動物・料理・アロマを活かした作業療法(リハビリテーション)で自分らしく働く

動物を介在した作業療法

動物介在療法・動物介在活動をご存知でしょうか?動物と触れ合いながら療法を行うことで、社会性の改善・ストレスの軽減・コミュニケーションの促進などの効果があるとされています。

主に精神分野にて注目を浴びていて、作業療法のプログラムに取り入れることも増えてきています。

例えば犬と触れ合い、ブラッシングをしたり食事を与えたりすることでコミュニケーションを取ります。作業療法のプログラムの中では比較的気軽に行えるため、患者さんの負担も少なく楽しく取り組めるようです。

介助犬のイメージの通り、犬が最もプログラムに取り入れられています。ですが、他にもキャットセラピーと呼ばれる猫を主役とした療法や、イルカや馬とふれあう療法もあります。

動物と関わることが好きな方、動物に関わる仕事や経験をお持ちの方は、ぜひそれを活かして作業療法に取り入れてみてください。

料理で広がる作業療法

包丁で細かい動きが必要な料理ですが、実は作業療法によく取り入れられています。食べることは人が生活するうえで重要な行為だからです。

東京ガスが作業療法士と協力して「障害のある人向けのレシピ本」も発売されています。「片手でクッキング」という本で、片麻痺者を対象にしたレシピ本となっているものの仕上がりは美しく一般人向けのレシピ本と同様の出来栄えが人気を呼んでいます。

片手で料理をする場合、例えばまな板にくぎをつけて食材を固定すると、片手で切ることができます。卵は片手で割るのは難しいですが、上からボウルに落として割り、あとで殻を取り除きます。

こういった工夫を作業療法士が考え、患者さんと一緒に試してみることで、患者さんが1人でも生活していけるよう支えることができます。なにより、自分で作ったできたての料理の味は格別ですよね。

料理が好きな方や主婦の方は、料理を使ったリハビリテーションを考えることで自分も楽しみながら働けるのではないでしょうか。

アロマセラピーを取り入れた作業療法

アロマというと、エステやサロンなどの美容業界のイメージがあるかもしれません。ですが、患者さんにとって癒し効果があり、作業療法にも取り入れられています。

日本リハビリテーション専門学校で実施された勉強会では、実際に病院で実践されているアロマセラピーを用いた作業療法について学ぶ機会がありました。

参加者は二人一組になり、精油を使用したアロマハンドトリートメントを体験する勉強会です。ペアの相手を患者さんと想定し、手を慈しみながらゆっくりとマッサージをすることで、「あなたを大切に扱っています」という気持ちを相手に伝えながら行うことがポイントだそうです。

実際に体験してみると優しくされているという気持ちが本当に伝わってきます。患者さんのセラピー効果だけでなく、作業療法士と患者さんの信頼関係を深める効果もあります。

作業療法士はこのように、人と人との関わりを深める魅力的な仕事です。「人を思いやる仕事をしたい!」という気持ちを再確認させてくれるプログラムとして、アロマセラピーは作業療法士にとっても学びのある療法でしょう。

このように、作業療法士のリハビリテーションの方法は様々あり、それぞれが得意なこと・好きなことを取り入れながら進化しています。

これから作業療法士を目指す皆さんは、型にとらわれることなく、新しい作業療法の形を見つけていってください!

作業療法士の平均給料は月●●万円!待遇や福利厚生の状況は?

作業療法士の給料は平均月●●万円

作業療法士の給料は、平均で月28万円前後となっています。(日本全国全体・2017年)年収は約400万円です。

注目すべきは平均年齢が33.3歳と若いところです。

作業療法士は比較的若い職業です。国家資格として認められたのは1966年ですが、もちろんすぐに多くの人が資格を持てたわけではありません。作業療法学の博士課程が設置されたのは1998年と遅いです。そのため、平均年齢が若くなっています。

平均年齢が若いということは、キャリアが浅い人でも昇進の可能性が高いことや、勤続年数を重ねることによっても給料アップが見込めるということがわかります。

また、男女の給料差が少ないため、性別に関係なく活躍することができるのも作業療法士の魅力のひとつでしょう。作業療法士は、出産や育児で一時的に現場を離れても戻ってきやすく、女性でもチーフや所長になりやすい仕事と言われています。

作業療法士の待遇は良い!福利厚生が手厚い

作業療法士の待遇は、他の医療系職種・福祉系職種に比べて比較的良いと言えるでしょう。

まず残業があまりない仕事というのがひとつあります。対象となる患者さんがいる仕事なので、夜遅くまでリハビリが長引くというようなことがないのは想像に難しくないと思います。事務仕事や雑務などもありますが、基本的には職場の就業時間内できっちりと区切られているケースが多いです。

また、看護師や介護士などには夜勤がありますが、作業療法士は夜勤がない仕事です。リハビリは施設が空いている朝~夕方の時間帯に行われるためです。
残業が少なく夜勤がないため、プライベートと仕事の両立がしやすく、日々の生活リズムを整えられるため人気の理由となっています。

そして、福利厚生が手厚いことが多いようです。女性が多く活躍していることもあり、休暇が取りやすくサポートも手厚いです。保育所の設置も最近は多くみられるようになりました。

もちろん働く職場によりますし、民間施設か公立施設かなども関わってきますので、職場選びの際には一つ一つの待遇をしっかりと見ていく必要があります。

また、先ほど残業がないことを待遇の良さの一つとしてあげましたが、作業療法士と比較すると、夜勤を行う看護師の方が給料は高くなります。

作業療法士として給料アップを目指す場合には、自ら勉強会やセミナーに赴いたり、他資格を取る時間にあてるなどして自分でできる事を増やしていきましょう。例えば介護福祉士の資格を併用したい場合、職場によっては相談すると職務の一環として資格取得を後押ししてくれるところもあります。

施設によって変わる給料・年収

働く場所によって給料は変わってきます。作業療法士が働く場所として多い3か所について、年収を例にとって挙げてみましょう。

1:病院やクリニック

病院やクリニックをはじめとする医療施設は、平均年収は350万円~450万円のようです。病院は規模が大きいところの方が年収が上がる傾向にあります。また、チーフや所長などに昇進することによって大きく給料を跳ね上げることが可能です。

2:老人ホームや介護ステーション

老人ホームや介護ステーションなどの介護施設は、平均年収は少し高い傾向にあり500万円前後が相場のようです。介護業界は国も後押ししていますし、求人を毎年増やしているのでその分給料も上がっています。ですが、その分体力面で負担が大きかったり、作業療法士としての仕事だけでなく介護分野に重点を置かなければならなくなったりするケースも考えられます。

3:障害者福祉施設や児童福祉施設

障害者福祉施設や児童福祉施設などの福祉施設は、平均年収250万円~400万円と、少し低い傾向にあります。需要が増している分野ではありますが総数としては医療施設や介護施設の方が圧倒的に需要が大きく、利益が上げにくい施設であるのが原因と考えられます。
一方では、介護施設とは逆に、給料は低くても自分のやりたい作業療法をじっくりと余裕を持ってできる職場であるケースが多いようです。やりがいを求める方にはメリットの多い職場と言えます。

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ニーズが高まる在宅医療と作業療法士の役割とは

なぜ必要?在宅医療のこれから

在宅医療は言葉の通り、患者さんの自宅で医療行為を行うことを指します。なぜニーズが高いのかというと、「病気であっても出来るだけ住み慣れた街にいたい。自宅で家族と一緒に普通に生活したい」と思っている患者さんが多いためです。

また、高齢化社会を背景に、国の医療費は伸び続けています。その要因の一つに長期間入院というものがあります。これを抑えるためにも、入院を切り上げて自宅での医療に変更するのが好ましいとされています。実際には、平成23年度末に介護療養型医療施設の廃止が決定され、社会的入院(治療が目的で病院に留まるのではなく、治療の必要がなく長期入院を続けている状態)を減らす動きが強まっています。これによってさらに在宅医療の必要性が上がりました。

ですが、在宅医療自体も今はまだ未完成な状態です。地域の医療従事者が全員、在宅医療へのノウハウを持っているわけではありません。その一律化と底上げが今後の在宅医療の課題でしょう。

在宅医療における作業療法士の役割

では、そんな在宅医療における作業療法士の役割についてみていきましょう。作業療法士をはじめとする理学療法士や言語聴覚士といったリハビリテーションの専門職は、在宅ケアという新たな舞台で必要とされつつあります。

そもそも、リハビリテーション医学は「生活(活動)を支える医学」であるため、自宅で普通の生活を送りたい患者さんのニーズにマッチしている仕事といえるでしょう。作業療法士が目指すものは単なる機能回復訓練ではなく、日常生活の活動を高め、家庭や社会への参加を促すことです。

在宅医療は通常の病院と違い、患者さんの生活環境の調整にはじまり、地域の中に生きがいや役割をもって生活ができるような居場所と出番づくり等、患者さんを取り巻く環境へのアプロ ーチが重要です。作業療法士には、かかりつけ医を中心とした疾患管理や再発予防、併存疾患管理 ・生活機能の評価(維持、向上、低下) ・必要に応じたリハビリテーションの実施 ・急性増悪時の対応が求められています。

その他、在宅医療の現場では、介護福祉士や医師などさまざまな専門職が関わっています。フレイルやサルコペニアから患者を守るため管理栄養士が必要になったり、口から食べる機能を保つために歯科医と関わることもあるでしょう。作業療法士としての役割だけでなく、「在宅医療」という分野に全員で取り組んでいく姿勢が必要です。

在宅医療のやりがいとは

在宅医療は、「患者さんと深く関われる」という点でやりがいを感じる職場です。一般的な病院勤務だった作業療法士が、在宅医療ができる施設へと転職するケースも多くあります。

作業療法士の目指す「生活を支える医学」という観点からいくと、患者さんの生活環境や家庭の事情へ立ち入ることができる在宅医療は魅力的でしょう。患者さんやそのご家族との距離も自然と近くなり、長い時間をかけて信頼関係を築いていくことになります。

「患者さんや家族に心から感謝してもらえている実感がある」と、在宅医療に従事する多くの作業療法士が語っています。これから作業療法士を目指す方は、ぜひ在宅医療のできる施設への就職も視野に入れてみてください。