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作業活動の支援とは?作業療法士・就労支援員の仕事内容と役割の違い

2026.03.16

作業療法

 

 

 

作業活動の支援とは?作業療法士・就労支援員の仕事内容と役割の違い

監修:日本リハビリテーション専門学校 五十嵐千代子(作業療法士)

 

作業活動の支援とは、日常生活の動作から仕事まで、人が行うあらゆる活動(作業)を通じて、対象者の心身機能の回復や社会的な自立を支える仕事です。
この分野には様々な職種がありますが、代表的なのが国家資格を持つリハビリの専門家である「作業療法士」と、障害のある方の「働く」を支える「就労支援員」です。
両者は「作業」を用いて支援する点は共通していますが、その目的や役割には明確な違いがあります。

本記事では、この2つの仕事内容の違いを詳しく解説します。

 

 

「作業活動の支援」に関わる2つの代表的な仕事

「作業活動の支援」を担う代表的な仕事として、作業療法士と就労支援員が挙げられます。
作業療法士は、病気やケガで心身に障害を負った方に対し、日常生活動作や趣味活動などの「作業」を用いてリハビリテーションを行います。

一方、就労支援員は、障害のある方が企業などで働くことを目指し、軽作業やPCスキル訓練といった「作業」を通じて、職業能力の維持・向上や就職活動のサポートを行う役割を担います。

 

 

作業療法士の仕事内容|心と体のリハビリを「作業」で支える専門職

作業療法士(Occupational Therapist, OT)は、リハビリテーション分野の国家資格を持つ専門職です。
食事、入浴といった日常生活動作から、家事、仕事、趣味活動まで、人が行うあらゆる「作業」を治療や支援の手段として用います。
対象者が抱える身体的・精神的な課題に対し、その人らしい生活を送れるよう、具体的な作業療法プログラムを計画・実行することで、心と体の両面から回復をサポートします。

 

 

作業療法士の役割とは?対象者の「その人らしい生活」の再獲得を支援する

作業療法士の最も重要な役割は、対象者一人ひとりが「その人らしい生活」を再び送れるように支援することです。
病気やケガによって失われた機能の回復を目指すだけでなく、残された機能を最大限に活かす方法を考えます。

例えば、自分で服を着る、料理をする、趣味を楽しむといった具体的な目標を設定し、その達成に向けて支援を行います。
単に身体機能を訓練するのではなく、1人の生活者として、その人の価値観や人生の目的に寄り添うことが作業療法士の大きな目的です。

 

 

リハビリで用いる「作業活動」の具体例【日常生活から趣味活動まで】

作業療法で用いられる「作業活動」は非常に多岐にわたります。
食事、着替え、トイレ、入浴といったセルフケアを練習する「日常生活動作訓練」。
手芸、園芸、絵画、書道、陶芸など、楽しみながら手指の巧緻性や集中力を高める「趣味・創作活動」。

集団で行う体操やゲーム、調理などの「レクリエーション」は、身体機能の向上だけでなく、他者との交流を促す目的もあります。
その他、パソコン操作や模擬的な事務作業など、復職に向けた訓練も行われます。

 

 

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主な活躍の場は医療機関から教育・福祉施設まで多岐にわたる

作業療法士が活躍する場は、病院やクリニックといった医療機関に限りません。
高齢者福祉の分野では、介護老人保健施設や特別養護老人ホーム、デイサービス、訪問リハビリテーションなどで、利用者の生活機能の維持・向上を支援します。

また、精神科病院や精神保健福祉センターでは心のケアを、児童発達支援センターや特別支援学校では子どもの発達支援を担うなど、医療、福祉、保健、教育、行政と幅広い領域で専門性を発揮しています。

 

 

仕事のやりがい|対象者の「できた!」という瞬間に立ち会える

作業療法士の仕事における最大のやりがいは、対象者がリハビリを通じて以前はできなかったことができるようになった「できた!」という瞬間に立ち会えることです。
昨日まで箸が持てなかった人が持てるようになったり、一人で着替えができるようになったりと、日々の小さな変化が大きな喜びに繋がります。
対象者の人生に深く関わり、その人らしい生活を取り戻す過程をサポートできることは、何にも代えがたい魅力と言えるでしょう。

自身の知識や工夫が直接相手の笑顔に繋がる、非常に価値のある仕事です。

 

 

就労支援員の仕事内容|「働くこと」を「作業」で支える伴走者

就労支援員は、障害や難病のある方が「働く」ことを通じて社会参加できるよう、多角的にサポートする仕事です。
利用者の適性や希望に合わせて、生産活動などの「作業支援」を行いながら、ビジネスマナーやコミュニケーションスキルといった職業能力(ワークスキル)の向上を促します。
また、求人探しや面接練習といった就職活動の支援から、就職後の職場定着支援まで、利用者に寄り添いながら自立に向けた道のりを共に歩む伴走者のような役割を担います。

 

 

就労支援員の役割とは?利用者の就労や生産活動をサポートする

就労支援員の役割とは、障害のある利用者が自身の能力を活かして働けるよう、生産活動や就職活動を具体的にサポートすることです。
事業所内での作業指導や進捗管理、工賃計算といった業務に加え、利用者の健康管理や生活上の悩みに関する相談対応も行います。

さらに、ハローワークや企業と連携し、実習先の開拓や就職先の紹介、就職後のフォローアップも重要な業務です。
利用者が安心して働き続けられる環境を整える、多岐にわたる支援を担います。

 

 

就労支援で行う「作業活動」の具体例【軽作業から専門業務まで】

就労支援事業所で行われる作業活動は、事業所の種類や特色によって様々です。
代表的なものとしては、部品の組み立てや検品、商品の袋詰め、シール貼りといった「軽作業」が挙げられます。
また、パソコンスキルを活かせるデータ入力や書類作成、Webサイトの制作、プログラミングといった「IT関連業務」を行う事業所も増えています。

その他、農園での野菜栽培や収穫といった「農作業」、カフェやレストランでの調理・接客、パンやクッキーの製造・販売など、より専門的なスキルが身につく作業もあります。

 

 

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主な活躍の場は就労継続支援A型・B型や就労移行支援事業所

就労支援員の主な活躍の場は、障害者総合支援法に基づく就労支援サービスを提供する事業所です。
具体的には、企業への就職を目指して訓練を行う「就労移行支援事業所」、雇用契約を結び働きながら支援を受ける「就労継続支援A型事業所」、雇用契約は結ばずに軽作業などを行う「就労継続支援B型事業所」の3種類があります。
全国の就労継続支援事業所のうち約70%以上をB型事業所が占めており、多くの支援員が活躍しています。

 

 

【比較】作業療法士と就労支援員の3つの明確な違い

作業療法士と就労支援員は、どちらも「作業活動」を通じて人を支援する仕事ですが、その役割には明確な違いがあります。
両者を比較すると、主に「目的」「対象者」「必要な資格」の3つの点で大きく異なります。
これらの違いを理解することは、どちらの仕事が自分に向いているかを考える上で非常に重要です。

ここでは、それぞれの違いについて具体的に解説します。

 

 

目的の違い:心身機能の回復か、就労による自立か

両者の最も大きな違いは支援の目的にあります。
作業療法の主な目的は、病気やケガ、発達上の課題などによって損なわれた心身機能の回復・維持を促し、対象者が「その人らしい生活」を送れるように支援することです。
食事や入浴といった日常生活から趣味活動まで、生活全般の質の向上がゴールとなります。

一方、就労支援の目的は、働く意欲のある障害者が「就労を通じて経済的・社会的に自立」することです。
作業活動は、あくまで職業能力の向上や働く習慣を身につけるための手段として位置づけられています。

 

 

対象者の違い:病気やケガをしたすべての人か、働く意欲のある障害者か

支援の対象者も異なります。
作業療法士は、新生児から高齢者まで、年齢を問わず支援を行います。
対象となる疾患も、脳卒中などの身体障害、うつ病や統合失調症などの精神障害、発達障害、認知症など非常に幅広いです。

一方、就労支援員の主な対象者は、原則として65歳未満で「働く意欲のある障害者」です。
身体障害、知的障害、精神障害(うつなどの気分障害も含む)、発達障害、難病のある方で、一般企業への就職を目指しているか、福祉的就労の場で生産活動を行いたいと考えている人が中心となります。

 

 

必須資格の違い:国家資格が不可欠か、無資格からでも目指せるか

仕事に就くために必要な資格にも大きな違いがあります。
「作業療法士」を名乗って仕事をするためには、養成校で3年以上学び、国家試験に合格して国家資格を取得することが不可欠です。
専門的な知識と技術が求められるため、一定の難易度があります。

対して、「就労支援員」には必須となる特定の資格はありません。
無資格・未経験からでも挑戦することが可能です。
ただし、社会福祉士や精神保健福祉士、介護福祉士といった福祉系の資格や、作業療法士の資格を保有していると、採用やキャリアアップの面で有利に働くことがあります。

 

 

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あなたに合うのはどっち?「作業活動の支援」の仕事に就く方法

作業療法士と就労支援員、どちらの仕事が自分に適しているか考えるためには、それぞれのキャリアパスを理解することが大切です。
医療・リハビリの専門家として深く学びたいなら作業療法士、福祉の現場でより生活に近い立場で働くことに興味があるなら就労支援員という選択肢が考えられます。

ここでは、それぞれの仕事に就くための具体的な方法を紹介しますので、自身の興味や将来のビジョンと照らし合わせてみてください。

 

 

作業療法士になるには養成校で学び国家試験の合格が必須

作業療法士になるためには、まず文部科学大臣または厚生労働大臣が指定する養成校(大学、短期大学、専門学校)に入学し、3年以上専門知識と技術を学ぶ必要があります。
養成校で定められたカリキュラムを全て修了し、卒業(または卒業見込み)となることで、年に一度実施される作業療法士国家試験の受験資格が得られます。
この国家試験に合格し、免許登録をすることで、初めて作業療法士として働くことができます。

 

 

就労支援員は未経験からでも挑戦可能で福祉系資格が有利に働く

就労支援員になるために必須の学歴や資格はなく、多くの事業所で未経験者からの応募を受け入れています。
そのため、福祉分野でのキャリアを始めやすい職種と言えます。
ただし、利用者への適切な支援を行うためには専門知識が求められるため、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士などの福祉系国家資格や、作業療法士、公認心理師、キャリアコンサルタントといった関連資格を保有していると、採用選考で高く評価される傾向にあります。

入職後に資格取得を支援する制度を設けている法人も多いです。

 

 

作業療法士に関するよくある質問

作業療法士という仕事に興味を持った方から寄せられる、代表的な質問とその回答をまとめました。
給与水準や他のリハビリ専門職との違い、進路選択に関する疑問など、キャリアを考える上で知っておきたい情報を簡潔に解説します。

 

 

作業療法士の平均的な給料はどれくらいですか?

作業療法士の平均年収は、厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査によると約444万円です。これは、国税庁の令和5年分民間給与実態統計調査における日本の全産業の平均年収である460万円より低い水準です。給与は、勤務先の施設規模や種類(病院、介護施設など)、経験年数、地域によって変動します。

勤続年数を重ねて経験を積んだり、管理職になったりすることで、昇給が期待できる職種です。

 

 

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理学療法士(PT)や言語聴覚士(ST)との違いは何ですか?

主な違いはリハビリで専門とする領域です。
理学療法士は「立つ・歩く」などの基本的動作能力の回復を、言語聴覚士は「話す・聞く・食べる」といった機能の改善を支援します。
一方、作業療法士は日常生活の応用的な動作や社会参加を支える、より幅広い生活行為全般を対象とするリハビリテーションの一種類です。

 

 

高校で文系を選択していても作業療法士を目指せますか?

はい、文系からでも作業療法士を目指すことは十分に可能です。
作業療法士の養成校の入試科目は、国語、英語、数学、理科など学校によって様々で、文系科目の配点が高い学校もあります。

入学後には生物や物理といった理系分野の基礎を学ぶカリキュラムも組まれているため、文系出身の学生も多く活躍しています。

 

 

まとめ

作業療法士と就労支援員は、いずれも「作業活動」を通して人の人生を豊かにする、社会的に意義深くやりがいのある仕事です。
医療的なアプローチで生活全体の再構築を支える作業療法士と、福祉的な視点から「働く」ことを通じた自立をサポートする就労支援員。
両者には、目的や対象者、キャリアの始め方に明確な違いがあります。

特別な資格がなくても挑戦できる就労支援員という道もあります。
本記事で解説したそれぞれの役割や特性を理解し、自身の興味関心やキャリアプランに合った道を選択してください。

 

監修:日本リハビリテーション専門学校 五十嵐千代子(作業療法士)

 

 

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