2026.02.19
作業療法

監修:日本リハビリテーション専門学校 手塚 雅之(作業療法士)
社会人になってから作業療法士(OT)の資格取得を目指す方が、キャリアチェンジの一環として増加しています。
現在の仕事を続けながら学ぶ方法として通信教育を検討する方も少なくありませんが、作業療法士になるには、国が指定する養成校への通学が必須です。
この記事では、通信教育だけで資格が取れない理由を解説するとともに、社会人が働きながらOTを目指せる夜間学校という選択肢について、そのメリットや学校選びのポイントを詳しく紹介します。
まず結論から述べると、通信教育のみで作業療法士の国家試験受験資格を得ることは不可能です。
作業療法士は、心と体のリハビリテーションを担う医療専門職であり、その養成課程には専門的な知識と実践的な技術の習得が求められます。
そのため、法律によって厳格な教育基準が定められており、自宅での学習が中心となる通信教育だけでは、国が求める教育要件を満たすことができないのが現状です。
作業療法士の国家試験受験資格を得るためには、文部科学大臣または厚生労働大臣が指定する3年制以上の専門学校、短期大学、大学といった養成校で専門カリキュラムを修了し、卒業することが法律で定められています。
このカリキュラムには、基礎医学や専門分野の講義に加え、実践的なスキルを養うための演習や実技科目が豊富に含まれています。
これらの科目は、教員から直接指導を受けながら、学内の設備を用いて技術を習得することが不可欠であるため、通学制の学校で学ぶことが必須となります。
作業療法士の養成課程では、座学や学内演習に加えて、病院や介護老人保健施設といった実際の医療現場で行う「臨床実習」が法律で義務付けられています。
この実習は、知識を臨床で応用する能力や、患者さんとのコミュニケーション、他職種との連携といった、実践的なスキルを身につけるために不可欠な過程です。
指導者の監督のもとで、医学的な知識に基づいた評価やリハビリテーション計画の立案、実践を行うこの重要な経験は、通信教育で代替することはできません。
通信教育での資格取得ができないため、社会人が働きながら作業療法士を目指すのは難しいと感じるかもしれません。
しかし、そのための現実的な選択肢として、夜間部を設置している専門学校が存在します。
夜間部は、日中の仕事を続けながらでも学べるようにカリキュラムが工夫されており、実際に多くの社会人経験者が学んでいます。
現在の収入や生活基盤を維持しながら、着実に資格取得を目指せる方法として、多くの人に選ばれています。
夜間学校には、日中の時間を有効に活用できるだけでなく、社会人学生にとって魅力的なメリットが複数存在します。
経済的な負担や学習環境の面で、昼間部にはない利点が見られることも少なくありません。
これから作業療法士を目指す社会人にとって、夜間学校がどのような学習の場であるかを知るために、ここでは主な3つのメリットを紹介します。
夜間学校の最大の利点は、授業が夕方から夜にかけて行われるため、日中の仕事を続けながら学業に取り組めることです。
これにより、学費や生活費のための収入を確保しながら学習を進められ、経済的な不安を大幅に軽減できます。
日中は仕事や家庭の役割を果たし、夜に集中して勉強するという生活リズムを確立できるため、現在のライフスタイルを大きく変えることなく、資格取得という目標に向かって着実に進むことが可能です。
夜間部には、同じように仕事をしながら作業療法士を目指す、多様な経歴を持つ社会人学生が多く在籍しています。
年齢や職歴は様々ですが、「働きながら学ぶ」という共通の目標を持つ仲間がいる環境は、大きな精神的な支えになります。
仕事と学業の両立に関する悩みや不安を共有し、効率的な学習方法について情報交換をすることで、困難な時期も乗り越えやすくなるでしょう。
ここで築いた人脈は、卒業後も続く貴重な財産となります。
一般的に、専門学校の夜間部は昼間部と比較して学費が安く設定されている傾向があります。
これは、施設の利用時間や教員配置の違いなどが理由ですが、経済的な負担を少しでも軽減したい社会人にとっては大きなメリットです。
もちろん、具体的な学費は学校によって異なるため、複数の学校の募集要項を取り寄せて比較検討することが欠かせません。
仕事を続けながら得られる収入と、抑えられた学費を組み合わせることで、無理のない資金計画を立てやすくなります。
働きながら通える夜間学校は社会人にとって有力な選択肢ですが、入学後に後悔しないためには、いくつかの重要なポイントを確認して慎重に学校を選ぶ必要があります。
学業を3年ないし4年間継続し、国家試験に合格するという目標を達成するためには、自身のライフスタイルやキャリアプランに合った学校を見つけることが不可欠です。
ここでは、社会人が夜間学校を選ぶ際に特に注意すべき4つの点について解説します。
作業療法士の夜間養成校には、主に3年制と4年制の専門学校があります。
3年制は最短期間で資格取得を目指せるため、一日も早く現場で働きたい人に向いていますが、その分カリキュラムは過密になりがちです。
一方、4年制は比較的ゆとりを持って学べるため、仕事との両立がしやすいという利点があります。
また、4年制を卒業すると「高度専門士」の称号が得られ、大学院への進学資格も得られます。
大学卒業者であれば一部科目が免除される可能性もあるため、自身の状況に合わせて比較検討しましょう。
資格取得を最終目標とする以上、学校の国家試験合格率は必ず確認すべき重要な指標です。
全国平均と比較して高い合格率を維持している学校は、教育の質や試験対策が充実していると考えられます。
単年度だけでなく、過去数年間の実績推移も見ることで、安定した教育レベルかを判断できます。
あわせて、卒業生の就職率や主な就職先も確認しましょう。
自分の希望する分野への就職実績が豊富か、学校側の就職サポートは手厚いかといった点は、資格取得後のキャリアを大きく左右します。
仕事を終えてから学校へ向かう生活を3年、もしくは4年間続けるためには、学校の立地が非常に重要です。
職場や自宅からのアクセスは良いか、無理のない移動時間で通えるかを事前に確認しましょう。
電車の乗り換え回数や最寄り駅からの距離、終業時刻から授業開始時刻までの時間的な余裕などを具体的にシミュレーションしておくことが大切です。
日々の通学による負担が大きすぎると、学習への集中力や体力が続かず、学業の継続そのものが困難になる可能性も否定できません。
夜間部は昼間部より安い傾向があるとはいえ、学費の総額は大きな負担となります。
この負担を軽減するため、利用可能な学費サポート制度を事前に徹底的に調べることが重要です。
国や自治体の奨学金制度に加え、学校独自の特待生制度や奨学金、提携医療機関が設けている奨学金制度など、選択肢は多岐にわたります。
また、社会人経験者が対象となる「専門実践教育訓練給付金制度」の対象講座に指定されているかも、必ず確認しておきましょう。
作業療法士になるための養成課程を通信教育で履修することはできませんが、通信講座が全く無意味というわけではありません。
養成校とは別に存在するこれらの講座は、主に養成校の最終学年や国家試験の再受験者を対象とした「国家試験対策の学習サポート」という役割を担っています。
膨大な試験範囲の中から頻出分野や重要事項を効率的に学べるよう教材が工夫されており、模擬試験や過去問題の解説を通じて実力を養成します。
養成校での学習を補完するツールとして通信講座を活用することで、合格をより確実なものにできます。
作業療法士(OT)という職業に関心を持ち、キャリアチェンジを検討するにあたって、多くの方が共通の疑問や不安を抱きます。
特に社会人からの挑戦となると、年齢や学費、学習期間といった現実的な問題が気になるものです。
同じリハビリテーション職である理学療法士との違いもよく話題に上りますが、ここでは作業療法士を目指す上でよく寄せられる質問とその回答を紹介します。
結論として、社会人になってから作業療法士を目指すのに遅すぎることはありません。
社会人経験で培ったコミュニケーション能力や多様な価値観への理解は、患者さんと信頼関係を築く上で大きな強みとなります。
実際に30代や40代で資格を取得し、現場で活躍している方は多数います。
作業療法士になるには年齢よりも強い意欲が重要です。
社会人が働きながら作業療法士の資格取得を目指す場合、最短期間は3年です。
これは3年制の夜間専門学校に通うルートになります。
4年制の夜間部や大学の場合は4年間が必要です。
養成校で定められたカリキュラムと単位数を履修することが法律で義務付けられているため、これより短い期間で受験資格を得ることはできません。
作業療法士の資格は、通信教育のみで取得することはできず、国が指定した3年制以上の通学制養成校で専門的な知識と技術を学ぶ必要があります。
社会人が働きながら目指す場合、夜間部のある専門学校が最も現実的な選択肢となります。
最短での資格取得を目指すなら3年制、大学院進学など将来のキャリアの幅を広げたいなら4年制など、自身の目標に合った学校を選ぶことが重要です。
監修:日本リハビリテーション専門学校 手塚 雅之(作業療法士)
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