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スポーツ理学療法士になるには?仕事内容や就職先、資格まで解説

2026.01.28

理学療法

 

スポーツ理学療法士になるには?仕事内容や就職先、資格まで解説

監修:日本リハビリテーション専門学校 鍋城武志(理学療法士)

スポーツ理学療法士は、アスリートの怪我の治療からパフォーマンス向上までを支える専門職です。
その仕事内容はリハビリテーションにとどまらず、怪我の予防やコンディショニング管理など多岐にわたります。

この記事では、スポーツ理学療法士になるための具体的なステップ、病院やプロチームといった主な就職先、必須となる理学療法士の国家資格、さらにキャリアアップに役立つ関連資格について詳しく解説します。

スポーツ理学療法士とは?一般的な理学療法士やトレーナーとの違い

スポーツ理学療法士とは、スポーツ活動によって生じた障害を持つ人や、パフォーマンス向上を目指すアスリートに対して、理学療法を用いて支援する専門家です。
一般的な理学療法士が病気や高齢など幅広い対象を扱うのに対し、スポーツ分野に特化している点が特徴です。

また、理学療法士とスポーツトレーナーは混同されがちですが、国家資格の有無が大きな違いです。
作業療法士は日常生活の動作回復を支援する点で役割が異なります。

アスリートを支える医療の専門家としての役割

スポーツ理学療法士は、アスリートの身体を医学的観点からサポートする医療の専門家です。
主な役割は、怪我からの回復を促すリハビリテーションですが、その基盤には解剖学や運動学といったスポーツ医学の深い知識があります。

医師の診断のもと、選手一人ひとりの状態や競技特性に合わせた専門的なプログラムを作成し、科学的根拠に基づいたアプローチで競技復帰を支援します。
また、怪我の予防やパフォーマンス向上に関しても、身体の仕組みを熟知した専門家として、トレーニング指導やコンディショニング管理を担い、アスリートが最高の状態で競技に臨めるよう支えます。

 

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スポーツトレーナーとの目的と資格の違い

スポーツ理学療法士とスポーツトレーナーは、どちらも選手を支える存在ですが、その目的と資格に明確な違いがあります。
理学療法士の主な目的が、医師の指示のもとで怪我の治療やリハビリテーションといった医療行為を行うことであるのに対し、トレーナーは主に選手のコンディショニング管理やパフォーマンス向上、怪我の予防を目的とします。

最も大きな違いは資格であり、理学療法士は国家資格ですが、スポーツトレーナーに関連する資格の多くは民間資格です。
そのため、理学療法士はリハビリテーションの専門家、トレーナーはコンディショニングの専門家として、それぞれの領域で協力し合います。

スポーツ理学療法士の具体的な仕事内容

スポーツ理学療法士の仕事内容は、単に怪我を治療するだけでなく、多岐にわたります。
選手のコンディションを医学的視点から評価し、怪我からのリハビリテーションを計画・実行するのはもちろん、怪我を未然に防ぐための予防トレーニング指導も重要な業務です。

さらに、日々のコンディショニング管理を通じて選手のパフォーマンスを最大限に引き出すためのサポートも行います。
試合や練習現場では、怪我人が出た際の応急処置など、迅速な判断と運動知識が求められます。

怪我をした選手の競技復帰を支えるリハビリテーション

スポーツ理学療法士の中心的業務が、怪我をした選手に対するリハビリテーションです。
リハビリとは、単に身体機能の回復を目指すだけでなく、選手が再び最高のパフォーマンスで競技に復帰できるよう導くプロセスを指します。
医師の診断に基づき、選手個々の怪我の状態、競技の特性、ポジションなどを詳細に分析し、専門的なリハビリ計画を立案します。

筋力回復や関節可動域の改善といった基本的なリハから始まり、徐々に競技特有の動作を取り入れた運動療法へと移行させ、最終的な競技復帰までを二人三脚でサポートします。
このリハビリテーション過程全体を管理することが、スポーツ理学療法士の重要な役割です。

選手の怪我を未然に防ぐ予防トレーニングの指導

怪我の治療だけでなく、そもそも怪我をさせないためのアプローチもスポーツ理学療法士の重要な仕事です。
選手の身体機能評価や動作分析を通じて、個々の弱点や怪我につながりやすい動作の癖を特定します。

その評価結果に基づき、筋力バランスの改善、柔軟性の向上、正しい身体の使い方を習得させるためのトレーニングプログラムを立案し、専門的な運動指導を行います。
過去の怪我の再発防止はもちろん、新たな怪我のリスクを低減させることで、選手生命を守り、チーム全体の戦力維持にも貢献します。

最高のパフォーマンスを引き出すコンディショニング管理

アスリートが常に最高の状態で競技に臨めるよう、日々のコンディションを管理するのもスポーツ理学療法士の役割です。
トレーニングや試合による身体的な負荷を評価し、疲労回復を促進するための物理療法やストレッチ、マッサージなどを行います。

また、身体の状態に合わせてトレーニングの強度や量を調整するよう、選手やコーチに助言することも少なくありません。
医学的知識に基づいたコンディショニング管理によって、アスリートの身体を最適な状態に保ち、パフォーマンスの維持・向上を支える専門的な運動サポートを提供します。

試合や練習現場での迅速な応急処置

プロチームなどに帯同するスポーツ理学療法士は、試合や練習中に選手が負傷した際、現場で迅速な応急処置を行う役割を担います。
捻挫や打撲、脱臼、骨折といった突発的なアクシデントに対し、専門的な知識と技術を用いて即座に状態を評価し、RICE処置などの適切な対応を実施します。

その場で競技を続行できるか、あるいは医療機関での診察が必要かを判断することも重要な役目です。
チームドクターと連携しながら、選手の安全を確保し、怪我の悪化を防ぐための初期対応を担う、医療の最前線ともいえる業務です。

スポーツ理学療法士が活躍できる主な就職先

スポーツ理学療法士の就職先は、医療機関にとどまらず多岐にわたります。
最も一般的なのは、スポーツ整形外科を専門とする病院やクリニックです。
また、多くの人が目標とするプロスポーツチームや実業団チームの専属スタッフとして働く道もあります。

近年では、健康志向の高まりを受け、フィットネスクラブやパーソナルトレーニングジムで、一般の利用者に対して専門的な指導を行うケースも増えており、活躍の場は広がりを見せています。

スポーツ整形外科が専門の病院やクリニック

スポーツ理学療法士の最も代表的な就職先が、スポーツ整形外科を専門とする病院やクリニックです。
これらの医療機関には、プロアスリートから学生、一般のスポーツ愛好家まで、スポーツによる怪我や障害に悩む多くの患者が訪れます。

理学療法士は、医師の診断のもとでリハビリテーション計画を立案し、運動療法や物理療法を用いて患者の競技復帰や日常生活への復帰をサポートします。
スポーツクリニックでは、最新の医療知識や治療技術に触れる機会も多く、専門性を高めるための環境が整っています。

プロスポーツチームに帯同する専属スタッフ

プロスポーツチームの専属理学療法士として働くことは、多くの人が憧れるキャリアパスの一つです。
野球やサッカーなどのプロスポーツチームに帯同し、選手のコンディショニング管理、トレーニングのサポート、怪我の予防、試合中の応急処置、そしてリハビリテーションまで、シーズンを通して包括的に関わります。

選手の最も身近な存在として、最高のパフォーマンスを引き出すために日々サポートを行います。
ただし、求人は非常に少なく、高い専門性や豊富な経験、人脈などが求められる狭き門でもあります。

実業団や地域のスポーツチーム

活躍の場はプロスポーツチームだけに限りません。
企業が運営する実業団チームや、地域のスポーツクラブなども重要な就職先です。
実業団では、社員選手が仕事をしながら競技を続けられるよう、練習や遠征に帯同して身体のケアやリハビリテーションをサポートします。

また、地域スポーツの現場では、ジュニア世代から社会人まで幅広い年齢層のアスリートを対象に、怪我の予防や育成年代に適した身体づくりを指導する役割を担います。
地域に根差した活動を通じて、スポーツ文化の発展に貢献できます。

フィットネスクラブやパーソナルトレーニングジム

医療機関やスポーツチームだけでなく、フィットネスクラブやパーソナルトレーニングジムも活躍の場として増えています。
理学療法士の国家資格を持つトレーナーとして、医学的な知識に基づいた安全で効果的なトレーニングプログラムを一般の利用者に提供します。

身体の痛みや不調を抱える利用者に対して、その原因を評価し、改善に向けた専門的なアドバイスができる点は大きな強みです。
健康増進やダイエット、ボディメイクなど、多様なニーズに応えながら、利用者の目標達成をサポートします。

 

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スポーツ理学療法士になるための3つのステップ

スポーツ理学療法士になるには、理学療法士の国家資格が必須であり、段階的なステップを踏む必要があります。さらに、スポーツ分野で活躍するためには、CSS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)や日本スポーツリハビリテーション学会認定トレーナーといった民間資格も有利とされています。

まずは理学療法士としての土台を築くことが不可欠です。

ここでは、スポーツ分野で活躍する専門家になるための具体的な3つのステップについて解説します。

高校卒業後の進路選択から、資格取得、そして現場での経験の積み方まで、目標達成に向けた道のりを順に見ていきましょう。

STEP1:理学療法士の国家資格を取得する

スポーツ理学療法士として活動するための絶対的な第一歩は、理学療法士の国家資格を取得することです。
「スポーツ理学療法士」という独立した資格は存在せず、すべての活動は理学療法士であることが前提となります。

資格を取得するには、高校卒業後、文部科学省または厚生労働省が指定する大学や専門学校などの養成校で3年以上学び、専門知識と技術を修得しなければなりません。
そして、カリキュラムを修了した後に理学療法士国家試験を受験し、合格することで、初めて理学療法士としてのキャリアをスタートできます。

STEP2:スポーツ分野の知識が学べる大学や専門学校を選ぶ

理学療法士の養成校を選ぶ際には、スポーツ分野の教育に力を入れている学校を選ぶことが将来への近道となります。
スポーツ系の学科やコースが設置されている4年制大学や専門学校では、基礎的な理学療法の知識に加え、スポーツ医学やトレーニング理論、コンディショニングなど、専門性の高い知識を深く学べます。

また、スポーツチームと提携していたり、関連施設での実習が充実していたりする学校も存在します。
高校生の段階から将来を見据え、自分の興味や目標に合った大学や専門学校を選択することが、夢を実現するための重要なステップです。

 

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STEP3:医療機関やスポーツ現場で臨床経験を積む

理学療法士の国家資格を取得した後は、すぐにスポーツの現場で働けるとは限りません。
まずは病院、特にスポーツ整形外科などの医療機関に就職し、理学療法士としての基礎的な臨床経験を積むことが一般的です。
様々な症例を担当する中で、評価能力や治療技術を磨きます。

それと並行して、スポーツ分野の勉強会や研修会に積極的に参加したり、休日にアマチュアチームのトレーナーとしてボランティア活動を行ったりして、専門知識と現場での経験を積み重ねていく努力が、スポーツ理学療法士としてのキャリアを築く上で求められます。

キャリアの幅を広げるためにおすすめの資格

理学療法士の国家資格は必須ですが、それに加えてスポーツ分野に関連する資格を取得することで、自身の専門性を客観的に証明し、キャリアの可能性を大きく広げられます。
これらの資格は、スポーツ現場での信頼性を高め、より専門的な役割を担うための足がかりとなります。

ここでは、スポーツ理学療法士としてステップアップを目指す上で、特に取得が推奨される代表的な資格を2つ紹介します。

日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)

日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)は、スポーツ現場で活動する上で、スポーツドクターやコーチと連携し、選手の健康管理、傷害予防、応急処置、リハビリテーション、体力トレーニングなど、幅広い役割を担える能力を証明する資格です。

ただし、JSPO-ATの「認知度の低さ」が課題として挙げられている現状もあります。また、この資格は医療資格ではないため、「医療行為が可能な人」という誤解がある点も指摘されています。

理学療法士の資格と併せて保有すること(ダブルライセンス)は、医療的な視点と現場でのトレーナーとしての視点を両立できるというメリットがあります。これにより、働ける職場の範囲が広がり、就職や転職に有利になるなど、スポーツトレーナーとしての活躍の場を広げることが可能です。

日本理学療法士協会認定スポーツ理学療法士

日本理学療法士協会が認定する「認定スポーツ理学療法士」は、スポーツ理学療法の分野における高い専門性を持つことを証明する資格です。
この認定資格を取得するには、理学療法士としての実務経験を積んだ上で、協会が指定する研修を受講し、試験に合格する必要があります。

資格取得を通じて、最新の知識や技術を体系的に学ぶことができ、スポーツ理学療法のスペシャリストとしての信頼性を高めます。
キャリアアップや専門性を追求する上で、目標となる資格の一つです。

 

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スポーツ理学療法士に関するよくある質問

スポーツ理学療法士を目指す方からよく寄せられる質問に回答します。
スポーツ理学療法士の年収、仕事のやりがい、そしてプロチームで働くことの難易度など、キャリアを考える上で知っておきたい問題を取り上げます。

具体的な疑問を解消し、将来のキャリアプランを立てるための参考にしてください。

スポーツ理学療法士の平均年収はどれくらいですか?

理学療法士全体の平均年収である約430万円が目安です。
ただし、勤務先や契約形態、経験によって大きく異なり、一般的な病院勤務の場合はこの水準に近くなります。
プロチームの専属スタッフなど、高い専門性が求められる職場で好条件の契約を結べば、平均を大きく上回る年収を得ることも可能です。

仕事で一番やりがいを感じるのはどのような時ですか?

怪我や不調で苦しんでいた選手が、自身のリハビリテーションを経て無事に競技へ復帰し、再び活躍する姿を見た時に最も大きなやりがいを感じます。

選手の目標達成に向けて二人三脚で努力し、その成果がパフォーマンスとして現れた瞬間に、この仕事内容ならではの喜びと達成感を覚えるという声が多いです。

プロチームの専属理学療法士になるのは難しいのでしょうか?

求人の数が非常に限られており、ポストに空きが出にくいため、プロスポーツチームの専属スタッフになるのは極めて難しいのが現状です。

高いレベルの専門知識や豊富な臨床経験はもちろん、選手や監督との信頼関係を築くコミュニケーション能力、そして業界内での人脈も重要視される、非常に狭き門といえます。

まとめ

スポーツ理学療法士は、理学療法士の国家資格を基盤とし、スポーツ分野に特化した知識と技術でアスリートを支える専門職です。
その業務は、怪我からのリハビリテーションをはじめ、傷害予防、コンディショニング管理、現場での応急処置まで多岐にわたります。

主な活躍の場は、スポーツ整形外科のある病院やクリニックが中心ですが、プロスポーツチームや実業団、フィットネスクラブなどへも広がっています。
この分野でキャリアを築くには、資格取得後も継続的に学び、臨床経験を重ねることが不可欠です。

 

監修:日本リハビリテーション専門学校 鍋城武志(理学療法士)

 

 

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