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理学療法士が海外で働くには?資格取得から給料・英語力まで解説

2026.02.20

理学療法

 

 

 

理学療法士が海外で働くには?資格取得から給料・英語力まで解説

監修:日本リハビリテーション専門学校 鍋城 武志(理学療法士)

 

日本の理学療法士資格を活かして海外で働くには、現地の資格を取得し直す必要があります。
理学療法士になるには、国ごとに異なる学歴や臨床経験の要件を満し、免許試験に合格しなければなりません。

本記事では、海外で理学療法士として活躍するためのキャリアパス、国別の資格取得プロセス、求められる英語力や給与水準について具体的に解説します。

 

 

海外で理学療法士として活躍するための3つのキャリアパス

日本の理学療法士が世界で活躍するためには、主に3つのキャリアパスが考えられます。
1つ目は、外国の医療機関で臨床経験を積む道です。

2つ目は、JICA海外協力隊などを通じて発展途上国で国際貢献を行う道。
3つ目は、海外の大学院に進学し、研究者や教育者としてのキャリアを築く道です。

それぞれで求められるスキルや準備が異なるため、自身の目標に合った道を選択することが重要です。

 

 

選択肢①:現地の医療機関へ就職し臨床スキルを磨く

海外の医療機関で理学療法士として勤務するには、その国の免許を取得することが必須です。
アメリカやオーストラリアなど、国によって免許取得のプロセスは大きく異なり、多くの場合、学歴審査、筆記試験、実技試験が課されます。
現地の患者や医療スタッフと円滑にコミュニケーションをとるための高度な語学力はもちろん、日本の臨床経験で培った専門性もアピールすることが求められます。

給与水準は日本よりも高い傾向にありますが、その分、より独立した専門職としての責任と役割を担うことになります。

 

 

選択肢②:国際協力隊(JICA)などで発展途上国に貢献する

自身の理学療法士としてのスキルを発展途上国で活かしたい場合、JICA海外協力隊などの国際協力プログラムへの参加が選択肢となります。主な活動内容は、現地の医療機関でのリハビリテーション指導や、現地スタッフ・学生への技術指導です。応募には、理学療法士の国家資格と3年程度の臨床における実務経験を求める要請が多く見られますが、一部には2年以上の実務経験で応募可能な要請もあります。派遣期間は一般的に2年間ですが、短期派遣の募集も存在します。現地の文化や習慣に適応しながら、限られた医療資源の中で創意工夫を凝らして活動する能力が求められ、臨床スキルだけでなく人間的にも大きく成長できる経験が得られます。

 

 

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選択肢③:海外の大学院に進学し研究や教育の道へ進む

臨床以外のキャリアとして、海外の大学や大学院へ留学し、研究者や教育者を目指す道もあります。
特にアメリカでは理学療法士の教育水準が博士課程レベルに引き上げられており、研究活動が非常に盛んです。
大学院で修士号や博士号を取得することで、最先端の知識や研究手法を学び、国際的な学会で発表したり、教育者として次世代の理学療法士を育成したりするキャリアが開けます。

進学には高い英語力に加え、研究計画書の作成や推薦状など、入念な準備が必要となります。

 

 

【国別】海外で理学療法士の資格を取得し働くまでのステップ

海外で理学療法士として働くためには、まずその国の免許を取得する必要があります。
資格取得のプロセスは国によって大きく異なり、日本の資格を書き換える形式や、現地の国家試験を受験する形式など様々です。
ここでは、日本人理学療法士に人気の高いアメリカ、オーストラリア、カナダ、イギリスの4カ国を取り上げ、それぞれの資格取得までの具体的なステップを解説します。

 

 

アメリカで理学療法士になるための免許取得プロセス

アメリカで理学療法士として働くには、州ごとの免許取得が必須です。
まず、外国の学歴を評価する機関(FCCPTなど)に日本の教育内容を審査してもらい、アメリカの基準(DPTレベル)に不足している単位があれば、現地の大学で追加履修します。

その後、理学療法士国家試験(NPTE)に合格し、各州の免許委員会が定める法律の試験などをクリアすることで、晴れて免許が交付されます。
プロセスは複雑で時間を要するため、周到な計画と準備が不可欠です。

 

 

オーストラリアで日本の理学療法士資格を書き換える手順

オーストラリアで理学療法士として働くためには、日本の資格を現地の資格へ書き換える必要があります。
この手続きはオーストラリア理学療法評議会(APC)が管轄しており、3段階のプロセスで進められます。
まず、学歴や職歴を証明する書類審査を受け、次に筆記試験に合格しなければなりません。

最終段階として実技試験が課され、これらすべてに合格すると、オーストラリアの理学療法士として登録が可能になります。
高い英語力(IELTSで各項目7.0以上など)の証明も必須です。

 

 

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カナダで働くために必要な試験と手続き

カナダで理学療法士として働くには、カナダ理学療法士国家試験委員会(CAPR)による審査を通過する必要があります。まず、日本の大学の卒業証明書や成績証明書を提出し、学歴がカナダの基準を満たしているかどうかの審査を受けます。学歴審査を通過すると、カナダ理学療法試験(CPTE)の受験資格が得られます。この試験は筆記と口頭セクションで構成されており、両方に合格することで、各州の理学療法士協会に登録する資格を得られます。州ごとに別途登録手続きが必要となる点にも注意が必要です。

 

 

イギリス(UK)での理学療法士登録方法

イギリスで理学療法士として働くためには、Health and Care Professions Council (HCPC) への登録が義務付けられています。
日本で資格を取得した場合は、国際ルート (International route) での申請となります。
申請プロセスでは、日本の教育カリキュラムや臨床実習の内容がイギリスの基準を満たしているかを証明する書類の提出が求められます。

また、IELTSで総合7.0以上(各項目6.5以上)といった高いレベルの英語力を証明する必要もあります。
書類審査が無事に通れば、HCPCに登録され、イギリス国内で理学療法士として活動できます。

 

 

海外で働く理学療法士に必須の英語レベルの目安

海外で理学療法士として働くためには、日常会話レベルを大きく超える高度な英語力が不可欠です。
患者や同僚と専門的な内容について正確に意思疎通を図る臨床現場でのコミュニケーション能力と、資格審査の過程で求められる公式な英語試験のスコアという、2つの側面から高いレベルの英語力が要求されます。

これらは一朝一夕に身につくものではなく、計画的な学習が重要です。

 

 

臨床現場で求められるコミュニケーション英語力

海外の臨床現場では、患者から症状や病歴を正確に聞き取り、専門用語を用いて評価や治療計画を分かりやすく説明する英語力が求められます。
また、医師や看護師など他の医療専門職と対等に議論し、カンファレンスで発表を行う場面も少なくありません。
カルテの記録やレポート作成といったライティングスキルも必須です。

単に英語が話せるだけでなく、現地の医療文化や口語表現にも精通し、患者との信頼関係を築ける円滑なコミュニケーション能力が、質の高い医療を提供する上で極めて重要になります。

 

 

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資格試験で要求されるTOEFLやIELTSの目標スコア

海外で理学療法士の資格を申請する際、英語力を客観的に証明するためにTOEFLやIELTSといった英語能力試験のスコア提出が必須です。
求められるスコアは国や州によって異なりますが、一般的に非常に高いレベルが要求されます。
例えば、オーストラリアやイギリスではIELTSで総合7.0以上(各セクションで6.5〜7.0以上)が目安とされています。

これらのスコアを達成するには、専門学校やオンライン講座などを活用した集中的な対策が必要です。
目標とする国の最新要件を必ず公式サイトで確認し、計画的に学習を進める必要があります。

 

 

海外の理学療法士の給料事情と日本との違い

海外、特に欧米諸国における理学療法士の給与水準は、日本と比較して高い傾向にあります。
この背景には、単なる給与額の違いだけでなく、理学療法士の社会的地位や業務範囲、専門性に対する評価の違いが存在します。
海外でのキャリアを考える上で、こうした給料事情と日本との違いを理解しておくことは、働く国を選択する際の重要な判断材料の一つとなります。

 

 

主要国の理学療法士の平均年収を比較

理学療法士の平均年収は国によって大きく異なりますが、欧米諸国では日本よりも高い水準にあります。
例えば、アメリカの理学療法士の平均年収は約9万ドル(約1,350万円)を超え、オーストラリアでも約8万豪ドル(約780万円)程度です。
一方、日本の理学療法士の平均年収は約430万円であり、その差は歴然としています。

ただし、これらの国では物価や税率も日本とは異なるため、年収額だけで生活の豊かさを単純に比較することはできません。
現地の生活費なども考慮した上で、総合的に判断することが重要です。

 

 

日本と海外での理学療法士の社会的地位と業務範囲

日本と海外の理学療法士には、社会的地位と業務範囲に明確な違いがあります。
アメリカやオーストラリアなど多くの国では、医師の具体的な指示なしに理学療法士が患者を直接評価し、治療を開始できる「直接アクセス(ダイレクトアクセス)」が法的に認められています。
これにより、理学療法士は独立した医療専門職として高い自律性を持ち、クリニックの開業権を有するなど、活躍の場が広がります。

このような制度的な違いが、専門職としての社会的地位の高さや、前述した給与水準の差にも反映されています。

 

 

国際貢献の道も!ボランティアとして海外で活動する方法

理学療法士の専門知識や技術を活かす場は、先進国の医療機関だけではありません。
発展途上国など、リハビリテーション医療がまだ十分に普及していない地域で、ボランティアとして国際貢献に携わるという選択肢もあります。
JICA海外協力隊のような長期プログラムから、学生でも参加しやすい短期の研修まで、様々な形で海外での活動が可能です。

これは臨床経験とは異なる、貴重な学びと成長の機会となります。

 

 

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JICA海外協力隊の応募条件と具体的な活動内容

JICA海外協力隊は、理学療法士が国際貢献に参加するための代表的なプログラムです。
応募するには、理学療法士の国家資格に加え、通常3年以上の実務経験が求められます。
派遣先はアジア、アフリカ、中南米などの発展途上国が中心で、派遣期間は原則として2年間です。

現地では、病院やリハビリテーションセンターに所属し、患者への直接的な治療だけでなく、現地の医療スタッフや学生に対する技術指導、地域住民への啓発活動など、現地のニーズに応じた幅広い活動に従事します。

 

 

学生や若手も参加しやすい短期の海外研修プログラム

長期のボランティア活動が難しい学生や若手の理学療法士には、短期の海外研修やインターンプログラムが適しています。
多くの大学や専門学校が、夏休みなどを利用して数週間程度の海外研修プログラムを提供しており、現地の医療施設の見学や簡単なボランティア活動を体験できます。

また、NPO法人が企画するスタディツアーに参加する方法もあります。
こうしたプログラムは、海外の医療事情や文化に触れ、国際的な視野を広げる絶好の機会となり、将来のキャリアを考える上での貴重な経験となります。

 

 

理学療法士の海外でのキャリアに関するよくある質問

理学療法士として海外でのキャリアを考え始めると、資格、年齢、準備など、様々な疑問が浮かびます。
ここでは、海外での活躍を目指す方々から特によく寄せられる質問を3つ取り上げ、それぞれの回答を簡潔にまとめました。

具体的なキャリアプランを立てる上での参考にしてください。

 

 

日本と海外では理学療法士の役割にどんな違いがありますか?

最大の違いは、医師の指示なしに診断・治療を行える「直接アクセス」の有無です。
欧米ではこれが認められている国が多く、独立した専門職として開業権を持つことも可能です。
そのため、日本に比べて業務範囲が広く、社会的地位も高い傾向にあります。

 

 

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海外で働く場合、何歳からでも挑戦できますか?

年齢制限は基本的にありません。
ただし、JICA海外協力隊には応募時の年齢上限があります。
また、就労ビザの取得条件は国によって異なり、年齢が影響する場合もあります。

臨床経験や語学力など、年齢以外の要素がより重要視されることが多いです。

 

 

学生のうちから海外で働くために準備しておくべきことは何ですか?

まずは語学力の向上が最優先です。
特にTOEFLやIELTSなど、資格申請に必要な英語試験の勉強を始めましょう。

また、海外の理学療法に関する情報収集や、大学の留学・研修プログラムへの参加も、将来のキャリア形成に役立ちます。

 

 

まとめ

理学療法士が海外でキャリアを築く道は、現地の医療機関での臨床、JICAなどを通じた国際貢献、大学院進学による研究・教育など多岐にわります。
どの道を選択するにせよ、目標とする国の免許制度や就労ビザの要件を正確に把握し、計画的に準備を進めることが不可欠です。

特に、臨床現場や資格試験で求められる高度な語学力は、一朝一夕には身につきません。
自身のキャリア目標を明確にし、情報収集を怠らず、必要なスキルを着実に習得していくことが、海外で活躍するための鍵となります。

 

監修:日本リハビリテーション専門学校 鍋城 武志(理学療法士)

 

 

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