忘れられない2つのエピソード

理学療法学科教員の佐藤です。私は今年の3月まで、病院に勤務し臨床業務に就いていました。新人の頃、というとかなり遠い記憶にはなりますが、それでも忘れられないエピソードについて2つ、今回はお話させていただきたいと思います。

 

 

 

1人目の患者様とのエピソードは、骨折し入院した方で、受傷前は運動経験がほぼ無く恐る恐るながらもひたむきにリハビリに取り組まれていました。

 

 

私自身経験が乏しかったため、当時の先輩方に色々とアドバイスをいただきながら必死に担当させていただきました。

 

 

退院の際、思いがけずその方からお手紙をいただきました。

 

 

両足で大地を踏みしめて歩けることの喜びを感じています、という内容の事柄が書かれていました。

 

 

この時に私は、患者様がご自身の目標を達成できることは、私自分が考えていたよりもずっと重みのあることなのだと気づきました

 

 

そして、もっと知識や技術を高め、患者様へ還元していかなければならないとより一層意識を高めるきっかけとなりました。

 

 

 

 

2人目の患者様とのエピソードは、進行性の疾患の方で、自分の無力さを日々感じながらも患者様に対し何かできることはないかと模索しながら担当させていただきました。

 

 

最終的には入院中にお亡くなりになり、その後ご家族がリハビリ室へご挨拶に来てくださりました。

 

 

感謝の意を伝えてくださるご家族に対し、何と答えたら良いのかわからず、ただひたすら頭を下げたような記憶があります。

 

 

その後上司に、「こんな時はどう答えたら良かったのでしょうか?」と聞きましたが、正解はないのかもしれませんが、どんな答えも適切ではないような気がしてしまい、複雑な心境でした。

 

 

ただ、限りある時間の中で患者様の思いを汲み取って寄り添う、という点において、もしかするともっとやれることがあったのではないか、違う関わり方があったのではないか、と、自身の未熟さや視野の狭さを見つめなおすきっかけとなりました。

 

 

 

 

 

 

この理学療法士、という仕事には、それぞれに異なる対象者の生活・人生に対して、無数のアプローチの仕方や関わりがあります。

 

 

それゆえに何年経験しても学ぶことがたくさんありますし、昨日は知らなかった事を今日は知っている、ということの積み重ねは楽しいと思いませんか??

 

 

喜びや苦労も様々経験していける、とても魅力のあるやりがいのある仕事だということをお伝えできたら良いなと思い、書かせていただきました。

スポーツへの関わり

こんにちは。理学療法学科教員の鍋城と申します。

 

 

自分には小学生の娘と息子がいます。二人とも幼稚園児の頃から町のサッカークラブに所属しています。もともとは友達作りで入れたクラブでしたが、二人とも楽しく、時にはふざけて過ぎて注意されながらも頑張っています。

 

 

 

 

 

自分も小さいころからスポーツが好きでサッカーをやっていました。怪我をしてリハビリを受けたのが理学療法士を目指すきっかけでした。

 

 

スポーツ分野での就職希望もありましたが、学生時代の臨床実習や病院アルバイトなどを行ううちに、整形外科・脳神経の疾患だけでなく、呼吸器、循環器のリハビリがあることを知り、急性期のリハビリに興味を持つようになりました。卒業後は急性期病院に勤め、主に集中治療室などのリハビリを担当していました。

 

 

もともと体を動かすのは好きなので、今は子どものチームでボランティアコーチを行っています。

 

 

熱中症対策や成長期の障害、今年は感染対策などと、医療の知識が役に立つことがあります。

 

 

コーチとして子どもに指導をするときには、教員の知識が役に立つことがあります。

 

 

自分が学んだことがどこで役に立つかはわかりませんね。

 

 

 

 

 

専門学校進学を検討したときと、卒業するときでは自分のやりたいことが変わることがあります。4年間も時間を掛けて知識を習得し、色々な経験をしますのでごく普通のことだと思います。

 

 

ただ、学びで得たことは生きる場所があるはずです。学生には学ぶことを楽しんで頂きたいと思います。

こころをリセットする

作業療法学科夜間部教員の山田です。今回は「occupy」についてお話しさせていただきたいと思います。

 

 

 

作業療法は「occupational therapy」の日本語訳です。「occupational」の動詞形である「occupy」の意味のひとつに「占める」という訳があります。そのヒトの人生や時間を「占める」といったように使われます。

 

 

 

僕の生活にはありがたいことに1人の時間があります。その時間を様々なことに費やしておりますが、趣味の1つとしてヨガを実践しております。

 

 

 

 

 

 

ヨガの歴史は古く、紀元前2500年前までさかのぼると言われています。さらにヨガ・スートラという経典によりヨガが体系化されたのが2~4世紀ごろです。

 

 

 

「出尽くした」といわれるくらい次々に新しいものが生み出されている現代でも
実践され続けているというところに、まず僕は強い関心を持ちました。

 

 

 

また、ヨガには筋トレやストレッチなどの運動要素の他に、心を落ち着かせたり、自身の内面を見つめ直したりといった精神心理的な要素、さらにはどのように生きるべきかといった人生哲学のようなものも含まれています。

 

 

 

「こころとからだのリハビリテーション」である作業療法士につながるものを感じたのです。

 

 

 

作業療法では、生活時間を複数の作業が「占める」ことによってヒトの生活が成り立っていると考えます。そして、作業は「セルフケア」「仕事」「遊び」と大きく分けられ、このバランスが崩れるとヒトはうまく生きられなくなります。

 

 

 

僕にとってのヨガは「遊び」に入り、こころをリセットする手段の一つとして生活に潤いを与えている「大切な作業」です。

 

 

 

僕自身の「occupy」の話でした。