-目次-
- リハビリテーションって何?言葉から見るリハビリの意味
- 精神障害分野で必要な作業療法
リハビリテーションって何?言葉から見るリハビリの意味
リハビリテーションあるいは、リハビリ、という言葉から想像することはどのようなことでしょうか?
理学療法士・作業療法士を目指しはじめた方たちに聞くと、ほとんどの方が、「平行棒の間で歩行訓練をしている様子」についてイメージしていることが分かります。
確かに、ドラマで登場する「リハビリ」は平行棒か車椅子に乗っている様子がほとんどで、あとは、杖を使っている場面といったところでしょうか。もちろん、それは間違いではありませんが、現在のリハビリテーションの領域は、かなり広範囲に及びます。
そもそも、「リハビリテーション」という言葉は、「名誉回復」とか「復権」といった意味でした。(リハビリテーションの教科書には、たいてい、ガリレオやジャンヌ=ダルクの名誉回復についても書かれています)ですから、「リハビリテーション」は、単に訓練をして、体を元通りにする、といったことだけでなく、極力、社会に受け入れられて、本人らしい生活ができるようにするような、治療や援助を含んでいるのです。
作業療法士は、機能の回復だけでなくリハビリ職として患者さんの人生を支える仕事です。また、他のリハビリ専門職の方やスタッフ・ボランティアやご家族の方々との関係も深く、協力し合う体制が必要になります。
精神障害分野ので必要な作業療法
今後のリハビリテーションの移り変わりについて、作業療法の精神障害分野を取り上げご紹介します。
作業療法士の仕事は身体・老年期・発達・精神の4分野に分かれています。その分野のひとつが精神障害分野です。
精神の様々な病気(精神疾患のことで、統合失調症、そううつ病、神経症、認知症などです)によって、生活に不都合が起きてしまった人に対して、その不都合を少しでも軽く、無くしていくようすすめることがリハビリテーションであり、主に作業療法が関わっていきます。
実は、作業療法の中で、精神障害の作業療法はもっとも最初に行われてきたもののひとつでした。
日本では、明治時代の終わりごろに始まっています。ただ、その頃はごく限られた病院でしか行われませんでした。やがて、昭和40年代には全国の精神科病院の90%以上で作業療法が行われるようになり、この頃に対象になっている人たちはほとんどが統合失調症という病気で、かつ長い入院をせざるを得ないという人たちでした。
さて、現在に目を向けてみると、精神障害分野のリハビリテーションはこの統合失調症という病気の人たち以外にも行われるようになりました。
数年前からうつ病にかかる人がふえてきたと言われています。働き盛りの40代の人たちでも病気になってしまう人が多くて、たとえば仕事を休むようになってしまうこともあるので、病気を治していくだけではなく、仕事に戻る(復職)ための準備も必要になってきました。
ここでリハビリテーションが必要とされています。
あるいは、高齢化とともに認知症の人も増えてきましたが、ここにもリハビリテーションが必要です。
そしてまた、神経症や依存症(アルコールや薬物)の人たちも増えてきているようです。病気が治り普通に社会生活を送っていくことができるならよいのですが、何らかの理由で生活に支障をきたしてしまう(たとえば、職を失ってしまう、普通にできていたことがうまくできなくなってしまう、新しい環境でうまくやっていくことができないなど)ので、リハビリテーションが必要になってくることもあります。
他にも、思春期に起こりやすいと言われている摂食障害(拒食症)や引きこもりなどにもリハビリテーションが必要になってくることがあります。
このようにリハビリテーションの対象も変わってきており、それに臨機応変に対応できる能力が、今後の作業療法士には求められていくでしょう。