困ったときに振り返る日リハの授業資料はお守り|日リハの人々|理学療法士・作業療法士の専門学校日本リハビリテーション専門学校

理学療法学科 昼間部 卒業生

山本 莉子さん

困ったときに振り返る
日リハの授業資料はお守り

学科 理学療法学科 昼間部
卒業年度 2024年3月卒業
勤務先 千葉県内急性期病院 勤務
趣味/特技 バレーボール、車を運転すること、御朱印集め
  • 国家試験を翌月に控えた2024年1月にインタビューに答えていただいた山本莉子さんが再び登場。2024年4月に現場デビューされた山本さんに日リハでの学びや、入職後の1年を振り返っていただきました。

    「はじめて現場に出たときの感情は覚えていない」

    Q. 理学療法士として働きはじめていかがですか? はじめて臨床の現場に出たときはどう思いましたか?
    まずリハビリを提供することと業務を覚えることが同時に降りかかってきたので、そのときの感情は今はもう思い出せないですね。最初は余裕が全くありませんでした。でも業務や環境になれることは大変でしたが、先輩たちに恵まれ、いまは楽しく働くことができています。

    Q. 現場での失敗談などは何かございますか?
    私は急性期の中でも心臓や肺などの内部疾患や、脳梗塞などの脳血管疾患を主に扱う病棟に所属しています。内部疾患の患者様は元々施設にいらっしゃった要介護の方が多くて、認知機能の低下があり、あまり話せない方が大半なんです。でも、その施設に戻るためには条件があり、そこをゴールとして、達成できるようにリハビリをしなきゃいけない。私たちはそこを目標にしていますが、患者様は自分の気持ちを出せないのですが、実は違っていたり。そこにギャップが生まれてしまいます。コミュニケーションでいくら工夫をしても意思疎通が困難な患者様に対して、機能的に大丈夫だと判断しリハビリを遂行した際、本当は患者さんは嫌で、その後の介入で拒否が出たりと離床の妨げに繋げてしまった失敗経験があります。
  • 「患者様に合わせたコミュニケーション方法で関係性を構築」

    Q. やはり自分が達成させてあげたい目標と、患者様との気持ちの不一致ということですね。そういう失敗があったときどのように対応されたんですか?
    その失敗があったのは最初の頃に起こりました。まず指導者の先輩に相談し、施設に戻りたいのか、そのまま看取る方向になるのか、施設や患者様のご家族から情報を集めて、意思疎通の取れない患者様はご家族の意見が尊重されるので、最終的には医療職の意見とご家族の意見を一致させて決めるという選択肢を取りました。寝たきりの方でしたら時間的な猶予は多くないので、そのときの患者様の状態に合わせて、最善を尽くすというやり方を取ってきています。一方で、患者様に合わせたコミュニケーション方法を取ることで関係性が構築でき、治療の効果判定がいい方向に出たときは特にやりがいを感じます。

    Q. そういった失敗談は学校の仲間や先生には相談したりしますか?
    先生にも話しますが、基本は同級生に会ったときに相談しますね。たとえば急性期で働いている人と回復期で働いている人だと病期も違えば、その捉え方も違うので、違う意見が出てきます。それでいろんな意見を取り入れるようにはしています。

    Q. 日リハでの学生生活を振り返ってみて、特に大変だったことはなんですか?
    全部ですね。テストの多さ、実習の長さ辛さ……。特に4年生は実習後すぐに国試の勉強があり、その中でも模試や小テストが続く毎日は大変すぎました。家族や友達や先生たちに支えられてなんとか卒業できたと思っています。
  • 「患者様やご家族が望んでいる方向にしっかり向けさせる」

    Q. 1年前のインタビューでは「患者様やご家族から「あなたが担当してくれて本当によかった、あなたにリハビリをしてもらってよかった」と声をかけてもらえるような理学療法士を目指している」とおっしゃっていましたが、1年弱、臨床の現場で働かれて心境の変化はありますか?
    大きくは変わっていませんが、元の生活に丸々戻せなくても、患者様やそのご家族が望んでいる方向にしっかり向けさせてあげることで幸せになれるので、患者様やご家族の気持ちに寄り添えることが大切だと思っています。無理やり元の生活に戻さなくても、その方に合ったところに送り出せるのが一番かなと思います。

    Q. 職場には大学や他の学校の出身者もいると思いますが、日リハならではの強みを感じたことはありますか?
    日リハという学校名をあげただけで、上層部の方からは「あ〜日リハね!」と認知して下さっていて、ブランドの強さはまず感じました。教科書的な症例ではなく、先生方が持ってきてくださった実際の症例を用いた授業が多く、より臨床に近い内容だったので現場に出て驚いたことや、どこを見ればいいのか評価内容に困るということはなかったです。

    私は特に内部疾患を主にやっているので、呼吸リハだったり循環動態のことに関してはすごく細かく授業でやってくださった覚えがあるので、それはすごく活きたかなっていうのは思っています。

    寝たきりの患者様だけじゃなく、普通に歩ける患者様もいらっしゃるので、例えばこの歩き方で今どこの筋肉が弱っているなど、動作分析も授業でしっかり技術、技能として時間をかけてくださったので、それはとてもよかったです。
  • 「実習やグループワークの経験が仕事に活きている」

    Q. 実際に現場で働いてみて、日リハの授業や実習でよかったと感じたことはありますか?
    実際に現場で働いてみて、日リハでの長時間実習の経験が活きていると実感しています。それぞれの病院や施設で雰囲気は違いますし、やれることも違います。長ければ長いほどそこで学ぶ時間が取れたので、疾患の知識に関しては今でも実習の時の経験が頭に残っていることがよかったと感じています。

    また、高瀬先生から学んだ心電図などの循環の授業、鍋城先生から学んだ呼吸器、呼吸リハの授業、佐藤先生、塩澤先生から学んだ動作分析学は、いま所属してる急性期ではとても活かせています。
    グループワークで授業を受けた経験も、他職種でチームカンファレンスをする際に専門職として意見を言う機会や、リハビリ科のチーム内でのディスカッションでも役立っていると実感していますね。それはコミュニケーション面で特に感じます。また、学生スタッフとして学生やその親御さんと接した経験も活きたと思います。患者様を前にするのと、ご家族を前にするのとでは緊張感は全く違うので、最初は学生スタッフのときのイメージで対応していました。いまは緊張もなく、いろいろお聞きして情報収集できています。

    Q. 日リハの強みのひとつは先生と学生の距離の近さですが、先生とのコミュニケーションが実務で活きたことは何かありますか?
    私の性格上、やれることはすべてやりたいという風に完璧主義を求めてしまうところがあるのですが、「完璧を求める必要はない。いまの自分に合わせたところまでをやれればいい」と国家試験対策のときに佐藤先生や髙瀬先生に言っていただいたことは心によく残っています。先日も「仕事中も自分で評価して自分で効果判定してみたら?」という言葉をいただいて、それは心がけています。

    Q. 今後の目標を教えてください
    今は急性期部署で働いていますが、もう少しそこでさまざまな疾患のリスク管理や検査結果から想定される知識的なこと、呼吸リハなど手技的な部分を学び、自立して対応できるようにして、回復期に異動し入退院支援を学び、いずれは地域リハに貢献するというのが目標です。
  • 「当たり前のことを当たり前にできるように」

    Q. これから実習に行く在校生や、理学療法士を目指しながらも実習を不安に思っている方へ、メッセージややっておいたほうがいいことなどがあれば、お聞かせください。
    当たり前のことを当たり前にできるようにしとくのが絶対条件です。挨拶、提出物期限厳守、無遅刻など、これをしっかりやるだけで実習は乗り越えられます!

    「知識が足りてなくて」や「実習に行って質問されて答えられなかった」などは気にしなくて大丈夫です。現場の人たちは、学生がまだわからないのは当たり前とわかっているので、わからなかったら「わかりません」「調べてきます」と言って、しっかり調べて自分の知識の引き出しに収納できて国試の時に引き出せれば大丈夫です!

    在学生に特に伝えたいのは、「教科書は捨ててもいいけど、授業資料は残しておいたほうがいい」ということです。授業資料は先生方が本当に伝えたい大切なことをしっかりレジュメに残してくださったものなので、働いていてわからないことや困ったことがあれば、そこに戻って見返すようにしています。私の場合はファイリングして整理していますが、すべて取っておいて損はないと思います。今は見返さない資料でも、もし別の領域に異動になったら必要になるときが来るかもしれない。捨てられないお守りのようなものですね。