訪問リハ学会に参加して思ったこと

2017.06.28

こんにちは。理学療法学科教員の有本です。

先日、札幌で開催された第10回日本訪問リハビリテーション協会学術学会に参加してきました。

東京では先月気温の高い日が続いていたので、少しは過ごしやすいのだろうと期待して行ったのですが、当日はあいにくの雨模様。そのため気温は日中でも10度を少し越える程度。涼しいどころか寒くて大変でした。それでも多くの参加者が集まり、会場は熱気に包まれていました。

 

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先月幕張メッセで開催された日本理学療法学術大会が52回目であるのに対し、訪問リハ学会はまだまだ日が浅いのが実状です。

私が訪問リハビリに携わって10年になりますが、10年前は訪問リハビリ業務に専ら従事している理学療法士の数は、それ程多くはなかったと思います。しかしながら、近年多くの施設で専従の職員が訪問に携わるようになってきています。これは急激な少子高齢化という社会的な背景も影響しているのでしょう。

 

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国の政策としても在宅での医療や介護を広げることを推し進めたい意向です。しかしながら、訪問リハビリ分野ではまだまだ人が不足しています。在校生からも、訪問などの地域リハに興味があり将来的にはやってみたいが不安だ、と言う話をよく聞きます。

 

学生の話を聞いて、訪問リハビリに対する恐れの要因を考えてみました。一つは養成校で行われている教育です。日本の理学療法士の歴史は半世紀に及びます。そこで対象とされてきたのは主に急性期から回復期までの患者です。養成校で学ぶ内容も当然回復期までを想定したカリキュラムが中心となってきたと思います。それは運動機能の回復あるいは基本動作の獲得を目指すものとなるでしょう。

これは、ICIDHの考え方に合致すると思います。社会的不利な状況は能力低下によって起こるものであり、それは機能低下が根底にある。よって、機能回復が回復すれば対象者の問題は解決される。

 

図1

出典:障害保健福祉研究情報システム 図1 ICIDH:WHO国際障害分類(1980)の障害構造モデル

 

 

この考え方は非常に明快であり、その考え方に因れば「機能訓練」が専ら行われることになるかもしれません。しかしながら、十数年くらい前から、ICFという概念が取り入れられるようになってきました。対象者の機能面に焦点を絞るのではなく、「障がい」があっても「その人らしい生活」が送れるように活動や参加に焦点を当てることになります。そのためには環境面なども含めた複眼的な視点で対象者の問題を捉える必要があります。

 

図2

出典:障害保健福祉研究情報システム 図2 ICF:国際生活機能分類(2001)の生活機能構造モデル

 

 

 

訪問リハビリで対象となるのは慢性期、維持期の方がほとんどです。多様な問題に向き合うならば、複眼的な見方が当然必要なのですが、思考の礎として医学的知識だけでは対応できません。場合によっては社会学、哲学、心理学など幅広く学際的な知見が求められるのではないでしょうか。さらには運動機能に限らず、ヒトの様々な機能の問題にアプローチできなくてはならないでしょう。

訪問リハビリを難しいと思うのは定まった明解な答えを得にくいところに感じるのではないでしょうか。しかしながら、だからこそ色々なことが考えられ、そこに面白さがあるとも言えます。

 

 

 

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