2025.10.19
理学療法
理学療法士を目指す新卒の学生にとって、初任給は就職先を選ぶ上で重要な判断材料です。
初任給の平均額や手取り、年収の実態は、自身のキャリアプランを考える上で欠かせない情報といえます。
本記事では、初任給の相場に加え、給与に差がつく要因や将来的に収入を向上させるための具体的な方法についても解説します。
この記事が、納得のいく就職活動を進めるための参考情報となれば幸いです。
理学療法士の平均初任給は、求人情報サイトの調査によると月収で約21万円から24.5万円が相場となっています。
この金額は基本給に各種手当を含んだ総支給額であり、実際に銀行口座に振り込まれる手取り額とは異なります。
給料から所得税や住民税、社会保険料などが天引きされるため、手取り額は総支給額の8割程度、おおよそ18万円から21万円前後になるのが一般的です。
ただし、この平均的な給料はあくまで目安であり、勤務先の施設形態や地域、学歴などによって金額は変動します。
就職活動の際には、求人票に記載されている給与の内訳を詳細に確認することが重要です。
理学療法士の初年度の年収は、一般的に300万円から340万円程度が目安となります。
この年収は、月収の12ヶ月分に賞与(ボーナス)を加えた金額です。
多くの医療機関や施設では夏と冬の年2回賞与が支給されますが、新卒1年目の場合、夏の賞与は算定期間の関係で満額支給されないか、寸志程度となるケースが少なくありません。
そのため、初年度の年収は2年目以降と比較して低くなる傾向にあります。
年収額は、賞与の支給実績(基本給の何か月分か)によっても大きく変動するため、就職先を選ぶ際には月収だけでなく、賞与の支給実績も併せて確認することが大切です。
理学療法士の初任給は、他の医療・福祉職と比較してどのような水準にあるのでしょうか。
例えば、看護師の初任給は夜勤手当が含まれることが多いため、理学療法士よりも高くなる傾向があります。
一方で、介護福祉士などと比較すると、理学療法士の初任給は同等か、やや高い水準にあることが多いです。
診療放射線技師や臨床検査技師といった他のコメディカル職種とは、同程度の初任給水準であることが一般的です。
ただし、これらの比較はあくまで初任給の段階での話であり、職種ごとの昇給率やキャリアパス、手当の種類によって、数年後の給与には差が生じてきます。
理学療法士と作業療法士は、リハビリテーション専門職として同じ職場で働くことが多く、給与体系も同一に設定されていることがほとんどです。
そのため、同じ施設に勤務する場合、理学療法士と作業療法士の初任給に大きな差は見られません。
給与に違いが生じるとすれば、それは職種によるものではなく、勤務先の施設形態(病院、介護施設など)や規模、地域、経営状況といった要因によるものが大きいです。
例えば、訪問リハビリテーションに力を入れている事業所では、インセンティブ制度によって給与に差が出る可能性がありますが、これも理学療法士と作業療法士で区別されることは少ないでしょう。
理学療法士の初任給は一律ではなく、様々な要因によって金額が変わります。
特に給与水準に大きな影響を与える要素として、「施設形態」「勤務地」「学歴」の3つが挙げられます。
例えば、同じ新卒の理学療法士であっても、経営母体の大きい公立病院と地域密着型のクリニックでは給与体系が異なる場合があります。
これらの要因が初任給にどのように影響するのかを理解することで、自身の希望やライフプランに合った、より良い条件の就職先を見つけることが可能になります。
理学療法士の勤務先は、急性期病院や回復期病院、クリニック、介護老人保健施設、訪問看護ステーションなど多岐にわたります。
一般的に、給与水準が高い傾向にあるのは、公立病院や大学病院、国立病院機構などの経営母体が大きく安定している施設です。
一方で、介護保険分野でサービスを提供する訪問リハビリテーションは、基本給に加えてインセンティブ(歩合制)が導入されていることがあり、成果次第で高い収入を得られる可能性があります。
クリニックは施設ごとの給与差が大きいのが特徴です。
また、北海道のように広大なエリアでは訪問サービスの需要が高いなど、地域特性も給与に影響を与えます。
勤務する地域も、理学療法士の給料を左右する大きな要因です。
一般的に、東京都心部をはじめとする都市部は給与水準が高い傾向にありますが、同時に家賃や物価といった生活費も高くなる点を考慮する必要があります。
反対に、地方は都市部と比較して給与水準が低い場合もありますが、理学療法士が不足している地域では、人材を確保するために都市部と同等かそれ以上の好待遇を提示しているケースも少なくありません。
大卒の理学療法士がUターンやIターン就職を検討する際には、給与の額面だけで判断せず、その地域の生活コストも踏まえて総合的に検討することが求められます。
理学療法士の初任給は、最終学歴によって差が設けられていることがあります。
特に規模の大きい病院や公的な施設では、給与規定において専門学校卒(3年制・4年制)、大卒、大学院卒で基本給が段階的に設定されているケースが多いです。
一般的には、大卒の方が3年制の専門学校卒よりも数千円から1万円程度高く、大学院卒はさらに高い初任給となる傾向があります。
ただし、すべての職場で学歴差が設けられているわけではなく、民間施設では一律の初任給としているところも珍しくありません。
また、入職時の差は、その後の経験や実績による昇給で埋まっていくことも考えられるため、4年目以降のキャリアパスも視野に入れておく必要があります。
理学療法士として働き始めた後、初任給から収入を上げていくためのキャリアパスは複数存在します。
経験を積むことで基本給が昇給していくのはもちろんですが、より能動的に収入アップを目指す方法もあります。
例えば、専門性を高めて資格を取得する、管理職を目指す、あるいはより良い条件の職場へ転職したり、独立開業したりする選択肢が考えられます。
ここでは、代表的な4つの収入アップの方法を紹介しますので、自身の将来像と照らし合わせながら参考にしてください。
理学療法士としての専門性を客観的に証明する資格として、日本理学療法士協会が認定する「認定理学療法士」や「専門理学療法士」があります。これらの資格は、特定の分野において高度な知識と技術を有していることの証しとなります。
職場によっては、これらの資格取得者に対して資格手当を支給したり、昇進や昇給の評価項目として考慮したりする場合があります。ただし、資格取得が給料面などの待遇改善に直結することは保証されていません。資格手当の支給や昇進・昇給への影響は、雇用側の考え方や方針によるところが大きく、一律の傾向はないのが現状です。一方で、資格取得が昇給条件を満たす場合や、転職時に有利に働くことがあるという意見もあります。資格取得は自身の臨床能力の向上や、より質の高いリハビリテーションの提供に貢献する可能性があります。また、高い専門性を持つ人材として、転職を考える際に有利に働くことも期待されます。
臨床現場で数年間の経験を積んだ後、チームリーダーや主任、リハビリテーション科の科長といった管理職を目指すのも、収入をアップさせるための一般的なキャリアパスです。
管理職に就任すると、基本給に加えて役職手当が支給されるため、大幅な収入増が見込めます。
管理職の役割は、個別の患者へのリハビリ提供だけでなく、スタッフの指導・育成、業務管理、他部署との連携調整、部門の予算管理など、より組織運営に近い業務が中心となります。
臨床とは異なるスキルや視点が求められますが、組織全体に貢献することで、大きな責任と共に高い報酬を得ることが可能です。
現在の職場の昇給率や給与体系に将来的な不安を感じる場合、より待遇の良い職場へ転職することも収入を上げるための有効な手段の一つです。
特に、給与水準が比較的高いとされる訪問リハビリテーション分野や、予防・美容など自費診療のサービスを提供する施設は、転職先の選択肢として考えられます。
転職活動を成功させるためには、これまでの臨床経験で培ったスキルや実績を具体的にアピールすることが不可欠です。
給与額だけでなく、年間休日数や福利厚生、教育体制なども含めて総合的に情報を収集し、自身のキャリアプランに合致した職場を慎重に選ぶ必要があります。
理学療法士の資格を活かして、整体院やコンディショニングジム、デイサービスなどを独立開業する道も存在します。
理学療法士が「治療」を目的として単独で開業することは法律で認められていませんが、身体のメンテナンスや介護予防といった領域で自身の知識と技術を提供することは可能です。
事業が軌道に乗れば、雇用されている理学療法士の平均年収を大幅に上回る収入を得られる可能性があります。
ただし、経営者として成功するためには、臨床スキルに加えて、マーケティングや会計、人材マネジメントといった経営に関する知識が不可欠であり、事業が安定するまでの経済的なリスクも伴います。
就職活動において、待遇の良い職場を見極めるためには、求人票に記載されている初任給の額面だけで判断するべきではありません。
将来的な昇給の見込みや手当の種類、福利厚生の充実度など、複数の視点から情報を吟味し、総合的に判断することが極めて重要です。
ここでは、入職後のミスマッチを防ぎ、長期的に安定して働ける給料の良い就職先を見つけるための3つのチェックポイントを解説します。
これらの視点を持って求人情報を比較検討することで、納得のいくキャリアの第一歩を踏み出せるはずです。
求人情報を見る際は、月収の総額だけでなく、その内訳、特に基本給の金額を必ず確認しましょう。
賞与(ボーナス)は基本給を基に「基本給の〇ヶ月分」として計算されることが多いため、基本給が低いと年収も伸び悩む傾向にあります。
また、賞与に関しては「年2回支給」という記載だけでなく、「昨年度実績〇ヶ月分」といった具体的な数字を確認することが重要です。
業績によって変動する可能性もあるため、可能であれば過去数年間の支給実績を面接などで質問し、安定して支給されているかを確認すると、より正確な年収を予測することができます。
給与の額面と合わせて、福利厚生の充実度も確認すべき重要なポイントです。
例えば、住宅手当(家賃補助)や家族手当、寮の有無は、可処分所得に大きく影響します。
特に一人暮らしを始める新卒者にとっては、生活費の負担を軽減する上で大きな助けとなる制度です。
また、残業手当が適切に支給されるか、固定残業代(みなし残業代)が含まれている場合は何時間分に相当するのかを事前に把握しておくことも大切です。
その他、学会や研修への参加費用の補助制度や、退職金制度の有無なども、長期的なキャリア形成を考える上で見逃せない要素となります。
初任給の高さも大切ですが、それ以上に重要なのが、入職後にどのように給与が上がっていくかという点です。
将来の生活設計を見通すためにも、昇給の仕組みについて確認しておくことが望ましいです。
年に一度の定期昇給があるのか、昇給額の平均はどのくらいか、また、経験年数や役職に応じた給与テーブルが整備されているかといった点を確認しましょう。
具体的なキャリアパスと、それに伴う昇給モデルが明確に示されている職場は、目標を持って働きやすく、将来の収入を予測しやすい環境であるといえます。
理学療法士の初任給は、月収でおよそ21万円から24.5万円、初年度の年収では300万円から340万円程度が一つの目安となります。
ただし、この金額は勤務先の施設形態(病院、介護施設など)、所在する地域、また本人の学歴(専門学校卒、大卒または4年制専門学校卒など)といった複数の要因によって変動します。
キャリアを重ねる中で収入を向上させるには、認定理学療法士などの専門資格を取得したり、管理職を目指したりする方法があります。
また、より良い待遇を求めて転職することや、独立開業することも選択肢となり得ます。
就職先を選ぶ際には、初任給の金額だけでなく、基本給の内訳や賞与の実績、福利厚生、そして将来の昇給モデルまで含めて多角的に情報を吟味することが、納得のいくキャリアを築く上で求められます。
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