2025.12.29
作業療法
現在の仕事を続けながら、将来のために新たなスキルを身につけたいと考える社会人にとって、医療系の資格取得は魅力的な選択肢です。医療業界は安定した需要が見込まれ、専門性を活かして長期的にキャリアを築くことが可能です。
この記事では、社会人経験を強みにできる理由や、働きながらでも目指しやすい医療系の資格の種類、そして学業と仕事を両立させるための学校選びのポイントについて詳しく解説します。
### 働きながら目指しやすい医療系の資格について
「医療系の資格」には、国が認定する「国家資格」の他に、民間団体や公益法人が認定する「民間資格」や、国や地方公共団体が認定する「公的資格」があります。
医師や看護師、薬剤師などの医療系国家資格の多くは、取得するために大学や専門学校などの養成施設で3年から6年間の専門教育を修了し、国家試験に合格する必要があります。 そのため、「働きながら目指しやすい」とは一概には言えません。しかし、オンライン学習を併用したカリキュラムを工夫したり、現場での助手アルバイトを紹介することで働きながら学ぶ環境づくりを推進している養成校もあります。
社会人向けの夜間部を設けている専門学校もあり、仕事と両立しながら国家資格の取得を目指すことも可能です。
日本では少子高齢化が進み、2025年にはいわゆる「2025年問題」が発生しました。これは団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、医療や介護の需要が急増したことで、医療費の増大や医療従事者の不足が顕在化した社会問題です。
医療業界は景気に左右されにくく、安定した需要が見込まれるため、不況時でも大きく需要が減少することはありません。むしろ、人々の生命と健康を支える必要不可欠なサービスとして、高い安定性を持つ分野と言えます。実際に、医療や介護の現場では、高い専門性を持つ人材が常に求められており、次に控える2040年問題に向けてもこの傾向は続くと予測されています。
【2040年問題とは】2040年には高齢者の人口がピークを迎え、全人口に占める高齢者の割合が約35.3%に達すると推計されている状況です。これは、2025年問題よりもさらに医療・介護サービスの需要が高まり、医師や看護師といった医療従事者だけでなく、介護職員の不足も深刻化する可能性があることを示唆しています。また、単身高齢者世帯の増加や、認知症高齢者の増加も懸念されており、地域包括ケアシステムの強化や、医療・介護現場でのテクノロジー導入による効率化が喫緊の課題となっています。
このような背景から、医療系の国家資格は、社会人にとって将来を見据えた安定したキャリアを築くための有力な選択肢として注目されています。専門知識と技術を証明する医療系の国家資格を取得することで、全国どこでも通用するキャリアを築くことが可能です。また、社会人経験で培われたコミュニケーション能力や問題解決能力は、医療現場でのチーム医療において、患者や他の医療スタッフとの連携を円滑にする上で大きな強みとなります。これらのスキルは、多様な背景を持つ患者の不安に寄り添い、安心感を提供するためにも不可欠です。
医療は人々の生命と健康を支える必要不可欠なサービスであり、経済状況の変化による影響を受けにくいという特徴があります。
そのため、医療系資格を持つ専門職は、常に一定の需要があり、安定した雇用環境で長期的に働くことが可能です。
特に、少子高齢化が進行する日本では、医療や介護のニーズは今後ますます高まると予測されています。
景気に左右されず、将来にわたって社会に貢献しながら安心してキャリアを継続できる点は、医療業界で働く大きな魅力の一つと言えるでしょう。
一度資格を取得すれば、ライフステージの変化に合わせて働き方を選びやすいのも利点です。
医療系資格は、国が認めた高度な専門知識と技術を持っていることの証明です。
資格を取得することで、特定の分野におけるプロフェッショナルとして、自信を持って業務に取り組むことが可能になります。
また、この専門性は一度身につければ生涯にわたって活用でき、全国どこへ行っても通用する普遍的なスキルとなります。
医療技術は日々進歩するため、就職後も研修や学会参加を通じて常に新しい知識を学び続ける必要がありますが、それが自身のスキルアップとキャリア形成に直結します。
専門職として経験を重ね、管理職や教育者など多様なキャリアパスを描けることも魅力です。
医療現場では、患者やその家族との信頼関係構築、医師や看護師、リハビリスタッフなど多職種との円滑な連携が不可欠です。
社会人として様々な立場の人と関わってきた経験で培われたコミュニケーション能力やビジネスマナーは、チーム医療を実践する上で大きな強みとなります。
相手の状況を理解し、的確に情報を伝え、合意形成を図るスキルは、医療専門職としての知識や技術と同じくらい重要視されます。
多様な背景を持つ人々と接してきた社会人経験は、患者の不安に寄り添い、安心感を与えることにも役立ちます。
仕事を続けながら新たな資格取得を目指す社会人にとって、学びやすさは重要なポイントです。
医療・福祉系の国家資格の中には、受験資格として専門学校や大学などでの3年以上の専門教育修了を条件とするものが多くあります。一部の専門学校では社会人向けの夜間部や社会人入試を実施している場合もあります。通信講座や独学のみで取得できる医療・福祉系の国家資格は限られていますが、皆無ではありません。例えば、保育士や介護福祉士は独学での取得が可能です。また、登録販売者も独学や通信講座で対策しやすいとされています。そのため、社会人が働きながら医療・福祉系の国家資格取得を目指す場合、学校に通学する選択肢も一般的ですが、資格によっては他の学習方法も検討できます。
ここでは、働きながらでも挑戦しやすい選択肢として、将来性の高いおすすめの資格を5つ紹介し、それぞれの仕事内容や特徴について解説します。
理学療法士は、病気やケガなどによって身体機能が低下した人々に対し、運動療法や物理療法を用いて、座る、立つ、歩くといった基本的な動作能力の回復を支援するリハビリテーションの専門職です。
活躍の場は病院やクリニックだけでなく、介護老人保健施設、訪問リハビリテーションなど多岐にわたります。
高齢化の進展に伴い、その需要はますます高まっています。
この医療系の国家資格を取得するためには、国が指定する養成校(大学、短期大学、専門学校)で3年以上学び、国家試験に合格する必要があります。
夜間部を設置している専門学校もあり、働きながら資格取得を目指すことも可能です。
作業療法士は、心身に障害のある人々に対し、食事や入浴といった日常生活の動作から、仕事、趣味活動に至るまで、様々な「作業」を通じて機能回復を支援するリハビリテーションの専門職です。
理学療法士が基本的な動作能力の回復を目指すのに対し、作業療法士はより応用的で社会的な活動への復帰をサポートします。
身体的なリハビリだけでなく、精神的なケアも行う点が特徴です。
この医療系の国家資格も、養成校で3年以上学び、国家試験に合格することで取得できます。
病院のほか、精神科、介護施設、特別支援学校など、活躍のフィールドは非常に広いのが魅力です。
臨床工学技士は、医療現場において、人工呼吸器や人工心肺装置、血液透析装置といった生命維持管理装置の操作および保守・点検を専門に行う医療技術者です。
医師や看護師と連携し、高度化・複雑化する医療機器を安全かつ効果的に運用することで、患者の命を支える重要な役割を担います。
医学と工学の両方の知識が求められる専門性の高い仕事であり、チーム医療に不可欠な存在として活躍が期待されています。
この医療系の国家資格を取得するには、指定された養成校で学び、国家試験に合格する必要があります。
夜間部を設けている専門学校もあり、社会人も目指しやすい資格の一つです。
歯科衛生士は歯科医師の指導のもと、虫歯や歯周病を予防するための処置、歯磨き指導などの保健指導、そして歯科診療の補助という3つの主要な業務を担う口腔ケアの専門家です。
口腔の健康が全身の健康維持に深く関わっていることが知られるようになり、その役割は歯科医院内にとどまらず、病院や介護施設、地域保健の現場へと拡大しています。
この医療系の国家資格は養成校で3年以上学び、国家試験に合格することで取得できます。
夜間部を設けている学校も多く、仕事を続けながら資格取得を目指す社会人にとって選択肢の一つとなります。
専門職として長く働き続けやすい点も魅力です。
看護師は、医師の診療補助と、患者が療養生活を送る上での身体的・精神的なケアを行う専門職です。
病院やクリニックはもちろん、介護施設、訪問看護ステーション、企業の健康管理室など、非常に幅広いフィールドで活躍できます。
キャリアパスも多様で、専門看護師や認定看護師といった上位資格を目指すことや、管理職、教育者への道も開かれています。
この医療系の国家資格は、常に高い需要があり、安定性が魅力です。
社会人経験者を対象とした入試制度を設けている学校も多く、准看護師として働きながら正看護師を目指すルートもあるなど、社会人が挑戦しやすい環境が整っています。
仕事を続けながら医療系の国家資格取得を目指す社会人にとって、学習環境の選択は極めて重要です。
中でも専門学校は、効率的なカリキュラム、実践的なスキル習得の機会、そして手厚いサポート体制といった面で多くの利点を備えています。
大学と比較して、より短期間で集中的に学び、即戦力として現場に出ることを目的としているため、キャリアチェンジを考える社会人にとって最適な選択肢となり得ます。
専門学校の最大の特長は、国家資格の取得という明確な目標達成に特化したカリキュラムが組まれている点です。
大学で履修するような一般教養科目は最小限に抑えられ、資格取得に直結する専門知識や技術の習得に時間と資源を集中させています。
そのため、定められた修業年限の中で、無駄なく効率的に学習を進めることが可能です。
また、多くの専門学校では、長年のノウハウに基づいた国家試験対策がカリキュラムに組み込まれており、模擬試験や集中講座などを通じて、学生の合格を強力にバックアップする体制が整えられています。
最短ルートで資格を取得したいと考える人にとって、非常に合理的な教育システムです。
医療系の資格を取得し、現場で活躍するためには、座学で得た知識を実践に結びつけるための実習が不可欠です。
専門学校は、即戦力となる人材の育成を重視しており、臨床現場を想定した実習設備や機材が充実している傾向にあります。
実際の医療機関で使用されているものと同等の機器を用いて繰り返し練習することで、実践的なスキルを確実に身につけることが可能です。
また、地域の医療機関や福祉施設との連携が強く、豊富な実習先が確保されている点も大きなメリットです。
学生のうちから実際の現場を経験することで、卒業後にスムーズに業務へ適応するための基盤を築きます。
多くの専門学校では、クラス担任制を導入するなど、学生一人ひとりに対するきめ細やかなサポート体制を整えています。
学習面でのつまずきや国家試験への不安、学生生活の悩みなどについて、教員が親身に相談に乗ってくれる環境は、特に仕事との両立で多忙な社会人学生にとって心強いものです。
さらに、就職支援に関しても、キャリアセンターの専門スタッフが履歴書の添削や面接指導、求人情報の提供など、個々の希望に応じた手厚いサポートを実施します。
医療機関との太いパイプを活かした学校推薦の求人も多く、資格取得から希望の就職先を見つけるまで、一貫した支援を受けられるのが専門学校の強みです。
働きながら学ぶことを決意した社会人にとって、専門学校選びは資格取得の成否を左右する重要なステップです。
学業と仕事を両立させるためには、自身のライフスタイルやキャリアプランに合った学校を見極める必要があります。
ここでは、時間的な制約や経済的な負担、そして将来のキャリアを見据えた上で、社会人が入学前に必ず確認しておくべき4つの重要なチェックポイントを具体的に解説します。
仕事を続けながら学ぶ社会人にとって、最も重要なのが学習時間の確保です。
そのため、自身の勤務スケジュールと両立できるコースがあるかどうかは、学校選びの絶対条件となります。
多くの専門学校では、社会人向けに夜間部や昼間定時制、土日開講のコースを設置しています。
自分の生活リズムに合っているか、授業時間や年間スケジュールを詳細に確認することが不可欠です。
また、学校の立地も重要な要素で、職場や自宅からのアクセスが良く、無理なく通い続けられる場所にあるかどうかも確かめておく必要があります。
オープンキャンパスなどに参加して、実際の通学にかかる時間や負担を体感してみることも有効な方法です。
医療系の専門学校で学ぶには、入学金や授業料、実習費など、まとまった費用が必要になります。
経済的な負担を理由に学びを諦めることがないよう、利用できる支援制度を事前に調べておくことが重要です。
学校独自の奨学金制度や特待生制度のほか、日本学生支援機構の奨学金など、様々な選択肢があります。
特に社会人経験者は、厚生労働省が実施する「専門実践教育訓練給付金制度」の対象となる場合があります。
この制度を利用できる指定講座であれば、支払った学費の一部がハローワークから支給されるため、負担を大幅に軽減できます。
自分が対象となるか、志望校が対象講座を設置しているかを入学前に必ず確認してください。
社会人学生がどのくらい在籍しているかは、その専門学校が多様な背景を持つ学生の受け入れにどれだけ慣れているかを示す指標となります。
社会人入学者が多い学校は、仕事と学業の両立に関する悩みや不安への理解が深く、サポート体制が整っていることが期待されます。
学校説明会や個別相談の場で、社会人学生の割合や年齢層について質問してみると良いでしょう。
また、卒業生の就職実績も必ず確認したいポイントです。
自分が目指す分野や地域への就職者が多いかどうかは、その学校の教育レベルや医療業界とのつながりの強さを判断する材料になります。
医療現場で即戦力として活躍するためには、教科書上の知識だけでなく、臨床現場で培われた生きた知識や技術を学ぶことが非常に重要です。
そのため、どのような経歴を持つ講師が指導にあたっているかを確認することは、学校選びにおいて欠かせません。
長年にわたり医療の第一線で活躍してきた経験豊富な講師からは、実際の症例に基づいた具体的な指導や、刻々と変化する医療現場の最新情報を得ることができます。
学校のウェブサイトやパンフレットで講師陣のプロフィールを確認したり、オープンキャンパスの体験授業に参加したりして、どのような教育が受けられるのかを自分の目で見極めることが求められます。
新しい分野への挑戦には、不安や疑問がつきものです。
特に、仕事を続けながら医療系の国家資格取得を目指す社会人からは、学習面での適性や年齢、勉強方法に関する質問が多く寄せられます。
ここでは、文系出身であることへの不安、転職時の年齢の壁、独学の可否といった、社会人が抱きがちな3つの代表的な疑問を取り上げ、それぞれの疑問に対する考え方や実際の状況について解説します。
医療系の学問では、人体の構造を学ぶ解剖学や生命現象を理解する生理学など、生物や化学といった理数系の基礎知識が必要となる科目があります。
そのため、文系出身の社会人や理数系に苦手意識を持つ方から、授業についていけるか不安だという声が聞かれます。
しかし、多くの専門学校では、入学者の学力にばらつきがあることを前提としており、基礎から丁寧に教えるカリキュラムが組まれています。
また、苦手な学生向けに補習授業や個別指導を行うなど、学習サポート体制が充実している学校も少なくありません。
入学前に高校レベルの参考書で復習しておくと安心ですが、最も重要なのは学ぶ意欲です。
医療職への転職において、採用に明確な年齢制限が設けられているわけではありません。
実際に30代や40代、あるいはそれ以上の年齢から学び始め、新人として医療現場でキャリアをスタートさせる社会人経験者は数多くいます。
むしろ、前職で培ったコミュニケーション能力やビジネスマナー、問題解決能力などは、多様な患者やスタッフと関わる医療現場において高く評価される強みとなります。
求人によっては体力面などを考慮される可能性はゼロではありませんが、国家資格という専門性があれば、年齢に関わらず活躍の場を見つけることは十分に可能です。
年齢をネックと捉えず、これまでの経験をどう活かせるかを考えることが大切です。
理学療法士、看護師、臨床工学技士といった医療系国家資格は、法律によって、国が指定した養成校(大学、専門学校など)で定められたカリキュラムを修了することが受験資格として義務付けられています。
これには、専門的な講義だけでなく、医療機関での臨床実習も含まれるため、通信教育のみといった独学で受験資格を得ることはできません。
したがって、仕事と両立しながら資格取得を目指す場合は、夜間部や昼間定時制など、社会人が通いやすいコースを設置している養成校に入学することが唯一の方法となります。
一部の資格で通信制の課程も存在しますが、その場合も必ず一定期間の対面授業や実習が必須です。
社会人が働きながら医療系の国家資格を目指すことは、十分に実現可能なキャリアプランです。
安定性が高く、専門性を活かして長期的に活躍できる医療系資格は、将来のキャリアチェンジを考える上で有力な選択肢となります。
資格取得に向けては、社会人向けのカリキュラムや手厚いサポート体制が整った専門学校が有効な学びの場です。
学校選びの際は、自身のライフスタイルに合った通学形態であるか、学費支援制度が利用できるか、そして社会人の受け入れ実績などを総合的に判断することが求められます。
学習面や年齢に関する不安を解消し、自身の経験を強みとして、新たなキャリアへの一歩を踏み出すことが可能です。
監修:日本リハビリテーション専門学校 栗原実里(作業療法士)
グループ校