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作業療法士の人数【最新】将来性と今後の推移をデータで解説

2026.01.31

作業療法

 

作業療法士の人数【最新】将来性と今後の推移をデータで解説

監修:日本リハビリテーション専門学校 阿部 英人(作業療法士)

作業療法士の人数は年々増加傾向にあり、2024年時点で有資格者数は11万人を突破しました。
この人数の推移は、リハビリテーション分野の需要拡大を反映している一方で、将来のキャリアを考える上での重要な指標となります。

この記事では、最新の統計データに基づき、作業療法士の現状と今後の展望について多角的に解説します。

 

 

【2024年最新】日本の作業療法士の有資格者数は約10.5万人

厚生労働省の統計によると、日本国内の作業療法士の有資格者数は年々増加し、2024年3月時点の累計では11万8,715人に達しています。
この増加は、高齢化社会の進展に伴うリハビリテーション需要の高まりが大きな要因です。

本章では、有資格者数だけでなく、日本作業療法士協会の会員数、男女比、平均年齢、主な勤務先といった詳細なデータを通して、作業療法士の現状を詳しく見ていきます。

 

 

日本作業療法士協会の会員数は約6.5万人(2023年度時点)

作業療法士の有資格者数が11万人を超える一方で、一般社団法人日本作業療法士協会への加入者数は2024年度3月時点で約6.5万人となっています。
有資格者総数と会員数に差があるのは、協会への加入が任意であるためです。

協会に加入することで、最新の学術情報の入手、研修会への参加、賠償責任保険への加入といったメリットが得られます。
非加入者には、臨床から離れている人や、他の団体に所属している人などが含まれると考えられます。
この会員数は、現在活発に活動している作業療法士の規模を示す一つの目安と見ることができます。

 

 

男女比は女性が6割以上で多い傾向

作業療法士の男女比は、女性が約64%、男性が約36%と、女性の割合が高いことが特徴です。
これは、リハビリテーション専門職の中でも顕著な傾向といえます。

理由としては、対象者一人ひとりの生活に寄り添い、きめ細やかなコミュニケーションを通じて支援を行う作業療法の特性が、女性の関心を引きやすいことなどが挙げられます。
また、医療や福祉の分野は女性が多く活躍しており、勤務形態の柔軟性からライフイベントに合わせた働き方がしやすいことも、女性の割合が高い一因と考えられています。

 

 

平均年齢は約36歳で若手から中堅が中心

作業療法士の平均年齢は、日本作業療法士協会の統計によると約36.1歳です。
年齢構成を見ると、20代から40代までの若手・中堅層が全体の約8割を占めており、活気のある職種であることがうかがえます。

これは、1990年代以降に養成校が大幅に増え、毎年多くの新しい有資格者が誕生していることが背景にあります。
若い世代が多いため、新しい知識や技術の導入に積極的で、業界全体の新陳代謝が活発に行われているのが特徴です。
今後、経験を積んだ中堅層が管理職や教育者としてキャリアアップしていくことが期待されます。

 

 

勤務先の約7割は病院などの医療機関

作業療法士の主な勤務先として最も多いのは、病院やクリニックといった医療機関であり、全体の約7割を占めています。
特に、急性期から回復期、維持期(療養)まで、さまざまな段階の患者を支援する病院が中心です。
次いで、介護老人保健施設や介護老人福祉施設などの介護保険関連施設が約2割を占めます。

その他にも、訪問看護ステーションからの訪問リハビリ、発達障害のある子どもを支援する児童福祉施設、精神科デイケア、特別支援学校など、活躍の場は多岐にわたります。
近年は、地域包括ケアシステムの推進により、在宅生活を支える分野での需要も高まっています。

 

 

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作業療法士の人数が増え続けている2つの背景

作業療法士の人数が過去数十年にわたり一貫して増加している背景には、大きく分けて2つの要因が存在します。一つは、供給側の視点である「養成校の増加」です。これにより、毎年安定して新しい有資格者が輩出される仕組みが確立されました。

もう一つは、需要側の視点である「社会的なニーズの高まり」です。急速な高齢化を背景に、リハビリテーションを必要とする人が増え続けていることが、専門職としての作業療法士の必要性を押し上げています。

 

 

背景1:養成校の増加に伴う国家試験合格者数の上昇

作業療法士の人数増加の直接的な要因は、資格取得に必要な養成校の数が大幅に増えたことです。
1990年代には全国で20校程度だった養成校は、規制緩和などを背景に急増し、現在では200校を超えるまでになりました。

この結果、作業療法士国家試験の受験者数も増加し、毎年5,000人前後の新しい作業療法士が誕生しています。
養成校の増加は、多くの人材をリハビリテーション分野に供給する原動力となった一方で、卒業生の質の担保や就職先の確保といった新たな課題も生み出しています。
国家試験の合格率は比較的高い水準で推移しており、安定した人材供給が続いています。

 

 

背景2:高齢化によるリハビリテーション需要の高まり

もう一つの大きな背景は、日本の急速な高齢化に伴うリハビリテーション需要の増大です。
団塊の世代が後期高齢者となる2025年以降、医療や介護を必要とする人口はさらに増加すると見込まれています。

脳卒中後の後遺症や認知症、加齢による心身機能の低下など、高齢者が直面する問題に対して、作業療法士の専門的な支援は不可欠です。
病気やけがからの機能回復だけでなく、住み慣れた地域でその人らしい生活を継続するための「予防」や「生活支援」の役割が重視されるようになり、病院内にとどまらない多様な場面で作業療法士の活躍が求められています。

 

 

作業療法士の将来性|2040年の需要と供給のバランスを予測

作業療法士の人数が増加を続ける中、その将来性、特に需要と供給のバランスについて関心が高まっています。
2025年問題やその先の2040年問題を見据え、リハビリテーション専門職の必要性は増す一方ですが、「人数が増えすぎて飽和状態になるのではないか」という懸念も聞かれます。

ここでは厚生労働省の推計データを基に、将来の需給バランスを予測し、作業療法士が今後も価値を発揮し続けるためのキャリアの方向性を考察します。

 

 

「作業療法士は飽和状態?」供給数が需要数を上回る可能性

作業療法士の人数が増え続けることで、将来的に供給が需要を上回る「飽和状態」に陥る可能性が指摘されています。
厚生労働省の推計によると、現在のペースで有資格者が増え続けた場合、2040年頃には供給数が需要数を上回るという予測も出ています。

特に、養成校や病院が集中する都市部では、求人に対する応募者が増え、就職の競争率が高まる傾向が見られます。
ただし、これはあくまで現状の働き方を前提とした推計です。
後述するように、新たな分野へ職域を拡大していくことで、需要を創出し、飽和状態を回避できる可能性は十分にあります。

 

 

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厚生労働省の推計データで見る今後の人数推移

厚生労働省が公表した「理学療法士・作業療法士の需給推計」では、今後の人数推移と需要について具体的な数値が示されています。
この厚生労働省のデータによると、理学療法士・作業療法士を合わせた供給数は2040年には現在の約1.5倍に達すると予測されています。
一方で、高齢者人口の増加などを踏まえた需要数も伸びるものの、その伸びは供給数の増加ペースに追いつかない可能性が示唆されました。

この推計は、作業療法士が自身のキャリアを考える上で、長期的な視点を持つことの重要性を示しています。
厚生労働省は、今後のサービス提供体制の変化も考慮する必要があるとしています。

 

 

介護保険分野や精神科領域など新たな活躍の場が拡大

供給過多への懸念がある一方、作業療法士の新たな活躍の場は着実に拡大しています。
従来の医療機関中心の働き方から、介護保険分野における通所・訪問リハビリテーション、認知症高齢者への支援、地域包括支援センターでの介護予防事業など、地域に根差した役割がますます重要になっています。

また、精神科領域におけるうつ病からの復職支援(リワーク)、発達障害のある子どもの療育、司法領域での社会復帰支援なども専門性が求められる分野です。
さらに、企業の健康経営支援や、世界の開発途上国でのリハビリテーション技術協力など、グローバルな視点での活躍も期待されています。

 

 

【都道府県別】作業療法士の人数が多い地域ランキング

作業療法士の分布は、全国一様ではありません。
就職や転職を考える際には、全国的な人数の動向だけでなく、地域ごとの需給バランスを把握することが重要です。
人口が多い都市部に集中する傾向がある一方で、人口あたりの人数を見ると異なる実態が見えてきます。

ここでは、作業療法士の人数を「総数」と「人口10万人あたりの人数」という2つの視点から都道府県別にランキング化し、その地域的な特徴を解説します。

 

 

総数で見る|最も人数が多いのは東京都

厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師統計」によると、作業療法士の総数が最も多いのは東京都で、次いで大阪府、神奈川県、埼玉県といった大都市圏が上位を占める傾向にあります。
2021年から2022年にかけてのデータを見てもこの傾向は変わりません。

これは、人口の多さに加え、病院やリハビリテーション施設、養成校がこれらの地域に集中しているためです。
多くの求人が見つかりやすい一方で、求職者も多いため、就職や転職における競争は他の地域に比べて激しくなる可能性があります。
希望する分野や条件によっては、近隣の県も視野に入れた情報収集が有効です。

 

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人口10万人あたりで見る|最も人数が多いのは高知県

総数とは対照的に、人口10万人あたりの作業療法士数を見ると、全く異なる順位になります。
最も多いのは高知県で、徳島県、宮崎県、熊本県など西日本の県が上位に多くランクインする傾向があります。

これは、地域の高齢化率の高さや、リハビリテーション医療に力を入れている県の医療政策などが影響していると考えられます。
47都道府県の中で、必ずしも総数が多い地域が、人口比で見ても多いわけではない点は注目すべきです。
このデータは、その地域で作業療法士がどれだけ充足しているか、あるいは地域住民がリハビリテーションサービスを受けやすい環境にあるかを示す一つの指標となります。

 

 

作業療法士の人数に関するよくある質問

作業療法士の人数について調べているとさまざまな疑問が浮かび上がります。
特に同じリハビリテーション専門職である理学療法士との比較や人数の増加が就職市場や給与にどのような影響を与えるのかといった点は多くの人が関心を持つテーマです。

この章では作業療法士の人数に関連するよくある質問に対して簡潔に回答します。

 

 

理学療法士と作業療法士ではどちらの人数が多いですか?

理学療法士の方が作業療法士よりも人数は多く、有資格者数は理学療法士が約20万人であるのに対し、作業療法士は約10万人と倍近い差があります。
これは、養成校の数や一校あたりの定員数が理学療法士の方が多いことが主な理由です。

人数が少ない分、作業療法士の専門性が求められる場面、特に精神科領域や発達障害領域、生活行為に特化した支援が必要な場面では、その希少性から安定した需要があります。

 

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作業療法士の人数は増えていますが、就職や転職は難しくなりますか?

都市部を中心に求人倍率は低下傾向にあり、就職や転職の競争は以前より激しくなっています。
しかし、全体として難しくなったわけではありません。

特に、地方の医療機関や介護施設、訪問リハビリテーション、発達支援分野などでは依然として人材が不足しており、需要は高い状況です。
専門性を磨いたり、需要の高い分野での経験を積んだりすることで、有利な条件での就職・転職は十分に可能です。

 

 

人数が増えると作業療法士の給料は下がりますか?

人数の増加が直ちに給料の低下に結びつくわけではありませんが、将来的には影響が出る可能性があります。
需要に対して供給が大幅に上回る状況になれば、待遇面での競争が激化し、給与水準が上がりにくくなることも考えられます。

しかし、管理職への昇進や、認定・専門作業療法士などの資格取得による専門性の証明、需要が高い分野への転職など、個人のキャリアプラン次第で給与を維持・向上させることは可能です。

 

 

まとめ

作業療法士の人数は、養成校の増加と高齢化に伴う需要の高まりを背景に、一貫して増加を続けています。
2024年時点での有資格者数は11万人を超え、今後もこの傾向は続くと予測されます。
厚生労働省の推計では、2040年頃に供給が需要を上回る可能性も示唆されており、将来的な飽和を懸念する声もあります。

しかし、これは現在の働き方を前提とした予測であり、活躍の場は医療機関だけでなく、介護予防、発達支援、就労支援など多岐にわたって拡大しています。
地域による人数の偏りも存在するため、キャリアを考える上では、全国的な動向と地域ごとの需給バランスの両方を把握することが求められます。

監修:日本リハビリテーション専門学校 阿部 英人(作業療法士)

 

 

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