作業療法士国家試験の合格率【第60回】過去の推移と難易度を解説

作業療法士国家試験の合格率【第60回】過去の推移と難易度を解説

監修:日本リハビリテーション専門学校 山田 慶(作業療法士)

 

2025年2月24日に実施された第60回作業療法士国家試験の合格発表が2025年3月21日に行われました。
本記事では、この最新の合格率をはじめ、過去の合格率の推移を詳しく解説します。

厚生労働省の発表資料や関連サイトで確認できる、新卒・既卒といった属性別のデータや、理学療法士国家試験との比較を通じて、試験の全体像や難易度を多角的に分析します。
これから受験を控える方や、資格取得を目指す方が、試験の現実性を把握するための情報を提供します。

 

【2025年最新】第60回作業療法士国家試験の合格率と結果概要

2025年3月、厚生労働省より令和7年に実施された第60回作業療法士国家試験の結果が発表されました。
今回の試験では、全体の合格率は85.8%となり、例年通りの水準を維持する結果となりました。
このセクションでは、具体的な合格者数や合格のボーダーラインなど、2025年最新の試験結果の詳細について解説します。

 

合格者数と全体の合格率

第60回作業療法士国家試験の受験者数は5,693名、そのうち合格者数は4,887名でした。この結果、全体の合格率は85.8%となりました。前年の第59回試験の合格率は84.4%であったため、第60回試験は前年より合格率が上昇しました。

受験者数や合格者数に多少の変動はあるものの、合格率自体は長年にわたり80%前後で安定しており、適切な学習を積んだ受験者の多くが合格を手にしています。

 

合格のボーダーラインとなる基準点

作業療法士国家試験の合格基準は絶対評価で定められており、例年変動する可能性があります。第60回作業療法士国家試験の場合、合格基準は総得点279点中168点以上、かつ実地問題120点中43点以上でした。この基準は、例年総得点の約6割が目安とされていますが、具体的な点数は試験回ごとに発表されるため、最新の情報を確認することが重要です。

したがって、一部の難問に固執するよりも、基本的な問題を確実に得点していく戦略が重要です。このラインを超えることで、他の受験者の成績に関わらず合格となります。

 

 

 

過去10年間の作業療法士国家試験における合格率の推移

作業療法士国家試験の難易度を把握するためには、直近の結果だけでなく過去からの長期的な推移を見ることが重要です。
過去10年間を振り返ると、合格率は70%台から80%台で変動しており、特にここ数年は80%を超える高い水準で安定しています。
例えば、第59回は85.0%、第58回は83.8%、第56回は80.5%、第49回は77.5%でした。

このような推移から、試験の難易度が大きく変動することは少ないと読み取れます。

 

合格率は例年80%前後で安定している

作業療法士国家試験の合格率は、長期間にわたり高い水準で安定しているのが特徴です。
具体的に近年の推移を見ると、2024年(第59回)は85.0%、2023年(第58回)は83.8%、2022年(第57回)は80.5%でした。
このように、毎年80%を超える受験者が合格しており、養成校で必要な知識と技術をしっかり身につければ、十分に合格を狙える国家試験であると言えます。

極端な難化や易化は考えにくく、着実な学習が合格の鍵となります。

 

合格基準点は総得点の約6割が目安

作業療法士国家試験の合格基準は、総得点のおおむね6割以上と定められています。具体的には、一般問題と実地問題を合わせた総得点(278点)のうち167点以上、かつ実地問題(117点)で41点以上という2つの条件を満たす必要があります。

この点数は例年、総得点の約60%が目安とされており、合格基準は変動する可能性があります。そのため、周りの出来を気にする必要はなく、自身が合格基準を超えることに集中して学習を進めることが求められます。

 

 

 

【属性別】作業療法士国家試験の合格率を徹底比較

作業療法士国家試験の合格率は、受験者の属性によって大きな差が見られます。
特に、新卒受験者と既卒受験者では、合格率に著しい違いがあります。

また、出身養成校が大学か専門学校かによっても、合格実績に差が生じることがあります。
ここでは、属性ごとの合格率を比較し、その背景にある要因を分析することで、試験の特性をより深く理解していきます。

 

新卒(現役)受験者の合格率は90%超と高水準

新卒、つまり現役学生の合格率は非常に高い水準にあります。
第59回試験では、新卒受験者の合格率は95.3%に達しました。
これは、養成校でのカリキュラムに沿って体系的に学習を進め、試験対策のサポートも受けやすい環境にあることが大きな要因です。

また、学習習慣が途切れることなく試験に臨めるため、知識が定着しやすい点も強みとなります。
このデータから、学校での学びを忠実にこなすことが合格への最も確実な道であることがわかります。

 

既卒受験者の合格率は40%前後と低い傾向

新卒者と比較して、既卒受験者の合格率は低い傾向にあります。近年の例を見ると、2023年実施の第112回看護師国家試験では36.5%、2024年実施の第113回では30.4%でした。この背景には、働きながら国家試験の勉強時間を確保することの難しさや、一度学習から離れたことで知識を呼び戻すのに時間がかかる点が挙げられます。

また、モチベーションの維持や最新の試験傾向の把握といった面でも不利になりがちです。既卒で合格を目指すには、計画的な学習と強い意志が不可欠です。

 

 

 

理学療法士の国家試験と合格率や難易度を比較

作業療法士と同じリハビリテーション専門職である理学療法士の国家試験は、比較対象としてよく挙げられます。
第59回国家試験では、理学療法士の合格率は全体で89.2%(新卒94.9%、既卒45.9%)でした。
作業療法士の合格率85.0%(新卒93.9%、既卒45.0%)と比較すると、理学療法士の方がやや高い年もありますが、両者に大きな難易度の差はないと言えます。

試験範囲や専門性は異なりますが、国家試験合格に求められる学習レベルは同等と考えてよいでしょう。

 

作業療法士の国家試験は本当に難しい?合格に向けたポイント

作業療法士の国家資格は、80%前後という高い合格率だけを見ると簡単に取得できると誤解されがちです。
しかし、この数値は大学や専門学校で3年以上専門教育を受け、卒業(見込み)が認められた受験者に限定されたものです。

ここでは、数字だけでは測れない試験の難易度の実態と、合格を確実にするための重要なポイントを解説します。

 

合格率の高さから見る試験の難易度

作業療法士国家試験の合格率が80%前後と高いのは、受験資格を得るまでのハードルが影響しています。
養成校では3〜4年間にわたり専門的な知識や技術、臨床実習などを履修し、卒業試験に合格しなければ受験できません。
つまり、受験者はすでに一定の学力水準に達しているため、合格率が高くなる傾向にあります。

決して試験内容が易しいわけではなく、養成課程での地道な努力の積み重ねが合格につながることを示しています。

 

 

 

不合格になるケースから学ぶべきこと

不合格になる主な原因は、基礎知識の定着不足と応用力の欠如にあります。
特に、複数の知識を組み合わせて解答する必要がある実地問題で、基準点に満たないケースが多く見られます。
また、過去問演習が不足していると、時間配分に失敗したり、特有の出題形式に戸惑ったりすることも敗因となります。

苦手分野を放置せず、なぜその解答になるのかを深く理解する学習が重要です。
模擬試験などを活用して、本番同様の環境で問題を解く練習も不可欠です。

 

作業療法士の国家試験に関するよくある質問

作業療法士の国家試験を目指すにあたり、多くの受験生が共通の疑問や不安を抱えています。
ここでは、次回の試験の難易度予測、万が一不合格だった場合の対策、そして合格後の手続きといった、特によく寄せられる質問について、簡潔に回答していきます。

 

 

 

第61回(2026年)の国家試験の難易度はどうなると予想されますか?

例年の傾向から、第61回(2026年)の国家試験の難易度も大きくは変わらないと予想されます。
合格率は80%前後で推移し、合格基準点も総得点の約6割という基準は維持される可能性が高いです。
ただし、出題傾向に細かな変化が見られる可能性はあるため、過去問研究を怠らず、基礎から応用まで幅広く対策することが合格への鍵となります。

 

国家試験に不合格だった場合、来年に向けて何をすべきですか?

まずは、今回の試験の自己採点結果を詳細に分析し、自身の弱点や失点の原因を明確に把握することが重要です。
その上で、予備校やオンライン講座を利用して効率的に学習を進める、あるいは働きながら勉強時間を確保するなど、自分に合った学習計画を立て直しましょう。
一人で抱え込まず、学校の先生や仲間に相談することも有効です。

 

試験に合格した後の免許申請手続きについて教えてください

試験合格後、作業療法士として業務を行うには免許申請が必要です。
手続きは、合格証書を受け取った後、必要書類(免許申請書、医師の診断書、戸籍抄本または住民票の写しなど)を揃え、住所地の保健所(一部地域では県庁)に提出します。
申請時には登録免許税として9,000円の収入印紙が必要となります。

 

まとめ

第60回作業療法士国家試験の合格率は85.8%で、例年通り高い水準を維持しました。過去の推移を見ても、合格率はおおよそ80%台で安定しています。合格基準点は毎年変動しますが、総得点の約6割が目安となることが多いです。ただし、これは養成校での学習を修了した上での数値であり、特に既卒者の合格率は低いことから、国家試験対策の重要性がうかがえます。

新卒・既卒を問わず、計画的な学習と確実な知識の定着が合格への道筋となります。

監修:日本リハビリテーション専門学校 山田 慶(作業療法士)

 

 

 

「理学療法士はやめとけ」は本当?知っておくべき実態と将来性

 

「理学療法士はやめとけ」は本当?知っておくべき実態と将来性

監修:日本リハビリテーション専門学校 吉葉 則和(理学療法士)

 

「理学療法士はやめとけ」という言葉を見聞きし、将来の選択に不安を感じている人もいるかもしれません。
確かに、理学療法士の仕事には厳しい側面もありますが、その情報を鵜呑みにして夢を諦めてしまうと後悔につながる可能性があります。

大切なのは、ネガティブな評判の真偽を確かめ、仕事の実態や将来性を正しく理解した上で、自分自身の適性を見極めることです。
この記事では、客観的なデータや情報を基に、理学療法士という仕事のリアルな姿を解説します。

 

 

なぜ理学療法士は「やめとけ」と言われてしまうのか?4つの理由を解説

理学療法士が「やめた方がいい」と言われる背景には、給与体系や将来性、労働環境に関する根深い課題が存在します。
華やかなイメージとは裏腹に、心身ともに厳しい現実に直面し、理想とのギャップに悩む人が少なくありません。

ここでは、ネガティブな評判が立つ主な4つの理由を深掘りし、理学療法士が抱える具体的な問題点を明らかにしていきます。
これらの課題を事前に知ることが、ミスマッチを防ぐ第一歩となります。

 

 

理由1:昇給しづらく年収が上がりにくい給与体系?

理学療法士の給与は、初任給こそ他の医療職や一般大卒と大差ないものの、その後の昇給幅が小さい傾向にあります。
診療報酬制度に基づいてリハビリテーションの単価が国によって定められているため、個人の頑張りが直接給与に反映されにくい構造的な問題を抱えています。

勤続年数を重ねても年収が頭打ちになりやすく、特に病院や介護施設などの保険診療を主とする職場では、管理職に就かない限り大幅な収入アップは期待しにくいのが実情です。
この昇給しづらい給与体系が、将来への経済的な不安につながっています。

 

 

 

理由2:理学療法士の飽和による将来的な供給過多?

近年、理学療法士の養成校が急増した結果、資格取得者の数も大幅に増加しました。
日本理学療法士協会のデータによれば、会員数は年々右肩上がりに増え続けています。

この状況から、将来的には理学療法士が飽和状態に陥り、就職先の確保が難しくなったり、労働条件が悪化したりするのではないかと懸念されています。
実際に、以前に比べて就職の選択肢が減り、希望する分野や待遇の良い求人への競争は激化しつつあります。
供給過多の問題は、これから理学療法士を目指す人にとって無視できないリスクの一つです。

 

 

理由3:心身ともに負担が大きいハードな労働環境?

理学療法士の仕事は、患者の身体を直接支えたり、動かしたりする介助動作が多く、身体的な負担が非常に大きいのが特徴です。
特に、体格の大きな患者を相手にする際は強い力が必要となり、腰痛をはじめとする職業病のリスクが常に伴います。

不自然な姿勢での介助が原因で、自身がけがをしてしまうケースも少なくありません。
また、日々の業務に加えて、終業後の勉強会や学会参加、自己研鑽のための学習も求められるため、プライベートな時間を確保しにくいという精神的な負担も重くのしかかります。

 

 

理由4:患者や他職種との板挟みで生じる人間関係のストレスがある?

理学療法士は、患者やその家族はもちろん、医師、看護師、介護士など、非常に多くの人々と連携して業務を進める必要があります。
それぞれの立場や意見が異なる中で、時には板挟みになり、調整役として精神的なストレスを抱えることも少なくありません。

患者の要求と医師の指示が食い違う、他職種との連携がうまくいかないなど、人間関係が最悪の状況に陥る可能性も考えられます。
コミュニケーションを取ることが元々苦手な人にとっては、こうした複雑な人間関係が大きな負担となり、仕事の継続を困難にさせる要因になり得ます。

 

 

「やめとけ」だけじゃない!理学療法士として働く3つの大きなやりがい

理学療法士の仕事は、厳しい側面ばかりではありません。
多くの理学療法士が困難を乗り越えて仕事を続けているのは、それを上回る大きなやりがいや魅力があるからです。

患者の人生に深く関わり、その回復を直接サポートできる喜びは、他の職業では味わえない特別なものです。
ここでは、理学療法士として働く中で感じられる3つの良い点に焦点を当て、この仕事が持つ本質的な価値とやりがいについて解説します。

 

 

患者の機能回復を間近で支えられる大きな喜び

理学療法士として働く最大のやりがいは、けがや病気で身体機能が低下した患者が、リハビリテーションを通じて少しずつ回復していく過程を最も近い場所で支えられる点にあります。
昨日までできなかった動作が今日できるようになったり、杖なしで歩けるようになったりする瞬間に立ち会えることは、何物にも代えがたい喜びです。

患者の「できた」という笑顔や、目標を達成した時の達成感を共有できるのは、この仕事ならではの醍醐味と言えるでしょう。
患者の人生の大きな転機に関わり、その機能回復に貢献できるという実感は、日々の業務の大きなモチベーションとなります。

 

 

 

「ありがとう」という感謝の言葉が直接もらえる感動

理学療法士は、患者一人ひとりと深く長く関わる仕事です。
リハビリテーションというプロセスを通じて信頼関係を築き、心身ともに患者を支える中で、本人やその家族から「ありがとう」「先生のおかげです」といった感謝の言葉を直接かけてもらえる機会が数多くあります。

自分の提供した技術や知識が、相手の生活の質を向上させ、喜びに繋がったことを実感できる瞬間です。
このような心からの感謝の言葉は、仕事の疲れを癒し、次への活力を与えてくれる大きな原動力となり、仕事への誇りを強く感じさせてくれます。

 

 

医療チームに不可欠な身体動作の専門家としての誇り

医療現場において、理学療法士は「身体動作の専門家」という独自のポジションを確立しています。
医師が診断や治療方針を決定し、看護師が日常的なケアを行う中で、理学療法士は基本的な動作能力の回復という専門分野を担います。

多職種で構成される医療チームの中で、専門的な知識と技術を基に意見を求められ、患者の治療計画に貢献できることは、大きな誇りにつながります。
チームの一員として専門性を発揮し、患者の退院後の生活を見据えたリハビリテーションを提供することで、なくてはならない存在として頼りにされることに強いやりがいを感じられます。

 

 

理学療法士の将来性は本当にない?今後の需要とキャリアパスを解説

理学療法士は飽和しているという声から将来性を不安視する人もいますが、社会の変化に目を向けると、その需要はむしろ拡大していくと予測されます。

特に、超高齢化社会を迎えた日本では、理学療法士が活躍できるフィールドは多様化しています。
キャリアの積み方次第では、45歳以降も専門性を活かして働き続けることが可能です。
ここでは、今後の需要やキャリアパスの広がりについて解説し、理学療法士の将来性を具体的に見ていきます。

 

 

 

高齢化社会でますます高まるリハビリテーションの需要

日本は世界でも類を見ないスピードで高齢化が進行しており、今後も高齢者人口は増加し続けると予測されています。
これに伴い、加齢による身体機能の低下や、脳卒中、骨折などの疾患を抱える高齢者が増えるため、リハビリテーションの需要はますます高まっていきます。

治療を目的とした医療機関でのリハビリだけでなく、介護予防や健康寿命の延伸を目的とした地域包括ケアシステムにおいても、理学療法士の専門知識は不可欠です。
社会的なニーズの増大は、理学療法士という職業の安定性と将来性を支える大きな要因となっています。

 

 

病院以外にも広がる多彩な活躍の場(介護・スポーツ・予防分野)

かつて理学療法士の主な勤務先は病院でしたが、現在ではその活躍の場は大きく広がっています。
高齢者向けの介護老人保健施設やデイサービス、利用者の自宅に訪問してリハビリを行う訪問看護ステーションなど、介護分野での需要が急増しています。

さらに、プロスポーツチームやアスリートを支えるスポーツトレーナー、企業の従業員の健康をサポートする産業理学療法、行政と連携して地域住民の介護予防や健康増進に取り組むなど、予防分野にも活動領域は拡大中です。
自分の興味や関心に合わせて多彩なキャリアを選択できる点は、大きな魅力の一つです。

 

 

専門・認定資格の取得でキャリアアップと収入増を目指せる

理学療法士としてキャリアを積む上で、専門性を高めることは収入アップやキャリアの選択肢を広げる鍵となります。
日本理学療法士協会が認定する「専門理学療法士」や「認定理学療法士」といった上位資格を取得することで、特定の分野における高度な知識と技術を持つスペシャリストとして評価されます。

これにより、専門外来の担当や管理職への昇進、好待遇での転職が有利になる可能性があります。
また、豊富な臨床経験を活かして、教育者として後進の育成に携わったり、独立開業して自分の理想とするリハビリテーションを提供するという道も開かれています。

 

 

あなたはどっち?理学療法士に向いている人・いない人の特徴

理学療法士という仕事には、特有のやりがいと厳しさがあります。
そのため、誰にでも務まるわけではなく、個人の特性や価値観によって向き不向きが分かれる職業です。

自分が理学療法士に向いているのかどうかを客観的に見極めることは、将来のキャリア選択で後悔しないために非常に重要です。
ここでは、理学療法士に求められる資質を基に、向いている人とそうでない人の特徴をそれぞれ具体的に解説していきます。

 

 

【向いている人】探求心を持ち学び続けられる人

理学療法士に向いている人の特徴として、まず挙げられるのが強い探求心と学習意欲です。医療の世界は日進月歩であり、リハビリテーションに関する知識や技術も常に進化し続けています。昨日まで常識だったことが、新しい研究によって覆されることも珍しくありません。

そのため、資格取得後も満足することなく、論文を読んだり研修会に参加したりして、常に最新の情報を学び続ける姿勢が不可欠です。患者一人ひとりの症状や状態に合わせた最適なリハビリを提供するため、どうすればもっと良くなるかを常に考え、探求し続けられる人は、優れた理学療法士になれるでしょう。

 

 

【向いている人】相手に寄り添いコミュニケーションが取れる人

理学療法士の仕事は、患者との信頼関係なしには成り立ちません。
リハビリは時に痛みを伴い、思うように回復しないことで患者は不安や焦りを感じます。
そうした患者の心に寄り添い、励ましながら、根気強く目標達成へと導くコミュニケーション能力が極めて重要です。

相手の話を丁寧に聞き、気持ちを理解しようと努め、その人に合った言葉で説明や指導ができる能力が求められます。
また、医師や看護師など他職種とも円滑に連携する必要があるため、協調性や対人スキルも必須の資質となります。

 

 

 

【向いていない人】体力的な負担や精神的なストレスに弱い人

理学療法士の仕事は心身ともにタフさが求められます。
患者の身体を抱えたり長時間中腰の姿勢で介助したりと日常的に体力的な負担がかかるため体力に自信がない人や腰痛などの持病がある人には厳しいかもしれません。

また患者の回復が思うように進まなかったり時には死に直面したりすることもあり精神的なストレスも大きい仕事です。
人の苦しみや痛みに共感しすぎると自分自身が精神的に参ってしまう可能性もあります。
人の生死に関わる場面が怖いと感じたりストレスをうまく発散できない人はこの仕事の厳しさに耐えられないかもしれません。

 

 

理学療法士になってから後悔しないための3つのポイント

理学療法士を目指すなら、ネガティブな情報に惑わされるだけでなく、現実を直視した上で、後悔しないための準備をすることが重要です。
この仕事で失敗しないためには、資格取得というゴールだけでなく、その先にあるキャリアを具体的に見据え、主体的に行動を起こす必要があります。

ここでは、理学療法士という道を選んでから「こんなはずではなかった」と感じないために、学生時代や就職活動中に意識すべき3つのポイントを解説します。

 

 

就職・転職前に職場の労働環境や離職率を徹底的に調べる

理学療法士の労働環境は、勤務する施設によって大きく異なります。
給与水準、休日数、残業の有無、有給休暇の取得率などはもちろんですが、職場の雰囲気や人間関係、教育体制といった数字に表れない部分も重要です。

特に、新人の離職率が高い職場は、何らかの問題を抱えている可能性が考えられます。
就職活動の際には、求人票の情報だけでなく、病院や施設の見学、インターンシップに積極的に参加し、実際に働くスタッフの様子や職場の空気感を肌で感じることが大切です。
インターネットの口コミサイトなども参考に、多角的な情報収集を徹底しましょう。

 

 

給与や福利厚生だけでなく教育制度が整っているか確認する

特に新卒で就職する場合、初任給の高さや福利厚生の充実度だけに目を奪われず、入職後の教育制度が整っているかどうかを重視すべきです。
理学療法士としてのスキルや知識は、臨床現場での経験を通じて磨かれていきます。
新人時代にしっかりとした指導を受けられるかどうかは、その後の成長に大きく影響します。

プリセプター制度の有無、院内勉強会の頻度や内容、学会参加への補助など、病院や施設がどれだけ人材育成に力を入れているかを確認しましょう。
長期的な視点で、自分が専門職として成長できる環境を選ぶことが、結果的にキャリアの成功につながります。

 

 

目指したい将来像から逆算してキャリアプランを立てる

漠然と理学療法士になるのではなく、「どのような分野で、どのような専門性を持ち、社会に貢献したいのか」という具体的な将来像を描くことが重要です。
例えば、将来的にスポーツ選手のサポートをしたいのであれば、整形外科に強みを持つ病院で経験を積むのが近道です。
高齢者の在宅生活を支えたいなら、訪問リハビリの分野に進むべきでしょう。

5年後、10年後の自分の姿をイメージし、そこから逆算して今何をすべきかを考えることで、日々の業務にも目的意識が生まれます。
特に最初の6年程度の経験が、その後のキャリアの土台を形成することを意識して計画を立てましょう。

 

 

理学療法士に関するよくある質問

理学療法士という職業について多くの方が疑問や不安を抱えています。
特に収入やキャリアチェンジ、就職の難易度といった現実的な問題は進路を考える上で非常に気になる点です。

ここでは理学療法士を目指す人や現役で働く人から寄せられることの多い質問にQ&A形式で簡潔にお答えします。
客観的な情報を得ることでより深くこの仕事を理解するための一助となるでしょう。

 

 

理学療法士の平均年収は具体的にいくらですか?

厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、理学療法士の平均年収は約430万円です。
これは、経験年数や役職を含む全体の平均値であり、勤務先の規模や地域によっても差が生じます。

日本の給与所得者全体の平均年収と比較すると、同等かやや低い水準にあります。

 

 

もし理学療法士を辞めた場合、どのような転職先がありますか?

理学療法士をやめた場合、身体や医療に関する専門知識を活かせる多様な転職先があります。
具体的には、医療機器や福祉用具のメーカー、フィットネスクラブのトレーナー、介護施設の機能訓練指導員、一般企業の健康管理部門などが挙げられます。

全く異なる分野へ挑戦する人も少なくありません。

 

 

今から理学療法士を目指しても就職先に困ることはありませんか?

理学療法士の養成校(専門学校や大学)が増加し、資格取得者が増えているため、以前より競争は激化しています。
しかし、高齢化社会の進展により需要自体は高いため、選り好みをしなければ就職先に困る可能性は低いです。

希望の分野や待遇の良い職場に就くためには、学生時代からの努力が不可欠であり、問題なくなれるでしょう。

 

 

まとめ

理学療法士はやめとけと言われる背景には、昇給しにくい給与体系や供給過多への懸念、心身への負担といった厳しい現実が存在します。これらの課題は、職業選択をする上で必ず知っておくべき重要な情報です。しかし、その一方で、患者の回復を間近で支える大きな喜びや、専門家としてチーム医療に貢献できる誇りなど、この仕事でしか得られないかけがえのないやりがいがあるのも事実です。高齢化社会において理学療法士の需要は今後も高まり、活躍の場は病院だけでなく介護やスポーツ、予防分野へと広がっています。ネガティブな情報に流されることなく、仕事の多面的な実態を理解し、自分の適性やキャリアプランと照らし合わせることが、後悔のない選択につながります。

 

監修:日本リハビリテーション専門学校 吉葉 則和(理学療法士)

 

 

理学療法士国家試験の合格率推移と難易度|最新(60回)データと合格基準を解説

 

理学療法士国家試験の合格率推移と難易度|最新(60回)データと合格基準を解説

監修:日本リハビリテーション専門学校 吉葉 則和(理学療法士)

 

理学療法士国家試験の合格率は、受験生にとって試験の難易度を測る重要な指標です。
最新の第60回試験では比較的高い水準でしたが、過去の推移を見ると変動があることがわかります。

合格率の数値だけでなく、合格に求められる具体的な基準点や、現役生と既卒者での合格率の違いを理解することが、適切な試験対策につながります。
本記事では、最新データと過去の推移を基に、理学療法士国家試験の難易度と合格基準について詳しく解説します。

 

 

【2025年】第60回理学療法士国家試験の合格率は89.6%

2025年2月に行われた第60回理学療法士国家試験の結果が、同年3月に厚生労働省から発表されました。発表によると、全体の合格率は89.6%でした。この回の受験者数は12,691人、そのうち合格者数は11,373人となっています。

前年の第59回試験の合格率が89.2%であったことから、ほぼ同水準を維持した結果となりました。理学療法士国家試験は、医療専門職としての知識と技能を問う重要な試験であり、多くの受験生が合格を目指して学習に励んでいます。この合格率は、今後の試験に向けた難易度を考える上での一つの目安となります。

 

 

過去10年間の理学療法士国家試験における合格率の推移

理学療法士の国家試験合格率は、長期的な視点で見ると変動がありますが、ここ数年は安定した傾向にあります。

過去10年間の推移を振り返ることで、試験の難易度がどのように変化してきたかを把握できます。一時期、合格率が70%台まで低下したこともありましたが、近年は回復傾向にあり、受験生にとっては追い風と言える状況が続いています。この安定した推移は、試験内容や採点基準がある程度定着していることを示唆しており、受験生は過去のデータに基づいた対策を立てやすくなっています。

 

 

 

近年の合格率は80%台後半で安定的に推移

近年の試験合格率を見ると、第55回(2020年)は86.4%、第56回(2021年)は79.0%でした。その後、第57回(2022年)は79.6%に推移し、第58回(2023年)では87.4%と上昇、第59回(2024年)は89.2%となりました。最新の第60回(2025年)試験では89.6%を記録しており、全体的に80%台後半から90%に迫る水準で推移していることから、試験の難易度は比較的安定していると分析できます。

 

 

 

理学療法士国家試験に合格するための具体的な基準点

理学療法士国家試験の合否は、単に全体の合格率だけで決まるものではありません。
合格するためには、厚生労働省が定める明確な合格基準を満たす必要があります。

この基準は、受験者全体の成績に左右される相対評価ではなく、個々の受験者が一定の得点レベルに達したかを問う絶対評価方式です。
したがって、合格点を確実に取ることが重要であり、具体的な基準を正確に理解しておくことが、試験対策の第一歩となります。
基準は主に2つの条件から構成されています。

 

 

一般問題と実地問題の総得点で6割以上を獲得する

理学療法士国家試験の合格には、総得点と実地問題の双方で基準を満たす必要があります。総得点の満点と合格点は試験回によって異なり、例えば273点満点中164点以上、あるいは279点満点中168点以上となる場合があります。

この基準は絶対評価であるため、試験問題の難易度や他の受験者の平均点によって合格点が変動することはありません。したがって、周囲の成績を気にすることなく、確実に合格基準点以上の得点を積み上げられるよう、全ての科目でバランス良く学習を進めることが求められます。

 

 

実地問題で4割以上の得点が必須条件

総得点で6割以上を獲得することに加えて、もう一つ満たさなければならない重要な条件があります。
それは、実地問題における最低得点率です。
実地問題は合計120点満点ですが、このうち3割以上、つまり43点以上の得点が必須となります。

この基準は「足切り」とも呼ばれ、たとえ一般問題と合わせた総得点が合格ラインの168点を超えていたとしても、実地問題の得点が43点に満たない場合は、それだけで不合格となってしまいます。
臨床場面を想定した実地問題への対策を怠ると、思わぬ結果につながる可能性があるため、十分な注意が必要です。

 

 

 

 

合格率で見る現役生と既卒者の難易度の違い

理学療法士国家試験の合格率は、受験者の状況によって大きく異なります。
特に、その年に養成校を卒業する「現役生(新卒)」と、卒業後に再受験する「既卒者」とでは、合格率に著しい差が見られます。

全体の合格率だけを見て試験の難易度を判断するのではなく、自身の立場における合格率を把握することが、より現実的な目標設定と対策につながります。
この新卒と既卒のデータ差は、試験の難易度が受験者の学習環境に大きく左右されることを示しています。

 

 

現役(新卒)の合格率は例年90%を超える

現役で受験する新卒者の合格率は、例年非常に高い水準を維持しています。
最新の第60回試験では、新卒者の合格率は95.2%に達しました。

これは、既卒者を含む全体の合格率89.6%を大きく上回る数値です。
新卒者は、養成校でのカリキュラムに沿って計画的に学習を進め、国家試験対策の授業や模擬試験など、手厚いサポートを受けられる環境にあります。
また、学友と共に学ぶことでモチベーションを維持しやすいことも、高い合格率の要因と考えられます。
このように、学習に専念できる環境が整っていることが、新卒者の圧倒的な強みとなっています。

 

 

既卒者の合格率は30%〜40%台と厳しい傾向

新卒者とは対照的に、既卒者の合格率は厳しい状況にあります。
第60回理学療法士国家試験における既卒者の合格率は31.2%と、新卒者の95.2%と比較して大きな差が開きました。

この傾向は例年同様で、既卒者の合格率は30%台から40%台で推移することが多くなっています。
既卒者の場合、多くは助手などとして働きながら勉強時間を確保する必要があり、学習への集中が難しい環境にあります。
また、一度不合格になった経験から精神的なプレッシャーを感じやすいことや、最新の出題傾向を独学で追うことの難しさも、合格率が低くなる要因と考えられます。

 

 

 

理学療法士国家試験の合格率に関するよくある質問

難易度の正確な予測は困難ですが、合格基準は総得点の6割以上という絶対評価で定められています。

2024年までの試験と同様に、過去問を中心に基礎知識を固め、苦手分野を克服する基本的な対策が最も重要です。
近年の合格率が安定していることから、極端な難化は考えにくいですが、油断せず着実に学習を進めることが合格への鍵となります。

 

 

Q1. 第61回(2026年)国家試験の難易度はどうなるでしょうか?

難易度の正確な予測は困難ですが、合格基準は総得点の6割以上という絶対評価で定められています。

2024年までの試験と同様に、過去問を中心に基礎知識を固め、苦手分野を克服する基本的な対策が最も重要です。
近年の合格率が安定していることから、極端な難化は考えにくいですが、油断せず着実に学習を進めることが合格への鍵となります。

 

 

Q2. 自分が通う養成校(大学・専門学校)の合格実績を確認する方法は?

厚生労働省が毎年「理学療法士国家試験学校別合格者状況」を公表しており、公式サイトで確認できます。
この資料には、全国の大学や専門学校ごとの受験者数と合格者数が掲載されています。

また、多くの養成校では、自身の公式サイトやパンフレットなどで合格率を公表しているため、そちらを参照するのも有効な方法です。

 

 

Q3. なぜ既卒になると合格するのが難しくなるのですか?

既卒者の合格が難しくなる主な理由は、学習環境の変化です。
多くの場合、働きながらの受験となり、勉強時間の確保が困難になります。

また、学生時代と比べて学習のモチベーションを維持しにくいことや、最新の試験情報を得にくいことも要因として挙げられます。
独学による孤独感や、再受験へのプレッシャーも影響すると考えられます。

 

 

まとめ

理学療法士国家試験の合格率は、近年80%台後半で安定的に推移しており、計画的に学習すれば十分に合格が目指せる試験です。
ただし、合格基準として総得点の6割以上に加え、実地問題で4割以上の得点が必要な点を忘れてはいけません。

また、新卒者と既卒者では合格率に大きな差があり、特に既卒者は厳しい状況に置かれます。
これは、同じリハビリテーション職である作業療法士の国家試験でも同様の傾向が見られます。
自身の状況を客観的に把握し、適切な学習計画を立てて試験に臨むことが重要です。

監修:日本リハビリテーション専門学校 吉葉 則和(理学療法士)