子どもと関わる仕事がしたい人必見!小児領域の作業療法とは -目次-
需要が増える小児領域の作業療法
小児領域の作業療法は、主に障がいを持っている子どもたちに対してリハビリテーションを行います。子どもだけでなく、そのご家族と共にどのような将来を歩んでいくかを考えていくことも大切な仕事です。多くの場合は、子どもにとって作業療法は「遊び」の延長にあり、楽しみながら発達を促していけるようサポートします。
また、障がいのある子どもだけでなく、近年ではスマートフォンやタブレット機器で遊ぶ子どもが増え、握力が低下し鉛筆が持てない・手が器用に動かせないといった子どもも増えているようです。
ハート・オブ・イングランドNHSファウンデーション・トラストの小児作業療法の責任者、サリー・ペイン(Sally Payne)氏は、10年前の子どもが持っていた手の力と器用さを今の子どもたちは持っていないと、ガーディアンに語った。
「入学してくる子どもたちには鉛筆が与えられるものの、基礎運動能力がないため、鉛筆をうまく持てない子どもが増えている」ペイン氏は言う。「鉛筆を握って動かすには、指の筋肉をしっかりコントロールする必要がある。こうしたスキルを子どもたちが習得するには、経験を積むことが必要だ」
6歳の息子を持つある母親は、息子の鉛筆の持ち方があまりにもおかしかったため、6カ月にわたって毎週、作業療法士のもとへ通わせたと言う。
雑誌『Journal of Hand Therapy』に2016年に掲載された記事は、若年層の握力が1985年に比べ大幅に低下していることを明らかにした。
(参考;https://www.businessinsider.jp/post-163085)
手や身体を動かす機会が減っている現代では、小児領域の作業療法が求められる場面も増加しています。
どんな子どもに作業療法をするの?
では、実際に作業療法を必要としている子どもはどんな症状があるのでしょうか。いくつかに分類してご紹介します。
①「身体を動かすこと」について発達が未熟な場合
・文字を書くときに手の指がうまく動かせない、手首が握りこめない
・字の大小や強弱を自在に操れない
・お箸やスプーンを上手く握れない、使えない
②「身体のまとまりを把握すること」について発達が未熟な場合
・服を着るときにどうしたらいいかわからなくなる
・壁に身体がぶつかってしまったり段差につまずいてしまう
・バットなどの道具をうまく振ることができない
③ 「物をとらえること」について発達が未熟な場合
・投げられたボールをうまくキャッチできない
・縄跳びのタイミングがわからなくなる
④「頭で理解して動くこと」について発達が未熟な場合
・靴ひもを結ぶことができない
・料理やスポーツなど連続した行動ができない
⑤「人と協力して動くこと」について発達が未熟な場合
・ことばで言われただけでは行動に移せない
・スポーツをコミュニケーションをとりながらできない
・スポーツで負けると怒りを抑えられない
一例のみをご紹介しましたが、実際は子どもによって症状は様々であり、複合的です。最適なリハビリテーションができるよう検査・面談を行い、どんなリハビリテーションが最も適しているかを考えることが大切です。
また、「身体が器用に動かせない」ことは身体だけの問題ではなく、④⑤のように考える力やコミュニケーションの力と合わせてリハビリが必要な場合が多くあります。ですので、心の発達も同時に考えていく必要があるわけです。
どんなリハビリテーションをするの?
次に、具体的にはどんなリハビリテーションをするのかいくつか例をあげてみます。
①「身体を動かすこと」についてのアプローチ
・全身を伸ばす活動や階段の上り下りを一緒にやってみる
・重たい物を持ち上げたり、腕立て伏せなどの筋肉を使うことをやってみる
・トランポリンなどで全身を動かしてみる
・手あそびや指あそび、折り紙やお手玉などをしてみる
②「集中すること」についてのアプローチ
・あそんだ物を自分で片づけてみる
・リハビリテーションの予定や時間割を伝え集中を高める
③「頭で理解して動くこと」についてのアプローチ
・リハビリテーションの前に絵や写真で内容を理解させる
・実際に手や身体を動かしてリハビリテーションの流れを経験してみる
④「人と協力して動くこと」についてのアプローチ
・ 人を真似するところからはじめてみる
・自分の動きを鏡やビデオに撮って一緒にみてみる
・同じリハビリを人がしている様子を見せる
作業療法のリハビリテーションは「一緒に遊ぶ」「手先を動かす積み木や編み物をする」といったイメージを持ちがちですが、実は上記のような「教育」に則したリハビリテーションを多種多様に行っています。
小児領域のリハビリテーションでは、保育士や幼稚園教諭に似た仕事が多くあります。子どもが楽しみながらリハビリテーションができるか・楽しむことに集中できるか・その上で成長させられるかが重要になってきますので、保育士や幼稚園教諭と重なる部分もあるのかもしれません。
子どもと関わる仕事がしたい方・興味のある方は、作業療法の小児分野についても着目してみてください。
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