作業療法士になるには?大学と専門学校の違い・必要な資格を解説

作業療法士になるには?大学と専門学校の違い・必要な資格を解説

監修:日本リハビリテーション専門学校 松生容一(作業療法士)

 

作業療法士になるためには、心身のリハビリテーションに関する専門知識と技術を学び、国家資格を取得する必要があります。
作業療法士になるための第一歩は、文部科学省または厚生労働省が指定する大学、短期大学、専門学校といった養成校で3年以上学ぶことです。

この記事では、資格取得までの具体的なルート、大学と専門学校の違い、仕事内容、そして国家試験の難易度まで、作業療法士を目指す上で知っておくべき情報を詳しく解説します。

 

作業療法士になるには国家資格が必須!3年以上の学習が必要

作業療法士として活動するためには、「作業療法士」という国家資格の取得が法律で義務付けられています。
この国家試験の受験資格を得るためには、国が指定した大学や専門学校などの養成校で、最低3年以上にわたり専門的な知識と技術を学ぶ必要があります。

独学のみで資格を取得することはできず、規定の教育課程を修了することが必須条件です。

作業療法士の国家試験受験資格を得るための3つのルート

作業療法士になるためには、国家試験の受験資格が得られる養成校を卒業しなければなりません。
そのための進学ルートは、主に「4年制大学」「3年制短期大学」「3年制または4年制の専門学校」の3つに大別されます。

それぞれのルートで学習内容の特色や卒業までにかかる期間、取得できる学位や称号が異なります。
自分の将来のキャリアプランや学びたいことに合わせて、最適な養成校を選択することが重要です。

 

 

4年制大学で専門知識を学ぶ

4年制大学では、作業療法の専門的な知識や技術はもちろん、心理学や社会学といった関連分野や幅広い一般教養を体系的に学べます。

研究に力を入れている大学も多く、臨床実習に加えて卒業研究などを通じて、科学的根拠に基づいた思考力や問題解決能力を養えるのが特徴です。
卒業時には「学士」の学位が授与されるため、大学院に進学して研究を続けたり、将来的に教育者や研究者を目指したりするなど、幅広いキャリアパスを描くことが可能です。

 

3年制または4年制の専門学校で実践スキルを学ぶ

専門学校では、作業療法士として臨床現場で即戦力となるための実践的なスキルを習得することに特化しています。大学に比べて実習や演習の授業時間が多く確保されており、現場で求められる具体的な技術を重点的にトレーニングできる環境が整っています。

専門学校には3年制と4年制の課程があり、特に4年制課程を選択するメリットは多岐にわたります。例えば、4年制を卒業すると「高度専門士」の称号が付与され、これは大学の「学士」と同等の扱いとなり、大学院への進学資格が得られる点が挙げられます。これにより、将来的に専門性をさらに深めたい、研究者や教育者を目指したいと考える人にとって、キャリアの選択肢が広がります。
4年制は3年制に比べて学習期間が1年長いため、より多くの時間を実習や演習、国家試験対策に充てることができ、じっくりと専門知識と技術を習得したい人や、着実に国家資格取得を目指したい人に向いています。多くの専門学校では就職サポートが手厚く、明確な目標を持って現場での活躍を目指す人に適しています。

 

【徹底比較】大学と専門学校のどちらを選べばいい?

作業療法士を目指す上で、大学と専門学校のどちらを選ぶかは、将来のキャリアを左右する重要な決断です。
大学は幅広い学問を学び研究職への道も開ける一方、専門学校は実践的なスキルを短期間で習得することに長けています。

それぞれの教育機関が持つメリットや特徴は異なり、学費や学習期間にも違いがあります。
自身の目標や価値観、ライフプランと照らし合わせながら、最適な進路を見極めることが大切です。

 

 

大学のメリット:研究職や幅広いキャリアを目指せる

大学で学ぶ最大のメリットは、作業療法の専門知識に加え、幅広い教養と関連学問を深く探究できる点です。
研究活動を通じて論理的思考力や探究心を養う機会が豊富にあり、卒業後も大学院へ進学して研究者や教育者を目指す道が拓けます。

また、総合大学であれば他学部の学生との交流を通じて視野を広げることもできます。
卒業時に得られる「学士」の学位は社会的に広く認知されており、医療機関だけでなく、行政機関や一般企業への就職など、多様なキャリアを考える上で有利に働くことがあります。

 

専門学校のメリット:実践的なスキルを早く習得できる

専門学校の大きなメリットは、作業療法士として臨床現場で即戦力となるための実践的な技術を、集中的かつ効率的に学べることです。
カリキュラムは実技や実習に重点が置かれており、臨床現場を模した設備が整っている学校も少なくありません。

業界との強いつながりを活かした、手厚い就職サポートも魅力の一つです。
いち早く資格を取得し、専門職として現場で活躍したいという明確な目標を持つ人にとって、専門学校は最適な学習環境を提供します。さらに4年制の専門学校なら、卒業時に大卒(学士)と同等の称号「高度専門士」を得ることができます。

 

学費や学習期間の違いもチェックしよう

進路を決定する際には、学費と学習期間の比較が不可欠です。
一般的に、3年制の短期大学や専門学校は、4年制大学に比べて卒業までにかかる総学費を抑えることが可能です。
また、国公立か私立かによっても学費は大きく異なります。

学習期間については、3年制は1年早く臨床現場でのキャリアをスタートできるという利点がある一方、4年制は学問を深く探究するための時間を十分に確保できます。
奨学金制度の有無や利用条件も事前に確認し、自身の経済状況やライフプランに合った学校を選択しましょう。

 

【社会人向け】働きながら作業療法士を目指す方法

キャリアチェンジとして、社会人経験を経て作業療法士を目指すケースも増えています。養成校の中には、夜間部を設けている専門学校もあり、日中働きながら学ぶという選択肢も存在します。

作業療法士の資格取得には昼間に行われる長期間の臨床実習が必須ですが、夜間部を設ける専門学校では、社会人が働きながら通学することを想定しており、仕事との両立を支援する体制が整えられています。実習期間中も仕事内容や時間を調整するなど、工夫することで資格取得は可能であるとされています。社会人入試制度や、教育訓練給付金制度の対象となる講座を設けている学校もあるため、情報収集を行い、自身の状況に合った学び方を見つけることが重要です。

 

 

作業療法士の国家試験の難易度と合格率は?

作業療法士になるための最終関門が、年に一度実施される国家試験です。
養成校での3年以上にわたる学習の成果が問われるため、試験の難易度は決して低くありません。

しかし、養成校のカリキュラムを真面目にこなし、卒業に向けてしっかりと試験対策を行えば、合格は十分に可能なレベルです。
ここでは、国家試験の具体的な内容と、近年の合格率のデータからその難易度について見ていきましょう。

 

国家試験の概要と試験内容

作業療法士の国家試験は、毎年1回、2月下旬に筆記試験が実施されます。
試験はマークシート形式で、午前と午後に分かれて行われます。

出題内容は、解剖学や生理学、運動学など理学療法士と共通の「共通問題」と、作業療法評価学や作業治療学といった「専門問題」で構成されており、幅広い知識が問われます。
この試験に合格し、厚生労働省の有資格者名簿に登録されることで、初めて作業療法士の免許が交付され、専門職として働くことが可能になります。

 

近年の合格率の推移

作業療法士国家試験の全国平均合格率は、毎年80%前後を維持しています。例えば、第59回(2024年実施)の試験では84.1%でした。この数字は、国が指定した養成校で3年以上の専門教育を受け、卒業が認められた学生たちが受験した結果です。

したがって、合格率の高さは試験の易しさを示すものではなく、養成校での体系的な教育と個人の努力が合格に結びついていることを意味します。学校によっては合格率を公表しているため、進学先を選ぶ際の指標の一つとしても参考にできます。

 

 

作業療法士の仕事内容とは?理学療法士との違いも解説

作業療法士は、病気やけが、あるいは生まれつきの障害によって日常生活に支障をきたしている人々に対し、その人らしい生活を取り戻すための支援を行うリハビリテーションの専門家です。
しばしば理学療法士と比較されますが、その役割やアプローチには明確な違いがあります。

作業療法士独自の専門性を理解することは、この職業の魅力を知る上で非常に重要です。
ここでは、具体的な仕事内容や、理学療法士との違いについて解説します。

 

作業療法士の主な仕事内容と活躍の場

作業療法士の仕事は、食事や着替え、入浴といった基本的な日常生活動作(ADL)から、仕事や学業、趣味活動といった応用的な動作まで、人が生きていく上で行う全ての「作業」に焦点を当ててリハビリテーションを行います。

手工芸やレクリエーション、園芸といった活動を治療手段として用いることも大きな特徴です。
活躍の場は病院やクリニックだけでなく、介護老人保健施設、発達支援センター、特別支援学校、精神科、就労支援施設など多岐にわたります。
対象者の人生に深く関わり、その人らしい生活の再建を支えることができる、非常に役に立つ仕事であり、大きな魅力を持っています。

 

理学療法士や言語聴覚士との役割の違い

リハビリテーション専門職には、作業療法士のほかに理学療法士や言語聴覚士がいます。
理学療法士が「立つ・歩く」といった基本的な動作能力(運動機能)の回復を目指すのに対し、作業療法士はその回復した機能を使って、食事や料理、仕事といったより応用的で目的のある活動が行えるように支援します。

また、言語聴覚士は「話す・聞く・食べる」といったコミュニケーションや嚥下の問題に対応します。
これら専門職は、医師の指示のもと、それぞれの専門性を活かして情報を共有し、チーム一丸となって患者の回復をサポートします。

 

作業療法士の給料や将来性について

作業療法士の給与水準は、勤務する施設の種類や規模、経験年数、地域によって変動しますが、国家資格を要する専門職として安定した収入を得ることが期待できます。
高齢化の進行や地域包括ケアシステムの推進に伴い、医療・介護・福祉の現場におけるリハビリテーションの需要は年々高まっています。

そのため、作業療法士の活躍の場は今後さらに広がり、将来性は非常に高いと言えます。
また、経験を積んだ後、認定作業療法士や専門作業療法士といった資格を取得し、特定の分野のスペシャリストとしてキャリアアップを図ることも可能です。

 

 

作業療法士になるにはに関するよくある質問

作業療法士という職業に興味を持った方が、進路を具体的に考える段階で抱きやすい疑問は少なくありません。
文系出身でも目指せるのか、社会人からのキャリアチェンジは可能なのか、どのような人がこの仕事に向いているのかなど、さまざまな不安や疑問が浮かぶことでしょう。

ここでは、そうしたよくある質問に対して、一つひとつ具体的にお答えしていきます。
進路選択の最後のひと押しとして、ぜひ参考にしてください。

 

文系でも作業療法士になれますか?

結論として、文系出身者でも作業療法士を目指すことは十分に可能です。
養成校の入試科目は学校ごとに異なり、国語や英語といった文系科目で受験できる場合も多くあります。

入学後は、生物や物理といった理系分野の基礎から学ぶことができるカリキュラムが組まれているため、高校での文理選択で不利になることはありません。
大切なのは、入学後に学ぶことへの意欲です。

 

社会人から作業療法士を目指すのは難しいですか?

社会人から作業療法士になるためには、学業に専念する期間が必要なため簡単ではありませんが、十分に可能です。
養成校の中には社会人入試制度を設けている学校も多く、多様な経歴を持つ学生が学んでいます。

一度社会に出た経験で培われたコミュニケーション能力や問題解決能力は、患者さんと向き合う上で大きな強みとなります。
強い意志があれば、道は開けます。

 

作業療法士に向いている人の特徴は?

作業療法士には、人の生活や心に寄り添い、根気強く支援できる人が向いていると言えます。
相手の状態や生活環境を注意深く観察する力、そしてその人に応じたリハビリ計画を柔軟に考える創造力が求められます。

リハビリはすぐに結果が出ないことも多いため、相手の小さな変化に喜びを見出し、辛抱強くサポートし続ける姿勢が大切です。

 

まとめ

作業療法士になるには、まず国が指定する養成校で3年以上の専門教育を受け、卒業することがスタートラインです。
養成校には4年制大学、3年制短期大学、3年制または4年制の専門学校といった複数の選択肢があり、それぞれ学習内容やキャリアパスが異なります。

養成校では、1年目、2年と学年を重ねるごとに基礎から専門へと知識を深め、臨床実習などを通じて実践力を養います。
最終的に国家試験に合格するまでの道のりは平坦ではありませんが、計画的に準備を進めることで、将来性豊かな専門職への道が開けます。

 

 

監修:日本リハビリテーション専門学校 松生容一(作業療法士)

作業療法士の役割とは?仕事内容や理学療法士との違いをわかりやすく解説

作業療法士の役割とは?仕事内容や理学療法士との違いをわかりやすく解説

監修:日本リハビリテーション専門学校 田中克一(作業療法士)

 

作業療法士の役割とは、病気やけが、あるいは生まれつきの障害によって日常生活に支障をきたしている人々に対し、心と体の両面からリハビリテーションを行い、その人らしい生活の再建を支援することです。
本記事では、作業療法士の具体的な仕事内容や、しばしば比較される理学療法士との違い、活躍の場について詳しく解説します。

作業療法士とは何か、その専門性や目的を理解するための一助となれば幸いです。

 

作業療法士(OT)が担う中心的な役割とは?

作業療法士(OT)の役割は、対象者が主体的な生活を送れるように、食事や入浴といった日常生活の動作から、仕事、趣味活動に至るまで、あらゆる「作業」を通じて心身機能の回復を支援することです。

その目的は、単に身体機能を回復させるだけでなく、対象者が社会的役割を取り戻し、生きがいを感じられる生活を再構築できるよう、個々の価値観や目標に寄り添いながらサポートすることにあります。

 

心と体の両面から「その人らしい生活」の実現を支援する

作業療法士は、身体機能の回復訓練だけでなく、精神的な安定や意欲の向上も重視します。
対象者にとって意味のある「作業」、例えば料理や園芸、手芸といった活動をリハビリに取り入れることで、楽しみながら自然と心身の機能を高める機会を与えます。

これにより、対象者は自信を取り戻し、再び社会と関わる意欲を持つことができます。
このように、作業療法士は身体的なアプローチと心理的なアプローチを組み合わせ、対象者一人ひとりが望む「その人らしい生活」をオーダーメイドで作り上げていく役割を担っています。

 

リハビリを通して食事や入浴など日常生活の動作回復を目指す

作業療法士が行うリハビリテーションの中核には、食事、着替え、入浴、トイレといった日常生活に不可欠な動作(ADL)の回復があります。
このリハビリでは、単に筋力や関節の動きを改善するだけでなく、実際の生活場面でどのように体を使えば動作が楽になるか、あるいは自助具や福祉用具をどう活用するかといった具体的な方法を指導します。

対象者が安全かつ自立して日々の生活を送れるようになることを目指し、一人ひとりの状態や生活環境に合わせた実践的な訓練計画を立てて実行していきます。

 

社会参加を促進するための精神的なサポート

病気や障害は、身体的な機能低下だけでなく、自信の喪失や社会からの孤立感といった精神的な苦痛をもたらすことがあります。
作業療法士は、対象者が抱える不安や葛藤に耳を傾け、精神的な支えとなることも重要な役割です。

趣味活動やグループでの作業などを通じて、他者と交流する機会を設け、成功体験を積み重ねることで自己肯定感を高めます。
このようにして、対象者が再び地域社会や家庭で自分の役割を見つけ、主体的に参加していくための精神的な基盤を整える支援を行います。

 

 

【比較】作業療法士(OT)と理学療法士(PT)の役割の違いを解説

作業療法士と理学療法士は、ともに対象者の機能回復を支援するリハビリテーションの専門職ですが、その役割には明確な違いがあります。
理学療法士が「立つ」「歩く」といった基本的な動作能力の回復に焦点を当てるのに対し、作業療法士は食事や料理、仕事といった、より応用的で生活に密着した動作能力の改善と社会復帰を目指します。

両者はそれぞれの専門性を活かし、連携しながら対象者をサポートします。

 

作業療法士(OT):応用的な動作や社会復帰を支援する

作業療法士の役割は、基本的動作が可能になった後の、より複雑で応用的な生活動作の再建を支援することです。
例えば、食事の際に箸を使う、服を着替える、料理をするといった具体的な生活行為の訓練を行います。

さらに、復職を目指す人に対しては、パソコン作業や軽作業などの職業関連動作の訓練を行う就労支援も担います。
また、精神的なケアを通じて社会参加への意欲を引き出し、趣味活動の再開など、生活の質(QOL)全体の向上を目指す点も大きな特徴です。

 

理学療法士(PT):立つ・歩くといった基本的な動作の回復を支援する

理学療法士の役割は、病気やけがによって損なわれた基本的な身体機能の回復を支援することにあります。
具体的には、関節を動かす、筋力をつけるといった運動療法や、電気刺激や温熱などを利用した物理療法を用いて、寝返る、起き上がる、座る、立つ、歩くといった動作の改善を図ります。

これらの基本動作は、日常生活を送る上での土台となるため、理学療法士はリハビリテーションの初期段階で中心的な役割を担うことが多いです。
対象者が安全に移動できる能力を獲得することが主な目的となります。

 

 

【対象分野別】作業療法士が果たす4つの役割

作業療法士の専門性は、対象者の状態や年齢に応じて4つの主要な分野で発揮されます。
具体的には、脳卒中後のリハビリなどを行う「身体障害分野」、心の病を抱える人を支援する「精神障害分野」、子供の成長をサポートする「発達障害分野」、そして高齢者の生活を支える「老年期障害分野」です。

これらの4つの領域において、作業療法士はそれぞれの特性に応じたアプローチで、対象者の生活再建を支援しています。

 

1. 身体障害分野:日常生活動作の再獲得とリハビリ

身体障害分野では、脳卒中、骨折、神経難病などにより身体機能に障害がある人々を対象とします。
作業療法士は、食事や着替え、入浴といった日常生活動作(ADL)を再び行えるように、筋力や関節可動域の改善、巧緻性(手先の器用さ)の向上を目指すリハビリを行います。

また、スプーンの持ち手を太くするなどの自助具の提案や、手すりの設置といった住宅改修のアドバイスも行い、対象者が障害を抱えながらも、できる限り自立した生活を送れるように環境面からも支援します。

 

2. 精神障害分野:心のケアと社会生活への適応支援

精神障害分野において、作業療法士は統合失調症やうつ病、依存症などの精神疾患を抱える人々を支援します。

精神科病院やクリニックなどで、手芸、スポーツ、園芸、料理といった具体的な作業活動を用いて、気分の安定、集中力や対人関係能力の向上を図ります。これらの活動は、生活リズムを整え、自己肯定感を高めることにつながります。最終的には、対象者が退院後に地域社会で安定した生活を送れるように、生活スキルの獲得や再就職の準備など、社会生活への適応をサポートする役割を担います。

 

3. 発達障害分野:子供の成長に合わせた機能の発達サポート

発達障害分野では、脳性まひや自閉スペクトラム症など、生まれつき発達に課題のある小児を対象とします。
作業療法士は、遊びを通して、座る、立つといった運動機能や、物をつかむ、字を書くといった感覚・知覚機能の発達を促します。

発達障害領域では、子供が日常生活や学校生活にうまく適応できるよう、個々の特性に合わせた支援計画を立てることが重要です。
また、保護者に対して家庭での関わり方について助言したり、学校の先生と連携したりするなど、子供を取り巻く環境全体に働きかける役割も担います。

 

4. 老年期障害分野:高齢者の生活機能の維持と認知症ケア

老年期障害分野では、加齢や病気に伴い心身機能が低下した高齢者を対象とします。
作業療法士は、できる限り自立した生活を長く続けられるよう、筋力維持の体操や日常生活動作の訓練、趣味活動の提供などを行います。

特に認知症の方に対しては、昔の道具を使ったり、馴染みのある歌を歌ったりする回想法などを通じて精神的な安定を図り、認知機能の低下を緩やかにするアプローチも行います。
高齢化社会が進行する中で、高齢者の尊厳ある生活を支える作業療法士のニーズはますます高まっています。

 

 

【職場別】作業療法士の具体的な仕事内容と役割

作業療法士は、医療機関や介護福祉施設だけでなく、子供の発達支援施設や地域社会まで、非常に幅広いフィールドで活躍しています。
それぞれの職場には異なるニーズがあり、作業療法士は対象者や施設の目的に応じて専門的な役割を果たします。

病院での急性期リハビリから、地域での生活支援まで、働く場所によって仕事内容は多岐にわたります。

 

医療機関(一般病院・精神科病院など)での役割

病院などの医療機関において、作業療法士は医師の指示のもと、患者の病状や回復段階に応じたリハビリテーションを提供します。
急性期病院では発症直後から早期離床や合併症予防を図り、回復期リハビリテーション病院では集中的な訓練を通じて在宅復帰を目指します。

医師や看護師、理学療法士など他職種と連携し、チーム医療の一員として患者の機能回復と退院支援を担うことが重要な役割です。
精神科病院では、精神的な安定と社会生活への適応を目的とした作業活動を行います。

 

介護・福祉施設(老人ホーム・デイサービスなど)での役割

介護老人保健施設や特別養護老人ホームなどの介護施設において、作業療法士は利用者の心身機能の維持・向上を目的とした役割を担います。
福祉の現場では、個別の機能訓練に加え、集団でのレクリエーションや趣味活動を企画・実施し、利用者の生活に活気と潤いをもたらします。

通所リハビリテーション(通所リハ)では、在宅で生活する高齢者が日帰りでリハビリに通い、身体機能の維持や社会参加の機会を支援します。
老人ホームでは、生活そのものがリハビリと捉え、日常動作を通じた機能維持を図ります。

 

児童福祉・教育機関(支援施設・特別支援学校など)での役割

児童発達支援センターや放課後等デイサービス、特別支援学校などの現場では、発達に課題を抱える子供たちの支援が作業療法士の役割です。
遊びや学習を通じて、身体の動かし方、手先の使い方、コミュニケーション能力などを育むサポートを行います。

個々の子供の発達段階や特性を評価し、それに合わせたプログラムを作成・実施します。
また、保護者への助言や、学校の教員と連携してクラスでの過ごし方について提案するなど、子供が円滑に集団生活を送れるよう環境を調整する役割も重要です。

 

就労支援施設や保健所など地域社会での役割

作業療法士の活躍の場は、地域社会にも広がっています。
就労移行支援事業所では、障害のある人が一般企業へ就職するための職業訓練や相談支援を行います。
また、保健所や市町村の保健センターでは、地域住民の介護予防事業や健康増進活動に関わります。

さらに、利用者の自宅を訪問してリハビリを行う訪問リハビリテーションも重要な役割の一つです。
通院が困難な人に対して、実際の生活環境の中で動作指導や住宅改修のアドバイスを行い、地域での自立した生活を支えます。

 

作業療法士に関するよくある質問

ここでは、作業療法士という職業について、多くの方から寄せられる質問にお答えします。
対象となる人、資格取得の方法、そして仕事のやりがいといった、作業療法士を目指す上での基本的な疑問点を解説します。

これから作業療法士を目指す方や、この仕事に関心のある方はぜひ参考にしてください。

 

Q1. 作業療法士のリハビリはどのような人が対象になりますか?

身体や精神に障害がある、またはそれが予測される全ての方が対象となります。
年齢も、新生児から高齢者まで幅広く、特定の疾患に限りません。

脳卒中後の後遺症、骨折、発達障害、認知症など、日常生活や社会生活に何らかの支障がある場合に支援を行います。
スポーツ選手のパフォーマンス向上を目指すスポーツリハビリとは異なり、生活の再建を主目的としています。

 

Q2. 作業療法士になるには、どのような資格や学びが必要ですか?

作業療法士になるには、国家資格である「作業療法士免許」の取得が必須です。
この国家試験を受験するためには、文部科学省または厚生労働省が指定する大学、短期大学、あるいは3年制以上の専門学校の養成課程を修了する必要があります。

養成校では、解剖学や生理学などの基礎医学に加え、専門的な知識と技術を講義や実習を通して学びます。

 

Q3. 作業療法士の仕事のやりがいは何ですか?

対象者ができなかったことができるようになった瞬間に立ち会い、その人らしい生活を取り戻す過程を一番近くで支援できる点にあります。
対象者やその家族から「ありがとう」と直接感謝の言葉を伝えられることも多く、人の役に立っていると実感できるのが大きな魅力です。

一人ひとりの人生に深く関わり、その人の可能性を引き出す手助けができる、非常に充実感のある仕事です。

 

まとめ

作業療法士は、身体的な機能回復だけでなく、精神的なサポートを通じて、対象者が「その人らしい生活」を送れるよう支援する専門職です。
理学療法士が「立つ・歩く」といった基本動作を担うのに対し、作業療法士は食事や更衣といった日常生活の応用動作から、復職や趣味活動といった社会参加まで、より生活に密着した領域をサポートします。

活躍の場は病院や介護施設にとどまらず、子供の発達支援や地域での生活支援など多岐にわたります。
対象者一人ひとりの人生に深く関わり、その人の生きがいを再構築する手助けをする、社会にとって不可欠な役割を担っています。

 

 

監修:日本リハビリテーション専門学校 田中克一(作業療法士)

理学療法士と作業療法士どっちが大変?仕事・勉強・給料の違いを比較

 

理学療法士と作業療法士どっちが大変?仕事・勉強・給料の違いを比較

監修:日本リハビリテーション専門学校 山田 慶(作業療法士)

 

理学療法士と作業療法士は、どちらもリハビリテーションの専門職ですが、その役割や仕事内容は異なります。
進路選択で迷う方にとって、どちらが難しいのか、自分に向いているのはどちらかという点は大きな悩みどころです。
この記事では、仕事内容・勉強・給料・将来性など、様々な観点から両者の「大変さ」を比較し、後悔しないための選択のヒントを解説します。

どちらが難しいという単純な比較ではなく、大変さの質の違いを理解しましょう。

 

 

結論:大変さの種類が違う!自分に合うのはどっちか見極めよう

理学療法士と作業療法士のどちらが大変かという問いの結論は、「大変さの種類が異なる」です。
理学療法士は患者の体を支えて動かすなど肉体的な負担が大きい場面が多く、作業療法士は患者の精神面に寄り添い、生活全体を支援するため精神的な負担や対応範囲の広さが大変だとされます。

どっちがいいとは一概には言えず、体力的な大変さと精神的な大変さのどちらが自分にとって許容できるかを見極めることが重要です。
自分自身の適性や興味と照らし合わせ、納得のいく選択をすることが大切です。

 

 

まずは基本をおさらい!理学療法士と作業療法士の役割の違い

理学療法士(PT)と作業療法士(OT)は、どちらもリハビリテーションを通じて患者の自立を支援する専門職ですが、そのアプローチの対象が異なります。
理学療法士が「立つ・歩く」といった基本的な動作能力の回復を目指すのに対し、作業療法士は食事や入浴といったより応用的・社会的な活動への復帰をサポートします。

仕事内容や求められるスキルの難易度にも違いがあるため、両者の役割を正しく理解することが、自分に合った進路を選択するための第一歩となります。

 

 

理学療法士(PT)は「立つ・歩く」など基本的な動作の回復をサポート

理学療法士(Physical Therapist, PT)は、ケガや病気によって身体機能が低下した人々に対し、運動療法や物理療法を用いて基本的な動作能力の回復を支援する専門職です。 具体的には、寝返り、起き上がり、座位保持、立ち上がり、歩行といった、日常生活を送る上で基礎となる動作の改善を目指します。

関節の可動域を広げる訓練や筋力を強化するトレーニング、電気刺激や温熱などの物理的手段を駆使して、患者が自立した生活を取り戻せるようサポートします。 専門性を活かして長く働き続けることが可能な職業です。

 

 

作業療法士(OT)は「食事・入浴」など応用的な動作の回復をサポート

作業療法士(Occupational Therapist, OT)は、基本的な動作の回復を目的とする理学療法士に対し、食事、着替え、入浴、料理、書字といった、より応用的でその人らしい生活を送るために必要な動作(作業)の回復をサポートします。
身体的なリハビリだけでなく、精神的なケアも重要な役割であり、患者の興味や関心事を活用しながら、社会復帰に向けた意欲を引き出すアプローチを行います。

進路に迷う人にとっては、どちらの専門性が自分の関心に近いか考えることが、どっちがいいかを判断する重要な要素です。
人の生活全体に深く関わりたいと考えるなら、作業療法士の仕事に魅力を感じるかもしれません。

 

 

【仕事編】理学療法士と作業療法士の大変さを比較

理学療法士と作業療法士の仕事における「大変さ」は、その性質が大きく異なります。
理学療法士は、患者の身体を直接支える場面が多いため、体力的な負担が大きな特徴です。

一方、作業療法士は、患者の身体面だけでなく精神面にも深く関わり、生活環境全体を調整していくため、精神的な負担や多角的な視点が求められるという大変さがあります。
それぞれの仕事内容を深く理解し、どちらの大変さが自分にとって乗り越えやすいかを考えることが重要です。

 

 

体力的な負担が大きいのは理学療法士

理学療法士の仕事は、体力的な負担が大きい場面が多いのが特徴です。
例えば、脳卒中後の麻痺がある患者さんの歩行訓練では、体重を支えながら一緒に歩いたり、ベッドから車椅子への移乗を介助したりと、自身の体を使って患者をサポートする必要があります。

特に、回復期リハビリテーション病棟や急性期病院では、身体機能が大きく低下した患者を担当することが多く、一日に何人もの患者のリハビリを行うため、相応の筋力と体力が求められます。
腰痛は理学療法士の職業病とも言われており、日々のボディメカニクスを意識した介助や、自身の身体のメンテナンスが欠かせません。

 

 

精神的な負担や対応範囲の広さが大変なのは作業療法士

作業療法士は、身体機能の回復だけでなく、患者の精神状態や生活背景までを考慮したアプローチが求められるため、精神的な負担や対応範囲の広さが大変さにつながることがあります。
例えば、精神科領域では患者との信頼関係の構築に時間を要したり、高次脳機能障害の患者の意欲を引き出すための工夫が必要だったりと、コミュニケーション能力や忍耐力が試されます。

また、退院後の生活を見据え、家屋の改修提案や福祉用具の選定、家族への指導など、リハビリ室の中だけにとどまらない幅広い視点と調整能力が不可欠です。
患者一人ひとりの人生に深く寄り添う分、責任も大きい仕事です。

 

 

 

活躍の場(就職先)の違いもチェックしよう

理学療法士と作業療法士は活躍の場にも違いがあります。
理学療法士の主な就職先は、病院やクリニックといった医療機関が中心で、特に整形外科やリハビリテーション科での需要が高いです。
近年では、スポーツ分野でアスリートのコンディショニングをサポートする理学療法士も増えています。

一方、作業療法士も医療機関で働きますが、それに加えて介護老人保健施設、特別支援学校、精神科病院、就労支援施設など、より幅広い領域で活躍しています。
特に、精神障害領域や発達障害領域のリハビリは作業療法士が中心となって担うことが多く、活躍の場の多様性は作業療法士の大きな特徴といえます。

 

 

【勉強・試験編】理学療法士と作業療法士の大変さを比較

理学療法士と作業療法士になるためには、養成校で専門知識を学び、国家試験に合格する必要があります。
どちらの道も簡単なものではありませんが、勉強内容や試験の難易度にはいくつかの違いが見られます。

国家試験の合格率には若干の差があり、また、大学や専門学校で学ぶカリキュラムもそれぞれの専門性に応じて異なります。
ここでは、学業や資格取得における大変さの違いを比較し、進路選択の参考にします。

 

 

国家試験の合格率は作業療法士のほうがやや低い傾向

理学療法士と作業療法士の国家試験の合格率は、年によって変動はあるものの、全体的な傾向として作業療法士の方がやや低い水準で推移しています。
近年のデータを見ると、理学療法士の合格率がおおむね80%台から90%台前半であるのに対し、作業療法士は70%台後半から80%台半ばとなることが多いです。

この差の背景には、試験範囲の広さが一因として考えられます。
作業療法士は身体障害、精神障害、発達障害、老年期障害と多岐にわたる領域を深く学ぶ必要があり、その学習範囲の広さが試験の難易度に影響している可能性があります。
ただし、どちらの試験も養成校のカリキュラムを真面目に修了すれば合格できる水準です。

 

 

養成校で学ぶ内容や臨床実習の大変さの違い

理学療法士と作業療法士の養成校では、学ぶ内容に専門性の違いが明確に現れます。
理学療法士のカリキュラムは、解剖学、生理学、運動学といった人体の構造や機能に関する科目に重点が置かれ、科学的根拠に基づいた運動療法を深く学びます。

一方、作業療法士はこれらの基礎医学に加え、精神医学、心理学、社会学など、人の心や生活に関わる人文社会科学系の科目も幅広く履修します。
臨床実習においてもその違いは顕著で、理学療法士は主に身体機能の評価や治療プログラムの立案・実施を学び、作業療法士はそれに加えて患者の生活環境の評価や精神的なアプローチ、レクリエーションの活用なども実践的に学びます。

 

 

 

【給料・将来性編】理学療法士と作業療法士の大変さを比較

職業を選択する上で、給料や将来性は重要な判断基準です。
理学療法士と作業療法士のどちらの道に進むか考える際にも、経済的な安定やキャリアパスの展望は無視できません。
給与水準や求人数、そして将来的な需要など、両者の待遇やキャリアにおける違いを比較することで、長期的な視点での「大変さ」を把握することができます。

ここでは、給料と将来性という2つの側面から両職種を詳しく見ていきます。

 

 

平均給与に大きな差はないが、求人数は理学療法士が多い

理学療法士と作業療法士の平均給与を比較すると、両者に大きな差はないのが現状です。厚生労働省の調査などを見ても、平均年収はほぼ同水準で推移しており、給与面での有利不利はほとんどないと言えます。ただし、就職のしやすさという点では、求人数に違いが見られます。一般的に、病院やクリニックからの需要が安定して高い理学療法士の方が、作業療法士に比べて求人数が多い傾向にあります。これは、診療報酬制度上、理学療法士の配置が求められる場面が多いことなどが理由として挙げられます。しかし、作業療法士も介護保険領域や精神科領域などで専門性が高く評価されており、活躍の場は広がっています。

一方、作業療法士は、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年問題や、一人暮らしの高齢者が増加しているといった社会背景から、その不足が指摘されています。特に、地域に根差した在宅医療や介護予防の分野では、作業療法士が提供する生活機能向上の支援が不可欠であり、今後ますます需要が高まると予測されています。病院や施設でのリハビリテーションだけでなく、地域社会での生活支援においても専門性が求められるため、作業療法士の活躍の場は今後さらに多様化していくでしょう。

 

 

!! POINT !! 1. 求人数の違い 作業療法士の目線

結論から言うと、「絶対的な求人数」はPTの方が多いですが、「競争率(有効求人倍率)」で見るとOTの方が有利な傾向にあります。

求人数と有資格者数
現在、国内の有資格者数はPTが約21万人、OTが約11万人と、PTの方が圧倒的に多い状況です。

理学療法士 (PT): 病院、整形外科クリニック、訪問リハビリなど、ニーズが非常に幅広いため求人の絶対数は多いです。ただし、供給(志望者)も多いため、人気のある都心部の病院などでは倍率が高くなる傾向があります。

作業療法士 (OT): PTに比べると募集件数は少なめですが、有資格者数も少ないため、一人あたりの求人数(倍率)はOTの方が高い(就職しやすい)傾向にあります。

 

 

キャリアパスや将来性の違いを理解しよう

理学療法士と作業療法士は、どちらも高齢化社会の進展に伴い将来性が高い専門職ですが、キャリアパスにはそれぞれの特色があります。
理学療法士は、病院での経験を積んだ後、スポーツトレーナーとしてアスリートを支えたり、整体院やフィットネスクラブを開業したりするなど、身体機能の専門性を活かした多様な道へ進むことが可能です。

一方、作業療法士は、福祉用具の開発や住宅改修のアドバイザー、あるいは地域包括支援センターで高齢者の生活を支える専門職として活躍するなど、人の「生活」に密着した分野でのキャリアが広がります。
どちらも専門性を深め、認定資格を取得することで、管理職や教育者としての道も開けます。

 

 

!! POINT !! 2. キャリアパスの違い 作業療法士の目線

リハビリの「目的」が異なるため、将来的な専門性の磨き方が変わります。

理学療法士 (PT) のキャリア
「動作の専門家」として、身体機能の回復を深掘りする道が一般的です。
専門分化: スポーツリハ、心臓リハ、呼吸リハなど、特定の疾患や部位に特化した認定理学療法士を目指す。
スポーツ分野: プロチームのトレーナーや、スポーツクリニックでの専属スタッフ。
開業・自費リハ: 整体院の開業や、保険外のパーソナルリハビリサービスの展開。

 

!! POINT !! 作業療法士 (OT) のキャリア

「生活の専門家」として、心身の両面からアプローチするため、活躍の幅が横に広いです。

精神科領域: 精神科病院やデイケアで、手工芸やレクリエーションを通じた社会復帰支援のスペシャリスト。
高次脳機能障害・認知症: 脳の機能や認知面に特化したリハビリの専門性を高める。
就労支援・教育: 障害者の一般企業への就労支援や、特別支援学校での指導。
福祉用具・住環境: 福祉住環境コーディネーターなどの資格を合わせ、住宅改修のコンサルティングを行う。

 

 

 

結局どっちを選べばいい?向いている人の特徴で比較

これまで仕事内容や給料、将来性など様々な観点から理学療法士と作業療法士を比較してきましたが、最終的にどちらを選ぶべきかは、自身の性格や価値観との相性が重要になります。
ここでは、それぞれの職業に「向いている人」の特徴をまとめました。

これまでの比較内容と合わせて自己分析を行い、自分がどちらのタイプの「大変さ」なら乗り越えられそうか、どちらの仕事にやりがいを感じられそうかを考えるための参考にしてください。

 

 

理学療法士(PT)に向いている人の特徴

理学療法士には、まず体力と忍耐力が求められます。
患者の身体を支えたり、根気強くリハビリを続けたりする場面が多いため、身体的にも精神的にもタフな人が向いています。

また、身体の構造や動きの仕組みに対して強い探究心があり、解剖学や運動学といった分野に興味を持てることも重要です。
リハビリは科学的根拠に基づいて計画されるため、物事を論理的に考え、客観的なデータから問題を分析・解決していく能力も必要とされます。
患者の「歩けるようになりたい」という目標に向かって、粘り強くサポートし、共に回復を喜べる人にとって大きなやりがいを感じられる仕事です。

 

 

作業療法士(OT)に向いている人の特徴

作業療法士には、相手の立場に立って物事を考えられる共感性と、細やかな気配りができる観察力が不可欠です。
患者の言葉にならない思いや小さな変化を汲み取り、リハビリに活かしていく姿勢が求められます。

また、手工芸やレクリエーションなどをリハビリの手段として用いることも多いため、手先が器用であったり、遊びや創作活動のアイデアを考えるのが好きだったりする人にも向いています。
身体機能だけでなく、心理面や生活環境まで含めたトータルサポートを行うため、広い視野を持ち、人と深く関わることに喜びを感じる人にとって、非常に魅力的な職業といえるでしょう。

 

 

理学療法士と作業療法士に関するよくある質問

ここでは、理学療法士と作業療法士を目指すにあたって、多くの方が抱く疑問について回答します。
ダブルライセンスの可能性や、文系からの進学、将来の需要など、進路選択の最終判断に役立つ情報をまとめました。

これらの回答を参考に、自身のキャリアプランをより具体的にイメージしてみてください。

 

 

 

両方の資格を取得することは可能ですか?

はい、可能です。
理学療法士と作業療法士、両方の国家資格を取得することは制度上できます。
ただし、そのためにはそれぞれの養成校で3年以上学び、国家試験に合格する必要があります。

一部の共通科目は単位互換が認められる場合もありますが、時間も学費もかかるため、強い意志と計画性が必要です。

 

 

文系からでも理学療法士や作業療法士を目指せますか?

はい、目指せます。
養成校の入試科目は学校によって様々で、文系科目で受験できる学校も少なくありません。
入学後は生物や物理といった理系分野の知識が必要になりますが、多くの学校では基礎から学べるカリキュラムが組まれているため、入学後の本人の努力と意欲があれば文系出身でも十分に追いつけます。

 

 

将来的にどちらの需要が高まりますか?

理学療法士、作業療法士ともに、高齢化が進む日本において需要はますます高まると予測されます。
特に、病院だけでなく在宅医療や介護予防、地域包括ケアの分野での活躍が期待されており、どちらの専門性も不可欠です。

需要の優劣を考えるより、自分がどの分野で貢献したいかを考えることが重要です。

 

 

まとめ

理学療法士と作業療法士の「大変さ」は、体力的な負担、精神的な負担、学習範囲、活躍の場など、様々な側面で質が異なります。
理学療法士は身体機能の回復という明確な目標に対し、論理的かつ体力的にアプローチする大変さがあり、作業療法士は心と身体、そして生活全体という広範な対象に寄り添う精神的な大変さがあります。

どちらの職業が優れているというわけではなく、自身の適性、興味、そしてどのような形で人の役に立ちたいかによって、選択は変わります。
本記事で比較した内容を参考に、自身のキャリアについて深く考え、納得のいく進路を選択してください。

監修:日本リハビリテーション専門学校 山田 慶(作業療法士)