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作業療法士の離職率は高い?OTが辞めたい理由と後悔しない職場選び

2026.02.10

作業療法

作業療法士の離職率は高い?OTが辞めたい理由と後悔しない職場選び

監修:日本リハビリテーション専門学校 阿部 英人(作業療法士)

 

現在の職場に不満があり、作業療法士の離職率が気になっている人もいるのではないでしょうか。
業界全体の離職の実態や、他の人がなぜ辞めたいと感じるのかを知ることは、自身のキャリアを見つめ直す上で重要です。

この記事では、公的なデータに基づいた離職率の比較や、よくある退職理由、そして後悔しないための職場選びのポイントについて解説します。

 

 

作業療法士の離職率は本当に高い?公的データと他職種との比較

作業療法士に限定した公的な離職率データはありませんが、厚生労働省の「令和4年雇用動向調査結果」を見ると、理学療法士や言語聴覚士を含む「医療、福祉」分野の離職率は15.3%でした。
これは全産業平均の15.0%とほぼ同水準であり、医療・福祉業界の離職率が突出して高いわけではないことが分かります。
新卒者の離職率に関しても、作業療法士を含む医療・福祉分野の3年以内離職率は、他の産業と比較して低い傾向にあります。

 

 

なぜ辞めたい?作業療法士が抱える5つの主な退職理由

作業療法士の離職率は全体として平均的ですが、個々の職場ではさまざまな理由で退職を考える人がいます。
多くの作業療法士が「辞めたい」と感じる背景には、給与面での将来性、職場の人間関係、業務負担の重さといった共通の悩みが見受けられます。
実際に仕事を辞めた人たちが抱えていたのはどのような問題だったのか、ここでは主な5つの退職理由を掘り下げていきます。

 

 

給与が上がりにくく将来の生活に不安を感じる

作業療法士の給与は、診療報酬制度に基づいて設定されているため、個人の努力が直接的な給与アップにつながりにくい構造があります。
勤続年数を重ねても昇給幅が小さく、将来的な年収の伸びに限界を感じることも少なくありません。

そのため、同年代の他業種の友人と比較して収入が低いと感じたり、結婚や子育てといったライフプランを考えた際に、経済的な不安から転職を決意するケースが多く見られます。
特に、役職に就くなどのキャリアアップが望めない環境では、給与面での不満が大きな退職動機となります。

 

 

職場の人間関係による精神的なストレス

作業療法士の仕事は、医師や看護師、理学療法士など他職種との連携が不可欠であり、チーム医療の中で密なコミュニケーションが求められます。
そのため、上司や同僚と合わない場合、精神的なストレスを感じやすい環境といえます。
特定のスタッフからの厳しい指導や、チーム内での意見の対立などが原因で、職場に行くこと自体がつらいと感じる人もいます。

このような人間関係の悩みは、日々の業務へのモチベーション低下に直結し、心身の健康を損なう前に職場を離れる決断につながることがあります。
最悪の場合、うつ病を発症するケースも少なくありません。

 

 

業務量と責任の重さに給与が見合わないと感じる

リハビリテーション業務に加え、カルテ記入やリハビリ計画書の作成、カンファレンスの準備など、作業療法士の業務は多岐にわたります。
人手不足の職場では一人当たりの担当患者数が多くなり、時間外労働が常態化することも珍しくありません。
患者の機能回復や生活の質に直接関わるという責任の重さに対して、自身の給与が見合っていないと感じることも、退職を考える一因です。

医師や他の医療職と比較して専門職としての評価が低いと感じたり、業務負担の大きさが正当に報われていないという不満が蓄積しやすくなります。

 

 

スキルアップやキャリアパスが見通せない

日々の業務がルーティン化し、代わり映えのしないリハビリの繰り返しになる中で、専門職としての成長を実感できずに悩む作業療法士は少なくありません。
特に、研修への参加支援制度がなかったり、経験できる症例が限られていたりする職場では、スキルアップの機会が乏しくなります。
将来的に管理職を目指す道や、特定の専門分野を極める道筋など、明確なキャリアパスが見えない環境では、仕事に対する魅力やモチベーションを維持することが困難になります。

自身のキャリアの先行きに不安を感じ、より成長できる環境を求めて転職を考えるようになります。

 

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結婚や出産などライフステージの変化で働き方を見直したい

作業療法士は女性の割合が高い職種であり、結婚や出産といったライフステージの変化が働き方に大きく影響します。
産休・育休制度はあっても、復帰後に子育てと両立しながら働くことへの職場の理解が乏しいケースや、時短勤務などの柔軟な対応が難しい職場もあります。

また、夫の転勤に伴って、やむをえず退職を選択する場合もあるでしょう。
自身のライフプランに合わせて、残業が少なく家庭とのバランスが取りやすい職場や、多様な働き方が可能な環境を求めて、転職を検討する人が多くいます。

 

 

辞める前に考えたい|今の職場に留まるべきか判断するポイント

「辞めたい」という気持ちが高まると、勢いで退職してしまいがちですが、後悔しないためには一度立ち止まって冷静に状況を分析することが重要です。
今の不満は本当に退職でしか解決できないのか、あるいは職場に残ることで改善の余地はないのかを見極める必要があります。
ここでは、退職すべきか、それとも留まるべきかを判断するための3つのポイントを紹介します。

 

 

心身の健康に不調をきたしているなら無理は禁物

仕事のストレスが原因で、不眠や食欲不振、頭痛、気分の落ち込みといった心身の不調を感じている場合、それは危険なサインです。
特に「朝、仕事に行こうとすると涙が出る」「休日も仕事のことばかり考えてしまい休まらない」といった状態は、心身が限界に近いことを示しています。
健康を損なってまで働き続けることは、将来のキャリアにも悪影響を及ぼしかねません。

このような状況では、無理に仕事を続けるのではなく、まずは休職や退職を視野に入れ、自身の健康を最優先に考えるべきです。

 

 

待遇や人間関係について職場内で解決できる可能性はあるか

退職を決断する前に、現在の不満点が職場内で改善される可能性がないかを探ってみましょう。
例えば、給与や業務量に関する不満であれば、上司との面談で相談することで、業務分担の見直しや手当の交渉ができるかもしれません。
人間関係の問題についても、信頼できる先輩や人事部に相談することで、部署異動などの解決策が見つかる可能性があります。

問題解決のために行動を起こしても状況が変わらない場合は、転職を具体的に検討する段階と判断できます。
まずは、辞める以外の選択肢がないかを冷静に考えてみることが大切です。

 

 

作業療法士以外のキャリアに魅力を感じているか

退職したい理由が「今の職場が嫌だ」という消極的なものなのか、それとも「作業療法士以外の仕事に挑戦したい」という積極的なものなのかを自問してみましょう。
もし後者であれば、これまでの経験を活かせる一般企業など、異業種への転職も有力な選択肢となります。

しかし、単に現在の環境から逃れたいだけであれば、同じ作業療法士として職場を変える方が、キャリアを活かしやすく、より良い環境を見つけられる可能性が高いです。
自分が本当に何をしたいのか、キャリアの方向性を見つめ直すことが、後悔のない選択につながります。

 

 

後悔しない転職先の見つけ方|離職率が低い職場の4つの特徴

転職を決意した場合、次の職場で同じ失敗を繰り返さないために、慎重な職場選びが求められます。
求人票の条件だけでなく、職場の内情や雰囲気を知ることが重要です。
離職率が低く、多くの職員が長く働き続けている職場には共通点があります。

ここでは、転職後に後悔しないためにチェックすべき、働きやすい職場の4つの特徴と、その評判を確かめる方法を解説します。

 

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教育・研修制度が充実しており成長できる環境がある

離職率の低い職場は、職員の成長を長期的な視点で支援する傾向があります。
新人向けの研修はもちろんのこと、経験年数に応じたラダー制度や、専門性を高めるための学会参加・資格取得支援制度が整っているかを確認しましょう。
教育・研修制度が充実していることは、法人が職員を大切にしている証拠であり、専門職としてスキルアップできる環境は仕事への意欲にもつながります。

面接の際に、具体的な研修内容やキャリアアップのモデルケースについて質問してみるのも有効です。

 

 

職員の年齢層や勤続年数のバランスが取れている

職員の構成は、職場の働きやすさを測る一つの指標です。
極端に若手職員ばかりですぐに辞めていく職場や、逆にベテラン層が固まっていて新しい意見が通りにくい職場は注意が必要です。
幅広い年齢層の職員が在籍し、勤続年数の長いスタッフが多い職場は、さまざまな年代の職員にとって働きやすい環境である可能性が高いと考えられます。

職場見学が可能であれば、リハビリテーション室のスタッフ構成を観察したり、平均勤続年数について質問したりすることで、定着率を推し量ることができます。

 

 

給与テーブルや評価制度が明確に公開されている

給与や評価に対する不満は、退職の大きな原因となります。
そのため、給与テーブル(賃金表)や昇給・昇格の基準、人事評価制度が明確に定められ、職員に対して開かれているかは非常に重要なポイントです。
どのような経験を積めば給与が上がるのか、どのような成果が評価されるのかが分かれば、将来の生活設計やキャリアプランを描きやすくなります。

面接時に、評価制度やモデル年収について具体的な質問をし、納得のいく回答が得られるかどうかを確認しましょう。

 

 

職場見学でスタッフの表情やコミュニケーションの様子を確認する

求人情報だけでは分からない職場のリアルな雰囲気を知るために、可能であれば必ず職場見学を申し込みましょう。
見学の際は、働いているスタッフの表情が明るいか、挨拶が自然に行われているか、スタッフ間のコミュニケーションは円滑かなどを自分の目で確かめることが大切です。

また、リハビリ室の整理整頓の状況や、患者さんに対するスタッフの言葉遣いなども、その職場の文化を知る手がかりになります。
実際に働く環境を肌で感じることで、入職後のミスマッチを防ぐことができます。

 

 

作業療法士の資格を活かせる多様なキャリアパス

作業療法士の活躍の場は、医療機関だけに限りません。
培ってきた専門知識やスキルは、介護・福祉分野や子どもの療育、さらには一般企業など、非常に幅広い領域で求められています。

現在の職場や働き方に疑問を感じているなら、多様なキャリアパスの中から自分に合った道を探すことも一つの選択肢です。
ここでは、作業療法士の資格を活かせる主なキャリアの方向性を紹介します。

 

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専門性を深めるなら病院やクリニック

急性期から回復期、生活期(維持期)まで、さまざまな病期のリハビリテーションに携われるのが病院やクリニックです。
特に規模の大きな病院では、多岐にわたる症例を経験でき、医師や看護師など他職種との連携を通じて高度な医療知識を学ぶ機会が豊富にあります。

身体障害領域、精神障害領域、発達障害領域、老年期障害領域といった特定の分野の専門性を追求したい場合、医療機関はスキルを磨くのに最適な環境といえます。
学会発表や研究活動に力を入れている施設も多く、専門家としてのキャリアを着実に築いていけます。

 

 

利用者の生活に寄り添うなら介護・福祉施設

介護老人保健施設や特別養護老人ホーム、訪問リハビリテーション事業所、デイケアセンターなどの介護・福祉施設は、利用者の「生活」に直接的に関わることのできる職場です。
病院を退院した後の生活を支え、その人らしい暮らしを継続できるよう、長期的な視点でリハビリテーションを提供します。
一人ひとりの生活歴や価値観を深く理解し、住み慣れた地域で安心して暮らせるよう支援することに、大きなやりがいを見出すことができます。

地域包括ケアシステムの中で、重要な役割を担う分野です。

 

 

子どもの成長を支えるなら児童福祉分野

発達に課題を抱える子どもたちを支援する、児童発達支援センターや放課後等デイサービス、特別支援学校なども作業療法士の重要な活躍の場です。
遊びや学習活動を通して、子どもの感覚統合や運動機能、社会性の発達を促す役割を担います。

昨日までできなかったことができるようになるなど、子どもの成長を間近で実感できることは、この分野ならではの大きな魅力です。
保護者からの相談に応じたり、学校や保育園と連携したりと、子どもを取り巻く環境全体に働きかけていくことが求められます。

 

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資格や経験を活かして一般企業へ転職する道も

臨床現場で培った作業療法士としての知識や経験は、一般企業でも高く評価されます。
例えば、福祉用具や医療機器を扱うメーカーで、製品開発や営業職として専門的な視点から貢献することができます。
また、住宅メーカーで高齢者や障害を持つ方に向けた住宅改修のアドバイザーとして活躍する道や、保険会社でリハビリの知識を活かして保険査定業務に携わる道もあります。

臨床とは異なるフィールドで、これまでのキャリアを活かして社会に貢献するという選択肢も十分に考えられます。

 

 

作業療法士の離職に関するよくある質問

作業療法士として働きながら、転職やキャリアについて考え始めると、さまざまな疑問や不安が浮かんでくるものです。
ここでは、特に多くの人が気になる平均勤続年数や、若手での転職の可能性、転職活動に最適な時期といった、離職に関するよくある質問に対して、簡潔に回答していきます。

 

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作業療法士の平均勤続年数はどれくらいですか?

作業療法士のみを対象とした公的な平均勤続年数のデータはありません。

しかし、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士を対象とした2023年の調査では平均7.4年という結果が出ています。

これは他業種と比較して特別短いわけではなく、職場環境や個人のキャリアプランによって大きく異なると考えられます。

 

 

経験が浅い1年目や2年目でも転職は可能ですか?

可能です。
第二新卒として採用されるケースも多く、若さや今後のポテンシャルを評価する求人も少なくありません。
特に、教育体制が整っている職場であれば、未経験の分野でもスキルを身につけながら働くことができます。

ただし、即戦力を求める求人も多いため、応募先の研修制度の有無は事前にしっかり確認しましょう。

 

 

転職活動を始めるのに有利な時期はありますか?

一般的に、年度末の退職者補充や4月入職に向けた求人が増える1~3月、また夏のボーナス支給後の6~8月は求人数が増加する傾向にあります。
しかし、作業療法士は通年で需要があるため、特定の時期にこだわる必要はあまりありません。
自身のキャリアプランや現在の職場の引き継ぎなどを考慮し、最適なタイミングで活動を始めるのが良いでしょう。

 

 

まとめ

作業療法士の離職率は、医療・福祉分野全体の傾向と同様に、全産業平均と比較してわずかに高い水準にあります。給与体系や人間関係、キャリアへの不安など、この職種ならではの理由で退職を考える人がいるのは事実です。

もし現在の職場に不満を感じているなら、一時的な感情で決断するのではなく、まずは自身の状況を客観的に分析することが重要です。心身の健康状態を確認し、職場内で問題を解決できる可能性を探り、自身のキャリアプランを再考しましょう。

その上で転職を決意した場合は、教育制度や職員構成、評価の透明性といった観点から、長期的に働きやすい職場を慎重に見極める必要があります。作業療法士の活躍の場は多様であり、自分に合った働き方を見つけることは十分に可能です。

 

監修:日本リハビリテーション専門学校 阿部 英人(作業療法士)

 

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