レポート

REPORT

作業療法士の役割とは?仕事内容や理学療法士との違いをわかりやすく解説

2026.01.27

作業療法

作業療法士の役割とは?仕事内容や理学療法士との違いをわかりやすく解説

監修:日本リハビリテーション専門学校 田中克一(作業療法士)

 

作業療法士の役割とは、病気やけが、あるいは生まれつきの障害によって日常生活に支障をきたしている人々に対し、心と体の両面からリハビリテーションを行い、その人らしい生活の再建を支援することです。
本記事では、作業療法士の具体的な仕事内容や、しばしば比較される理学療法士との違い、活躍の場について詳しく解説します。

作業療法士とは何か、その専門性や目的を理解するための一助となれば幸いです。

 

作業療法士(OT)が担う中心的な役割とは?

作業療法士(OT)の役割は、対象者が主体的な生活を送れるように、食事や入浴といった日常生活の動作から、仕事、趣味活動に至るまで、あらゆる「作業」を通じて心身機能の回復を支援することです。

その目的は、単に身体機能を回復させるだけでなく、対象者が社会的役割を取り戻し、生きがいを感じられる生活を再構築できるよう、個々の価値観や目標に寄り添いながらサポートすることにあります。

 

心と体の両面から「その人らしい生活」の実現を支援する

作業療法士は、身体機能の回復訓練だけでなく、精神的な安定や意欲の向上も重視します。
対象者にとって意味のある「作業」、例えば料理や園芸、手芸といった活動をリハビリに取り入れることで、楽しみながら自然と心身の機能を高める機会を与えます。

これにより、対象者は自信を取り戻し、再び社会と関わる意欲を持つことができます。
このように、作業療法士は身体的なアプローチと心理的なアプローチを組み合わせ、対象者一人ひとりが望む「その人らしい生活」をオーダーメイドで作り上げていく役割を担っています。

 

リハビリを通して食事や入浴など日常生活の動作回復を目指す

作業療法士が行うリハビリテーションの中核には、食事、着替え、入浴、トイレといった日常生活に不可欠な動作(ADL)の回復があります。
このリハビリでは、単に筋力や関節の動きを改善するだけでなく、実際の生活場面でどのように体を使えば動作が楽になるか、あるいは自助具や福祉用具をどう活用するかといった具体的な方法を指導します。

対象者が安全かつ自立して日々の生活を送れるようになることを目指し、一人ひとりの状態や生活環境に合わせた実践的な訓練計画を立てて実行していきます。

 

社会参加を促進するための精神的なサポート

病気や障害は、身体的な機能低下だけでなく、自信の喪失や社会からの孤立感といった精神的な苦痛をもたらすことがあります。
作業療法士は、対象者が抱える不安や葛藤に耳を傾け、精神的な支えとなることも重要な役割です。

趣味活動やグループでの作業などを通じて、他者と交流する機会を設け、成功体験を積み重ねることで自己肯定感を高めます。
このようにして、対象者が再び地域社会や家庭で自分の役割を見つけ、主体的に参加していくための精神的な基盤を整える支援を行います。

 

夜間部なら原則週3登校

 

【比較】作業療法士(OT)と理学療法士(PT)の役割の違いを解説

作業療法士と理学療法士は、ともに対象者の機能回復を支援するリハビリテーションの専門職ですが、その役割には明確な違いがあります。
理学療法士が「立つ」「歩く」といった基本的な動作能力の回復に焦点を当てるのに対し、作業療法士は食事や料理、仕事といった、より応用的で生活に密着した動作能力の改善と社会復帰を目指します。

両者はそれぞれの専門性を活かし、連携しながら対象者をサポートします。

 

作業療法士(OT):応用的な動作や社会復帰を支援する

作業療法士の役割は、基本的動作が可能になった後の、より複雑で応用的な生活動作の再建を支援することです。
例えば、食事の際に箸を使う、服を着替える、料理をするといった具体的な生活行為の訓練を行います。

さらに、復職を目指す人に対しては、パソコン作業や軽作業などの職業関連動作の訓練を行う就労支援も担います。
また、精神的なケアを通じて社会参加への意欲を引き出し、趣味活動の再開など、生活の質(QOL)全体の向上を目指す点も大きな特徴です。

 

理学療法士(PT):立つ・歩くといった基本的な動作の回復を支援する

理学療法士の役割は、病気やけがによって損なわれた基本的な身体機能の回復を支援することにあります。
具体的には、関節を動かす、筋力をつけるといった運動療法や、電気刺激や温熱などを利用した物理療法を用いて、寝返る、起き上がる、座る、立つ、歩くといった動作の改善を図ります。

これらの基本動作は、日常生活を送る上での土台となるため、理学療法士はリハビリテーションの初期段階で中心的な役割を担うことが多いです。
対象者が安全に移動できる能力を獲得することが主な目的となります。

 

夜間部なら原則週3登校

 

【対象分野別】作業療法士が果たす4つの役割

作業療法士の専門性は、対象者の状態や年齢に応じて4つの主要な分野で発揮されます。
具体的には、脳卒中後のリハビリなどを行う「身体障害分野」、心の病を抱える人を支援する「精神障害分野」、子供の成長をサポートする「発達障害分野」、そして高齢者の生活を支える「老年期障害分野」です。

これらの4つの領域において、作業療法士はそれぞれの特性に応じたアプローチで、対象者の生活再建を支援しています。

 

1. 身体障害分野:日常生活動作の再獲得とリハビリ

身体障害分野では、脳卒中、骨折、神経難病などにより身体機能に障害がある人々を対象とします。
作業療法士は、食事や着替え、入浴といった日常生活動作(ADL)を再び行えるように、筋力や関節可動域の改善、巧緻性(手先の器用さ)の向上を目指すリハビリを行います。

また、スプーンの持ち手を太くするなどの自助具の提案や、手すりの設置といった住宅改修のアドバイスも行い、対象者が障害を抱えながらも、できる限り自立した生活を送れるように環境面からも支援します。

 

2. 精神障害分野:心のケアと社会生活への適応支援

精神障害分野において、作業療法士は統合失調症やうつ病、依存症などの精神疾患を抱える人々を支援します。

精神科病院やクリニックなどで、手芸、スポーツ、園芸、料理といった具体的な作業活動を用いて、気分の安定、集中力や対人関係能力の向上を図ります。これらの活動は、生活リズムを整え、自己肯定感を高めることにつながります。最終的には、対象者が退院後に地域社会で安定した生活を送れるように、生活スキルの獲得や再就職の準備など、社会生活への適応をサポートする役割を担います。

 

3. 発達障害分野:子供の成長に合わせた機能の発達サポート

発達障害分野では、脳性まひや自閉スペクトラム症など、生まれつき発達に課題のある小児を対象とします。
作業療法士は、遊びを通して、座る、立つといった運動機能や、物をつかむ、字を書くといった感覚・知覚機能の発達を促します。

発達障害領域では、子供が日常生活や学校生活にうまく適応できるよう、個々の特性に合わせた支援計画を立てることが重要です。
また、保護者に対して家庭での関わり方について助言したり、学校の先生と連携したりするなど、子供を取り巻く環境全体に働きかける役割も担います。

 

4. 老年期障害分野:高齢者の生活機能の維持と認知症ケア

老年期障害分野では、加齢や病気に伴い心身機能が低下した高齢者を対象とします。
作業療法士は、できる限り自立した生活を長く続けられるよう、筋力維持の体操や日常生活動作の訓練、趣味活動の提供などを行います。

特に認知症の方に対しては、昔の道具を使ったり、馴染みのある歌を歌ったりする回想法などを通じて精神的な安定を図り、認知機能の低下を緩やかにするアプローチも行います。
高齢化社会が進行する中で、高齢者の尊厳ある生活を支える作業療法士のニーズはますます高まっています。

 

夜間部なら原則週3登校

 

【職場別】作業療法士の具体的な仕事内容と役割

作業療法士は、医療機関や介護福祉施設だけでなく、子供の発達支援施設や地域社会まで、非常に幅広いフィールドで活躍しています。
それぞれの職場には異なるニーズがあり、作業療法士は対象者や施設の目的に応じて専門的な役割を果たします。

病院での急性期リハビリから、地域での生活支援まで、働く場所によって仕事内容は多岐にわたります。

 

医療機関(一般病院・精神科病院など)での役割

病院などの医療機関において、作業療法士は医師の指示のもと、患者の病状や回復段階に応じたリハビリテーションを提供します。
急性期病院では発症直後から早期離床や合併症予防を図り、回復期リハビリテーション病院では集中的な訓練を通じて在宅復帰を目指します。

医師や看護師、理学療法士など他職種と連携し、チーム医療の一員として患者の機能回復と退院支援を担うことが重要な役割です。
精神科病院では、精神的な安定と社会生活への適応を目的とした作業活動を行います。

 

介護・福祉施設(老人ホーム・デイサービスなど)での役割

介護老人保健施設や特別養護老人ホームなどの介護施設において、作業療法士は利用者の心身機能の維持・向上を目的とした役割を担います。
福祉の現場では、個別の機能訓練に加え、集団でのレクリエーションや趣味活動を企画・実施し、利用者の生活に活気と潤いをもたらします。

通所リハビリテーション(通所リハ)では、在宅で生活する高齢者が日帰りでリハビリに通い、身体機能の維持や社会参加の機会を支援します。
老人ホームでは、生活そのものがリハビリと捉え、日常動作を通じた機能維持を図ります。

 

児童福祉・教育機関(支援施設・特別支援学校など)での役割

児童発達支援センターや放課後等デイサービス、特別支援学校などの現場では、発達に課題を抱える子供たちの支援が作業療法士の役割です。
遊びや学習を通じて、身体の動かし方、手先の使い方、コミュニケーション能力などを育むサポートを行います。

個々の子供の発達段階や特性を評価し、それに合わせたプログラムを作成・実施します。
また、保護者への助言や、学校の教員と連携してクラスでの過ごし方について提案するなど、子供が円滑に集団生活を送れるよう環境を調整する役割も重要です。

 

就労支援施設や保健所など地域社会での役割

作業療法士の活躍の場は、地域社会にも広がっています。
就労移行支援事業所では、障害のある人が一般企業へ就職するための職業訓練や相談支援を行います。
また、保健所や市町村の保健センターでは、地域住民の介護予防事業や健康増進活動に関わります。

さらに、利用者の自宅を訪問してリハビリを行う訪問リハビリテーションも重要な役割の一つです。
通院が困難な人に対して、実際の生活環境の中で動作指導や住宅改修のアドバイスを行い、地域での自立した生活を支えます。

 

作業療法士に関するよくある質問

ここでは、作業療法士という職業について、多くの方から寄せられる質問にお答えします。
対象となる人、資格取得の方法、そして仕事のやりがいといった、作業療法士を目指す上での基本的な疑問点を解説します。

これから作業療法士を目指す方や、この仕事に関心のある方はぜひ参考にしてください。

 

Q1. 作業療法士のリハビリはどのような人が対象になりますか?

身体や精神に障害がある、またはそれが予測される全ての方が対象となります。
年齢も、新生児から高齢者まで幅広く、特定の疾患に限りません。

脳卒中後の後遺症、骨折、発達障害、認知症など、日常生活や社会生活に何らかの支障がある場合に支援を行います。
スポーツ選手のパフォーマンス向上を目指すスポーツリハビリとは異なり、生活の再建を主目的としています。

 

Q2. 作業療法士になるには、どのような資格や学びが必要ですか?

作業療法士になるには、国家資格である「作業療法士免許」の取得が必須です。
この国家試験を受験するためには、文部科学省または厚生労働省が指定する大学、短期大学、あるいは3年制以上の専門学校の養成課程を修了する必要があります。

養成校では、解剖学や生理学などの基礎医学に加え、専門的な知識と技術を講義や実習を通して学びます。

 

Q3. 作業療法士の仕事のやりがいは何ですか?

対象者ができなかったことができるようになった瞬間に立ち会い、その人らしい生活を取り戻す過程を一番近くで支援できる点にあります。
対象者やその家族から「ありがとう」と直接感謝の言葉を伝えられることも多く、人の役に立っていると実感できるのが大きな魅力です。

一人ひとりの人生に深く関わり、その人の可能性を引き出す手助けができる、非常に充実感のある仕事です。

 

まとめ

作業療法士は、身体的な機能回復だけでなく、精神的なサポートを通じて、対象者が「その人らしい生活」を送れるよう支援する専門職です。
理学療法士が「立つ・歩く」といった基本動作を担うのに対し、作業療法士は食事や更衣といった日常生活の応用動作から、復職や趣味活動といった社会参加まで、より生活に密着した領域をサポートします。

活躍の場は病院や介護施設にとどまらず、子供の発達支援や地域での生活支援など多岐にわたります。
対象者一人ひとりの人生に深く関わり、その人の生きがいを再構築する手助けをする、社会にとって不可欠な役割を担っています。

 

夜間部なら原則週3登校

 

監修:日本リハビリテーション専門学校 田中克一(作業療法士)

それぞれのご案内

アクセス

アクセス

〒171-0033 東京都豊島区高田3-6-18
TEL:03-5954-6511(代表)

重要なお知らせ 新型コロナウィルス感染症対策関連情報

グループ校