働きながら医療系の国家資格を取得できる! 社会人におすすめの学び方

働きながら医療系の国家資格を取得できる! 社会人におすすめの学び方

現在の仕事を続けながら、将来のために新たなスキルを身につけたいと考える社会人にとって、医療系の資格取得は魅力的な選択肢です。医療業界は安定した需要が見込まれ、専門性を活かして長期的にキャリアを築くことが可能です。

この記事では、社会人経験を強みにできる理由や、働きながらでも目指しやすい医療系の資格の種類、そして学業と仕事を両立させるための学校選びのポイントについて詳しく解説します。

### 働きながら目指しやすい医療系の資格について
「医療系の資格」には、国が認定する「国家資格」の他に、民間団体や公益法人が認定する「民間資格」や、国や地方公共団体が認定する「公的資格」があります。

医師や看護師、薬剤師などの医療系国家資格の多くは、取得するために大学や専門学校などの養成施設で3年から6年間の専門教育を修了し、国家試験に合格する必要があります。 そのため、「働きながら目指しやすい」とは一概には言えません。しかし、オンライン学習を併用したカリキュラムを工夫したり、現場での助手アルバイトを紹介することで働きながら学ぶ環境づくりを推進している養成校もあります。

社会人向けの夜間部を設けている専門学校もあり、仕事と両立しながら国家資格の取得を目指すことも可能です。

社会人経験が強みになる!今、医療系の国家資格が注目される理由

日本では少子高齢化が進み、2025年にはいわゆる「2025年問題」が発生しました。これは団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、医療や介護の需要が急増したことで、医療費の増大や医療従事者の不足が顕在化した社会問題です。
医療業界は景気に左右されにくく、安定した需要が見込まれるため、不況時でも大きく需要が減少することはありません。むしろ、人々の生命と健康を支える必要不可欠なサービスとして、高い安定性を持つ分野と言えます。実際に、医療や介護の現場では、高い専門性を持つ人材が常に求められており、次に控える2040年問題に向けてもこの傾向は続くと予測されています。

【2040年問題とは】2040年には高齢者の人口がピークを迎え、全人口に占める高齢者の割合が約35.3%に達すると推計されている状況です。これは、2025年問題よりもさらに医療・介護サービスの需要が高まり、医師や看護師といった医療従事者だけでなく、介護職員の不足も深刻化する可能性があることを示唆しています。また、単身高齢者世帯の増加や、認知症高齢者の増加も懸念されており、地域包括ケアシステムの強化や、医療・介護現場でのテクノロジー導入による効率化が喫緊の課題となっています。

このような背景から、医療系の国家資格は、社会人にとって将来を見据えた安定したキャリアを築くための有力な選択肢として注目されています。専門知識と技術を証明する医療系の国家資格を取得することで、全国どこでも通用するキャリアを築くことが可能です。また、社会人経験で培われたコミュニケーション能力や問題解決能力は、医療現場でのチーム医療において、患者や他の医療スタッフとの連携を円滑にする上で大きな強みとなります。これらのスキルは、多様な背景を持つ患者の不安に寄り添い、安心感を提供するためにも不可欠です。

景気に左右されにくく安定して働ける

医療は人々の生命と健康を支える必要不可欠なサービスであり、経済状況の変化による影響を受けにくいという特徴があります。
そのため、医療系資格を持つ専門職は、常に一定の需要があり、安定した雇用環境で長期的に働くことが可能です。
特に、少子高齢化が進行する日本では、医療や介護のニーズは今後ますます高まると予測されています。

景気に左右されず、将来にわたって社会に貢献しながら安心してキャリアを継続できる点は、医療業界で働く大きな魅力の一つと言えるでしょう。
一度資格を取得すれば、ライフステージの変化に合わせて働き方を選びやすいのも利点です。

高い専門性を身につけてキャリアを築ける

医療系資格は、国が認めた高度な専門知識と技術を持っていることの証明です。
資格を取得することで、特定の分野におけるプロフェッショナルとして、自信を持って業務に取り組むことが可能になります。
また、この専門性は一度身につければ生涯にわたって活用でき、全国どこへ行っても通用する普遍的なスキルとなります。

医療技術は日々進歩するため、就職後も研修や学会参加を通じて常に新しい知識を学び続ける必要がありますが、それが自身のスキルアップとキャリア形成に直結します。
専門職として経験を重ね、管理職や教育者など多様なキャリアパスを描けることも魅力です。

これまでのコミュニケーション能力を現場で活かせる

医療現場では、患者やその家族との信頼関係構築、医師や看護師、リハビリスタッフなど多職種との円滑な連携が不可欠です。
社会人として様々な立場の人と関わってきた経験で培われたコミュニケーション能力やビジネスマナーは、チーム医療を実践する上で大きな強みとなります。

相手の状況を理解し、的確に情報を伝え、合意形成を図るスキルは、医療専門職としての知識や技術と同じくらい重要視されます。
多様な背景を持つ人々と接してきた社会人経験は、患者の不安に寄り添い、安心感を与えることにも役立ちます。

働きながらでも目指しやすい!社会人におすすめの医療系国家資格

仕事を続けながら新たな資格取得を目指す社会人にとって、学びやすさは重要なポイントです。
医療・福祉系の国家資格の中には、受験資格として専門学校や大学などでの3年以上の専門教育修了を条件とするものが多くあります。一部の専門学校では社会人向けの夜間部や社会人入試を実施している場合もあります。通信講座や独学のみで取得できる医療・福祉系の国家資格は限られていますが、皆無ではありません。例えば、保育士や介護福祉士は独学での取得が可能です。また、登録販売者も独学や通信講座で対策しやすいとされています。そのため、社会人が働きながら医療・福祉系の国家資格取得を目指す場合、学校に通学する選択肢も一般的ですが、資格によっては他の学習方法も検討できます。

ここでは、働きながらでも挑戦しやすい選択肢として、将来性の高いおすすめの資格を5つ紹介し、それぞれの仕事内容や特徴について解説します。

患者の身体機能回復を支える理学療法士

理学療法士は、病気やケガなどによって身体機能が低下した人々に対し、運動療法や物理療法を用いて、座る、立つ、歩くといった基本的な動作能力の回復を支援するリハビリテーションの専門職です。
活躍の場は病院やクリニックだけでなく、介護老人保健施設、訪問リハビリテーションなど多岐にわたります。
高齢化の進展に伴い、その需要はますます高まっています。

この医療系の国家資格を取得するためには、国が指定する養成校(大学、短期大学、専門学校)で3年以上学び、国家試験に合格する必要があります。
夜間部を設置している専門学校もあり、働きながら資格取得を目指すことも可能です。

日常生活への復帰をサポートする作業療法士

作業療法士は、心身に障害のある人々に対し、食事や入浴といった日常生活の動作から、仕事、趣味活動に至るまで、様々な「作業」を通じて機能回復を支援するリハビリテーションの専門職です。
理学療法士が基本的な動作能力の回復を目指すのに対し、作業療法士はより応用的で社会的な活動への復帰をサポートします。

身体的なリハビリだけでなく、精神的なケアも行う点が特徴です。
この医療系の国家資格も、養成校で3年以上学び、国家試験に合格することで取得できます。
病院のほか、精神科、介護施設、特別支援学校など、活躍のフィールドは非常に広いのが魅力です。

生命維持管理装置を操作する臨床工学技士

臨床工学技士は、医療現場において、人工呼吸器や人工心肺装置、血液透析装置といった生命維持管理装置の操作および保守・点検を専門に行う医療技術者です。
医師や看護師と連携し、高度化・複雑化する医療機器を安全かつ効果的に運用することで、患者の命を支える重要な役割を担います。
医学と工学の両方の知識が求められる専門性の高い仕事であり、チーム医療に不可欠な存在として活躍が期待されています。

この医療系の国家資格を取得するには、指定された養成校で学び、国家試験に合格する必要があります。
夜間部を設けている専門学校もあり、社会人も目指しやすい資格の一つです。

口腔ケアの専門家である歯科衛生士

歯科衛生士は歯科医師の指導のもと、虫歯や歯周病を予防するための処置、歯磨き指導などの保健指導、そして歯科診療の補助という3つの主要な業務を担う口腔ケアの専門家です。
口腔の健康が全身の健康維持に深く関わっていることが知られるようになり、その役割は歯科医院内にとどまらず、病院や介護施設、地域保健の現場へと拡大しています。

この医療系の国家資格は養成校で3年以上学び、国家試験に合格することで取得できます。
夜間部を設けている学校も多く、仕事を続けながら資格取得を目指す社会人にとって選択肢の一つとなります。
専門職として長く働き続けやすい点も魅力です。

患者に寄り添い命を支える看護師

看護師は、医師の診療補助と、患者が療養生活を送る上での身体的・精神的なケアを行う専門職です。
病院やクリニックはもちろん、介護施設、訪問看護ステーション、企業の健康管理室など、非常に幅広いフィールドで活躍できます。

キャリアパスも多様で、専門看護師や認定看護師といった上位資格を目指すことや、管理職、教育者への道も開かれています。
この医療系の国家資格は、常に高い需要があり、安定性が魅力です。
社会人経験者を対象とした入試制度を設けている学校も多く、准看護師として働きながら正看護師を目指すルートもあるなど、社会人が挑戦しやすい環境が整っています。

働きながら学ぶなら専門学校が最適な3つの理由

仕事を続けながら医療系の国家資格取得を目指す社会人にとって、学習環境の選択は極めて重要です。
中でも専門学校は、効率的なカリキュラム、実践的なスキル習得の機会、そして手厚いサポート体制といった面で多くの利点を備えています。

大学と比較して、より短期間で集中的に学び、即戦力として現場に出ることを目的としているため、キャリアチェンジを考える社会人にとって最適な選択肢となり得ます。

最短ルートで資格取得を目指せるカリキュラムが組まれている

専門学校の最大の特長は、国家資格の取得という明確な目標達成に特化したカリキュラムが組まれている点です。
大学で履修するような一般教養科目は最小限に抑えられ、資格取得に直結する専門知識や技術の習得に時間と資源を集中させています。

そのため、定められた修業年限の中で、無駄なく効率的に学習を進めることが可能です。
また、多くの専門学校では、長年のノウハウに基づいた国家試験対策がカリキュラムに組み込まれており、模擬試験や集中講座などを通じて、学生の合格を強力にバックアップする体制が整えられています。
最短ルートで資格を取得したいと考える人にとって、非常に合理的な教育システムです。

実践的なスキルが身につく充実した実習環境がある

医療系の資格を取得し、現場で活躍するためには、座学で得た知識を実践に結びつけるための実習が不可欠です。
専門学校は、即戦力となる人材の育成を重視しており、臨床現場を想定した実習設備や機材が充実している傾向にあります。
実際の医療機関で使用されているものと同等の機器を用いて繰り返し練習することで、実践的なスキルを確実に身につけることが可能です。

また、地域の医療機関や福祉施設との連携が強く、豊富な実習先が確保されている点も大きなメリットです。
学生のうちから実際の現場を経験することで、卒業後にスムーズに業務へ適応するための基盤を築きます。

資格取得から就職まで一貫したサポートを受けられる

多くの専門学校では、クラス担任制を導入するなど、学生一人ひとりに対するきめ細やかなサポート体制を整えています。
学習面でのつまずきや国家試験への不安、学生生活の悩みなどについて、教員が親身に相談に乗ってくれる環境は、特に仕事との両立で多忙な社会人学生にとって心強いものです。

さらに、就職支援に関しても、キャリアセンターの専門スタッフが履歴書の添削や面接指導、求人情報の提供など、個々の希望に応じた手厚いサポートを実施します。
医療機関との太いパイプを活かした学校推薦の求人も多く、資格取得から希望の就職先を見つけるまで、一貫した支援を受けられるのが専門学校の強みです。

失敗しない学校選び!社会人が確認すべき4つのチェックポイント

働きながら学ぶことを決意した社会人にとって、専門学校選びは資格取得の成否を左右する重要なステップです。
学業と仕事を両立させるためには、自身のライフスタイルやキャリアプランに合った学校を見極める必要があります。

ここでは、時間的な制約や経済的な負担、そして将来のキャリアを見据えた上で、社会人が入学前に必ず確認しておくべき4つの重要なチェックポイントを具体的に解説します。

無理なく通える夜間部や土日開講のコースがあるか

仕事を続けながら学ぶ社会人にとって、最も重要なのが学習時間の確保です。
そのため、自身の勤務スケジュールと両立できるコースがあるかどうかは、学校選びの絶対条件となります。
多くの専門学校では、社会人向けに夜間部や昼間定時制、土日開講のコースを設置しています。
自分の生活リズムに合っているか、授業時間や年間スケジュールを詳細に確認することが不可欠です。

また、学校の立地も重要な要素で、職場や自宅からのアクセスが良く、無理なく通い続けられる場所にあるかどうかも確かめておく必要があります。
オープンキャンパスなどに参加して、実際の通学にかかる時間や負担を体感してみることも有効な方法です。

学費の負担を軽減する奨学金や教育訓練給付制度が使えるか

医療系の専門学校で学ぶには、入学金や授業料、実習費など、まとまった費用が必要になります。
経済的な負担を理由に学びを諦めることがないよう、利用できる支援制度を事前に調べておくことが重要です。
学校独自の奨学金制度や特待生制度のほか、日本学生支援機構の奨学金など、様々な選択肢があります。

特に社会人経験者は、厚生労働省が実施する「専門実践教育訓練給付金制度」の対象となる場合があります。
この制度を利用できる指定講座であれば、支払った学費の一部がハローワークから支給されるため、負担を大幅に軽減できます。
自分が対象となるか、志望校が対象講座を設置しているかを入学前に必ず確認してください。

社会人学生の受け入れ実績や卒業生の就職先は豊富か

社会人学生がどのくらい在籍しているかは、その専門学校が多様な背景を持つ学生の受け入れにどれだけ慣れているかを示す指標となります。
社会人入学者が多い学校は、仕事と学業の両立に関する悩みや不安への理解が深く、サポート体制が整っていることが期待されます。
学校説明会や個別相談の場で、社会人学生の割合や年齢層について質問してみると良いでしょう。

また、卒業生の就職実績も必ず確認したいポイントです。
自分が目指す分野や地域への就職者が多いかどうかは、その学校の教育レベルや医療業界とのつながりの強さを判断する材料になります。

現場経験が豊富な講師から直接指導を受けられるか

医療現場で即戦力として活躍するためには、教科書上の知識だけでなく、臨床現場で培われた生きた知識や技術を学ぶことが非常に重要です。
そのため、どのような経歴を持つ講師が指導にあたっているかを確認することは、学校選びにおいて欠かせません。

長年にわたり医療の第一線で活躍してきた経験豊富な講師からは、実際の症例に基づいた具体的な指導や、刻々と変化する医療現場の最新情報を得ることができます。
学校のウェブサイトやパンフレットで講師陣のプロフィールを確認したり、オープンキャンパスの体験授業に参加したりして、どのような教育が受けられるのかを自分の目で見極めることが求められます。

医療系の国家資格を目指す社会人のよくある疑問を解消

新しい分野への挑戦には、不安や疑問がつきものです。
特に、仕事を続けながら医療系の国家資格取得を目指す社会人からは、学習面での適性や年齢、勉強方法に関する質問が多く寄せられます。

ここでは、文系出身であることへの不安、転職時の年齢の壁、独学の可否といった、社会人が抱きがちな3つの代表的な疑問を取り上げ、それぞれの疑問に対する考え方や実際の状況について解説します。

文系出身で理数系が苦手でも授業についていける?

医療系の学問では、人体の構造を学ぶ解剖学や生命現象を理解する生理学など、生物や化学といった理数系の基礎知識が必要となる科目があります。
そのため、文系出身の社会人や理数系に苦手意識を持つ方から、授業についていけるか不安だという声が聞かれます。

しかし、多くの専門学校では、入学者の学力にばらつきがあることを前提としており、基礎から丁寧に教えるカリキュラムが組まれています。
また、苦手な学生向けに補習授業や個別指導を行うなど、学習サポート体制が充実している学校も少なくありません。
入学前に高校レベルの参考書で復習しておくと安心ですが、最も重要なのは学ぶ意欲です。

医療職への転職に年齢制限はある?

医療職への転職において、採用に明確な年齢制限が設けられているわけではありません。
実際に30代や40代、あるいはそれ以上の年齢から学び始め、新人として医療現場でキャリアをスタートさせる社会人経験者は数多くいます。

むしろ、前職で培ったコミュニケーション能力やビジネスマナー、問題解決能力などは、多様な患者やスタッフと関わる医療現場において高く評価される強みとなります。
求人によっては体力面などを考慮される可能性はゼロではありませんが、国家資格という専門性があれば、年齢に関わらず活躍の場を見つけることは十分に可能です。
年齢をネックと捉えず、これまでの経験をどう活かせるかを考えることが大切です。

仕事と両立しながら独学で合格するのは難しい?

理学療法士、看護師、臨床工学技士といった医療系国家資格は、法律によって、国が指定した養成校(大学、専門学校など)で定められたカリキュラムを修了することが受験資格として義務付けられています。
これには、専門的な講義だけでなく、医療機関での臨床実習も含まれるため、通信教育のみといった独学で受験資格を得ることはできません。

したがって、仕事と両立しながら資格取得を目指す場合は、夜間部や昼間定時制など、社会人が通いやすいコースを設置している養成校に入学することが唯一の方法となります。
一部の資格で通信制の課程も存在しますが、その場合も必ず一定期間の対面授業や実習が必須です。

まとめ

社会人が働きながら医療系の国家資格を目指すことは、十分に実現可能なキャリアプランです。
安定性が高く、専門性を活かして長期的に活躍できる医療系資格は、将来のキャリアチェンジを考える上で有力な選択肢となります。

資格取得に向けては、社会人向けのカリキュラムや手厚いサポート体制が整った専門学校が有効な学びの場です。
学校選びの際は、自身のライフスタイルに合った通学形態であるか、学費支援制度が利用できるか、そして社会人の受け入れ実績などを総合的に判断することが求められます。
学習面や年齢に関する不安を解消し、自身の経験を強みとして、新たなキャリアへの一歩を踏み出すことが可能です。

監修:日本リハビリテーション専門学校 栗原実里(作業療法士)

福祉系の仕事で活躍したいあなたにおすすめ資格10選

福祉系の仕事で活躍したいあなたにおすすめ資格10選

福祉業界での活躍を目指す上で、専門的な知識と技術を証明する資格は大きな武器となります。
この記事では、福祉の仕事に役立つ資格を一覧で紹介し、未経験から目指せるものからキャリアアップに繋がる国家資格まで、おすすめの資格を解説します。

それぞれの資格の役割や取得方法を理解し、自身のキャリアプランに合った役立つ資格を見つけるための参考にしてください。

福祉の仕事で資格が重視される理由

福祉の現場では、専門的な知識や技術に基づいた質の高いサービスが求められます。
そのため、資格は個人のスキルを客観的に証明し、利用者やその家族からの信頼を得るための重要な指標となります。

無資格や資格なしで従事できる業務もありますが、身体介護のような専門的なケアを行う場合や、相談援助業務を担う際には資格が必須となることがほとんどです。
資格取得の過程で体系的な知識を学ぶことは、専門職としての倫理観や責任感を育むことにも繋がります。

【未経験者向け】福祉業界への第一歩となるおすすめ資格3選

福祉業界が未経験の方でも、挑戦しやすい資格は複数存在します。
介護の入門資格から、専門的なリハビリテーションを担う国家資格まで、その種類は様々です。

ここでは、取得のしやすさ、臨床現場での有用性、そして将来性の観点から、福祉業界への第一歩としておすすめの資格を3つ紹介します。
身体のケアを学ぶ資格だけでなく、心身のリハビリを担う作業療法士といった専門職も選択肢の一つとして視野に入れると、キャリアの幅が広がります。

介護の基本的な知識と技術を学ぶ「介護職員初任者研修」

介護職員初任者研修は、介護の仕事を行う上での基本的な知識と技術を習得するための入門的な資格です。
身体介護を行うためには、原則としてこの研修の修了が必要となります。
研修は比較的短期間で修了でき、資格取得もそれほど簡単ではありませんが、介護職としてのキャリアをスタートさせるための最初のステップとして位置づけられています。

作業療法士を目指す学生が、現場を知るためにアルバイトとして介護施設で働く際にもこの資格が役立ちます。
介護の基礎を理解していることで、将来リハビリ専門職として働く際に、介護職員との円滑な連携が可能になります。

より実践的な介護スキルを習得できる「介護福祉士実務者研修」

介護福祉士実務者研修は、介護職員初任者研修よりも広範で専門的な介護知識と技術を学ぶための研修です。
この研修を修了することは、介護分野で唯一の国家資格である「介護福祉士」の受験資格を得るための主要なルートの一つとなります。
たんの吸引や経管栄養といった医療的ケアに関する知識も学べるため、より実践的なスキルを身につけることが可能です。

作業療法士をはじめとするリハビリ専門職は、日々のケアを担う介護福祉士と連携して利用者を支援します。
そのため、彼らが持つ専門性を理解することは、チームアプローチにおいて非常に重要です。

障がいがある方の生活を在宅で支える「重度訪問介護従業者」

重度訪問介護従業者は、重度の肢体不自由や知的障がい、精神障がいがある方の居宅での生活を支援する専門職です。
食事や入浴といった身体介護だけでなく、外出時の移動支援やコミュニケーションの補助など、その支援内容は多岐にわたります。
資格取得の難易度はそれほど高くありませんが、利用者の状態に応じたきめ細やかな対応が求められるため、専門的なスキルが不可欠です。

作業療法士は在宅でのリハビリや環境調整を行いますが、重度訪問介護従業者と連携することで、利用者が地域社会でその人らしい生活を継続するための包括的な支援体制を築くことが可能になります。

リハビリの立場から介護業界を支える「作業療法士」

作業療法士は、心身に障がいがある方が「その人らしい生活」を送れるよう支援する国家資格を持つリハビリテーションの専門職です。介護職の「できないことを補助する」支援とは異なり、作業療法士は食事や入浴、仕事や趣味といった「作業」を通じて、できなかったことができるようになるための心身機能の回復や維持を図ります。

対象者の可能性を信じ、個々の生活課題に寄り添いながら、目標達成に向けて具体的なリハビリテーションプログラムを提供することで、自立した生活を送るためのサポートを行います。
介護業界においては、利用者の自立を支援し、生活の質を高める上で作業療法士の専門性は不可欠です。

 

【キャリアアップ向け】専門性を証明する国家資格3選

福祉業界でキャリアを積み、より専門的な役割を担うためには、国家資格の取得が有効な手段となります。
民間資格とは異なり、国が定めた基準に基づいて知識や技術を認定するため、社会的な信頼性が高く、専門職としての地位を確立できます。

作業療法士や理学療法士といったリハビリテーションの国家資格と同様に、介護や相談援助の分野にも専門性を証明する福祉系の国家資格が存在します。
これらの資格は、キャリアアップや待遇改善に直結する重要なものです。

介護分野で唯一の国家資格「介護福祉士」

介護福祉士は、専門的な知識と技術をもって、身体上または精神上の障がいがあることにより日常生活を営むのに支障がある人に対し、心身の状況に応じた介護を行う専門職です。
介護分野における唯一の国家資格であり、介護サービスの質の向上を担う中核的な存在として期待されています。
国家試験に合格する必要があり、受験資格を得るためには実務経験ルートや養成施設ルートなど複数の道筋があります。

試験問題は介護に関する幅広い知識を問う内容で、作業療法士など他職種との連携に関する視点も含まれます。
現場のリーダーや教育担当としての役割も担うことが多く、キャリアアップに不可欠な資格です。

福祉に関する相談援助の専門家「社会福祉士」

社会福祉士は、身体的、精神的、経済的な困難を抱える人々の相談に応じ、適切なサービスや制度につなげることで問題解決を支援する専門職です。
福祉施設や医療機関、行政機関など幅広い分野で活躍し、利用者と社会資源を結びつけるコーディネーターとしての役割を担います。
大学等で指定科目を履修するなどの受験資格を満たした上で国家試験に合格する必要があります。
保育士などの資格を持つ人がキャリアチェンジを目指すケースも見られます。

作業療法士が利用者の身体機能や生活動作に焦点を当てるのに対し、社会福祉士は生活環境や社会制度の側面からアプローチするため、両者の連携は利用者の包括的な支援に不可欠です。

精神的な障がいがある方を支援する「精神保健福祉士」

精神保健福祉士は、精神科病院や地域の相談支援事業所などで、精神的な障がいがある方々の社会復帰や自立を支援する専門職です。
相談援助を通じて、日常生活の訓練や就労支援、地域生活への移行などをサポートします。

精神科領域で活動する作業療法士とは密接に連携するパートナーであり、作業療法士が具体的な作業活動を通じて心身の機能回復を促すのに対し、精神保健福祉士は社会参加を促進するための環境調整や関係機関との連携を担います。
大学での履修や実務経験によって受験資格が得られ、通信制の養成施設も充実しているため、働きながら資格取得を目指すことも可能です。

介護の現場で必要不可欠な心と体の専門性「作業療法士」

作業療法士は、リハビリテーション専門職の国家資格であり、病気や怪我、障がいによって日常生活に困難を抱える人々に対し、「作業」を通じて心身機能の回復や維持を支援します。具体的には、食事や入浴、着替えといった基本的な動作から、仕事、趣味などの応用的な活動まで、個々の生活に即した作業を用いて、対象者が主体的に活動できるようサポートします。対象者の生活課題を深く理解し、その人に合った目標設定と個別プログラムの提供を通じて、自立した生活を送るためのサポートを行います。介護現場では、利用者の身体状況や生活背景を考慮し、個別のリハビリテーション計画を立てることで、自立支援と生活の質の向上に不可欠な役割を担っています。

【特定分野の専門家へ】スキルを深める専門資格4選

福祉系の国家資格を取得した後、さらに特定の分野で専門性を高めることで、キャリアの可能性は一層広がります。
高齢者ケア、障がい児支援、医療的ケアなど、自身の興味や関心、職場のニーズに合わせてスキルを深めるための専門資格が存在します。

作業療法士が専門作業療法士制度を通じて専門性を追求するように、他の福祉専門職も関連資格を取得することで、より質の高いサービスを提供できるようになり、チーム内での役割も明確になります。

認知症ケアの専門知識を証明する「認知症ケア専門士」

認知症ケア専門士は、認知症に関する高度な知識と技術を有し、質の高いケアを提供できることを証明する民間資格です。
認知症の方への直接的なケアだけでなく、本人や家族への相談支援、ケアチーム内での指導的な役割も期待されます。

受験するには3年以上の認知症ケアに関する実務経験が必要であり、資格取得後も研修等を通じて知識のアップデートが求められます。
作業療法士も認知症の方のリハビリテーションに深く関わりますが、この資格を持つことで、認知症の進行段階に応じた適切なアプローチや環境調整について、より専門的な視点から提案できるようになります。

利用者に最適なケアプランを作成する「ケアマネジャー」

ケアマネジャー(介護支援専門員)は、要介護者や要支援者からの相談に応じ、心身の状況や生活環境に合わせた最適なケアプランを作成する専門職です。
利用者本人や家族の意向を尊重しながら、必要な介護保険サービスを調整し、サービス事業者との連携を図る役割を担います。

受験するには、特定の国家資格に基づく業務や相談援助業務で5年以上の実務経験が必要です。
作業療法士もこの受験資格に該当します。
リハビリの視点から利用者の潜在能力を評価し、自立支援に資するケアプラン作成に貢献できるため、作業療法士としての経験を活かせるキャリアパスの一つです。

子どもたちの成長と自立をサポートする「児童指導員任用資格」

児童指導員は児童養護施設や障害児支援施設などで子どもたちの生活指導や学習支援、遊びを通じた心身の発達サポートを行う職種です。
この職に就くために必要なのが児童指導員任用資格であり特定の学部の卒業や実務経験など定められた要件を満たすことで資格を有すると認められます。
特別な試験はありません。

発達障がいのある子どもを支援する療育の現場では作業療法士が個別の感覚統合訓練や微細運動の練習を行う一方児童指導員が集団活動の中で社会性やコミュニケーション能力を育むなどそれぞれの専門性を活かして連携し子どもたちの成長を多角的に支えています。

たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアを行う「喀痰吸引等研修」

喀痰吸引等研修は、介護職員などが、たんの吸引や経管栄養といった特定の医療的ケアを実施するために必要な知識と技術を習得するための研修です。
医師や看護師の指示のもと、利用者の安全を確保しながらケアを行うことが求められます。
この研修を修了し、都道府県に登録することで、介護福祉士や訪問介護員なども医療的ケアを行えるようになります。

医療的ケアが必要な利用者がリハビリテーションを受ける際、担当の作業療法士が利用者の状態を把握し、安全に配慮する必要があります。
介護職員がこのスキルを持つことで、医療職との情報共有が円滑になり、利用者は安心してリハビリに取り組めます。

自分に合った福祉系資格を見つけるための3つのポイント

数ある福祉系資格の中から、自分にとって最適なものを選ぶためには、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。
将来のキャリアプランや現在のライフスタイルを考慮し、計画的に資格取得を進めることが求められます。

これは、作業療法士のような専門職を目指す場合も同様で、どのような分野で、誰を対象に支援したいのかを明確にすることが、学習のモチベーションを維持し、目標を達成するための鍵となります。

将来どのような仕事に就きたいかで選ぶ

まず、自分が福祉の分野でどのような役割を果たしたいのかを具体的に考えることが重要です。
例えば、高齢者の日常生活に直接寄り添い、身体的なケアを中心に支援したいのであれば介護福祉士が適しています。

一方、障がいのある方の心と身体の機能回復を支え、その人らしい生活の再構築を手伝いたいと考えるなら、作業療法士が選択肢となるでしょう。
子どもが好きで、成長を支援することにやりがいを感じるなら児童指導員も視野に入ります。
支援したい対象者や関わり方を明確にすることで、目指すべき資格が自ずと見えてきます。

 

受験資格に実務経験や学歴が必要か確認する

福祉系の資格には、誰でも受験できるものから、特定の学歴や実務経験が求められるものまで様々です。
例えば、介護職員初任者研修は学歴や経験を問われませんが、介護福祉士や社会福祉士、作業療法士などの国家資格は、指定の養成校を卒業する必要があります。

また、ケアマネジャーのように、特定の職種で5年以上の実務経験が受験の必須条件となっている資格も存在します。
自分の経歴や学歴で受験資格を満たせるのか、あるいはこれからどのようなステップを踏む必要があるのかを、事前に詳細に確認しておくことが不可欠です。

現在の仕事を続けながら取得できるか検討する

社会人が福祉業界への転職やキャリアアップを目指す場合、現在の仕事を続けながら資格取得が可能かどうかは重要な検討事項です。
介護職員初任者研修や実務者研修は、土日や夜間に開講しているスクールが多く、働きながらでも通いやすい環境が整っています。

また、社会福祉士や精神保健福祉士は、通信制の大学や養成施設を活用することで、自分のペースで学習を進めることが可能です。
作業療法士を目指す場合も、夜間部を設置している養成校があり、仕事をしながら専門知識を学ぶ道が開かれています。
自身の生活リズムや経済状況に合わせ、無理のない学習計画を立てることが大切です。

福祉系の資格を取得することで得られる3つのメリット

福祉系の資格を取得することは、単に専門知識が身につくだけでなく、キャリア形成において多くの具体的なメリットをもたらします。
専門職としての信頼性が高まり、業務の幅が広がることで、仕事へのやりがいも一層深まります。

作業療法士のような国家資格を持つことは、安定したキャリアを築く上での大きな基盤となり、給与面や転職市場においても有利に作用します。
資格は、自身の努力と専門性を証明する確かな証となります。

対応できる業務の幅が広がりキャリアアップにつながる

資格を取得することで、法律上その資格保有者でなければ行えない独占業務や専門的な判断が求められる業務を担当できるようになります。
例えば、介護職員初任者研修を修了すれば身体介護が可能になり、ケアマネジャーの資格を取得すればケアプランの作成を担えます。

作業療法士がさらに認定作業療法士や専門作業療法士の資格を得ると、特定の領域におけるスペシャリストとして、より高度なリハビリテーションを提供したり、後進の指導にあたったりする道が開けます。
このように、資格は業務範囲を拡大し、現場のリーダーや管理職といったキャリアアップの道筋を拓く役割を果たします。

資格手当による給与アップが期待できる

多くの福祉施設や医療機関では、専門性を評価する形で資格手当制度を導入しています。
介護福祉士、社会福祉士、作業療法士といった国家資格はもちろん、特定の研修を修了していることに対しても手当が支給される場合があります。

資格を取得することは、自身のスキルアップだけでなく、給与という形で直接的な評価につながるケースが多いです。
これは、専門的な知識や技術を持つ人材を確保し、サービスの質を維持・向上させたいという事業者側の意図の表れでもあり、資格取得の大きな動機付けの一つとなります。

転職活動で自身のスキルを客観的に証明できる

転職を考える際、資格は自身の持つ知識や技術レベルを客観的に証明する強力なツールとなります。
特に、福祉業界は全国に職場があるため、資格があれば地域を問わずに活躍の場を見つけやすいという利点があります。

作業療法士の資格があれば、病院、介護施設、あるいは児童発達支援センターなど、多様なフィールドへの転職が可能です。
採用担当者に対して、自分が即戦力として貢献できる人材であることを具体的に示すことができるため、未経験の分野へ挑戦する場合でも、関連する資格を保有していることが有利に働く場面は少なくありません。

まとめ

福祉系の仕事は、介護、相談援助、リハビリテーションなど多岐にわたり、それぞれの分野で専門資格を持つ人材が求められています。
資格は、専門知識の証明となるだけでなく、キャリアの選択肢を広げ、より良い待遇を得るための基盤となります。

例えば、作業療法士は国家資格であり、対象者の「その人らしい生活」を支援する専門職として、医療や福祉の様々な場面で活躍しています。
本記事で紹介した資格情報を参考に、自分がどのような形で社会に貢献したいのかを考え、将来を見据えた資格選びをすることが、充実したキャリアを築く第一歩です。

監修:日本リハビリテーション専門学校 田中克一(作業療法士)