高齢社会と作業療法

皆さんこんにちは。作業療法学科教員の松生です。

 

 

 

少し前になりますが、2020年9月現在、我が国の65歳以上の高齢者の割合が総人口の28.7%と発表されました。さらに100歳以上の高齢者の人数は8万450人との発表もありました。

 

 

 

そのような高齢社会に伴い、社会問題の一つとして懸念されていることに認知症高齢者の増加があります。

 

 

 

平成29年度高齢者白書によると、2012年は認知症患者が約460万人、高齢者全体の15%でしたが、2025年には5人に一人、つまり高齢者人口の20%が認知症になるという推計もあります。

 

 

 

 

「認知症に対するリハビリテーション」というと、代表的には以下のようなリハビリがあげられます。

 

 

◆歌を歌ったり、楽器を演奏したりしながら行う「音楽療法

 

 

◆計算や音読などを利用し学習を行う「学習療法

 

 

◆過去の回想し、思い出を語り合う「回想法

 

 

◆土いじりや水やりなどを通して草花と触れ合う「園芸療法

 

 

◆ゲームやクイズなどを集団で行う「レクリエーション療法

 

 

◆歩いたり、体操をしたりなど体を動かす「運動療法

 

 

etc.

 

 

 

 

 

では、作業療法士が行う「作業療法」とは、いったい何をするのでしょう?

 

 

 

実は、上述しているすべての手法・特性を活用し、その人に合ったやり方で働きかけを行うことができる職種になります。

 

 

 

ある人には、音楽を利用し、ある人には回想法を用いる。またある人には、陶芸や編み物など作品作りを通しての作業活動を行うなど、その人らしさの実現に向けて、リハビリテーションを行う、そんな職業でもあります。

 

 

 

 

 

作業療法は「心」と「身体」の両側面でアプローチしていくと言われますが、とても奥深い職業で、これからの高齢社会では、さらに必要とされています。

 

 

 

作業療法という仕事は、まだまだ知名度も認知度も低いと感じますが、一方で今後さらに需要が高まる職業と考えられます。

 

 

 

 

イラスト:看護roo!

 

質の高いリハビリに欠かせない事

理学療法学科の高瀬です。

 

 

 

今回は、質の高いリハビリを実施する上で絶対に欠かせないものについて考えてみます。

 

 

皆さんは何が必要だと思いますか?

 

 

『知識』

 

 

『技術』

 

 

 

これらは専門家として当然必要ですよね。でもこれだけで質の高いリハビリは提供できません。

 

 

それ以外に必要なもので一つ例を挙げるとすると

 

 

『コミュニケーション力』

 

 

です。

 

 

 

現代はスマホ1つあれば、メールで世界中の誰とでもコミュニケーションが取れる時代です。

 

 

 

でも、メールによるコミュニケーションが、

 

『コミュニケーション』=『お互いの意思・感情を伝えあうこと』

 

 

という本来のコミュニケーションの目的を果たせるでしょうか・・

 

 

 

相手の表情やしぐさ、声のトーンや口調といった視覚情報や聴覚情報などあらゆる感覚から入力される情報を分析しなければ、相手の感情などわかりません。

 

 

 

本当の意味での『コミュニケーション』をとるには、メールではなく相手の目の前にして徹底的に相手と向き合わなければなりません。

 

 

 

理学療法士は徹底的に患者さんと向き合ってコミュニケーションをとらなければ、患者さんの感情や想いなんてわからないということになります。

 

 

 

そして、それが分からなければ、理学療法士と患者さんが同じ目標を持って、信頼関係のもとで質の高いリハビリを施行することなど不可能です。

 

 

 

患者さんの本当の想いが反映・考慮されていないリハビリなんて、質が高いとは言えないし、そもそもそんなリハビリはおかしいですよね?

 

 

 

教員である私も、学生と徹底的に向き合ってコミュニケーションをとることで、学生それぞれの考えや想いを知り、それを踏まえて学生が成長できるような指導と手助けを日々意識しています。

 

 

今回例に挙げた『コミュニケーション力』以外にも

 

 

『他者の気持ちを考える力』

 

 

『場の空気を読み取る力』など

 

 

一言で言えば、

 

 

『人間力』

 

 

が理学療法士には欠かせません。

 

 

 

『知識』『技術』の指導はもちろんのこと、

 

 

この『人間力』を身に着けて、

 

 

『理学療法士として』さらには『人として』学生の皆さんに成長してほしい・・

 

 

 

そんなこと願いながら学生指導を行う毎日です。

 

作業療法士、怪我をする

皆さんこんにちは。作業療法学科、統括学科長の深瀬です。

 

 

 

この度、右の足首をねん挫し、松葉杖での生活を余儀なくされました。

 

 

 

一生の不覚です…

 

 

 

学生さんにもご心配をかけているところです。「先生!大丈夫ですか?」など温かいお言葉をいただいております。

 

 

 

ただ、普段から「作業療法士たるもの、自己管理が重要である」等と言ってきた身としては、お恥ずかしい限りです…

 

 

 

今回、怪我をしてみて、足が痛いときの患者さんの気持ちが良くわかりました

 

 

 

◆ 右足が使えない事で、立ち上がれないし、歩けない。

 

 

◆ 立てない、歩けないことでトイレに行くのも億劫。

 

 

◆ 食事の準備もままならない。買い物にも行けないし…

 

 

◆ お風呂に入るのも大変、身だしなみなんか気にしている場合じゃない。

 

 

◆ 洗濯、掃除は後回し。

 

 

などなど、生活に不自由が出てきます。

 

 

 

作業療法士としては、障がいがあっても最大限使える機能や能力を生かして「その人なりの最大限の自立」を目標にして治療、指導を行いますが、今回はその難しさを知ることが出来たと思います。

 

 

 

足の痛みは、この冬休みで何とか完治させ、この経験をもとに、障がいを持つ方々が、何に困っているか?などを授業に生かしていこうと思っています。

 

 

 

転んでもタダでは起きない性格なので

 

 

 

この一年、皆さんにも新型コロナの影響で「友達と会食できない」「実家に帰省が出来ない」等、不自由が求められていると思います。

 

 

 

せっかくの年末年始ですが、我慢を強いられていると思います。この不自由な生活は、もう少し続きます。

 

 

 

でも、この経験は、私にも、皆さんにも「何かに気づき、成長をもたらす経験」になると思います。「冬来たりなば春遠からじ」です。

 

 

 

皆さんの努力によって、必ず実を結ぶ春が来るはずです。その日を待ちつつ、

 

 

 

くれぐれも、ご自愛ください。