を5つの側面に分けて解説します。

 

身体機能の評価とリハビリテーション計画の立案

理学療法士の仕事は、まず患者さんの状態を正確に把握することから始まります。
関節の動く範囲(関節可動域)や筋力、痛み、麻痺の程度、そして歩行や起き上がりといった日常動作の能力を、専門的な検査や測定を用いて詳細に評価します。

この評価結果に基づき、医師や他の医療専門職と連携しながら、患者さん一人ひとりの目標を設定し、その目標を達成するための個別具体的なリハビリテーション計画を立案します。
この計画は、治療の進行状況に応じて随時見直され、常に最適なリハビリが提供されるよう調整が加えられます。

 

運動療法|筋力や関節の動きを改善する基本的な治療

運動療法は理学療法の中心となる治療法であり、身体を動かすことで機能の回復や改善を図ります。
具体的な内容としては、関節の動きを広げるためのストレッチや可動域訓練、低下した筋力を取り戻すための筋力増強運動、バランス能力を高める訓練、そして歩行訓練などが含まれます。

これらの運動は患者さんの体力や症状に合わせて理学療法士がプログラムを調整し、マンツーマンで指導するのが一般的です。
運動を通じて身体機能を直接的に改善し、患者さんの「できること」を増やしていく、非常に重要なアプローチです。

 

物理療法|電気や温熱を利用して痛みを和らげる治療

物理療法は、電気、温熱、光線、水、超音波などの物理的なエネルギーを利用して治療を行う方法です。
この治療の主な目的は、痛みの緩和、血行の促進、筋肉の緊張をほぐすことなどにあり、運動療法の効果を高めるための補助的な手段として用いられることが多いです。

例えば、温熱パックで筋肉を温めてリラックスさせたり、低周波治療器で電気刺激を与えて痛みを和らげたりします。
物理療法を運動療法と組み合わせることで、より効果的にリハビリテーションを進めることが可能になり、患者さんの苦痛を軽減する上で重要な役割を果たします。

 

日常生活動作(ADL)の訓練と社会復帰に向けた支援

リハビリテーションの最終的な目標は、患者さんが再び自立した生活を送り、社会に復帰することです。
理学療法士は、寝返り、起き上がり、立ち上がり、トイレへの移動といった、日常生活を送る上で不可欠な基本動作(ADL:Activities of Daily Living)の訓練を行います。
実際の生活場面を想定し、より安全で効率的な動作方法を指導することで、退院後の生活への不安を軽減します。

また、必要に応じて職場復帰に向けた体力づくりや、通勤方法の検討など、社会復帰を視野に入れた包括的な支援も行い、患者さんの生活の質を高めることを目指します。

 

福祉用具の選定や住宅改修に関するアドバイス

患者さんが退院後も安全で快適な生活を送るためには、環境を整えることが重要です。
理学療法士は、身体機能の専門家として、その人の状態に合った杖、歩行器、車椅子などの福祉用具を選定する手助けをします。

また、自宅での生活をよりスムーズにするため、手すりの設置場所や段差の解消方法といった住宅改修に関するアドバイスも行います。
患者さん本人や家族、ケアマネジャー、建築士などと連携し、その人が持つ能力を最大限に活かせる生活環境を提案することも、理学療法士の大切な仕事の一つです。

 

 

理学療法士が活躍する主な職場

理学療法士の働く場所は、病院やクリニックといった医療機関だけにとどまりません。
高齢化の進展や健康志向の高まりを背景に、介護施設、スポーツ分野、さらには教育や行政の現場など、その活躍の場は年々多様化しています。

ここでは、理学療法士が専門性を発揮して活躍している主な職場を4つのカテゴリーに分けて紹介し、それぞれの場所でどのような役割を担っているのかを具体的に見ていきます。

 

病院やクリニックなどの医療機関

理学療法士の最も一般的な職場は、病院やクリニックなどの医療機関です。
手術直後の急性期病院では、合併症を予防し早期離床を促すためのリハビリを行います。

回復期リハビリテーション病院では、集中的なリハビリを通じて在宅復帰や社会復帰を目指す患者さんを支援します。
また、地域のクリニック(診療所)では、腰痛や肩こりといった慢性的な痛みを抱える外来患者さんや、スポーツによるケガをした人々への治療や予防指導を行います。
このように、同じ医療機関でも、その種類や役割によって理学療法士が関わる患者さんの状態や目的は大きく異なります。

 

介護老人保健施設やデイサービスなどの介護分野

高齢化が進む現代社会において、介護分野も理学療法士が活躍する重要な職場です。
介護老人保健施設(老健)では、在宅復帰を目指す高齢者に対して集中的なリハビリを提供します。

特別養護老人ホームやデイサービスでは、利用者の身体機能の維持・向上を目的とした機能訓練や、転倒予防のための運動指導を行います。
また、利用者の自宅を訪問してリハビリを行う訪問リハビリテーションも需要が高まっています。
医療機関とは異なり、生活の場に密着し、利用者がより長く自立した生活を送れるよう支援する役割を担います。

 

プロスポーツチームやフィットネスクラブ

理学療法士の専門知識は、スポーツの分野でも大いに活かされています。
プロスポーツチームに所属する理学療法士は、選手のコンディショニング管理、ケガの予防、パフォーマンス向上、そしてケガからの競技復帰をサポートするスポーツトレーナーとして活動します。

また、フィットネスクラブやスポーツジムでは、一般の人々を対象に、医学的な知識に基づいた安全で効果的なトレーニング方法を指導したり、身体の不調を抱える人への個別プログラムを作成したりします。
アスリートから健康増進を目指す一般の方まで、幅広い層の身体づくりを支える専門家として活躍しています。

 

特別支援学校や市区町村の保健センター

理学療法士の活躍の場は、教育や地域保健の分野にも広がっています。

特別支援学校では、身体に障害のある子どもたちに対し、日常生活での基本動作の指導や、学習活動に参加しやすくなるための身体機能の向上を支援します。
姿勢の保持や移動能力の改善を通じて、子どもたちの発達を促し、可能性を広げる手伝いをします。
一方、市区町村の保健センターや地域包括支援センターでは、地域住民を対象とした介護予防教室や健康相談会を開催するなど、病気や障害の予防、健康増進といった地域保健活動に貢献しています。

 

 

理学療法士という仕事の魅力とやりがい

理学療法士は専門的な知識と技術を駆使して人々の生活を直接支える非常にやりがいのある仕事です。
患者さんの身体機能が回復していく過程を間近で見守れる喜びや深い信頼関係から生まれる感謝の言葉は何物にも代えがたい魅力と言えます。

また活躍の場が広く多様なキャリアを築ける可能性もこの仕事の大きな特徴です。
ここでは理学療法士という仕事が持つ魅力とやりがいを3つの視点から掘り下げていきます。

 

患者さんの回復を間近で支え「ありがとう」と言われる喜び

理学療法士の最大のやりがいは、患者さんの回復していく姿を最も近くでサポートできることです。
昨日まで起き上がれなかった人が座れるようになったり、車椅子だった人が自分の足で歩けるようになったりと、日々のリハビリを通じて患者さんの「できた」という瞬間に立ち会えます。

その過程では、患者さんと二人三脚で困難を乗り越えるため、深い信頼関係が築かれます。
そして、目標を達成した時に患者さんやその家族から直接もらえる「ありがとう」という感謝の言葉は、この仕事をしていて良かったと心から感じられる瞬間であり、大きなモチベーションとなります。

 

専門知識を活かして多様なキャリアプランを描ける

理学療法士は、一度国家資格を取得すれば、生涯にわたって専門職として働き続けることが可能です。
臨床経験を積んだ後は、特定の分野の専門性を高める「認定理学療法士」や「専門理学療法士」の資格取得を目指す道もあります。

また、医療機関や介護施設での経験を活かして、スポーツトレーナーとして独立したり、福祉用具の開発に関わったり、大学や専門学校で後進の育成にあたる教育者になったりと、キャリアパスは多岐にわたります。
自身の興味やライフステージに合わせて多様なキャリアプランを描けることは、この仕事の大きな魅力です。

 

医療・介護・スポーツなど幅広い分野で社会に貢献できる

理学療法士は、人々が健康で質の高い生活を送るために不可欠な存在であり、社会貢献性の非常に高い仕事です。
超高齢社会を迎えた日本では、介護予防や健康寿命の延伸が重要な課題となっており、理学療法士の役割はますます大きくなっています。

医療現場での機能回復支援はもちろんのこと、介護施設での自立支援、スポーツ分野でのパフォーマンス向上、地域社会での健康増進など、幅広いフィールドで人々の生活を支えることができます。
専門知識を通じて多くの人々の役に立ち、社会に貢献しているという実感を得られる点も、この仕事の大きなやりがいです。

 

理学療法士になるための3ステップ

理学療法士として働くためには、国家資格の取得が必須です。
資格取得までの道のりは、専門的な知識と技術を学ぶための養成校への進学から始まり、卒業後に国家試験を受験し、合格するという流れが一般的です。

ここでは、高校生が理学療法士を目指す上で知っておくべき具体的なプロセスを、3つのステップに分けてわかりやすく解説します。
将来の進路を考える上で、ぜひ参考にしてください。

 

ステップ1:養成校(大学・短大・専門学校)で専門知識を学ぶ

理学療法士になるための最初のステップは、国が指定する養成校で専門教育を受けることです。
養成校には4年制大学、3年制の短期大学、3年制または4年制の専門学校があります。
これらの学校では、解剖学や生理学、運動学といった基礎医学の知識から、理学療法の評価方法や治療技術などの専門知識まで、幅広く学びます。

また、講義だけでなく、学内での実技演習や、実際の医療機関などで行われる臨床実習もカリキュラムに含まれており、実践的なスキルを身につけていきます。
学校選びは、その後のキャリアにも影響するため、慎重に検討することが重要です。

 

 

ステップ2:国家試験の受験資格を取得する

理学療法士国家試験を受験するためには、まず養成校で定められた全カリキュラムを修了し、卒業することが必要です。

養成校での学習期間は、法律で3年以上と定められています。この期間中には、一定時間以上の臨床実習が義務付けられており、学生は病院や介護施設などの現場で、指導者の監督のもと、実際の患者さんと接しながら理学療法を実践的に学びます。この臨床実習を含む全ての単位を取得し、卒業が認定される(または卒業見込みとなる)ことで、初めて国家試験の受験資格が与えられます。

 

ステップ3:理学療法士国家試験に合格する

養成校を卒業し、受験資格を得たら、最終ステップとして理学療法士国家試験に合格する必要があります。
この国家試験は、年に1回、通常は2月下旬に実施されます。
試験はマークシート形式の筆記試験で、養成校で学んだ基礎医学や臨床医学、理学療法の専門知識など、幅広い分野から出題されます。

合格率は例年80%〜90%程度で推移しており、養成校のカリキュラムを真面目にこなし、しっかりと試験対策を行えば、合格は十分に可能です。
この試験に合格し、厚生労働省に免許登録をすることで、晴れて理学療法士として働くことができます。

 

 

理学療法士に関するよくある質問

理学療法士という仕事に興味を持つと、給与や仕事の厳しさ、自分に向いているかどうかなど、具体的な疑問が湧いてくるものです。
進路を選択する上で、これらの現実的な側面を知ることは非常に重要です。

ここでは、理学療法士を目指す高校生や転職を考える方から特によく寄せられる3つの質問について、簡潔にわかりやすくお答えします。

 

理学療法士の平均年収はどれくらいですか?

理学療法士の平均年収は、厚生労働省の調査によると約430万円です。

これは日本の平均年収と同程度の水準になります。
ただし、勤務する施設の種類や規模、地域、経験年数、役職などによって収入は変動します。
専門性を高めて認定理学療法士の資格を取得したり、管理職になったりすることで、さらなる収入アップを目指すことも可能です。

 

仕事で大変なことや厳しさを感じる点はありますか?

患者さんの体を支えたり動かしたりすることが多いため、体力的な負担を感じることがあります。
また、リハビリが計画通りに進まず、患者さんの回復が思うようにいかない時には、精神的なプレッシャーや無力感を覚えることもあります。

常に新しい知識や技術を学び続ける必要があるなど、継続的な努力が求められる厳しい側面もあります。

 

どのような人が理学療法士に向いていますか?

人とコミュニケーションを取ることが好きで、相手の気持ちに寄り添える人が向いています。
また、患者さんの小さな変化を見逃さない観察力や、根気強くリハビリを続けられる粘り強さも重要です。

身体の仕組みや動きに興味があり、論理的に物事を考えられる探究心も求められます。
チームで働く場面が多いため、協調性も欠かせません。

まとめ

理学療法士は病気やケガによって身体機能が低下した人々に対し、座る、立つ、歩くといった基本的な動作能力の回復を支援する「動作の専門家」です。
その仕事は身体機能の評価からリハビリ計画の立案、運動療法や物理療法の実践、社会復帰の支援まで多岐にわたります。

活躍の場は医療機関だけでなく、介護、スポーツ、教育など幅広い分野に広がっており、社会貢献性が高く、大きなやりがいを感じられる職業です。
理学療法士になるには、指定の養成校で3年以上学び、国家試験に合格する必要があります。
この記事が、理学療法士という仕事への理解を深め、将来の進路を考える一助となれば幸いです。

監修:日本リハビリテーション専門学校 吉葉則和(理学療法士)