移動支援機器「Keeogo」(ロボットスーツ)の体験授業~理学療法学科夜間部

先日、理学療法学科夜間部では、「日本Keeogo協会」の皆様に全面的にご協力いただき、移動支援機器「Keeogo」(ロボットスーツ)を実際に学生たちが自ら装着して体験する授業を行いました。

 

 

 


 

Keeogoとは

 

カナダで開発され台湾で製造されているロボティック移動支援機器です。keep on going(歩き続けよう)から作られた造語です。

日本Keeogo協会HPより引用

 


 

 

それでは実際にはどんな体験授業だったのか、簡単にレポートしてみたいと思います。

 

 

今回は日本Keeogo協会認定トレーナーの方(6名)にお越しいただき、機器の説明や装着体験にご協力いただきました。

 

 

 

 

まずは「Keeogo」の特徴や他の機器との違いなどについて説明していただいた後、実際に学生たちがKeeogoを装着させていただきます。

 

 

ただ装着して歩くというわけではなく、Keeogoがサポートする力を弱くしたり強くしたり変化をさせながら体験してもらいます。

 

 

 

 

装着した状態でハーフランジ(またはフルランジなど)を行い、その様子をお互いに観察してみると、人によってベストなサポート力が違うという事がわかってきます。

 

 

 

 

そのようにお互いを評価し合い、そしてそれをグループごとに共有し話し合っていきます。

 

 

実際にリハビリテーションの場面では、Keeogoなどの支援機を使うことの目標(ゴール)を設定し、それに向けてどんな課題があり、どのようにリハビリテーションをプログラムしていけばいいかといった事を考えていきます。

 

 

 

 

近年、リハビリテーションの世界ではロボットスーツが少しずつ身近な存在になってきました。これからのリハビリテーションではさらにその役割が大きくなってくると予想されています。

 

 

ロボットスーツと一言で言ってっも様々な種類や役割があり、軽度の移動障がいの方向けのもの、重度の移動障がいのある方向けのものなどがあります。

 

 

このような機会を通して、将来臨床現場に出たときには、新しい技術にも対応できる即戦力として活躍できるようになってください。

 

 

 

 

日本Keeogo協会の皆様、この度はご協力いただきありがとうございました。また次回以降の授業もよろしくお願いいたします。

精神科領域で働く作業療法士は、どんな仕事をしているの?

ますます需要が増加する精神科

精神科は、今後ますます需要が増加すると言われています。若い世代も含めて精神疾患に悩む人は多く、ストレス社会と呼ばれてる日本。「5人に1人は一生の間に何らかの精神疾患にかかる」と言われており、精神科は非常に身近になってきています。

メンタルをサポートする精神科の患者が増加していくにつれて、そこで働く専門職への需要も増すでしょう。

また、近年ではIT化が進み、AIに取って代わる職業も多いとされています。しかし医療専門職については例外でしょう。その中でも精神科については、人にしかできない領域だと言われています。数十年後を見越しても、精神科がロボット一色になるといったことは考えにくいです。

そのため、作業療法士として就職先を選ぶ際に、以下を選択肢に入れる方も増えてきています。

●精神科病院

精神疾患のある患者さんに接することが主な仕事です。例として、統合失調症・神経症・うつ病・躁鬱病・薬物やアルコール等の依存症・認知症・心身症・パーソナル障がい・てんかんなどがあります。

仕事内容は、精神的な負担の緩和や、作業プログラムによる訓練などを行います。

●精神保健福祉センター

精神保健福祉センターは、病院とは違い、地域住民の精神的な健康を保持・改善するための施設です。

仕事内容は、精神疾患や依存症など福祉に関する講演や研修、また精神保健福祉職に関わる人に向けた技術指導などを行ないます。地域住民の相談窓口として、心の健康に関する様々な相談を受けることもあります。

精神領域における作業療法士の仕事

では、実際に精神領域で働く作業療法士はどういった仕事を行っているのでしょうか。

まず、患者さんの「生活のしづらさ」をアセスメントし、適切な介入により生活の質を向上させることを目的とします。具体的には、創作やレクリエーションといった作業療法活動を通して喜びや達成感を促す関わりから、より実生活で役立つ技能の獲得を目指す関わりへと幅広い関わりを持っていきます。

精神領域でなく身体領域の作業療法でも行うことではありますが、特に精神科リハビリテーションにおいては「実生活に結びつく技能獲得に関する支援」が重要となります。

理由としては、実生活に結びつく技能獲得には個人差があるので、患者さんそれぞれに個別に介入をしていくことが求められます。特に当事者の持つ生活のしづらさには認知機能障害が関連しているとされることから、高次脳機能のリハビリテーションとしての視点から生活における障害を捉えなおす関わりが作業療法士には求められます。

また他職種と同様に、カウンセリングや当事者の環境調整、プログラム提供など幅広い関わりも仕事のひとつです。

精神科におけるチーム医療

「精神科で働く専門職」と聞いて思い浮かぶのは、精神保健福祉士や臨床心理士ではないでしょうか。実際、チーム医療として作業療法士とともにそれらの専門職、そして医師や看護師が一丸となって患者さんをサポートしています。作業療法士以外のチーム医療メンバーについて見ていきましょう。

●医師

まず、医師について。医師の仕事は診察をし、治療方針を立て、薬を処方することです。医師の役割は患者さんだけではなくチーム医療全般にも大きな影響力を持っています。そして患者さんのご家族との信頼関係を維持することや、他のスタッフと連携をとること、モニターや副作用のチェックなどの観察を行うことも役割としてあります。

●保健師・看護師

そして次に、保健師・看護師です。保健師としての役割は、保健所・保健センター等の公的機関で求められるような予防的な視点を持つことです。看護師としての役割は、病院や訪問看護ステーションなどで求められるような治療的視点をもつことです。

また、日頃から体調の変化を感じたり表現したりすることや、早期に他者に相談するという対処法を身につけていけるようサポートしていくことも重要な役目と言えます。

●精神保健福祉士

次に、精神保健福祉士の役割です。精神保健福祉士は、医療・保健・福祉の様々な場面を統合したサービスによって地域生活をサポートすることが仕事です。わかりやすく言うと、患者さんと社会との懸け橋となる存在ですね。

●臨床心理士

臨床心理士の役割は、面接や観察、心理検査などを通して心理学的なアセスメントを行うことです。これが一番「精神科」と聞いてイメージする仕事かもしれません。カウンセリングを行い、コーディネーターとして関わったり、プログラムを提供したりすることが仕事です。他職種と連携を保ちながら柔軟な対応を取ることが求められます。

理学療法士とパラリンピックとの関わり方と障がい者スポーツトレーナー

理学療法士はパラリンピックに関われるの?

理学療法士として働く人の中で、スポーツ業界で活躍する人は多くいます。スポーツトレーナーの資格は民間資格なので、国家資格である理学療法士を取得しておくと有利に働くためです。

ただし理学療法士としてプロのスポーツ選手と関わることができる人はほんの一握り。特に働き始めてすぐに専属トレーナーとなることは難しく、まずは病院などで働き実力を身に付けることから始め、そしてスポーツトレーナーになるために必要な知識を、理学療法士の資格にプラスして、勉強する必要があります。

また、地域のクラブスポーツ施設でボランティアとして活動するなどして、実績を上げていくことも有効です。

理学療法士としてスポーツ業界で活躍できる人材になり、周りに認めてもらえるようになれば、パラリンピックといった国際的な場面に携われる可能性も十分に可能です。

障がい者スポーツトレーナーについて

理学療法士の資格にプラスアルファで、パラリンピックに関わるための資格を取得するとしたら、障がい者スポーツトレーナーが良いでしょう。

障がい者スポーツトレーナーとは、障がい者のスポーツ活動に必要な安全管理および競技力の維持・向上のサポートするためにある資格です。いわば、障がい者のためのアスレティックトレーナーといったところでしょうか。

日本全国で資格取得者はだいたい140名(2016年のデータ)くらいしかいない、まだまだ認知度の低い資格ではあります。

資格を取るには競技団体の推薦を頂いた上で「障がい者スポーツトレーナー養成講習会に参加することが条件です。講習会に参加できる要件を公式ホームページより引用します。(日本障がい者スポーツ協会|指導者育成講習会・研修会)

(1)次の1)を満たす者:A1)有資格種別

日本体育協会公認アスレティックトレーナー (2)次の1)、2)、3)を全て満たし、当協会障がい者スポーツトレーナー部会の審査を受け、会長が認めた者:B

1)有資格種別
1理学療法士 2作業療法士 3柔道整復師 4あん摩マッサージ指圧師 5灸師 6鍼師 7その他の資格(1~6の資格と同等のものと主催者が判断したもの)

2)推薦団体 (公財)日本障がい者スポーツ協会登録競技団体、都道府県・指定都市障がい者スポーツ協会・障がい者

スポーツ指導者協議会のいずれかの団体においてトレーナーとしての活動を有し、推薦がある者。 3)活動実績

1)に挙げた公認資格に関係した日常活動を2年以上有すること。 ※「日常活動」とは、トレーナー活動を職業として、または職業に近い形で実施している事を示す。

(3)2次講習会からの再受講者:C
平成 27・28 年度の1次検定試験を合格した者
※ C 区分については、再度 2 次講習会からの受講と、2 次検定試験の受験が必須となる。

研修会は1次と2次があり、1次試験は筆記、2次試験は実技試験です。

2次試験では普段どのようにして障がい者スポーツトレーナーとして活動しているかが出てしまいます。「資格を取りに行く」のではなく、日常から障がい者スポーツトレーナーとしての意識・心構えで過ごす習慣をつけることが大切です。

パラリンピックでの理学療法士の役割

東京パラリンピックの盛り上がりに伴って、理学療法士として関わりたいと思う方も増えていくでしょう。障害者の社会参加や自立を支援する理学療法士の役割は大きく、幅広い活動が期待されています。

上記のトレーナーとしての仕事だけでなく、チームスタッフ、レフェリー、シャペロン(ドーピング検査の補助をする人)など、理学療法士が活躍できる仕事は多岐に渡ります。

「障害者のスポーツ」は、特別なスポーツが存在しているのではなく障害のためにできないことをルールの変更や用具の工夫により補って行うスポーツです。クラス分け、用具の開発・工夫、コンディショニングなどの分野で、多くの理学療法士が活躍しています。

スポーツは生活を豊かにしてくれるものであり、心身の健康を与えてくれるものです。それを支えることができる理学療法士は非常にやりがいのある仕事と言えるでしょう。