作業療法士の役割とは?仕事内容や理学療法士との違いをわかりやすく解説

 

作業療法士の役割とは?仕事内容や理学療法士との違いをわかりやすく解説

監修:日本リハビリテーション専門学校 栗原 実里(作業療法士)

 

作業療法士の役割とは、病気やけが、あるいは生まれつきの障害によって日常生活に支障をきたしている人々に対し、心と体の両面からリハビリテーションを行い、その人らしい生活の再建を支援することです。
本記事では、作業療法士の具体的な仕事内容や、しばしば比較される理学療法士との違い、活躍の場について詳しく解説します。

作業療法士とは何か、その専門性や目的を理解するための一助となれば幸いです。

 

 

作業療法士(OT)が担う中心的な役割とは?

作業療法士(OT)の役割は、対象者が主体的な生活を送れるように、食事や入浴といった日常生活の動作から、仕事、趣味活動に至るまで、あらゆる「作業」を通じて心身機能の回復を支援することです。

その目的は、単に身体機能を回復させるだけでなく、対象者が社会的役割を取り戻し、生きがいを感じられる生活を再構築できるよう、個々の価値観や目標に寄り添いながらサポートすることにあります。

 

 

心と体の両面から「その人らしい生活」の実現を支援する

作業療法士は、身体機能の回復訓練だけでなく、精神的な安定や意欲の向上も重視します。
対象者にとって意味のある「作業」、例えば料理や園芸、手芸といった活動をリハビリに取り入れることで、楽しみながら自然と心身の機能を高める機会を与えます。

これにより、対象者は自信を取り戻し、再び社会と関わる意欲を持つことができます。
このように、作業療法士は身体的なアプローチと心理的なアプローチを組み合わせ、対象者一人ひとりが望む「その人らしい生活」をオーダーメイドで作り上げていく役割を担っています。

 

 

 

 

リハビリを通して食事や入浴など日常生活の動作回復を目指す

作業療法士が行うリハビリテーションの中核には、食事、着替え、入浴、トイレといった日常生活に不可欠な動作(ADL)の回復があります。
このリハビリでは、単に筋力や関節の動きを改善するだけでなく、実際の生活場面でどのように体を使えば動作が楽になるか、あるいは自助具や福祉用具をどう活用するかといった具体的な方法を指導します。

対象者が安全かつ自立して日々の生活を送れるようになることを目指し、一人ひとりの状態や生活環境に合わせた実践的な訓練計画を立てて実行していきます。

 

 

社会参加を促進するための精神的なサポート

病気や障害は、身体的な機能低下だけでなく、自信の喪失や社会からの孤立感といった精神的な苦痛をもたらすことがあります。
作業療法士は、対象者が抱える不安や葛藤に耳を傾け、精神的な支えとなることも重要な役割です。

趣味活動やグループでの作業などを通じて、他者と交流する機会を設け、成功体験を積み重ねることで自己肯定感を高めます。
このようにして、対象者が再び地域社会や家庭で自分の役割を見つけ、主体的に参加していくための精神的な基盤を整える支援を行います。

 

 

 

 

【比較】作業療法士(OT)と理学療法士(PT)の役割の違いを解説

作業療法士と理学療法士は、ともに対象者の機能回復を支援するリハビリテーションの専門職ですが、その役割には明確な違いがあります。
理学療法士が「立つ」「歩く」といった基本的な動作能力の回復に焦点を当てるのに対し、作業療法士は食事や料理、仕事といった、より応用的で生活に密着した動作能力の改善と社会復帰を目指します。

両者はそれぞれの専門性を活かし、連携しながら対象者をサポートします。

 

 

作業療法士(OT):応用的な動作や社会復帰を支援する

作業療法士の役割は、基本的動作が可能になった後の、より複雑で応用的な生活動作の再建を支援することです。
例えば、食事の際に箸を使う、服を着替える、料理をするといった具体的な生活行為の訓練を行います。

さらに、復職を目指す人に対しては、パソコン作業や軽作業などの職業関連動作の訓練を行う就労支援も担います。
また、精神的なケアを通じて社会参加への意欲を引き出し、趣味活動の再開など、生活の質(QOL)全体の向上を目指す点も大きな特徴です。

 

 

 

 

理学療法士(PT):立つ・歩くといった基本的な動作の回復を支援する

理学療法士の役割は、病気やけがによって損なわれた基本的な身体機能の回復を支援することにあります。
具体的には、関節を動かす、筋力をつけるといった運動療法や、電気刺激や温熱などを利用した物理療法を用いて、寝返る、起き上がる、座る、立つ、歩くといった動作の改善を図ります。

これらの基本動作は、日常生活を送る上での土台となるため、理学療法士はリハビリテーションの初期段階で中心的な役割を担うことが多いです。
対象者が安全に移動できる能力を獲得することが主な目的となります。

 

 

【対象分野別】作業療法士が果たす4つの役割

作業療法士の専門性は、対象者の状態や年齢に応じて4つの主要な分野で発揮されます。
具体的には、脳卒中後のリハビリなどを行う「身体障害分野」、心の病を抱える人を支援する「精神障害分野」、子供の成長をサポートする「発達障害分野」、そして高齢者の生活を支える「老年期障害分野」です。

これらの4つの領域において、作業療法士はそれぞれの特性に応じたアプローチで、対象者の生活再建を支援しています。

 

 

1. 身体障害分野:日常生活動作の再獲得とリハビリ

身体障害分野では、脳卒中、骨折、神経難病などにより身体機能に障害がある人々を対象とします。
作業療法士は、食事や着替え、入浴といった日常生活動作(ADL)を再び行えるように、筋力や関節可動域の改善、巧緻性(手先の器用さ)の向上を目指すリハビリを行います。

また、スプーンの持ち手を太くするなどの自助具の提案や、手すりの設置といった住宅改修のアドバイスも行い、対象者が障害を抱えながらも、できる限り自立した生活を送れるように環境面からも支援します。

 

 

2. 精神障害分野:心のケアと社会生活への適応支援

精神障害分野において、作業療法士は統合失調症やうつ病、依存症などの精神疾患を抱える人々を支援します。

精神科病院やクリニックなどで、手芸、スポーツ、園芸、料理といった具体的な作業活動を用いて、気分の安定、集中力や対人関係能力の向上を図ります。これらの活動は、生活リズムを整え、自己肯定感を高めることにつながります。最終的には、対象者が退院後に地域社会で安定した生活を送れるように、生活スキルの獲得や再就職の準備など、社会生活への適応をサポートする役割を担います。

 

 

 

 

3. 発達障害分野:子供の成長に合わせた機能の発達サポート

発達障害分野では、脳性まひや自閉スペクトラム症など、生まれつき発達に課題のある小児を対象とします。
作業療法士は、遊びを通して、座る、立つといった運動機能や、物をつかむ、字を書くといった感覚・知覚機能の発達を促します。

発達障害領域では、子供が日常生活や学校生活にうまく適応できるよう、個々の特性に合わせた支援計画を立てることが重要です。
また、保護者に対して家庭での関わり方について助言したり、学校の先生と連携したりするなど、子供を取り巻く環境全体に働きかける役割も担います。

 

 

4. 老年期障害分野:高齢者の生活機能の維持と認知症ケア

老年期障害分野では、加齢や病気に伴い心身機能が低下した高齢者を対象とします。
作業療法士は、できる限り自立した生活を長く続けられるよう、筋力維持の体操や日常生活動作の訓練、趣味活動の提供などを行います。

特に認知症の方に対しては、昔の道具を使ったり、馴染みのある歌を歌ったりする回想法などを通じて精神的な安定を図り、認知機能の低下を緩やかにするアプローチも行います。
高齢化社会が進行する中で、高齢者の尊厳ある生活を支える作業療法士のニーズはますます高まっています。

 

 

【職場別】作業療法士の具体的な仕事内容と役割

作業療法士は、医療機関や介護福祉施設だけでなく、子供の発達支援施設や地域社会まで、非常に幅広いフィールドで活躍しています。
それぞれの職場には異なるニーズがあり、作業療法士は対象者や施設の目的に応じて専門的な役割を果たします。

病院での急性期リハビリから、地域での生活支援まで、働く場所によって仕事内容は多岐にわたります。

 

 

医療機関(一般病院・精神科病院など)での役割

病院などの医療機関において、作業療法士は医師の指示のもと、患者の病状や回復段階に応じたリハビリテーションを提供します。
急性期病院では発症直後から早期離床や合併症予防を図り、回復期リハビリテーション病院では集中的な訓練を通じて在宅復帰を目指します。

医師や看護師、理学療法士など他職種と連携し、チーム医療の一員として患者の機能回復と退院支援を担うことが重要な役割です。
精神科病院では、精神的な安定と社会生活への適応を目的とした作業活動を行います。

 

 

介護・福祉施設(老人ホーム・デイサービスなど)での役割

介護老人保健施設や特別養護老人ホームなどの介護施設において、作業療法士は利用者の心身機能の維持・向上を目的とした役割を担います。
福祉の現場では、個別の機能訓練に加え、集団でのレクリエーションや趣味活動を企画・実施し、利用者の生活に活気と潤いをもたらします。

通所リハビリテーション(通所リハ)では、在宅で生活する高齢者が日帰りでリハビリに通い、身体機能の維持や社会参加の機会を支援します。
老人ホームでは、生活そのものがリハビリと捉え、日常動作を通じた機能維持を図ります。

 

 

児童福祉・教育機関(支援施設・特別支援学校など)での役割

児童発達支援センターや放課後等デイサービス、特別支援学校などの現場では、発達に課題を抱える子供たちの支援が作業療法士の役割です。
遊びや学習を通じて、身体の動かし方、手先の使い方、コミュニケーション能力などを育むサポートを行います。

個々の子供の発達段階や特性を評価し、それに合わせたプログラムを作成・実施します。
また、保護者への助言や、学校の教員と連携してクラスでの過ごし方について提案するなど、子供が円滑に集団生活を送れるよう環境を調整する役割も重要です。

 

 

 

 

就労支援施設や保健所など地域社会での役割

作業療法士の活躍の場は、地域社会にも広がっています。
就労移行支援事業所では、障害のある人が一般企業へ就職するための職業訓練や相談支援を行います。
また、保健所や市町村の保健センターでは、地域住民の介護予防事業や健康増進活動に関わります。

さらに、利用者の自宅を訪問してリハビリを行う訪問リハビリテーションも重要な役割の一つです。
通院が困難な人に対して、実際の生活環境の中で動作指導や住宅改修のアドバイスを行い、地域での自立した生活を支えます。

 

 

作業療法士に関するよくある質問

ここでは、作業療法士という職業について、多くの方から寄せられる質問にお答えします。
対象となる人、資格取得の方法、そして仕事のやりがいといった、作業療法士を目指す上での基本的な疑問点を解説します。

これから作業療法士を目指す方や、この仕事に関心のある方はぜひ参考にしてください。

 

 

Q1. 作業療法士のリハビリはどのような人が対象になりますか?

身体や精神に障害がある、またはそれが予測される全ての方が対象となります。
年齢も、新生児から高齢者まで幅広く、特定の疾患に限りません。

脳卒中後の後遺症、骨折、発達障害、認知症など、日常生活や社会生活に何らかの支障がある場合に支援を行います。
スポーツ選手のパフォーマンス向上を目指すスポーツリハビリとは異なり、生活の再建を主目的としています。

 

Q2. 作業療法士になるには、どのような資格や学びが必要ですか?

作業療法士になるには、国家資格である「作業療法士免許」の取得が必須です。
この国家試験を受験するためには、文部科学省または厚生労働省が指定する大学、短期大学、あるいは3年制以上の専門学校の養成課程を修了する必要があります。

養成校では、解剖学や生理学などの基礎医学に加え、専門的な知識と技術を講義や実習を通して学びます。

 

Q3. 作業療法士の仕事のやりがいは何ですか?

対象者ができなかったことができるようになった瞬間に立ち会い、その人らしい生活を取り戻す過程を一番近くで支援できる点にあります。
対象者やその家族から「ありがとう」と直接感謝の言葉を伝えられることも多く、人の役に立っていると実感できるのが大きな魅力です。

一人ひとりの人生に深く関わり、その人の可能性を引き出す手助けができる、非常に充実感のある仕事です。

 

 

まとめ

作業療法士は、身体的な機能回復だけでなく、精神的なサポートを通じて、対象者が「その人らしい生活」を送れるよう支援する専門職です。
理学療法士が「立つ・歩く」といった基本動作を担うのに対し、作業療法士は食事や更衣といった日常生活の応用動作から、復職や趣味活動といった社会参加まで、より生活に密着した領域をサポートします。

活躍の場は病院や介護施設にとどまらず、子供の発達支援や地域での生活支援など多岐にわたります。
対象者一人ひとりの人生に深く関わり、その人の生きがいを再構築する手助けをする、社会にとって不可欠な役割を担っています。

監修:日本リハビリテーション専門学校 栗原 実里(作業療法士)

 

 

 

理学療法士国家試験の合格率や難易度、受験資格・内容を解説

理学療法士国家試験の合格率や難易度、受験資格・内容を解説

監修:日本リハビリテーション専門学校 鍋城武志(理学療法士)

 

理学療法士になるために必須となる国家試験の全体像を解説します。
本記事では、試験の難易度を示す合格率の推移から、具体的な受験資格、出題内容まで、受験生が知りたい情報を網羅的にまとめました。

理学療法士を目指す上で、どのくらいのレベルが求められるのか、試験の概要を正確に理解するための内容となっています。

 

 

理学療法士国家試験とは?まずは概要をチェック

理学療法士国家試験は、「理学療法士及び作業療法士法」に基づき、理学療法士として業務を行うために必要な知識を評価する国の検定試験です。
正式名称は「理学療法士国家試験」であり、この試験に合格し、免許登録をすることで初めて理学療法士として働くことが可能になります。

年に一度実施され、試験の日程や受験資格、出題範囲などの詳細は厚生労働省から発表されます。

 

 

試験日程と申し込み方法

 

理学療法士国家試験は、例年2月に実施されます。直近の第59回試験は2024年2月18日に行われました。第60回試験は2025年2月に、第61回試験は2026年2月23日(月)に実施される予定です。

試験会場は北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、香川県、福岡県、沖縄県に設置されるのが通例です。受験の申し込み期間は、第61回試験の場合、2025年12月15日(月)から2026年1月5日(月)とされています。受験願書などの必要書類を受付期間内に提出する必要があります。
試験当日は時間に余裕を持って会場に到着し、トイレの場所などを事前に確認しておくと落ち着いて試験に臨めます。(当校では最寄り駅に毎年8:30に集合して遅刻を防止、教員が激励の挨拶をして送り出します)

 

受験資格を得るための3つのルート

 

理学療法士国家試験の受験資格を得るためには、主に3つのルートがあります。

1. **文部科学大臣または都道府県知事が指定した養成校を卒業するルート**: 高校卒業後、文部科学大臣または都道府県知事が指定する理学療法士養成施設で4年制または3年制の専門課程を修了し、卒業する(または卒業見込みである)ことが最も一般的なルートです。

2. **海外で理学療法に関する教育を修了し、厚生労働大臣の認定を受けるルート**: 海外の理学療法に関する学校や施設を卒業し、日本の理学療法士と同等以上の知識および技能を有すると厚生労働大臣から認定を受ける方法です。

3. **特定の経過措置によるルート**: 昭和40年8月28日時点で、文部大臣または厚生大臣指定の学校または施設において、理学療法士となるのに必要な知識および技能の修得を終えているか、または修業中であり、この法律の施行後にその修得を終えた者も受験資格を得ることができます。

 

 

出題範囲と問題形式の詳細

 

試験はマークシート方式の筆記試験のみで、実技試験や口述試験はありません。
問題は午前と午後に分かれ、一般問題と実地問題から構成されます。
総問題数は200問で、配点は一般問題が1問1点、実地問題が1問3点、合計280点満点です。

出題範囲は、解剖学、生理学、運動学といった基礎医学分野から、臨床医学、臨床心理学、リハビリテーション医学、人間発達学、理学療法といった専門分野まで多岐にわたります。
筋肉や骨の構造、てこや嚥下の原理など、基礎的な知識が臨床場面でどのように応用されるかが問われます。
発達に応じた体操など、幅広い教科の知識が求められ、一部の基礎医学問題は作業療法士と共通です。

 

気になる理学療法士国家試験の難易度は?合格率の推移から解説

理学療法士国家試験の難易度は、合格率の高さから比較的易しいと誤解されがちですが、専門的な知識が問われるため、決して簡単な試験ではありません。
合格率の数字だけでは、その難しさを正確に測ることは困難です。

偏差値で示されるものではなく、養成校での学習の質が合否に直結します。到達度試験なので280点満点中6割の168点以上得点した場合は全員合格します。ここでは、最新のデータや過去の合格率の推移、出題傾向から試験の本当の難易度を解説します。

 

最新の理学療法士国家試験の合格率

2024年3月に発表された第59回理学療法士国家試験(令和6年実施)の結果では、受験者数12,629人に対し、合格者数11,282人で、合格率は89.3%でした。このうち、新卒者の合格率は95.3%と非常に高い水準です。

第58回試験(2023年実施)の合格率は87.4%であり、近年は80%台後半で安定した合格率を維持しています。この数字は、養成校での教育課程を真面目に修了すれば、多くの人が合格できるレベルであることを示しています。しかし、これは十分な試験対策を行った結果であり、油断はできません。

 

過去6年間の合格率の動向

過去6年間の合格率を見ると、第55回(2020年)が86.4%、第56回(2021年)が79.0%、第57回(2022年)が79.6%、第58回(2023年・令和5年)が87.4%、そして最新の第59回(2024年)が87.1%という動向です。
2021年と2022年には合格率が80%を下回り
ましたが、その後は回復傾向にあります。

過去には第49回試験のように合格率が大きく変動することもあり、試験の難易度には波があることがわかります。この推移から、常に安定して高い合格率が保証されているわけではなく、年度ごとの傾向を把握し、着実な準備が求められることが読み取れます。

 

合格率だけでは判断できない?養成校での学習が重要

理学療法士国家試験の高い合格率は、受験資格を得るまでの養成校における3〜4年間の教育課程の成果です。
学生は解剖学や生理学といった基礎から、専門的な理学療法の知識・技術までを体系的に学び、臨床実習を通じて実践力を養います。

このカリキュラム自体が国家試験に向けた土台作りとなっており、日々の授業や実習への取り組みが合否に大きく影響します。
そのため、合格率の数字だけを見て試験の難易度を判断するのではなく、養成校での学習の積み重ねこそが最も重要であると認識する必要があります。
合格は、長期間にわたる地道な努力の結果と言えます。

 

 

合格を掴むための国家試験対策と具体的な勉強法

理学療法士国家試験の合格には、戦略的な対策と効率的な勉強法が不可欠です。
試験の概要や難易度を把握した上で、具体的な学習計画を立てることが重要になります。

このセクションでは、厚生労働省が公開する過去問の活用法から、専門分野と共通分野それぞれに適した勉強のアプローチ、さらにはスキマ時間を有効に使うためのツール選びまで、合格を確実にするための実践的な方法を解説します。

 

厚生労働省の過去問を活用した実践的な対策法

最も効果的な試験対策は、厚生労働省のウェブサイトで公開されている過去問を繰り返し解くことです。
過去問に取り組むことで、出題形式、問題の難易度、そして時間配分に慣れることができます。

特に、実際の臨床場面を想定した実地問題は、知識の応用力が問われるため、重点的な対策が欠かせません。
ただ問題を解いて答え合わせをするだけでなく、なぜその選択肢が正解で、他の選択肢がなぜ誤りなのかを一つひとつ徹底的に分析することが重要です。
このプロセスを通じて、断片的な知識が体系化され、真の実力が身につきます。

 

専門分野・共通分野別のおすすめ勉強法

効率的に学習を進めるには、分野ごとの特性に合わせた勉強法が求められます。
解剖学や生理学、運動学といった共通分野は、すべての専門分野の土台となるため、早い段階から図やイラストを活用して視覚的に理解を深め、完璧に固めておくことが重要です。

一方、運動療法や理学療法評価学などの専門分野は、臨床実習で経験した症例と関連付けて学習すると、知識が定着しやすくなります。
疾患の病態と具体的なアプローチをセットで覚えることで、応用力が養われます。
まずは得点源にしやすい共通分野を固め、そこから専門分野へと学習範囲を広げていく計画的なアプローチが有効です。

 

 

スキマ時間を有効活用できるアプリや参考書の選び方

 

通学中や休憩時間などのスキマ時間を活用することは、国家試験対策において非常に重要です。
一問一答形式のスマートフォンアプリや、要点がまとめられた学習サイトは、知識の反復学習や暗記に適しています。

参考書を選ぶ際は、自分の学習レベルに合っており、図や表が多くて視覚的に理解しやすいものを選ぶと良いでしょう。
また、予備校が作成した予想問題や、合格者の学習記録をまとめたnoteなども参考になります。当校ん本リハビリテーション専門学校では国試対策特別チームで良質な参考書を選択し、2026年からは新たに国試対策学習リコメンドシステム「KEISHIN.net」を導入いたします。
特に試験直前期には、新しい知識を詰め込むよりも、これらのツールを使って既習範囲の最終確認を行い、知識の精度を高めることが効果的です。

 

 

試験合格後の流れ|免許申請から理学療法士になるまで

国家試験の合格は理学療法士としてのキャリアの始まりに過ぎません。
合格後には、正式に理学療法士として働くための手続きが待っています。

このセクションでは、合格発表の確認方法から、免許を申請する際の具体的な手順、そして就職先に提出が必要な書類の準備まで、試験合格後から理学療法士としての一歩を踏み出すまでの流れを時系列で分かりやすく解説します。

 

合格発表の日程と確認方法

合格発表は、例年試験日から約1ヶ月後の3月下旬に行われます。
正式な発表日になると、厚生労働省のウェブサイトに合格者の受験地と受験番号が掲載されるため、オンラインで確認するのが一般的です。

合格者に対して個別に合格証書などの通知が郵送されるわけではないので注意が必要です。
ただし、成績および合否については、後日、受験者全員に書面で通知されます。
発表当日はサイトへのアクセスが集中して繋がりにくくなる可能性があるため、少し時間を置いてから確認することをおすすめします。

 

理学療法士免許の申請に必要な書類と手続き

国家試験合格後、理学療法士として業務を行うには免許申請の手続きが必須です。
この手続きには、いくつかの必要書類を揃えなければなりません。
具体的には、免許申請書、戸籍抄本または住民票の写し(発行後6ヶ月以内)、そして医師が発行した健康診断書が必要です。

また、登録免許税として9,000円分の収入印紙を購入し、申請書に貼付します。
養成校の卒業証明書の提出も求められる場合があります。
これらの提出書類一式を、住所地の保健所(一部地域では県庁)へ持参し、免許申請を行います。

 

 

就職先に提出する書類の準備

免許申請の手続きと並行して、内定している就職先への書類提出も進めましょう。
多くの医療機関や施設では、入職にあたり卒業証明書や成績証明書の提出が求められます。
また、理学療法士免許を取得した証明として、免許証のコピーの提出も必要です。

免許証は申請から手元に届くまで2〜3ヶ月かかる場合があります。それまでに勤務が始まる場合は、免許申請時に発行される「登録済証明書」を提出することで対応できます。登録済証明書は、オンライン申請を利用すると比較的早く取得できる場合があります(例えば、千葉市では申請時に希望すれば1〜2ヶ月ほどで郵送されるとされています)。
入職手続きを円滑に進めるため、履歴書の更新を含め、必要な書類を早めに準備し、提出期限を確認しておくことが大切です。

 

 

理学療法士国家試験に関するよくある質問

 

理学療法士国家試験を受験するにあたり、多くの人が共通の疑問や不安を抱えています。
例えば、社会人として働きながら合格を目指すことは可能なのか、万が一試験に不合格だった場合どうなるのか、また新卒と既卒では合格率にどの程度の差があるのかといった点です。

ここでは、そうしたよくある質問に対して、具体的かつ簡潔に回答していきます。

 

 

働きながら理学療法士国家試験の合格を目指せますか?

 

可能です。ただし、仕事と両立しながら学習時間を確保することが最大の課題となります。

通勤時間や休日などのスキマ時間を効率的に活用し、綿密な学習計画を立てることが不可欠です。独学での合格が難しい場合は、社会人向けの夜間部を設置している養成校や、サポートが充実した通信講座の利用も有効な選択肢となります。

 

 

もし国家試験に落ちたらどうなりますか?

 

国家試験に不合格となった場合、その年は理学療法士として働くことができず、翌年以降の試験に再挑戦することになります。

就職の内定を得ていた場合、内定取り消しとなる医療機関がある一方で、介護職として契約職員での雇用継続や、リハビリ助手としての採用を提案するケースも一部には存在します。諦めずに挑戦を続けることが大切です。

 

 

新卒と既卒で合格率に違いはありますか?

 

はい、合格率には顕著な差が見られます。
例年、新卒者の合格率が90%を超える高い水準であるのに対し、既卒者の合格率はそれを大幅に下回る傾向にあります。

これは、学習に専念できる環境を維持することの難しさや、モチベーションの維持が課題となるためです。
そのため、可能な限り現役での一発合格を目指すことが重要になります。

 

 

まとめ

 

本記事では、理学療法士国家試験の概要について、合格率や難易度、受験資格、出題内容などの観点から解説しました。
合格率は比較的高く推移していますが、それは養成校での3〜4年間にわたる体系的な学習と実習の積み重ねが前提となっています。

試験に合格するためには、まず試験の全体像を正確に把握し、厚生労働省が公開する過去問を中心に、計画的な対策を進めることが不可欠です。
また、試験合格後には免許申請という重要な手続きが控えています。
このまとめを参考に、試験に関する正しい情報を得て、理学療法士になるための着実な一歩を踏み出してください。

監修:日本リハビリテーション専門学校 鍋城武志(理学療法士)

 

理学療法士と整体の違いは?症状別にどっちへ行くべきか解説

理学療法士と整体の違いは?症状別にどっちへ行くべきか解説

監修:日本リハビリテーション専門学校 鍋城武志(理学療法士)

 

身体に不調を感じた際、「病院の理学療法士」と「街中の整体師」のどちらに相談すべきか迷うことがあるかもしれません。
理学療法士と整体師は、どちらも身体の専門家というイメージがありますが、その役割や資格には明確な違いがあります。
この記事では、資格、目的、料金体系などの観点から両者の違いを解説し、症状や目的に応じてどちらを選ぶべきかの判断基準を提案します。

一目でわかる!理学療法士と整体師の5つの違い比較

理学療法士と整体師の主な違いは、「資格」「目的」「場所」「保険適用」「対象者」の5つの観点から整理できます。
理学療法士は国家資格を持ち、医師の指示のもと病院などの医療機関で病気や怪我の治療・リハビリを目的とします。
そのため、医療保険が適用されます。

一方、整体師は民間資格または無資格であり、整体院などで慢性的な不調の緩和やリラクゼーションを目的とした施術を行います。
こちらは医療行為ではないため、費用は全額自己負担となるのが基本です。
このように、両者は似ているようで、その背景や役割は大きく異なります。

【国家資格 vs 民間資格】保有資格の決定的な違い

理学療法士と整体師を分ける最も根本的な違いは、保有している資格にあります。
理学療法士は、国が定めた養成課程を修了し、国家試験に合格した者のみが名乗れる国家資格です。

これに対し、整体師には国家資格が存在せず、民間団体が認定する資格を取得するか、あるいは無資格で施術を行っている場合もあります。
この資格の違いが、施術内容や信頼性に大きく影響します。

理学療法士は国が認めたリハビリテーションの専門家

理学療法士は「理学療法士及び作業療法士法」に基づく国家資格であり、医学的な知識と技術を持つリハビリテーションの専門職です。
大学や専門学校などの養成校で3年以上学び、解剖学、生理学、運動学といった専門知識を習得した上で国家試験に合格する必要があります。

主な役割は、病気や怪我、加齢などによって身体機能が低下した人々に対し、運動療法や物理療法を用いて、起き上がる、座る、歩くといった基本的な動作能力の回復を支援することです。
医師の指示のもとでリハビリを行うため、医療従事者の一員として位置づけられています。

整体師は民間資格であり知識や技術に幅がある

整体師には理学療法士のような国家資格はなく、誰でも名乗ることが可能です。
ただし、多くの整体師は民間団体が運営するスクールなどで手技を学び、独自の認定資格を取得して活動しています。

しかし、これらの資格は法的な裏付けがあるわけではなく、教育内容や基準も団体によって様々です。
そのため、施術者の知識レベルや技術力には大きな幅があるのが実情です。
信頼できる整体師を見つけるためには、どのような教育を受け、どれくらいの経験を積んでいるかなどを事前に確認することが求められます。

 

 

【治療 vs コンディショニング】施術目的と内容の違い

理学療法士と整体師では、目的と提供する内容が異なります。
理学療法士の目的は、医師の診断に基づいた医学的リハビリテーションであり、身体機能の回復という「治療」の一環を担います。

一方で整体師は、病気や怪我の治療ではなく、身体の歪みを整えたり、筋肉の緊張を緩和したりすることによる不調の改善やコンディショニングを主な目的としています。
この目的の違いが、具体的なアプローチの差となって現れます。

理学療法士の目的は医師の指示のもと行うリハビリテーション

理学療法士が行うリハビリテーションは、医師による診断と指示に基づいて計画されます。
その目的は、病気、事故による怪我、障害などによって損なわれた運動機能の回復や維持、悪化の予防です。

例えば、骨折後の関節可動域訓練、脳卒中後の歩行訓練、スポーツ選手の競技復帰に向けたリハビリなどが挙げられます。
運動療法を用いて筋力や柔軟性を改善したり、温熱や電気などの物理療法で痛みを軽減したりと、医学的根拠に基づいたアプローチで対象者の社会復帰を支援します。

整体師の目的は身体の不調緩和やリラクゼーション

整体師が行う施術の主な目的は、日常生活で生じる身体の不調を和らげることです。
骨盤の歪みや姿勢の乱れを整えたり、硬くなった筋肉をほぐしたりすることで、肩こり、腰痛、頭痛といった慢性的な症状の改善を目指します。

また、病気の治療ではなく、心身のリフレッシュや疲労回復を目的としたリラクゼーションとして利用されることも少なくありません。
手技を用いて身体のバランスを調整し、人間が本来持つ自然治癒力を高める手助けをすることが、整体の役割と言えます。

【病院・クリニック vs 整体院】施術を受けられる場所の違い

理学療法士と整体師では、主に活動する場所が異なります。
理学療法士は国家資格を持つ医療専門職であるため、そのほとんどが病院やクリニック、介護老人保健施設といった医療機関や介護保険関連施設に勤務しています。
医師の指示のもとリハビリテーションを提供するため、医療体制が整った環境が主な職場です。

一方、整体師は医療従事者ではないため、病院で働くことはありません。
主な活躍の場は、街中にある整体院やリラクゼーションサロン、カイロプラクティック院などになります。

【保険適用 vs 全額自費】料金体系と費用の違い

理学療法士によるリハビリテーションと整体の施術では、料金体系に大きな違いがあります。
病院やクリニックで受ける理学療法士のリハビリテーションは、医師の指示のもと行われる医療行為の一環とみなされるため、原則として健康保険や介護保険などの公的医療保険が適用されます。
そのため、利用者は費用の1〜3割を自己負担するだけで済みます。

対照的に、整体院での施術は医療行為ではないため、公的医療保険は適用されません。
料金は全額自己負担となり、費用は各整体院が独自に設定しています。

あなたの悩みはどっち?症状・目的別のおすすめを紹介

身体の不調を感じたとき、理学療法士と整体師のどちらを選ぶべきかは、その症状の原因や目的によって異なります。
骨折や手術後のように原因がはっきりしている医学的な問題は理学療法士、原因が特定しにくい慢性的な不調や身体のメンテナンスは整体師、というように大別できます。

ここでは、具体的な症状や目的別に、どちらの専門家を訪ねるのがより適しているかを解説します。

理学療法士のリハビリテーションがおすすめな人

理学療法士によるリハビリテーションは、医師の診断が伴う以下のようなケースで推奨されます。

まず、骨折、捻挫、脱臼、靭帯損傷といった怪我や、人工関節置換術などの手術後のリハビリテーションが必要な場合です。また、脳卒中やパーキンソン病など神経系の疾患による後遺症で身体機能に障害がある人、スポーツによる怪我からの競技復帰を目指す人も対象となります。腰椎椎間板ヘルニアや変形性膝関節症など、整形外科で診断名がついた症状の改善も理学療法の専門分野です。原因が明確な痛みや動作の困難さを抱えている場合は、まず医療機関を受診し、理学療法士のサポートを受けるのが適切です。

整体の利用がおすすめな人

整体の利用は、病気や怪我には至らないものの、日常生活で感じる慢性的な不調を抱えている人におすすめです。
具体的には、長時間のデスクワークによる慢性的な肩こりや腰痛、姿勢の悪さが気になる場合などが挙げられます。
また、原因ははっきりしないけれど何となく身体がだるい、疲れが取れないといった不定愁訴の緩和にも役立つことがあります。

病気の治療ではなく、日々の身体のメンテナンスやコンディション調整、心身のリフレッシュを目的とする場合に適しています。
ただし、急な激しい痛みやしびれがある場合は、まず医療機関を受診することが重要です。

安心感を求めるなら「理学療法士が在籍する整体院」という選択肢もある?

理学療法士による整体の3つのメリット

理学療法士が提供する整体には、主に3つのメリットがあります。
第一に、解剖学や運動学といった医学的知識に基づいた評価と理学療法が受けられる点です。
身体の構造を熟知しているため、痛みの根本原因を的確に見つけ出し、効果的なアプローチが期待できます。

第二に、安全性の高さです。
医療機関での経験から、マッサージやストレッチを行ってはいけない危険な状態(レッドフラッグ)を見極める能力に長けており、リスク管理を徹底した上で理学療法を行います。
第三に、身体の評価能力の高さです。
姿勢や動作を詳細に分析し、不調の根本的な原因を特定した上で、一人ひとりに合わせたセルフケアやトレーニングの指導まで行ってくれることが多いです。

失敗しない!理学療法士がいる整体院の選び方

理学療法士が在籍する整体院を選ぶ際は、いくつかの点を確認することが失敗を防ぐ鍵となります。
まず、ウェブサイトなどで施術を担当する理学療法士の経歴を確認しましょう。
特に、病院やクリニックでの勤務経験が豊富であるかは、臨床能力を判断する上での重要な指標です。

次に、初回のカウンセリングや身体の評価に十分な時間をかけてくれるかどうかも大切です。
流れ作業ではなく、利用者の悩みや身体の状態を丁寧に把握しようとする姿勢があるかを見極めます。
さらに、内容や料金体系が明確に提示されていることも信頼できる院の条件です。
口コミや評判も参考にしつつ、最終的には自身の身体の悩みに親身に対応してくれるかどうかで判断するのが良いでしょう。

【キャリア編】理学療法士と整体師の仕事内容や給料の違い

職業としての理学療法士と整体師は、仕事内容だけでなく収入やキャリアパスも大きく異なります。
理学療法士の平均年収は比較的に安定しており、病院や介護施設からの求人が多いため、就職や転職はしやすい傾向にあります。

一方、整体師の収入は働き方や技術力によって大きく変動します。
成功すれば高い年収を得ることも可能ですが、競争も激しく、安定した求人が常にあるわけではありません。
理学療法士がスキルアップや収入増を目指して、整体の技術を学び、開業権をもつ国家資格を取得した後、副業や独立開業を視野に入れるケースも見られます。

理学療法士と混同しやすい他の国家資格との違い

理学療法士は、身体のリハビリテーションに関わる専門職ですが、同様に身体にアプローチする国家資格は他にも存在します。
特に「柔道整復師」「あん摩マッサージ指圧師」「作業療法士」は、理学療法士と役割や働く場所が似ているため混同されがちです。

しかし、それぞれの専門分野や法律で認められている業務範囲は明確に異なります。
これらの資格との違いを理解することは、自分に合ったサービスを選択する上で役立ちます。

柔道整復師との違い

柔道整復師は、主に骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷といった急性の外傷(ケガ)に対して、手術をしない「非観血的療法」によって治療を行う専門家です。
整復、固定などの処置が主な業務であり、「ほねつぎ」や「接骨師」としても知られています。
主な職場は整骨院や接骨院で、理学療法士と異なり医師の指示なしに一部の施術を行えるほか、独立開業権が認められている点が大きな違いです。

理学療法士が病気や手術後を含む幅広いリハビリを担うのに対し、柔道整復師はケガの応急処置やその後の回復に特化しています。

あん摩マッサージ指圧師との違い

あん摩マッサージ指圧師は、「あん摩」「マッサージ」「指圧」という3つの手技を用いて、身体の変調を整える専門家です。
主な目的は、血行を改善し、筋肉の緊張(コリ)を和らげることです。

理学療法士が運動機能の回復を目指すのに対し、あん摩マッサージ指圧師はリラクゼーションや不定愁訴の改善に重点を置いています。
主な職場は治療院やリラクゼーションサロン、病院、介護施設など多岐にわたります。
理学療法士と異なり、医師の指示がなくても施術を行うことができ、独立して治療院を開業することも可能です。

作業療法士との違い

作業療法士は、理学療法士と最も近い領域で働くリハビリテーション専門職です。
両者の大きな違いは、アプローチする能力の側面にあります。

理学療法士が「歩く」「立つ」などの基本的な動作能力(運動機能)の回復を支援するのに対し、作業療法士は食事、着替え、入浴といった日常生活の応用的な動作や、仕事、趣味活動など、その人らしい生活を送るための能力の回復を支援します。
また、身体的な障害だけでなく、精神的な障害を持つ人も対象とする点が作業療法士の大きな特徴です。
リハビリテーションの現場では、理学療法士が食事、着替え等などのADL、IADLに関わることもありますし、作業療法士が歩くなどの基本動作に関わることもあります。働く場所(病院?急性期?回復期?クリニック?老健?)によって変化します。

 

 

理学療法士と整体に関するよくある質問

ここでは、理学療法士と整体について、よくある疑問点をQ&A形式で解説します。
理学療法士の独立開業に関する法的側面や、「理学療法士監修」という表現の受け止め方、健康保険の適用条件など、具体的な疑問について説明します。

これらの情報を知ることで、自分に合ったサービスを適切に選択できるようになります。

理学療法士は整体師のように開業できますか?

理学療法士が「理学療法」を看板に掲げて治療院を開業することは法律で認められていません。

ただし、整体師として整体院を開業することは可能です。

その場合、提供するサービスはあくまでも整体であり、保険適用外の全額自費サービスとなります。

整体院で「理学療法士監修」と書かれているのは信頼できますか?

「監修」は、理学療法士が治療内容の考案などに関わっていることを示しますが、直接施術を行うわけではないため注意が必要です。

信頼性の一つの指標にはなりますが、実際に施術する担当者の資格や経験を確認することがより重要になります。

健康保険を使って理学療法士の手技を受けるにはどうすればいいですか?

健康保険を利用するには、まず病院やクリニックを受診し、医師の診察を受ける必要があります。
その結果、治療の一環としてリハビリテーションが必要だと医師が判断した場合に、「処方」という形で理学療法士による処置が開始されます。

まとめ

理学療法士と整体師の最も大きな違いは、国家資格の有無にあります。
理学療法士は国家資格を持つ医療専門職であり、医師の指示のもと医療機関で保険適用のリハビリテーションを行います。

一方、整体師は民間資格または無資格で、整体院などで保険適用外のコンディショニングを提供します。
この違いから、目的、場所、料金体系が大きく異なります。
骨折や手術後など医学的対応が必要な場合は理学療法士、慢性的な肩こりや身体のメンテナンスが目的であれば整体師が適しています。
また、医学的知識に基づいた安全な施術を自費で受けたい場合は、理学療法士が在籍する整体院も有効な選択肢となります。
自身の症状や目的に合わせて適切に使い分けることが重要です。

 

 

監修:日本リハビリテーション専門学校 鍋城武志(理学療法士)