現場にいるから伝えられる事

理学療法学科教員の塩澤と申します。

 

 

 

 

私は毎週土曜日に非常勤の理学療法士として急性期の公立病院で働いています。土曜日は当番の常勤の理学療法士または作業療法士の先生と私の2人体制となっています。

 

 

 

 

 

 

この病院で働くきっかけは、教員として働き始めて2年目の時に、少し仕事にも慣れてまた臨床でも働きたいとな、と思っていた時に、職場の回覧でこの病院の土曜非常勤理学療法士の募集がありました。

 

 

 

 

私は免許取得後、療養・回復期の病院で働いていたため、一度急性期の病院で働いてみたいと思っていました。急性期は学生時代の実習で経験したのみでした。

 

 

 

その募集には「急性期病院での経験者または急性期に興味のある方はぜひ」というようなことが書かれていました。「これだ!」と思い早速問い合わせしました。急性期の経験がないことと、50歳を超えていたのでどうかと思いましたが、幸いにもこの病院で働かせていただくことになりました。

 

 

 

土曜の非常勤としての役割は、金曜日に手術する患者さんも多く、土曜日のリハビリ体制の充実のようでした。現在は疾患や個別の状況によりますが、リスク管理を行った上で、患者さんの病態が安定していれば術後翌日から離床を推奨しています。

 

 

 

土曜日のリハビリを充実することで切れ目のないリハビリテーションアプローチが可能になります。

 

 

 

 

 

 

実際働いてみると、毎週勉強になることばかりです。集中治療室でのリハビリ、靭帯や腱の損傷、人工関節手術後、脳卒中、熱傷、心臓や呼吸などの内部障害など疾患は多岐にわたります。松葉杖の高さ調節や練習はここで初めて経験させていただきました。

 

 

 

朝出勤するとカルテから情報を集め、常勤の先生方が親切に書いてくださった申し送りにしたがって、リハビリを進めていきます。

 

 

 

集中治療室での早期離床など緊張する場面もありますが、看護師さんたちと力を合わせて離床を促し、患者さんの喜ぶお顔を見るとやはりやりがいといったものを感じます。

 

 

 

土曜日1日で10~12人の患者さんのリハビリに関わりますが、仕事が終わると疲れとともに何かすがすがしい気持ちを感じます。患者さんの笑顔やいただけるお言葉が理学療法士の原動力だと感じます。

 

 

 

この経験を学校で学生さんのみなさんにお伝えできるといいなと思っています。

 

理学療法士の手

理学療法学科教員の土手です。理学療法士は日々患者様と向き合い、患者様に理学療法(リハビリテーションの一部)を提供しています。

 

 

 

患者様を観察し(視覚情報)、言葉をよく聴き(聴覚情報)、理学療法のためによく触ります(触覚情報)。全て、患者様のよりよい生活のためですが、患者様の身体状況を理解するためには、優しく丁寧に触る「理学療法士の手」がとても重要になってきます。

 

 

 

 

 

 

患者様に対して理学療法をする中で、何度かお会いした方の身体状況は、例え一週間空いたとしても、触ると改善しているのかどうか、経験を積んでいくなかで理解できるようになります。

 

 

 

理学療法士は素晴らしい職業で、患者様に直接アプローチすることで、直接感謝されるやりがいのある仕事です。

 

 

 

ある患者様の理学療法を継続していく途中経過で、何度も何度も患者様を「理学療法士の手」で触ります。経験を積んでいくと、触っただけでも改善しているのが分かります。その瞬間もやりがいを感じる嬉しい瞬間のひとつとなります。

 

 

 

 

 

 

自分でできる理学療法は患者様自身にもしていただきますが、するべき自主的理学療法をしていただき、患者様自ら改善した結果を「理学療法士の」で感じられるのは大きい喜びとなります。

 

 

 

日リハは実技系の授業がとても多いので、臨床現場に出るまでに「理学療法士の手」が育っていきます。学生には自分の手が、「専門家の手」に成長していく過程も楽しんでいただきたいと思っています。

 

予防のためのリハビリテーション

理学療法学科の高瀬です。皆さんのリハビリのイメージはどのようなものでしょうか?

 

 

おそらく多くの方は、

 

・ケガをした人が回復できるようにお手伝いをする

 

・歩けなくなってしまった人を再び歩けるようにする

 

といった内容をイメージするのだと思います。

 

 

 

実際一度落ちてしまった機能を回復させることはリハビリの大きな役割です。ひとまずここでは、これらを『障害・病気に対するリハビリ』と呼ぶことにしましょう。

 

 

 

ただ、我々セラピストに求められる役割はそれだけではありません。

 

 

骨折してしまった方、動けなくなってしまった方の機能を回復させるためのリハビリ以外に、骨折しないためのリハビリ、動けなくなってしまわないようにするためのリハビリも存在します。

 

 

これらを『予防のためのリハビリ(予防リハ)』と呼ぶことにします。

 

 

 

具体的には・・

 

 

通常、患者さんは、転倒→骨折→リハビリの流れになるわけですが・・

 

 

【転倒】自体を予防する身体づくりのためのリハビリをして、骨折→リハビリの流れそのものをなくしてしまおう、というものです。

 

 

下の写真は、とある勉強会の参加者の運動体験の様子です。参加者は、病院で勤務する看護師さん、薬剤師さん、栄養士さん等です。

 

 

 

 

足腰を効率的に鍛えるための正しいスクワットを理学療法士(PT)である私が各職種の皆様に伝えて、各職種の皆様が病院で接する患者さんにそのスクワットを指導する。

 

 

こんな流れを期待した勉強会です。

 

 

薬局でただ薬を受け取るだけではなく、同時に効率的な正しい運動方法も教えてもらえたらよくないですか?

 

 

 

こうして地域の医師・看護師・薬剤師・栄養士・介護士・理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)などが協力して『予防リハ』に取り組むこともあるのです。

 

 

今回のこのお話から、リハビリのセラピストとして『人の役に立つ』方法は決して1つではなく、いろいろな角度から色々な方法で人の役に立てるのだということを分かっていただけたら嬉しいです。