理学療法士になるためには大学や専門学校で勉強した後、国家試験を受験・合格しなければなりません。理学療法士の国家試験の難易度、国家試験問題の内容、取り組み方などをまとめています。
①理学療法士の国家試験難易度
「国家試験」と聞くと、「とても難しそう」「がんばっても受からなそう」と考える人も多いのではないでしょうか。そしてもちろん、理学療法士の国家試験は決して簡単ではありません。ですが、平均の合格率は80%台と、10人に8人が合格できる試験です。
ではなぜ、難しいと言われる理学療法士の国家試験に10人に8人が合格できるのか?
それは、誰もが受けられる試験ではなく、養成校に通い理学療法の専門的知識のある人だけに特化された試験だからです。試験を受ける人は必死に勉強をして国家試験に臨んでおり、特別に国家試験対策をし、実技や実習で実体験として身につけた知識があるからこそ受かる試験なのです。養成校を選ぶ際は、合格率ももちろん判断基準となりますが、国家試験対策をきちんとしてくれるところかどうかを見ることも大切です。
また、理学療法士国家試験合格率は30年間程90%台を推移していましたが、近年は80%台へ下がってきている状況です。毎年一定の合格率というわけではなく年度によって変動しますので、たくさんの過去問題を解きどんな合格率の年でも対応できるよう準備をしておく必要があるでしょう。
②理学療法士国家試験問題の内容
では、気になる理学療法士国家試験問題の内容について。一般問題と実地問題の2種類があります。
<一般問題>
主に授業で習う内容が出題されます。
問題数:160問
点数:1問1点
内容:[解剖学][生理学][運動学][病理学概論][臨床心理学][リハビリテーション医学(リハビリテーション概論を含む)][臨床医学大要(人間発達学を含む。)及び理学療法]
<実地問題>
授業で習う内容に加え、実技や実習で培ったことが問われる問題です。
問題数:40問
点数:1問3点
内容:[運動学][臨床心理学][リハビリテーション医学][臨床医学大要(人間発達学を含む)及び理学療法]
※点字試験受験者に対しては、実地問題については行われません。翌日の口述および実技試験にてその内容を補います。その他、視覚障害者に対しては、弱視用試験又 は点字試験による受験が認められています。点字試験受験者に対しては、試験問題の読み上げの併用による受験が認められています。
理学療法士国家試験の内容は「授業で習ったこと」「実技や実習で培ったこと」と大別して記載しました。ですが、実際の授業・実習では「理学療法士になったときの勉強」をしています。
試験用の勉強ばかりするわけではなく、実際に理学療法士として働く際にコミュニケーションや施術の時はどうしたらいいのかなど、多角的に学ぶことが多いため、国家試験は授業と別に、国家試験用の勉強・対策をすることが基本です。
③理学療法士国家試験過去問題の取り組み方
理学療法士の養成校といっても様々です。多種多様な国家試験対策が行われており、授業の中に取り入れていたり、特別講義があったり、先生や仲間と協力しながら学習できるシステムであったり。
その中でも、共通して行われていることは「過去問を解く勉強」ではないでしょうか。過去問題をとにかくたくさん解く!これは試験に慣れるという面でも重要です。
しかし、ただ解くだけでは過去問題の良さが十分に発揮できません。ただ解くだけではない勉強方法をご紹介します。
1.理学療法士国家試験の過去問題集を、できる限り多くの年数分入手する
2.問題自体と、解答・解説をすべてコピーする
3.コピーした問題・解答解説をそれぞれ切り抜く
4.切り抜いた全ての問題を分類しファイリングしていく
5.覚えなければならない内容が見えてくるので、分類ごとに別でノートを作り暗記事項や特記事項をまとめていく
6.原本の過去問題を解き、答え合わせをする
7.間違えた問題は、分類内で連動する他の問題(合っている場合も)の解説も読み、必要であればノートに追記する
8.正解以外の選択肢が、それぞれ「なぜ違うのか」をノートにつけていく
この方法ですと、まず問題を分類する時点である程度の傾向がつかめ、毎年出る問題や逆に出ない問題がわかります。また、分類することによって問題と問題の”隙間”を埋めることができ、応用問題や複合問題に強くなります。そして、どこの分野が自分は弱いのかが解いていくうちに掴めてくるのでおすすめです。
その他、グループワークで取り組めるシステムがあるととても良いです。モチベーションも維持できますし、学べることが仲間の分だけ増えます。国家試験を受験して落ちてしまった場合でも、再受験することができますが、一緒に学ぶ仲間がいるかどうかは合格率に関わってきます。グループワークができる機会があれば積極的に参加しましょう。
理学療法士の国家試験は、受かってしまえば一生「理学療法士」の免許を手にすることができる試験です。人生に一度だけなので、必死に勉強して合格しましょう!理学療法士になってからも勉強は続けなければいけません、その第一歩として、挫折せずに頑張ってください。