2026.02.09
理学療法

監修:日本リハビリテーション専門学校 鍋城 武志(理学療法士)
理学療法士の難易度は、国家試験の合格率だけでは測れません。
資格取得には、養成校への入学、卒業までの学習と実習、そして最終関門である国家試験という3つのハードルがあります。
この記事では、理学療法士になるための難易度を「国家試験」「養成校での学習」「入学」の3つの側面から多角的に解説し、専門学校の選び方までを具体的に説明します。
理学療法士になるためには、単に試験に合格すればよいわけではありません。
その難しさのレベルとは、まず養成校に入学し、最低3年以上の厳しいカリキュラムと臨床実習を乗り越えて卒業し、その上で国家試験の合格という段階を踏む必要があります。
これらのプロセス全体を総合的に見ると、資格取得の難易度が高いことが理解できます。
理学療法士は国家資格であり、その試験は年に一度実施されます。
合格率は例年80%前後と高い水準で推移しており、数値だけを見ると容易な国家資格に思えるかもしれません。
しかし、この合格率は、養成校で専門的な知識と技術を習得し、厳しい卒業要件を満たした学生だけが受験できるという前提に基づいています。
そのため、合格率の高さが試験の易しさには直結しません。
理学療法士国家試験の合格率は、年によって多少の変動はありますが、概ね高い水準を維持しています。
2024年に行われた第59回試験の合格率は89.2%(新卒95.2%)、2023年の第58回試験では87.4%(新卒94.9%)でした。
その前の第57回試験は79.6%とやや低い結果でしたが、長期的には80%から90%前後で推移する傾向にあります。
このように、養成校でしっかりと学び、受験対策をすれば十分に合格を狙える試験と言えます。
しかし、既卒者の合格率は新卒者に比べて著しく低くなるため、一度で合格することが重要です。
国家試験の合格率が高い理由の一つに、試験が「絶対評価」であることが挙げられます。
絶対評価とは、あらかじめ定められた合格基準点を超えれば、受験者数に関わらず全員が合格となる評価方法です。
理学療法士国家試験の場合、一般問題と実地問題を合わせて、総得点の約60%を正答すれば合格となります。
つまり、他の受験者との競争ではなく、自分自身が基準点をクリアできるかどうかが問われます。
養成校でのカリキュラムは、この合格基準を満たすための知識と技術が十分に習得できるよう構成されているため、真面目に学習に取り組めば合格レベルに到達しやすいのです。
理学療法士国家試験の合格率は、新卒者と既卒者で著しい差が見られます。
例えば、第59回試験では新卒者の合格率が95.2%であったのに対し、既卒者は45.6%と半分以下に落ち込んでいます。
この差が生まれる主な要因として、学習環境の違いが挙げられます。
新卒者は学校のサポートを受けながら、同じ目標を持つ仲間と集中して試験勉強に取り組めます。
一方、既卒者は働きながら学習時間を確保する必要があったり、最新の出題傾向に対応しにくかったりと、多くのハンディキャップを抱えることになります。
このデータは、いかに現役で一発合格することの重要性が高いかを示しています。
国家試験の合格率だけを見ると、理学療法士の資格取得は容易に感じられるかもしれません。
しかし、理学療法士になるまでの過程は非常に厳しいものです。
養成校では3年または4年間にわたり、解剖学や生理学、運動学といった膨大な量の専門知識を習得しなければなりません。
さらに、長期間にわたる臨床実習では、学んだ知識を実践する能力に加え、患者とのコミュニケーション能力や精神的な強さが求められます。
この養成課程のレベルの高さと厳しさが、理学療法士になることの本当の難易度を示しているのです。
理学療法士の資格を取得するためには、文部科学大臣または厚生労働大臣が指定する養成校(大学、短期大学、専門学校)で3年以上学ぶ必要があります。
一般的には、専門学校では3年、大学では4年の課程が設けられています。
この期間には、膨大な専門知識の習得や、学生にとって最大の関門とも言われる臨床実習が含まれます。
6年制の大学院課程も存在しますが、多くの学生がこの3年または4年の道のりを経て資格取得を目指します。
理学療法士の養成校では、3年もしくは4年という限られた期間で、人体の構造と機能に関する深い知識を学びます。
学習範囲は、解剖学、生理学、運動学といった基礎医学から、整形外科学や神経内科学などの臨床医学、さらには理学療法評価学や運動療法学といった専門分野まで多岐にわたります。
これらの科目は相互に関連しており、一つでもおろそかにすると理解が追いつかなくなる可能性があります。
授業の進度も速く、日々予習復習を欠かさず、膨大な量の知識を体系的に整理し、記憶していく努力が求められます。
多くの学生が養成課程で最も困難だと感じるのが、病院や施設で行われる臨床実習です。
座学で得た知識を実際の患者を前に応用する場であり、初めての臨床現場に戸惑う学生は少なくありません。
担当する患者の評価から治療プログラムの立案、実施までを指導者の監督下で行いますが、同時に日々の記録やレポート作成にも追われます。
慣れない環境での緊張感や、患者や指導者との人間関係、睡眠不足などが重なり、精神的にも肉体的にも大きな負担がかかります。
実習を乗り越えるには、学校で学んだ知識を整理しておく事前準備と、指導者や患者と積極的にコミュニケーションを取る姿勢が不可欠です。
理学療法士になるためのスタートラインは、大学や専門学校といった養成校に入学することです。
養成校によって入学難易度は異なり、大学では学力試験の偏差値が重視される傾向にあります。
一方、専門学校では学科試験に加えて面接や小論文などが課されることも多く、学力だけでなく理学療法士としての適性や学習意欲も評価の対象となります。
自分自身の学力や特性に合った学校を選ぶことが重要です。
理学療法士を目指せる大学の偏差値は、国公立か私立かによって異なります。
国公立大学の場合、偏差値は50台後半から60台が中心となり、高い学力が求められます。
一方、私立大学は選択肢が広く、偏差値40台から60台までと幅があります。
医療系の学部であるため、医学部や歯学部ほどではありませんが、一定水準以上の学力は必要です。
特に、国公立大学や上位の私立大学を目指す場合は、高校での基礎学力をしっかりと固めておくことが合格の鍵となります。
自分の学力レベルを見極め、目標とする大学の偏差値を調べて対策を立てることが大切です。
専門学校の入学難易度は、大学と比較すると一般的に緩やかです。
入試方法は多様で、学科試験を課す一般入試のほか、推薦入試、AO入試、社会人入試などがあります。
学科試験は国語、英語、数学、生物などから1〜2科目が課されることが多く、基礎的な学力が問われます。
それ以上に重視されるのが、面接や小論文です。
ここでは、理学療法士になりたいという強い意欲や目的意識、コミュニケーション能力といった人間性が評価されます。
学力に自信がない場合でも、明確な目標と熱意をアピールすることで合格の可能性は十分にあります。
理学療法士になるためには、養成校選びが非常に重要です。
国家試験の合格率が高いことはもちろんですが、それだけで学校を決めるのは早計です。
学校ごとにカリキュラムの特色や実習先、学費、学生へのサポート体制は大きく異なります。
これらの要素を総合的に比較検討し、自分自身が3年間あるいは4年間、意欲的に学び続けられる環境かどうかを見極めることが、後悔しない学校選びにつながります。
養成校を選ぶ上で、国家試験の合格率は最も分かりやすい指標の一つです。
多くの学校がウェブサイトなどで合格率を公開しているため、必ず確認しましょう。
注目すべきは、全国平均との比較です。
全国平均を常に上回る合格率を維持している学校は、教育の質や国家試験対策が充実している可能性が高いと考えられます。
また、新卒者だけでなく、既卒者を含めた全体の合格率も参考にすると、より手厚いサポート体制が整っているかどうかを推測できます。
ただし、合格率の数字だけにとらわれず、他の要素と併せて総合的に判断することが大切です。
理学療法士が活躍する分野は、医療機関だけでなく、スポーツ、小児、介護予防など多岐にわたります。
そのため、養成校ごとにカリキュラムにも特色があります。
例えば、特定の分野に強みを持つ教員が在籍していたり、関連施設での実習が充実していたりする場合があります。
将来、自分がどの分野で活躍したいかというビジョンがあるなら、その分野の教育に力を入れている学校を選ぶのが良いでしょう。
また、臨床実習は資格取得過程で非常に重要な経験となるため、実習先の種類や数が豊富かどうかも、学校選びの重要な比較ポイントです。
理学療法士の養成校に通うには、3年間または4年間で数百万円の学費が必要となり、決して安い金額ではありません。
国公立大学、私立大学、専門学校で学費は大きく異なるため、自分の家庭の経済状況と照らし合わせて、無理なく通える学校を選ぶことが重要です。
奨学金制度や特待生制度の有無も事前に調べておくとよいでしょう。
また、学習面でのサポート体制も確認すべきポイントです。
国家試験対策の講座が充実しているか、学習につまずいた際の個別指導はあるか、就職活動のサポートは手厚いかなど、安心して学生生活を送れる環境が整っているかどうかも見極めましょう。
理学療法士という資格の難易度について、多くの人が抱く疑問は共通しています。
ここでは、働きながらの資格取得の可能性や、他の医療系資格との難易度比較など、よくある質問に答えていきます。
また、資格取得後のキャリアとして、より専門性を高める認定理学療法士や専門理学療法士といった上位資格の存在についても知っておくと、将来のキャリアプランを描きやすくなります。
結論として、働きながら理学療法士を目指すことに困難はありますが、不可能ではありません。
夜間部を設置している専門学校に通うことで両立は可能です。
しかし、日中の仕事に加え、夜間の講義や週末の実習、膨大な量の課題やレポートをこなす必要があり、時間的にも体力的にも相当な覚悟が求められます。
強い意志と周囲の理解、そして徹底した自己管理が不可欠です。
国家試験の合格率や養成校の偏差値に大きな差はないため、理学療法士と作業療法士の難易度は同程度と言えます。
どちらが難しいかは、個人の興味や適性によるでしょう。
看護師など他の医療職と比較しても、資格取得の難易度に本質的な優劣はありません。
国家試験に不合格となった場合でも、理学療法士になる道を諦める必要はありません。
翌年以降に再度、国家試験を受験することが可能です。
受験資格は失われないため、合格するまで何度でも挑戦できます。
ただし、既卒者の合格率は新卒者に比べて大幅に低くなるため、卒業後も学習習慣を維持し、モチベーションを保つことが合格の鍵となります。
予備校の利用や、母校のサポートを受けるなどの対策が考えられます。
理学療法士の国家試験は合格率が高く、一見すると容易な資格に思えるかもしれません。
しかし、その背景には養成校での3年以上にわたる厳しい学習過程と、乗り越えるべき臨床実習という大きなハードルが存在します。
資格の難易度は、入学、学習過程、国家試験という3つの側面から総合的に判断する必要があります。
理学療法士になるという強い意志を持ち、自分に合った養成校で計画的に学習を進めることが、資格取得への最も確実な道筋です。
監修:日本リハビリテーション専門学校 鍋城 武志(理学療法士)
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