2025.10.30

社会人としての経験を積みながら、将来性のある国家資格を取得したいと考える人は少なくありません。
中でも、リハビリテーションの専門家である理学療法士や作業療法士は、超高齢社会においてますます需要が高まる注目の職業です。
この記事では、現在の仕事を続けながら理学療法士・作業療法士を目指すための具体的なステップ、学校選びのポイント、学費や生活との両立について解説します。
社会人経験を強みに、新たなキャリアを築くためのロードマップを提示します。
社会人経験者が理学療法士や作業療法士を目指すことは、決して遠回りではありません。
これまでのキャリアで培ったコミュニケーション能力や問題解決能力は、リハビリテーションの現場で即戦力として活かせる大きな強みとなります。
また、働きながら学ぶことで経済的な基盤を維持しつつ、計画的にキャリアチェンジを進めることが可能です。
社会人だからこそ得られるメリットを理解し、自信を持って新たな一歩を踏み出すことができます。
理学療法士や作業療法士の業務は、単にリハビリ手技やマッサージを行うだけではありません。
患者やその家族との信頼関係を築き、多職種と連携するための高度なコミュニケーション能力が求められます。
多様な業界で培われた対人スキルや課題解決能力、ビジネスマナーは、医療現場において大きなアドバンテージとなります。
例えば、営業職で培った傾聴力は患者のニーズを引き出す際に役立ち、事務職の経験は多職種との調整業務で活かせます。
これまでのキャリアで得たスキルは、専門知識と掛け合わせることで、より質の高いリハビリテーションを提供する力となるのです。
仕事を続けながら理学療法士や作業療法士を目指す最大のメリットは、経済的な安定を保てる点です。
夜間部のある専門学校などを選択すれば、日中は現在の職場で働き収入を得ながら、夜間に専門知識と技術を学ぶことが可能です。
これにより、学費や生活費の心配を軽減し、学業に集中しやすい環境を整えられます。
資格取得までの数年間、収入が途絶えるリスクを回避できるため、家族がいる方や経済的な基盤を崩したくない方にとって、現実的かつ計画的なキャリアチェンジの手段となります。
社会人が理学療法士や作業療法士という専門職に就くためには、明確なステップを踏む必要があります。
まずは自分に合った養成校を選んで入学し、次に数年間の専門教育と臨床実習を経て、最終的に国家試験に合格するという流れが一般的です。
このプロセスを事前に理解し、各段階で何をすべきかを把握しておくことで、仕事やプライベートと両立しながら計画的に資格取得を目指すことが可能になります。
理学療法士や作業療法士になるための第一歩は、国が指定する養成校に入学することです。
社会人にとっては、仕事を続けながら通える夜間部や、オンライン授業を併用する学校が有力な選択肢となります。
学校ごとにカリキュラムの特色、立地、学費、入試制度が異なるため、オープンキャンパスや説明会に積極的に参加し、情報を集めることが重要。
特に、社会人入試制度を設けている学校では、これまでの職務経験や学習意欲を評価されることもあります。
自分のライフスタイルや学習目標に合致した学校を見極め、入試対策を進めることが最初の関門です。
養成校に入学後は、3年または4年かけて専門知識と技術を習得します。
解剖学、生理学といった基礎医学から、理学療法士や作業療法士としての専門的な評価法、治療技術まで、学ぶべき内容は多岐にわたります。
カリキュラムには座学だけでなく、学内での演習や、病院・施設などで行う長期間の臨床実習が含まれます。
この臨床実習は、現場で実践的なスキルを磨くための非常に重要な課程であり、法律で定められた時間数を履修する必要があります。
働きながら学ぶ場合、この実習期間のスケジュール調整が大きな課題となるため、学校側のサポート体制も確認しておくべきです。
養成校で定められた全カリキュラムを修了すると、理学療法士または作業療法士の国家試験受験資格が得られます。
国家試験は年に一度、2月下旬に実施され、これに合格することで、晴れて国家資格を取得できます。
多くの養成校では、合格に向けて模擬試験や対策講座など手厚いサポート体制を整えています。
資格取得後は、病院、クリニック、介護施設、訪問リハビリ事業所など、活躍の場は多岐にわたります。
就職活動においては、社会人経験で培ったスキルや人間性をアピールすることで、他の新卒者と差別化を図り、希望のキャリアを実現することが可能です。
理学療法士・作業療法士の養成課程は、専門性が高く学習範囲も広いため、働きながら学ぶには綿密な計画と自己管理が不可欠です。
仕事と学業、そしてプライベートのバランスを保つためには、まず通学の負担が少ない学校を選ぶことが重要。
駅から近い、オンライン授業を導入しているなど、時間を有効に使える環境が整っているかを確認しましょう。
入学前に自身の生活リズムを具体的にシミュレーションし、無理なく学習を継続できるかを見極めることが、途中で挫折することなく資格を取得するための鍵となります。
社会人学生へのサポート体制が充実した学校選びが、目標達成を大きく左右します。
理学療法士や作業療法士は、人の身体や精神に直接関わる専門性の高い医療職です。
そのため、実践的な技術や臨床での判断能力を養うことが不可欠であり、法律によって養成校での対面授業や臨床実習が義務付けられています。
したがって、自宅学習が中心となる通信教育だけで国家資格を取得することはできません。
働きながら資格取得を目指す場合でも、必ず国が指定する大学や専門学校に通学する必要があることを理解しておきましょう。
仕事との両立を目指す社会人にとって、学習の柔軟性は学校選びの重要な要素です。
近年、テクノロジーの進化に伴い、教育のスタイルも多様化しています。
特に注目されているのが、基礎的な知識を学ぶ座学の一部をオンライン授業で実施し、技術習得が不可欠な実技や演習は学校に登校して行うハイブリッド型のカリキュラムです。
この方法であれば、通学にかかる時間や労力を削減でき、自宅での時間を有効活用しながら学習を進められます。
多忙な社会人でも、自分のペースで効率的に学べるため、仕事との両立のハードルを下げることが可能です。
学校を選ぶ際には、こうした柔軟な学習環境が提供されているかを確認するのも一つの方法です。
社会人が理学療法士や作業療法士を目指す上で、養成校の夜間部は非常に魅力的な選択肢です。
日中は仕事を続けながら、夕方から夜にかけて専門知識を学ぶこのスタイルは、経済的な安定とキャリアチェンジを両立させます。
一方で、学習に専念できる昼間部にもメリットは存在します。
ここでは夜間部と昼間部、それぞれの特徴や学習スタイル、メリット・デメリットを比較し、自身のライフプランに最適な学び方を見つけるための情報を提供します。
夜間部で学ぶ最大の利点は、現在の仕事を辞めることなく、理学療法士や作業療法士を目指せる点にあります。
日中の勤務を終えた後、夕方から授業に参加するスタイルなので、安定した収入を確保しながら学費や生活費を工面できます。
経済的な不安が少ないことは、長期間にわたる学習を続ける上で大きな支えとなります。
また、夜間部には同じように日中働く社会人学生が多く在籍している傾向があります。
多様な職種や年齢の仲間と出会い、互いの経験を共有し、励まし合いながら学べる環境は、学習意欲の維持にもつながるでしょう。
夜間部で学ぶ道を選ぶ場合、厳しいタイムマネジメントが求められます。
仕事と学業を両立させる生活は、日中の勤務後に授業を受け、帰宅後に予習・復習を行うため、睡眠時間やプライベートの時間が大幅に制限されることを覚悟しなければなりません。
また、理学療法士や作業療法士の養成課程で必須となる臨床実習は、基本的に日中に行われます。
この期間中は、現在の仕事を長期間休むか、勤務形態を変更する必要があるため、事前に職場の理解と協力を得ておくことが不可欠です。
体力的な負担と時間的な制約を乗り越える強い意志が求められます。
昼間部を選択する最大のメリットは、学業に全ての時間を注げる点です。
日中の時間をフルに活用できるため、授業の予習・復習はもちろん、自主学習や課題にもじっくりと取り組むことが可能です。
放課後には図書館で調べ物をしたり、教員に質問に行ったり、クラスメイトとグループで勉強したりと、学習を深めるための時間を十分に確保できます。
理学療法士や作業療法士に求められる膨大な知識と技術を、腰を据えて効率的に習得したいと考える人にとっては、最適な環境と言えます。
学業に専念することで、国家試験合格への道をより確実に歩むことができます。
昼間部で学ぶ場合、原則として現在の仕事を辞める必要があり、これが最大のハードルとなります。
在学中の収入源がなくなるため、3~4年間の学費と生活費を事前に準備しておく必要があります。
これは非常に大きな経済的負担であり、綿密な資金計画が不可欠です。
奨学金や教育ローンを利用するとしても、卒業後の返済計画まで見据えなければなりません。
また、一度キャリアを中断することによるブランクへの不安や、卒業後の再就職活動がスムーズに進むかといったリスクも考慮する必要があります。
理学療法士や作業療法士になるという強い決意と、それを支える経済的な基盤が求められます。
理学療法士や作業療法士を目指す上で避けて通れないのが学費の問題です。
養成校の種類や設置主体(国公立か私立か)によって、卒業までにかかる総額は大きく異なります。
事前に大まかな費用を把握し、自身の経済状況と照らし合わせることが重要です。
幸い、社会人が利用できる奨学金や給付金制度も用意されています。
ここでは、学費の相場と、経済的負担を軽減するための具体的な方法について解説します。
理学療法士や作業療法士の養成校には大学と専門学校があり、それぞれ学費が異なります。
一般的に、国公立大学が最も費用を抑えられ、4年間の総額で250万円程度が目安です。
私立大学の場合は、4年間で500万円から700万円程度が相場となります。
専門学校は修業年限によって異なり、3年制で300万円から500万円、4年制では400万円から600万円程度が必要です。
これらの金額には入学金、授業料、実習費などが含まれますが、別途教材費などが必要な場合もあります。
夜間部は昼間部より学費が安く設定されていることが多いため、働きながら学ぶ社会人にとっては魅力的な選択肢となります。
高額な学費の負担を軽減するため、社会人が活用できる制度がいくつかあります。
代表的なものとして日本学生支援機構(JASSO)の奨学金があり、返済不要の給付型と、卒業後に返済する貸与型があります。
また、一定の条件を満たす社会人は、ハローワークを通じて「専門実践教育訓練給付金」を受給できる可能性があります。
これは、厚生労働大臣が指定する講座を受講した場合、支払った学費の一部が支給される制度です。
さらに、学校独自に設けている奨学金や、特定の医療法人が提供する奨学金制度も存在します。
理学療法士や作業療法士を目指す際には、これらの制度を積極的に情報収集し、活用を検討することが推奨されます。
働きながら理学療法士や作業療法士の資格取得を目指す社会人にとって、学校選びは今後のキャリアを左右する極めて重要なプロセスです。
仕事との両立を成功させるためには、カリキュラムの内容だけでなく、立地やサポート体制といった実践的な側面を慎重に吟味する必要があります。
ここでは、通学の利便性、国家試験の合格実績、実習体制、そして就職支援という4つの重要な視点から、後悔のない学校選びをするための確認事項を解説します。
働きながら理学療法士や作業療法士の学校に通う上で、立地と通学時間は学習の継続性を左右する最も重要な要素の一つです。
特に夜間部に通う場合、仕事が終わってから授業開始までに余裕を持って到着できるか、また授業後の帰宅が深夜になりすぎないかを確認する必要があります。
毎日の通学が大きな負担になると、学習意欲の低下や体調不良につながりかねません。
自宅や職場からアクセスしやすい、主要な駅の近くにあるなど、交通の便が良い学校を選ぶことが、3~4年間の学業を完遂するための基盤となります。
オープンキャンパスなどに参加する際は、実際の通勤・通学ルートをシミュレーションしてみることをお勧めします。
理学療法士や作業療法士になるという最終目標を達成するためには、国家試験の合格が必須です。
したがって、学校選びの際には、国家試験の合格率を必ず確認しましょう。
全国平均を常に上回る高い合格実績を誇る学校は、教育の質が高く、試験対策のノウハウが蓄積されていると考えられます。
全体の合格率だけでなく、新卒者の合格率に着目すると、その学校の現役学生に対する教育力をより正確に測れます。
また、模擬試験の実施頻度や、個別の学習指導、苦手分野の克服をサポートする体制など、具体的な国家試験対策プログラムの内容まで調べておくと、入学後の学習をイメージしやすくなります。
理学療法士や作業療法士の養成課程において、臨床実習は座学で得た知識を実践に結びつけるための重要な機会です。
そのため、学校がどのような病院や施設と提携し、実習先を確保しているかは、学校選びの重要なポイントとなります。
多様で質の高い実習先が用意されていれば、自分の興味や関心に合った分野で貴重な経験を積むことが可能です。
また、実習中の学生をサポートする体制も確認が必要です。
教員が定期的に実習先を訪問して指導を行うか、実習での悩みや課題について相談しやすい環境が整っているかなど、学生に寄り添ったサポートの有無が、実習の質を大きく左右します。
資格取得後のキャリアを見据え、学校の就職サポート体制と卒業生の進路を確認することも不可欠です。
求人情報の提供はもちろん、履歴書の書き方指導や面接練習、就職相談など、個々の学生に応じたきめ細やかなサポートを行っているかを確認しましょう。
卒業生がどのような医療機関や施設に就職しているかという実績は、その学校が業界からどれだけ信頼されているかを示す指標となります。
また、卒業後も勉強会やセミナーを開催するなど、キャリアアップを支援する体制が整っている学校もあります。
自分が理学療法士や作業療法士としてどのようなキャリアを築きたいかを考え、その実現を後押ししてくれる学校を選ぶことが重要です。
社会人から理学療法士や作業療法士という全く新しい分野へ挑戦するには、多くの不安や疑問が伴います。
年齢的なこと、これまでのキャリアがどう影響するのか、そして多忙な生活をどう乗り越えるかなど、気になる点は尽きません。
ここでは、キャリアチェンジを考える社会人の方々から特によく寄せられる質問をピックアップし、一つひとつに具体的にお答えします。
これらのQ&Aが、あなたの疑問を解消し、次の一歩を踏み出すための後押しとなれば幸いです。
理学療法士・作業療法士の国家資格に年齢制限はありません。
養成校の入学資格を満たしていれば、何歳からでも目指すことが可能です。
実際に、30代、40代で入学し、資格を取得して第二のキャリアをスタートさせる方は多くいます。
むしろ、これまでの社会人経験や人生経験は、患者さんとのコミュニケーションにおいて大きな強みとなります。
多様な背景を持つ患者さんの気持ちに寄り添い、信頼関係を築く上で、年齢を重ねたからこその視点が役立つ場面は少なくありません。
大切なのは年齢ではなく、専門職として人の役に立ちたいという強い意欲と、学び続ける覚悟です。
医療業界での経験がないことが、就職活動で不利になるとは限りません。
むしろ、社会人経験は大きなアピールポイントになり得ます。
どのような職種であれ、これまでの仕事で培ったコミュニケーション能力、問題解決能力、時間管理能力、チームワークなどは、医療現場でも高く評価される汎用的なスキルです。
理学療法士や作業療法士は、患者さんはもちろん、医師や看護師など多くの専門職と連携して業務を進めます。
そのため、円滑な人間関係を構築できる社会人経験者の存在は、組織にとって貴重です。
面接では、これまでの経験をリハビリの仕事にどう活かせるかを具体的に伝えることが重要です。
仕事、学業、家庭の三つを両立させるためには、まず周囲の理解と協力が不可欠です。
理学療法士や作業療法士を目指すという目標を家族や職場に伝え、応援してもらえる環境を整えることが第一歩。
その上で、限られた時間を最大限に活用するための工夫が求められます。
通勤電車の中では単語帳を見る、昼休みには講義の復習をするなど、隙間時間を有効に使いましょう。
また、全てを一人で抱え込まず、家事の分担を家族にお願いしたり、同じ目標を持つ学友と励まし合ったりすることも大切です。
無理のない学習計画を立て、時には休息をとって心身のバランスを保つことが、長期間の挑戦を乗り越える鍵となります。
社会人が働きながら理学療法士や作業療法士を目指すことは、強い意志と計画性があれば十分に実現可能な目標です。
これまでの社会人経験は、リハビリテーションの現場で必ず活かせる貴重な財産となります。
経済的な基盤を維持しながら学べる夜間部のある専門学校などを選択肢に入れ、自身のライフスタイルに合った学び方を見つけることが成功への第一歩です。
資格取得までの道のりは、3〜4年の学習期間や臨床実習、国家試験と容易ではありませんが、本記事で示したポイントを参考に、後悔のない学校選びを行い、計画的に準備を進めてください。
【監修:松生 容一(作業療法士)/臼杵 寛(理学療法士)】
★日リハの学校説明会で現役セラピストの話を聞こう★

リハビリ職仕事や具体的な就職先、現場で活躍できる理学療法士/作業療法士になるために必要な勉強について、現役セラピストに聞いてみよう!
予約は こちら
グループ校