2025.10.17
作業療法
監修:田中克一(作業療法士)
「作業療法士の就職先について知る」連載企画 4回目。今回は医療業界に限らず多様なフィールドで活躍する作業療法士の仕事について紹介します。
第1回から読む
作業療法士の活躍の場は、医療・介護・福祉の領域にとどまりません。
専門知識を活かせる多様なフィールドが広がっています。
例えば、保健所や市町村の保健センターなどの公的機関で、地域住民の健康増進や介護予防事業に携わる道があります。
また、特別支援学校の教員として、障害のある子どもたちの自立活動を指導する役割も存在します。
さらに、大学や専門学校などの養成校で後進の育成にあたったり、一般企業で福祉用具やユニバーサルデザイン製品の開発に関わったりするなど、臨床現場で培った経験を異なる形で社会に還元するキャリアパスも選択可能です。
保健所や市町村の保健センターといった公的機関に勤務する作業療法士は、地方公務員として地域全体の健康課題に取り組みます。
個別のリハビリテーションを行うのではなく、地域住民を対象とした健康増進や疾病予防、介護予防事業の企画・運営が主な業務となります。
例えば、高齢者向けの転倒予防教室や認知症予防教室を開催したり、乳幼児健診で発達に関する相談に応じたり、精神保健福祉に関する相談支援を行ったりします。
行政の立場から、より広範な視点で人々の生活を支える施策に関わることができるのが特徴です。
特別支援学校では、障害のある児童生徒が学校生活や社会生活で必要となる能力を身につけられるよう、作業療法士が専門的な視点から支援します。
教員と連携し、生徒一人ひとりの特性に合わせて、学習しやすい姿勢を保つための椅子の調整や、文字を書きやすい筆記具の選定など、学習環境の整備を行います。
自立活動という授業の中で、着替えや食事、金銭管理といった日常生活に必要なスキルの指導を直接担当することもあります。
教育という場で、子どもたちの成長を長期間にわたって見守り、将来の自立に向けた土台作りに貢献できる、やりがいの大きな職場です。
大学や専門学校などの養成校で教員として働くことは、作業療法士のキャリアパスの一つです。
主な仕事は、未来の作業療法士となる学生に対し、講義や演習を通じて専門知識や技術を教授することです。
また、臨床実習の巡回指導や、卒業研究のサポートも重要な役割となります。
教育活動に加えて、自身の専門分野における研究活動も求められ、学会での発表や論文執筆などを通じて作業療法学の発展に貢献します。
教員になるには、一定期間の臨床経験に加え、修士以上の学位が求められることが一般的です。
自身の知識と経験を次世代に伝え、業界全体の質的向上に寄与できる仕事です。
作業療法士の専門知識は、一般企業でも活かすことができます。
例えば、福祉用具メーカーや介護用品を扱う企業では、利用者の身体機能や生活環境を理解した上での製品開発や改良、営業担当者への専門的なアドバイスなどが求められます。
また、住宅メーカーにおいて、高齢者や障害者が安全・快適に暮らせるユニバーサルデザインの住宅設計にコンサルタントとして関わることもあり活躍の場は多岐にわたります。臨床現場とは異なる視点から社会貢献が可能です。
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