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理学療法士の訪問看護での仕事内容とは?役割や訪問リハとの違いも解説

2026.02.19

理学療法

 

 

 

理学療法士の訪問看護での仕事内容とは?役割や訪問リハとの違いも解説

監修:日本リハビリテーション専門学校 鍋城 武志(理学療法士)

 

訪問看護ステーションの理学療法士は、利用者の自宅を訪問し、日常生活に密着したリハビリテーションを提供する専門職です。
その仕事内容は、身体機能の回復支援だけでなく、療養環境の調整や家族への指導など多岐にわたります。
病院勤務とは異なり、利用者の生活そのものがリハビリの場となる点が大きな特徴です。

この記事では、訪問看護における理学療法士等の具体的な仕事内容や役割、混同されやすい訪問リハとの制度上の違いについて詳しく解説します。

 

 

訪問看護で理学療法士に求められる役割とは?

訪問看護における理学療法士の役割は、単に身体機能の訓練を行うだけにとどまりません。
利用者が住み慣れた環境で、その人らしい生活を安全かつ安心して継続できるよう、生活全体を包括的に支援することが最も重要な役割です。
具体的には、利用者の身体機能や生活環境を評価し、個別のリハビリ計画を立案・実行します。

さらに、医師や看護師、ケアマネジャーといった多職種と密接に連携し、利用者の情報を共有しながらチームとしてアプローチすることが不可欠です。
理学療法士の役割は、生活の質向上を支えるキーパーソンとして機能することにあります。

 

 

【病院勤務との比較】訪問看護の理学療法士が行う具体的な仕事内容

訪問看護における理学療法士の仕事は、病院でのリハビリとは環境も目的も大きく異なります。
病院が治療を主目的とする管理された環境であるのに対し、在宅は利用者の生活の場です。
そのため、理学療法士は、実際の生活動作に即した、より実践的なリハビリを提供することが求められます。

限られた環境や設備の中で、利用者が自立した生活を送るために何ができるかを考え、創意工夫を凝らす必要があり、より個別性の高いアプローチが理学療法士に期待されます。

 

 

利用者さんの健康状態のチェックとバイタル測定

訪問看護では、リハビリテーションを開始する前に、必ず利用者の健康状態を確認します。
具体的には、血圧、脈拍、体温、血中酸素飽和度などのバイタルサインを測定し、その日の体調に変化がないかを問診します。
これは、安全にリハビリを行うための重要なプロセスです。

もし測定値に異常が見られたり、利用者の体調が優れない場合は、リハビリを中止または内容を調整し、速やかに事業所の看護師や主治医に報告・相談します。
在宅という医療スタッフが常駐していない環境だからこそ、理学療法士にも医療的な視点に基づいた的確な判断力が求められます。

 

 

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身体機能の評価とリハビリテーションの実施

利用者の自宅に到着後、まずは身体機能の評価を行います。関節の動きや筋力、バランス能力などを確認し、前回からの変化を把握します。その評価に基づき、医師の指示やケアプランに沿って個別のリハビリテーションを実施します。

訪問リハビリテーションの1回あたりの利用時間は、介護保険の場合20分単位で定められています。この時間内で、寝返りや起き上がり、立ち上がりといった基本的な動作訓練から、歩行訓練、筋力トレーニングまで、利用者の目標達成に必要なプログラムを実践します。自宅の廊下で歩行練習をしたり、普段使っている椅子で立ち座りの練習をしたりと、実際の生活環境を最大限に活用して行います。

 

 

自宅での安全な暮らしを支える日常生活動作指導

訪問看護におけるリハビリの大きな目的は、利用者が自宅で安全に日常生活を送れるように支援することです。
そのため、食事、更衣、入浴、トイレといった日常生活動作(ADL)が、より安楽かつ安全に行えるよう具体的な指導を行います。
例えば、ベッドからポータブルトイレへの移乗方法を一緒に練習したり、家族に対して安全な介助方法を伝えたりします。

また、福祉用具の選定に関するアドバイスや、手すりの設置といった住宅改修の提案も、理学療法士等による訪問の重要な役割です。
利用者の生活空間全体を評価し、環境面から暮らしを支えます。

 

 

多職種と連携するための計画書・報告書の作成

訪問看護におけるリハビリテーションは、理学療法士が単独で進めるものではありません。
医師が発行する訪問看護指示書に基づき、ケアマネジャーが作成するケアプランに沿ってサービスを提供します。
そのため、評価内容やリハビリの進捗状況をまとめた計画書や報告書を作成し、関係各所の専門職と情報共有することが不可欠です。

これらの書類は、多職種が同じ目標に向かって利用者を支援するための重要なツールとなります。
リハビリ実施後の記録作成も含め、デスクワークも理学療法士の業務の重要な一部です。

 

 

訪問看護で働く理学療法士の1日のスケジュール例

事業所による違いはありますが、一般的な1日の流れは以下のようになります。
まず午前8時半頃に出勤し、朝のミーティングで看護師や他のスタッフとその日の訪問予定や利用者の情報共有を行います。
9時頃から午前の訪問を開始し、2〜3件の利用者の自宅を回ります。

1件あたりの滞在時間は40〜60分程度です。
昼休憩を挟み、午後も同様に2〜3件の訪問リハビリを実施します。
16時半頃に事業所へ戻り、その日の記録作成や報告書の作成、他職種への連絡調整などの事務作業を行います。
17時半頃に業務を終え、退勤するのが基本的なスケジュールです。

 

 

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「訪問リハビリ」と「訪問看護からのリハビリ」の明確な違い

「訪問リハビリ」と「訪問看護からのリハビリ」は、どちらも理学療法士が利用者の自宅を訪れてリハビリを提供するサービスですが、制度上は明確に区別されています。
この違いは、サービスを提供する事業所の種類や、根拠となる保険制度の単位数などに関わってきます。

例えば、理学療法士が訪問看護ステーションに所属して行うリハビリは「訪問看護からのリハビリ」に該当します。
これから訪問分野で働くことを考えるなら、両者の違いを正確に理解しておくことが重要です。

 

 

指示を出す医師の違い

「訪問リハビリ」と「訪問看護からのリハビリ」では、リハビリテーションの実施にあたって指示を出す医師の立場が異なります。
「訪問リハビリ」は、サービスを提供する病院や診療所、介護老人保健施設に所属する医師からの指示が必要です。
一方、「訪問看護からのリハビリ」の場合は、利用者の主治医(かかりつけ医)が発行する「訪問看護指示書」に基づいてサービスを提供します。

この指示書の中にリハビリの必要性が記載されることで、理学療法士が訪問できるようになります。
連携する医師が所属機関の医師か、地域の主治医かという点が大きな違いです。

 

 

所属する事業所の種類

理学療法士が所属する事業所の種類も両者で異なります。
「訪問リハビリテーション」は、医療機関(病院・診療所)や介護老人保健施設といった、医師が常駐する事業所から提供されるサービスです。
これに対し、「訪問看護からのリハビリ」は、看護師が管理者となって運営する訪問看護ステーションから提供されます。

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士も訪問看護ステーションの管理者になることは可能です。ただし、介護保険法に基づく指定基準として、看護職員(保健師、看護師、准看護師)を常勤換算で2.5名以上配置する必要があり、理学療法士が管理者となる場合でもこの基準を満たす必要があります。
理学療法士が在宅分野で独立開業を考える場合、この制度上の違いを理解しておく必要があります。

 

 

介護保険・医療保険における単位数・料金の違い

介護保険や医療保険制度における報酬の仕組みも両者で異なります。
例えば、介護保険を利用する場合、20分を1単位としたサービス提供が基本ですが、その単位数が異なります。
「訪問リハビリテーション」は1回307単位であるのに対し、「訪問看護における理学療法士等によるリハビリ」は約298単位と設定されています。

また、医療保険においてもそれぞれ異なる料金体系が定められています。
このように、提供するサービス内容は似ていても、どちらの制度から提供されるかによって事業所に入る報酬が変わってきます。

 

 

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訪問看護の理学療法士の給料は高い?年収相場と給与体系

訪問看護ステーションで働く理学療法士の給与は、病院や施設勤務と比較して異なる傾向にあります。年収相場は地域や経験年数によって異なりますが、一般的には400万円から600万円前後が目安とされています。給与体系は、固定給に加えて、訪問件数に応じてインセンティブ(歩合給)が支給される仕組みを採用している事業所が多く見られます。

インセンティブ制度は、訪問件数に応じて支給されることが一般的ですが、具体的な支給額や条件は事業所によって大きく異なります。このインセンティブ制度により、自身の頑張りが給与に反映されやすく、モチベーションを維持しながら働ける環境といえます。

 

 

働く前に知っておきたい訪問看護のルールと注意点

訪問看護の分野で働く際には、特有の制度やルールを理解しておくことが不可欠です。
特に介護保険制度や診療報酬は定期的に改定されるため、常に最新の情報を把握しておく必要があります。

例えば、リハビリ専門職の訪問だけでなく、看護職員による定期的なアセスメントが義務付けられていたり、精神疾患を持つ利用者への対応ルールが定められていたりと、遵守すべき事項が多岐にわたります。
これらのルールは、サービスの質と事業所の運営に直結するため、働く前にしっかりと確認することが重要です。

 

 

看護職員による定期的なモニタリングの必要性

訪問看護ステーションから理学療法士などのリハビリ専門職のみが訪問している利用者であっても、看護職員による定期的な状態観察(モニタリング)が義務付けられています。
これは、利用者の全身状態を看護の視点から評価し、リハビリテーションが適切かつ安全に提供されているかを確認するためです。
具体的には、事業所の看護師が少なくとも3ヶ月に1回は利用者の自宅を訪問し、アセスメントを行う必要があります。

また、理学療法士の訪問に看護師が同行して、共同で利用者の状態評価やケア方針の検討を行うことも推奨されており、チームアプローチが制度的にも求められています。

 

 

2024年度報酬改定で注目されるリハ職と看護師の訪問回数

2024年度の介護報酬改定では、訪問看護におけるリハビリテーション専門職と看護師の訪問回数のバランスが重視されるようになりました。具体的には、理学療法士、作業療法士、または言語聴覚士による訪問回数の合計が看護職員による訪問回数を上回っている利用者に対して、訪問1回につき8単位の減算が適用されることになりました。介護予防訪問看護においては、サービス提供が12ヶ月を超えて実施される場合に、追加で減算されることがあります。この見直しは、訪問看護が看護を主体としたサービスであることを明確にするための措置です。

この減算規定により、訪問看護ステーションは、リハビリテーション専門職と看護師の訪問回数の割合を適切に管理する必要が生じ、事業所によってはサービス提供体制の見直しが求められる可能性があります。

 

 

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訪問看護の理学療法士として働くメリット

訪問看護で働く最大のメリットは、利用者の生活に深く寄り添い、個別性の高いリハビリテーションを提供できる点です。
病院とは異なり、実際の生活空間で動作指導や環境調整を行うため、リハビリの成果が利用者のQOL向上に直結しやすいというやりがいがあります。

また、医師や看護師、ケアマネジャーなど多職種との連携が必須であるため、チーム医療における調整能力やコミュニケーションスキルが向上します。
給与水準が比較的高い傾向にあることや、事業所によっては直行直帰が選択でき、ワークライフバランスを保ちやすいことも魅力の一つです。

 

 

訪問看護の理学療法士として働くデメリット

訪問看護では、基本的に一人で利用者の自宅を訪問するため、現場での判断や対応を一人で行う場面が多く、責任の重さを感じることがあります。
特に経験が浅い場合や、予期せぬ事態が発生した際には、プレッシャーや不安を感じるかもしれません。
また、事業所によっては教育・研修体制が十分に整っていない場合もあり、自ら学ぶ姿勢が求められます。

初回訪問では情報が少ない中で関係性を築く難しさもあります。
さらに、悪天候の日でもバイクや自転車で移動しなければならないなど、天候に左右される身体的な負担もデメリットとして挙げられます。

 

 

未経験でも大丈夫?訪問看護の理学療法士に向いている人の特徴

訪問看護が未経験でも、理学療法士として働くことは可能です。
一人で判断を求められる場面が多いため、病院などで3年〜5年程度の臨床経験を積んでから転職することが望ましいとされています。
訪問看護に向いているのは、まずコミュニケーション能力が高い人です。
利用者やその家族、多職種と円滑な関係を築く力が不可欠です。

また、マニュアル通りではない状況に柔軟に対応し、自ら考えて行動できる自律性も求められます。
生活全体を広い視野で捉え、その人らしい暮らしを支えたいという思いがある人には、非常にやりがいのある分野です。
これは作業療法士や言語聴覚士にも共通していえる特徴です。

 

 

訪問看護ステーションへの転職を成功させる求人の探し方

訪問看護ステーションへの転職を成功させるには、情報収集が鍵となります。
特に、訪問看護分野に特化した転職エージェントの活用は有効な手段です。
専門のコンサルタントから、一般には公開されていない求人情報を紹介してもらえたり、給与や勤務条件の交渉を代行してもらえたりするメリットがあります。

また、応募前には必ず事業所の見学や、可能であれば同行訪問を依頼しましょう。
職場の雰囲気や教育体制、スタッフの働き方を直接見ることで、入職後のミスマッチを防げます。
一つの求人に絞らず、複数の事業所を比較検討し、自分の価値観やキャリアプランに合った職場を見つけることが重要です。

 

 

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訪問看護の理学療法士に関するよくある質問

訪問看護の分野への転職を検討する理学療法士から、働き方に関するさまざまな質問が寄せられます。
特に、オンコールの有無や移動手段、看護師との人間関係については、病院勤務との大きな違いであり、不安を感じやすいポイントです。
ここでは、そうした疑問の中から代表的なものをピックアップし、具体的にお答えします。

 

 

オンコール(緊急時対応)はありますか?

結論として、理学療法士がオンコール対応をすることは基本的にありません。
緊急時の対応は看護師の役割とされており、24時間対応体制加算などを算定している事業所でも、リハビリ専門職はオンコール対応の対象外であることがほとんどです。
ただし、ごくまれなケースも考えられるため、入職前に雇用契約書や就業規則でオンコールの有無を必ず確認することが重要です。

 

 

移動手段は何ですか?車の運転は必須ですか?

主な移動手段は事業所が立地する地域特性によって異なり、自動車、電動自転車、原付バイクが一般的です。
都市部では公共交通機関や自転車での訪問が中心の事業所もありますが、郊外や地方では自動車の運転が必須となる求人が多く見られます。
運転免許を持っていない場合や運転に不安がある場合は、自動車の運転が不要な事業所を選ぶ必要があります。

求人情報で必須条件を確認しましょう。

 

 

看護師との人間関係で気をつけることはありますか?

お互いの専門性を尊重し、積極的に情報共有を行う姿勢が最も大切です。
リハビリテーションの視点と看護の視点は異なるため、双方の意見をすり合わせることで、利用者にとって最適なケアが提供できます。

介護保険だけでなく医療保険の利用者も担当するため、病状に関する情報は密に連携する必要があります。
日頃から報告・連絡・相談を心がけ、良好な協力関係を築くことが求められます。

 

 

まとめ

訪問看護における理学療法士の役割は、機能回復訓練にとどまらず、利用者の在宅生活を多角的に支援することにあります。
病院勤務とは異なり、生活の現場に直接関わることで得られるやりがいは大きい一方、一人で判断する責任や多職種連携のスキルが求められます。
また、2024年度の報酬改定のように、制度の変更が働き方に影響を与えるため、常に最新情報を把握しておくことも重要です。

理学療法士等による訪問看護や介護予防訪問看護の需要は今後も高まることが予想されます。
この記事で紹介した内容を参考に、自身のキャリアプランと照らし合わせ、納得のいく転職活動を進めてください。

 

監修:日本リハビリテーション専門学校 鍋城 武志(理学療法士)

 

 

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