2025.10.15
作業療法
監修:田中克一(作業療法士)
「作業療法士の就職先について知る」連載企画 2回目。今回は介護・福祉施設での作業療法士の仕事について紹介します
第1回から読む
介護・福祉施設における作業療法士は、高齢者や障害を持つ人々が、住み慣れた地域でその人らしい生活を継続できるよう支援する役割を担います。
医療機関のように身体機能の回復を主目的とするのではなく、利用者の現在持っている能力を最大限に活かし、生活の質(QOL)を維持・向上させることに重点を置きます。
具体的な業務は、食事や入浴といった日常生活動作の訓練、福祉用具の選定や住環境への助言、レクリエーションの企画・実施など多岐にわたります。
利用者やその家族と深く関わりながら、長期的な視点で生活全体をサポートする姿勢が不可欠です。
介護老人保健施設は、病状が安定した高齢者が病院から退院した後、在宅復帰を目指してリハビリテーションを受ける施設です。
医療施設と在宅の中間的な役割を担っています。
作業療法士は、利用者が自宅での生活に戻れるよう、食事、入浴、トイレ、着替えといった具体的な日常生活動作の能力向上を目指した訓練を実施します。
また、家屋調査を行い、手すりの設置や段差の解消といった住宅改修の提案や、福祉用具の選定も行います。
医師や看護師、介護職員など多職種と連携し、医療と介護の両面から利用者の自立を支援する重要な役割を担っています。
特別養護老人ホーム(特養)は、原則として要介護3以上の認定を受け、常時介護を必要とする高齢者が生活する施設です。
「終の棲家」としての側面も持ち、リハビリテーションの目的は機能回復よりも生活の質の維持・向上に置かれます。
作業療法士は、利用者が持つ能力を活かして、その人らしい生活が送れるよう支援します。
具体的には、集団での体操やレクリエーションを企画して心身機能の低下を防いだり、食事の際に適切な食器を選んだり、楽な姿勢で着替えができる方法を介護職員に指導したりします。
日々の生活に彩りを加え、穏やかに過ごせる環境づくりに貢献する仕事です。
デイサービス(通所介護)とデイケア(通所リハビリテーション)は、利用者が自宅から日帰りで通い、様々なサービスを受ける施設です。
作業療法士は、利用者の心身機能の維持・向上や社会的な孤立感の解消を目的に、個別または集団でのリハビリテーションを提供します。
手工芸や園芸、調理などの作業活動を通じて、楽しみながら身体機能や認知機能の維持を図ります。
また、自宅での生活をより安全で快適にするための相談に応じ、自助具の紹介や生活環境へのアドバイスも行います。
利用者が住み慣れた地域で生き生きとした在宅生活を継続できるよう、多角的にサポートする役割が期待されます。
訪問リハビリテーションでは、作業療法士が利用者の自宅に直接出向き、リハビリテーションを行います。
病気や障害により通院が困難な方が主な対象です。
実際の生活空間でリハビリを行うため、より実践的で効果的な支援を提供できるのが大きな特徴です。
例えば、自宅のキッチンで調理練習を行ったり、浴室で安全な入浴動作の練習をしたりします。
また、手すりの設置や福祉用具の選定、介助する家族への指導など、住環境の調整に関する助言も重要な業務です。
単独で判断を下す場面が多いため、豊富な臨床経験と高いコミュニケーション能力が求められます。
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