作業療法士と音楽療法士の違いって?2つの資格と仕事内容を比較!

作業療法士と音楽療法士。一見似ているようでいて、実は大きく異なる二つの職業です。この記事では、この二つの仕事の違いについて掘り下げていきます。作業療法士は、日常生活の動作をサポートし、自立を促す仕事。一方、音楽療法士は、音楽を使って心のケアを行う仕事です。それぞれのアプローチ方法や目指すゴールについて解説します。この記事を読むことで、二つの職業の根本的な違いと、それぞれの魅力を理解する手助けになればと思います。

作業療法士と音楽療法士の違い

作業療法士は幅広い分野でリハビリテーションを行い、リハビリテーションの手法の一つとして音楽を用いる事があります。一方、音楽療法士は音楽療法を中心に行っています。

「音楽を仕事にしたい!」という方は音楽療法のみを扱う音楽療法士を魅力に感じると思います。ですが音楽療法士は民間資格であるため、就職するとなると求人が少ないのが現状です。

そのため、音楽療法士として働いている人は作業療法士や社会福祉主事任用資格等の資格を取得しており、その資格で就職をした上で音楽療法を取り入れていくという方が多いです。

作業療法士は国家資格のため、一度取得すれば一生涯にわたって仕事をしていけます。そして、社会的ニーズが高く、求人数も多いことが特徴です。高齢化が進む日本において、ニーズはさらに高まっています。

また、日本音楽療法学会が認定する音楽療法士試験の受験資格を得るのは非常に難しいです。日本音楽療法学会が認定する学校(認定校)へ入学した場合には比較的スムーズに音楽療法士を目指すことができますが、普通の学校を卒業した後に音楽療法士について興味を持った場合、『臨床経験5年以上(音楽を使用した臨床経験2年を含む)を有すること』が受験資格の条件に入ります。

そういった面でも、作業療法士として実務経験を経てから通信教育などを使って音楽療法士を目指す道が選ばれています。

作業療法士の資格・仕事について


作業療法士は、生活に必要な動作の回復と心のリハビリテーションを行います。理学療法士・言語聴覚士と共にリハビリ3資格とも呼ばれます。人の生活におけるあらゆる活動を本人が望む生活ができるようにしていく生きがい支援のスペシャリストでもあります。

リハビリテーション3資格の中で、最も『芸術』と関わりが深いのも作業療法士の仕事です。リハビリテーションは一見芸術関連とは全く関係のないように感じますが、音楽・コーラス・演劇・陶芸・手工芸・美術工芸・絵画制作などなど多種多様な作業活動を通してリハビリテーションを行っていくのです。

学生時代に吹奏楽部だった方や、絵が得意で美術が好きな方などが、作業療法士を目指すケースも多くあります。趣味として好きなことを仕事でも活かせる環境が選ばれています。

音楽のリハビリテーションでは、楽器の演奏によって手足の運動に繋がるだけでなく、ヒーリング効果が期待できます。また、仲間と演奏することにより友情が生まれたり、練習を重ね上達することによる達成感に生きがいを見出したりもします。作業療法士は体だけでなく心のケアも必要になってきますので、こういった効果を活かしていきたいですね。

作業療法士になるためには、養成校で学び国家資格を取得する必要があります。まず養成校に入学・卒業し、国家試験を受験・合格した場合に初めて作業療法士として認められます。養成校へは、高校を卒業してからすぐに入学する方もいますし、最近は社会人からのキャリアチェンジで専門学校などの養成校に入学する方も多くなっています。

音楽療法士の資格・仕事について


音楽療法は、音楽によって障害者や高齢者をサポートする仕事です。リハビリテ―ションの補助手段として音楽療法を用いたり、ベッドサイドで演奏したりします。

音楽療法士は民間資格です。「日本音楽療法学会」が認定する音楽療法士の資格が最もよく知られており、音楽療法士試験に合格することで音楽療法士として認定されます。

試験を受験するには、専門学校(2年以上)・高等専門学校・短期大学・大学いずれかを卒業し、3年以上の臨床経験を積み、資格試験受験制度へ参加することで受験資格を得ることができます。音楽療法学会の認定校を卒業することで直接試験に臨むこともできます。

病院生活・施設生活の中で音楽を楽しみにしている方はたくさんいます。そのような方々の前で演奏をし、喜んでもらうことが音楽療法士のやりがいに繋がっています。

特に近年では、高齢化社会が進行し高齢者が増え、福祉の姿も多様化しています。その中で音楽療法は注目されており、今後需要が高まる資格であると言えるでしょう。

有資格者支援金で資格取得をサポートします

日本リハビリテーション専門学校では、作業療法士や理学療法士を目指している医療福祉系の資格をお持ちの方のキャリアアップを応援する為、有資格者支援金制度を設けています。

対象資格

介護福祉士/保育士/社会福祉士/精神保健福祉士/介護福祉士実務者研修修了者/介護職員基礎研修修了者/介護職員初任者研修修了者/ホームヘルパー(1級もしくは2級)/柔道整復師/はり師/きゅう師/あんまマッサージ指圧師/看護師/臨床工学技士/臨床検査技師/診療放射線技師/救急救命士/歯科衛生士/健康管理士/福祉用具プランナー/福祉住環境コーディネーター/福祉用具専門相談員/アスレティックトレーナー/音楽療法士/准看護師/教育職員免許状(普通免許状)/健康運動指導士/公認心理師/臨床心理士

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精神科領域で働く作業療法士は、どんな仕事をしているの?

ますます需要が増加する精神科

精神科は、今後ますます需要が増加すると言われています。若い世代も含めて精神疾患に悩む人は多く、ストレス社会と呼ばれてる日本。「5人に1人は一生の間に何らかの精神疾患にかかる」と言われており、精神科は非常に身近になってきています。

メンタルをサポートする精神科の患者が増加していくにつれて、そこで働く専門職への需要も増すでしょう。

また、近年ではIT化が進み、AIに取って代わる職業も多いとされています。しかし医療専門職については例外でしょう。その中でも精神科については、人にしかできない領域だと言われています。数十年後を見越しても、精神科がロボット一色になるといったことは考えにくいです。

そのため、作業療法士として就職先を選ぶ際に、以下を選択肢に入れる方も増えてきています。

●精神科病院

精神疾患のある患者さんに接することが主な仕事です。例として、統合失調症・神経症・うつ病・躁鬱病・薬物やアルコール等の依存症・認知症・心身症・パーソナル障がい・てんかんなどがあります。

仕事内容は、精神的な負担の緩和や、作業プログラムによる訓練などを行います。

●精神保健福祉センター

精神保健福祉センターは、病院とは違い、地域住民の精神的な健康を保持・改善するための施設です。

仕事内容は、精神疾患や依存症など福祉に関する講演や研修、また精神保健福祉職に関わる人に向けた技術指導などを行ないます。地域住民の相談窓口として、心の健康に関する様々な相談を受けることもあります。

精神領域における作業療法士の仕事

では、実際に精神領域で働く作業療法士はどういった仕事を行っているのでしょうか。

まず、患者さんの「生活のしづらさ」をアセスメントし、適切な介入により生活の質を向上させることを目的とします。具体的には、創作やレクリエーションといった作業療法活動を通して喜びや達成感を促す関わりから、より実生活で役立つ技能の獲得を目指す関わりへと幅広い関わりを持っていきます。

精神領域でなく身体領域の作業療法でも行うことではありますが、特に精神科リハビリテーションにおいては「実生活に結びつく技能獲得に関する支援」が重要となります。

理由としては、実生活に結びつく技能獲得には個人差があるので、患者さんそれぞれに個別に介入をしていくことが求められます。特に当事者の持つ生活のしづらさには認知機能障害が関連しているとされることから、高次脳機能のリハビリテーションとしての視点から生活における障害を捉えなおす関わりが作業療法士には求められます。

また他職種と同様に、カウンセリングや当事者の環境調整、プログラム提供など幅広い関わりも仕事のひとつです。

精神科におけるチーム医療

「精神科で働く専門職」と聞いて思い浮かぶのは、精神保健福祉士や臨床心理士ではないでしょうか。実際、チーム医療として作業療法士とともにそれらの専門職、そして医師や看護師が一丸となって患者さんをサポートしています。作業療法士以外のチーム医療メンバーについて見ていきましょう。

●医師

まず、医師について。医師の仕事は診察をし、治療方針を立て、薬を処方することです。医師の役割は患者さんだけではなくチーム医療全般にも大きな影響力を持っています。そして患者さんのご家族との信頼関係を維持することや、他のスタッフと連携をとること、モニターや副作用のチェックなどの観察を行うことも役割としてあります。

●保健師・看護師

そして次に、保健師・看護師です。保健師としての役割は、保健所・保健センター等の公的機関で求められるような予防的な視点を持つことです。看護師としての役割は、病院や訪問看護ステーションなどで求められるような治療的視点をもつことです。

また、日頃から体調の変化を感じたり表現したりすることや、早期に他者に相談するという対処法を身につけていけるようサポートしていくことも重要な役目と言えます。

●精神保健福祉士

次に、精神保健福祉士の役割です。精神保健福祉士は、医療・保健・福祉の様々な場面を統合したサービスによって地域生活をサポートすることが仕事です。わかりやすく言うと、患者さんと社会との懸け橋となる存在ですね。

●臨床心理士

臨床心理士の役割は、面接や観察、心理検査などを通して心理学的なアセスメントを行うことです。これが一番「精神科」と聞いてイメージする仕事かもしれません。カウンセリングを行い、コーディネーターとして関わったり、プログラムを提供したりすることが仕事です。他職種と連携を保ちながら柔軟な対応を取ることが求められます。

理学療法士・作業療法士のキャリアアップとは。

理学療法士・作業療法士のキャリアアップとは

理学療法士・作業療法士とひとくくりにしても、実際に働く形は人それぞれです。まず、働く場所によってその先に描けるキャリアプランが変わってくるでしょう。

働く場所は、病院やリハビリテーションセンターが多いですが、福祉施設や小児に特化した施設、訪問リハビリなど様々です。そして任されている仕事に合わせて専門的な業務も多岐にわたります。

キャリアアップを目指すなら、まずは専門性のある技能を伸ばして自分の任されている分野のスペシャリストになることでしょう。

例えば現場で主任になったり、セミナーや勉強会に参加して手技を磨き、そういったセミナーを開く側のスペシャリストになれるよう努力する道です。

技能が上がれば立場的にも出世することになり年収や待遇が良くなったり、仕事の幅が増え活躍の場が広がることにも繋がります。そして何より日々対面する患者様により良いリハビリテ―ションを提供できることになります。

技能を伸ばし、リハビリスーパーバイザーと呼ばれるスペシャリストになることができれば、新しくリハビリプログラムを開発したり後輩育成のプランを考えたりする仕事もすることができます。責任も広がりますが、自分の理想とするリハビリテーションを極められ、思い描いたリハビリテーションが実現できるため、非常にやりがいのある仕事です。

経営側へのキャリアアップや独立開業

理学療法士・作業療法士の管轄はリハビリテーションに関するところまでですが、さらにその先の病院経営や施設のマネジメントを行う方向にキャリアアップすることもできます。

大きな規模を見れば見るほど現場からは離れていってしまうことになるので、舵を切る前に「自分はどんな仕事がしたいのか?」「10年後はどういった姿で働いていたいのか?」をしっかりと考える必要があります。

大病院の経営側に一理学療法士・作業療法士が関わるようになるには道のりが遠いですが、例えば訪問リハビリテ―ション施設などで新しく別の地域にも施設を増やしたいとなったときに新施設の担当を任されたりすることはよくあります。

理学療法士・作業療法士の知識とはまた別の経営やマネジメント、経済について学ぶ必要が出てくるでしょう。こういった場合は自分の施設に対しての考えだけでなく、いろんな施設のやり方や最新情報を知って対策していくのが近道です。そのような情報を得るためにも、理学療法士・作業療法士同士の繋がりや養成学校時代の教師に相談できる環境があるとよいですね。

また、独立開業して一国一城の主になるという道もあります。ただし理学療法士・作業療法士の資格は独立開業できる資格ではないので、独立開業が可能である資格を別途取得する必要があります。独立開業権のある柔道整復師を取得して接骨院を開くケースなどは多いです。

独立開業することは非常に難しいですが、まだ世の中にないオリジナルの施設を考案し作り上げていけるため魅力的なキャリアアップの道でしょう。

理学療法士・作業療法士は常に勉強が必要な職業

スペシャリストになる道を選んでも、経営や独立開業の道を選んでも、理学療法士・作業療法士である限り常に勉強は必要です。キャリアアップを目指すのであれば猶更、医学の進歩に合わせて常に研究し、コミュニケーションスキルにおいても学びを重ね、都度新しい知識と技術を吸収していかなければなりません。

理学療法士・作業療法士を目指している段階では国家資格取得がゴールのように感じてしまいますが、一生ものの資格であることを考えると資格取得はまだまだスタートラインに立った段階と言えます。

その先何十年と業界にいる場合、最初に就職した職場だけでなく様々なジャンルの職場を渡り歩く可能性もあります。そんな中で困難に出会うこともあるかもしれませんが、資格取得を目指す段階で決意した志や一緒に頑張った仲間がいれば乗り越えられるでしょう。