2026.02.02
理学療法

監修:日本リハビリテーション専門学校 吉葉 則和(理学療法士)
理学療法士国家試験の合格率は、受験生にとって試験の難易度を測る重要な指標です。
最新の第60回試験では比較的高い水準でしたが、過去の推移を見ると変動があることがわかります。
合格率の数値だけでなく、合格に求められる具体的な基準点や、現役生と既卒者での合格率の違いを理解することが、適切な試験対策につながります。
本記事では、最新データと過去の推移を基に、理学療法士国家試験の難易度と合格基準について詳しく解説します。
2025年2月に行われた第60回理学療法士国家試験の結果が、同年3月に厚生労働省から発表されました。発表によると、全体の合格率は89.6%でした。この回の受験者数は12,691人、そのうち合格者数は11,373人となっています。
前年の第59回試験の合格率が89.2%であったことから、ほぼ同水準を維持した結果となりました。理学療法士国家試験は、医療専門職としての知識と技能を問う重要な試験であり、多くの受験生が合格を目指して学習に励んでいます。この合格率は、今後の試験に向けた難易度を考える上での一つの目安となります。
理学療法士の国家試験合格率は、長期的な視点で見ると変動がありますが、ここ数年は安定した傾向にあります。
過去10年間の推移を振り返ることで、試験の難易度がどのように変化してきたかを把握できます。一時期、合格率が70%台まで低下したこともありましたが、近年は回復傾向にあり、受験生にとっては追い風と言える状況が続いています。この安定した推移は、試験内容や採点基準がある程度定着していることを示唆しており、受験生は過去のデータに基づいた対策を立てやすくなっています。
近年の試験合格率を見ると、第55回(2020年)は86.4%、第56回(2021年)は79.0%でした。その後、第57回(2022年)は79.6%に推移し、第58回(2023年)では87.4%と上昇、第59回(2024年)は89.2%となりました。最新の第60回(2025年)試験では89.6%を記録しており、全体的に80%台後半から90%に迫る水準で推移していることから、試験の難易度は比較的安定していると分析できます。
理学療法士国家試験の合否は、単に全体の合格率だけで決まるものではありません。
合格するためには、厚生労働省が定める明確な合格基準を満たす必要があります。
この基準は、受験者全体の成績に左右される相対評価ではなく、個々の受験者が一定の得点レベルに達したかを問う絶対評価方式です。
したがって、合格点を確実に取ることが重要であり、具体的な基準を正確に理解しておくことが、試験対策の第一歩となります。
基準は主に2つの条件から構成されています。
理学療法士国家試験の合格には、総得点と実地問題の双方で基準を満たす必要があります。総得点の満点と合格点は試験回によって異なり、例えば273点満点中164点以上、あるいは279点満点中168点以上となる場合があります。
この基準は絶対評価であるため、試験問題の難易度や他の受験者の平均点によって合格点が変動することはありません。したがって、周囲の成績を気にすることなく、確実に合格基準点以上の得点を積み上げられるよう、全ての科目でバランス良く学習を進めることが求められます。
総得点で6割以上を獲得することに加えて、もう一つ満たさなければならない重要な条件があります。
それは、実地問題における最低得点率です。
実地問題は合計120点満点ですが、このうち3割以上、つまり43点以上の得点が必須となります。
この基準は「足切り」とも呼ばれ、たとえ一般問題と合わせた総得点が合格ラインの168点を超えていたとしても、実地問題の得点が43点に満たない場合は、それだけで不合格となってしまいます。
臨床場面を想定した実地問題への対策を怠ると、思わぬ結果につながる可能性があるため、十分な注意が必要です。
理学療法士国家試験の合格率は、受験者の状況によって大きく異なります。
特に、その年に養成校を卒業する「現役生(新卒)」と、卒業後に再受験する「既卒者」とでは、合格率に著しい差が見られます。
全体の合格率だけを見て試験の難易度を判断するのではなく、自身の立場における合格率を把握することが、より現実的な目標設定と対策につながります。
この新卒と既卒のデータ差は、試験の難易度が受験者の学習環境に大きく左右されることを示しています。
現役で受験する新卒者の合格率は、例年非常に高い水準を維持しています。
最新の第60回試験では、新卒者の合格率は95.2%に達しました。
これは、既卒者を含む全体の合格率89.6%を大きく上回る数値です。
新卒者は、養成校でのカリキュラムに沿って計画的に学習を進め、国家試験対策の授業や模擬試験など、手厚いサポートを受けられる環境にあります。
また、学友と共に学ぶことでモチベーションを維持しやすいことも、高い合格率の要因と考えられます。
このように、学習に専念できる環境が整っていることが、新卒者の圧倒的な強みとなっています。
新卒者とは対照的に、既卒者の合格率は厳しい状況にあります。
第60回理学療法士国家試験における既卒者の合格率は31.2%と、新卒者の95.2%と比較して大きな差が開きました。
この傾向は例年同様で、既卒者の合格率は30%台から40%台で推移することが多くなっています。
既卒者の場合、多くは助手などとして働きながら勉強時間を確保する必要があり、学習への集中が難しい環境にあります。
また、一度不合格になった経験から精神的なプレッシャーを感じやすいことや、最新の出題傾向を独学で追うことの難しさも、合格率が低くなる要因と考えられます。
難易度の正確な予測は困難ですが、合格基準は総得点の6割以上という絶対評価で定められています。
2024年までの試験と同様に、過去問を中心に基礎知識を固め、苦手分野を克服する基本的な対策が最も重要です。
近年の合格率が安定していることから、極端な難化は考えにくいですが、油断せず着実に学習を進めることが合格への鍵となります。
難易度の正確な予測は困難ですが、合格基準は総得点の6割以上という絶対評価で定められています。
2024年までの試験と同様に、過去問を中心に基礎知識を固め、苦手分野を克服する基本的な対策が最も重要です。
近年の合格率が安定していることから、極端な難化は考えにくいですが、油断せず着実に学習を進めることが合格への鍵となります。
厚生労働省が毎年「理学療法士国家試験学校別合格者状況」を公表しており、公式サイトで確認できます。
この資料には、全国の大学や専門学校ごとの受験者数と合格者数が掲載されています。
また、多くの養成校では、自身の公式サイトやパンフレットなどで合格率を公表しているため、そちらを参照するのも有効な方法です。
既卒者の合格が難しくなる主な理由は、学習環境の変化です。
多くの場合、働きながらの受験となり、勉強時間の確保が困難になります。
また、学生時代と比べて学習のモチベーションを維持しにくいことや、最新の試験情報を得にくいことも要因として挙げられます。
独学による孤独感や、再受験へのプレッシャーも影響すると考えられます。
理学療法士国家試験の合格率は、近年80%台後半で安定的に推移しており、計画的に学習すれば十分に合格が目指せる試験です。
ただし、合格基準として総得点の6割以上に加え、実地問題で4割以上の得点が必要な点を忘れてはいけません。
また、新卒者と既卒者では合格率に大きな差があり、特に既卒者は厳しい状況に置かれます。
これは、同じリハビリテーション職である作業療法士の国家試験でも同様の傾向が見られます。
自身の状況を客観的に把握し、適切な学習計画を立てて試験に臨むことが重要です。
監修:日本リハビリテーション専門学校 吉葉 則和(理学療法士)
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