-目次-
- 作業療法とは、手芸や工芸だけでなく日常生活動作すべて
- 作業療法士のやりがいとは？心に残る仕事
- 作業療法士には、患者さまとの関係性を深める取り組みが大切
作業療法とは、手芸や工芸だけでなく日常生活動作すべて
作業療法ってどんなことをするか、知っていますか？
まず、「作業療法」の「作業」という言葉が、とてもわかりにくいものです。作業療法の作業を英語で表すと「occupational」となります。英和辞典で調べてみると、「職業の」と「占領の」という2つの大きな和訳で表されています。
一般的には「作業」というと、たとえば「事務作業」「農作業」「軽作業」などの仕事をしているようなイメージ、または「手作業」のような細かなことをするようにイメージされることが多いですが、実際にはもっと広い意味で「日常生活で行うすべてのこと」と考えていただけると、少しわかりやすくなるでしょうか。
確かに、作業療法士を目指す人の中には、
- 「私は手先のことが好きなので、作業療法士になりたいと思います」
- 「手芸や工芸が好きなので、なりたいと思いました」
とおっしゃる方もいます。もちろんこれも間違いではないのですが、これらは作業療法の一部でしかありません。実際には仕事や遊び、休息、日々の生活で行うことなどもすべてを作業としてとらえています。
したがって、作業療法で考える作業は、かなりいろいろなものが含まれていることになります。
作業療法士とは、手芸や工芸だけでなく日常生活で行うあらゆる作業についてサポートする仕事です。
作業療法士を目指す養成校の授業では、基礎作業学及び基礎作業学演習などを通して手芸や工芸などの制作も行いますが、レクリエーションや日常生活活動などについても学びます。こうした授業を通して「作業とは何か」「作業療法ができることは何か」ということを少しずつ学んでいきます。
作業療法士のやりがいとは？心に残る仕事
作業療法士の仕事とは、まず大きなカテゴリーとして、医療職であるリハビリテーションの一職種です。
- 身体障害分野
- 精神障害分野
- 老年期分野
- 発達障害分野
という4つの分野において、患者さま達に心と身体のリハビリテーションを実施します。
世の中には、たくさんの職域があり、職種があります。その中で、作業療法士の仕事は、営利目的でなく、目の前の方自身の気持ち、身体、生活について考え、その方と継続的に関わることができる数少ない対人職の一つです。
もちろん、病院経営のためリハビリテーション科としては営利を生むことも求められますが、各個人の患者さんと関わる際は、その方にとっての生活・人生の質の向上を目指すために、身体面・精神面に治療的に関わることが求められます。
作業療法士は、『心に残る職業』です。病気や障害を抱えた患者さんが、心身ともつらく混乱状態にある時期に担当した作業療法士は、その方やそのご家族にとって『心に残る作業療法士』になることと思います。
また、作業療法士自身にとっても、様々な患者さん達との関わりは心に残り、経験として積み重なり、患者さんの心身の回復、そして笑顔からとても大きな力を頂きます。作業療法士の仕事とは、作業療法を通してお互いの心に影響を与え合う、やりがいのある仕事です。
作業療法士には、患者さまとの関係性を深める取り組みが大切
作業療法士として活躍している方が開く勉強会にて、実際に病院で実践されているアロマテラピーを用いた作業療法について学ぶ機会がありました。
勉強会では、参加者全員２人でペアを組み、お互いにアロマハンドトリートメント（精油を使用した手指、手掌・手背部のマッサージ）を体験。その際大切なのは、相手の手を慈しみながらゆっくりとマッサージをすることで、大切に扱っているという気持ちを相手に伝えながら行うことだということです。実際に体験してみると優しくされているという気持ちが本当によく伝わってきます。
その治療的効果として、参加された作業療法士の方々からは
- 「患者さんの健康的な側面がみられるようになった」
- 「作業療法の参加者が増加した」
- 「他者との交流の広がりがもてた」
などの声が挙げられました。
そして何より「スタッフと患者さまとの関係性がより良好になる」とのことです。この作業療法の実施により、新たな患者さまとの関わりが始まることでしょう。
作業療法士はこのように、人と人との関わりを深める魅力的な仕事です。専門的な知識や技術を得ることももちろん大切ですが、人を思いやる仕事をしたい！という気持ちが作業療法士としての活躍を支えています。